未来の俺は存在しないと気づいた俺は未来の先輩に会うために来た

ジンベイザメの島

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1章 殺し屋とまがい物(偽人:ギジン)

2話 どうやらはめられたかもしれない

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 「はぁ…はぁ…はぁ…」


つっ…つかれたぁぁ…
ざっと半年分の体力をつかった気がした。明日は、筋肉痛確定だな。


俺とは反対に六助はぴょんぴょんはねまわっている。全く元気なやつだ。



 「ほらっ!六助!!!いくぞー!」
六助が好きだというピンクのボールを投げた。
すぐさま走り去って米粒くらいの大きさになったかと思うと、とてつもない速さでまた帰ってきて、また投げてとおねだりするのだ。



かわいいやつだ。



10回以上、20回やってもまだまだあそびたりないらしい。俺のズボンの裾をガリガリしている。

俺のほうが先にくたびれそうだ。休憩したいなぁ…と、六助の方を見る。目をキラキラさせてまだやりますよね!という、希望に満ちた眼差しでこちらを見る。


そんな顔されたら…
そんな顔されたら休憩なんてできませんよ~

休憩を取らずに俺はボールを投げ続けた。






携帯の時計を見る。もうすぐ3時間が経つ。



 「そろそろ日が落ちるし、六助ちゃん、帰ろうか。奥様が待ってるからね。」
 「ワンッ!!」

元気よく返事をすると、素直に出口へ向かっていった。が、俺はヘトヘトだった。歩きが右往左往し、柵に足をぶつけるだの、頭を誰かにぶつけるだの散々だ‥




奥様の家は少し遠い。休憩をはさみながらのんびり帰っていた。六助も俺の表情を見ながら歩いたり止まったり。犬に気を使わせてるなんて恥ずかしい


そんな優しさを横目に俺は腕が重いこととか、明日はきっと筋肉痛なのだと悟っていた。



依頼主の夫人の家は、丘の上にある。
と、眩しい太陽の光が俺の後ろを優しく包み込むように優しい暖かさが体にしみた。
後ろを振り向くと夕日の赤色が住宅街をのみ込んでいた。

この坂を登りきれば夫人の家につく。
もう少しの辛抱だ。ふぅ…と息を吐いて後ろをむこうとしたとき誰かが俺に話しかけた。


 「あの…すみません。」
 「はい」
後ろを振り向くと、帽子を深くかぶったジャージ姿のおっさんがたっていた。
 

全身黒色でジャージ。顔はよく見えない。
不審なおっさんに話しかけられてしまった。
もうすぐ、何でもやのバイト時間終了も来る。早めに終わらせたいのに…タイミング悪いなぁ。

 「ここら辺の犬かわいいよね。」
 「ああ、そーっすね。かわいいですね」

六助の方を見る。舌を出して、夕日に当たって少し赤く染まった毛並みがキラキラしている。
六助は、俺の方を見ると、おじさんの方を見た。
誰ですかこの人‥?お知り合いですか?
みたいな顔してる。

違うよ。俺、早く帰りたいんだけど、このおじさんちょっと返してくれなさそーな感じなんだよな。

 「あー、あの、すみません。ちょっと俺急ぎの用事があって。すみません。」

その場を後にしようとした時、
 「あっ、」

と大きな声を出した。俺は、びっくりしてまたおじさんの方を見る。

悩んでいるような、もじもじとおっさんはゴソゴソと持っていたトートバッグをあさり始めた。
 「あ~、やっぱ世間話なんて何話していいかわからないんだよ。待ってよ。帰らないでよ。翔太くん」
 「?」

なんでこいつ俺の名前知ってんだ。

夏に似合わない冷えた汗が頬と、背中に伝った。汗が流れたと感覚がした。俺の神経は今全身にピンピンに張っている。

こいつ、やばいかもしれない。俺は逃げようと考えたが、六助をどうしようか迷った。このまま一緒に逃げて逃げ切れたとして、またこの家に戻ったらまたおっさんに会うんじゃないかな‥どうしていいか、運動しかしたことのないバカな脳みそをフル回転させる。

そうじどじとしているうちに、おっさんの
右手に何が鋭く光るものが見える。
 「…」



マジか、この人刃物持ってるぞ…やばくないか…

俺は身構えた。


 「…え!?」
不審なおっさんはおどおどし始めた。

 「あー、これ?フェイクフェイク。ふはっ、本物に見えるー?見えたよね。怖いかー、ハハっ。これ本物なんだけど。マジもんだよーこれ。」

この人やばい人だから、あまり興奮させないほうがいいのかも。どうしたらいいんだ

とりあえず俺は、平常心平常心…

 「君、あそこのおっきな家のアルバイトじゃないの?」

えー!俺じゃん!
えっえっ、なんのようなの?俺なんかした?えっ、道沿いの石は少し蹴ったけど、それ以外は多分してないと思うけど、というか、心当たりがないんだけど…!?


 「そうですけど、何か…」

 「…へぇあ、やっぱそうだよね。ヘヘッ、あたりだぁ、あたり!」

男はトートバッグから持っていた刃物を振り回し始めた。

 「あっ、あああ。…ごめんね。脅かす気はなくて。その、君のとなりにいるワンちゃんって君のかな?」

六助の方を見る。


俺じゃなくて、犬?


もしや、絶対依頼主の方がなんか事件に巻き込まれたのかもしれない。
もしかしてあいつが犯人?
ひともろとも犬も抹消か…



 「いえ、この犬は俺の犬ですけど。」
ぐっとリードを力強く握る。少しばかり手が汗ばむ。
 「…そうなんだ」

中年のおっさんは残念そうな顔をして、下を向いた。なんか、やばいかな。嘘ついたことがバレなければいいな。



 「ヒヒッ…ヒヒヒヒヒヒヒヒ」



冷や汗が背中に一気にかいた気がした。

中年のおっさんが急感高い声で笑いだした。


 「おじさん、なめられたもんだなぁ」

クククっと笑いながら靴をズリズリと削りながら近づいてくる。

これはやばい。俺は全身に冷や汗を書いた。生体本能でこいつはやばいと、早く逃げろと体が言っている。でも、足が重くて動けない。震えている。



次の瞬間、俺の目の前に赤い鮮血が鈍い音とともに通過した。
はっとして六助の方を見る。六助の胸からは血がにじみ出ていた。




一瞬何が起きているのか読み込めなかったが、瞬時に次は自分のところに来ると察した。




 「ああぁ…わぁァァァァァああああ!!!」



やっとの思いで足が動くと、
足がすくんで後ろにコケて、慌てて走り出した。


これ、やばくね。

 

俺はそのまま婦人の家と逆方向に走った。
どこでもいい。誰かに助けを。



何なんだあのおっさん。



ここの住宅街はあまり詳しくないけど、小道が多い気がした。小道に入って、山の中に入れば、少しは時間稼ぎができるかもしれない。


小道を通り、柵を抜けて山に入った。
草木は生い茂っていて、前が見えない。しかし、足を止めるわけには行かない。必死で山道に入っていった。









 「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」

生唾を飲み込んだ。半袖を着ていたせいで腕はかすり傷だらけ。頭と服には、葉っぱがくっついていた。もう、日が落ちる。と、小さい足音が聞こえた。振り向くと、そこには六助が足を止めずにふらふらと歩く六助の姿がそこにあった。

 「お前、ついてきてたのか。」


俺は急なこと過ぎて足が止まらず、木に顔をぶつけてやっと止まった。


 「いってー…」

周りを見渡すと、薄暗い山の中に一人と1匹ぽつんとまるで置き去りにされているような感覚がした。
それより六助だ。周りに目をやると六助はヒィヒィと苦しそうに息を吸って吐いてを繰り返しながら俺のもとにゆっくり駆け寄ってきていた。

俺の痛みなんかよりお前のほうが痛いよな。
俺は六助の傷口を優しく触る。
と、六助にガブッと腕を噛まれた。

 「うーん…」

痛かったのか…すまんな。頭をなでる六助は俺の方をじっと見た。俺も六助の方を見つめるとニコッと笑いかけた。と、六助は目をつぶって俺の足に頭をのっけた。

俺もゆっくり目を閉じた。



 両親がドアの外へ行ってしまうお話。
帰りが遅くて、寂しくて、悲しくて。まだかまだかと玄関の前で待っていた。
知っている足音が聞こえてドアが開くと大好きな両親がたくさんの荷物を持って帰ってきた。

良かった…

目をゆっくり開けると涙がこぼれ落ちた。

六助はリラックスしたように目は閉じたままだった。

 「くうう…」

弱々しい声で泣いている。
 「六助…」

俺は六助を撫でようとしたとき、

 「へっ?」
六助は俺の右足首にガブッと噛み付いていた。

とっさの勢いで、六助の首輪を引っ張る。
「やめろって六助痛い!」

首輪を引っ張る俺と噛みつき続ける六助

どうしたんだ?あの刃物になんか塗られてたのか?凶暴化してる。
 
 「ろくすけっっ!」

グーッと噛み付いていた六助の力はだんだん弱くなっていった。俺も首輪を待つ手をゆっくり力を緩めた。

六助はゆっくり口を閉じると目をつぶった。



その後、六助はぴくりとも動かなくなった。
ぼーっと暗い森の中を見つける。俺はひとりぼっちになってしまった。血生臭い匂いがあたりに立ち込める。

六助が噛み付いてきた足はなぜかじんじんとは痛みがなく、血も出ていない。
なんで噛み付いてきたんだろう。

お前のせいでこうなったんだぞとか思ってるのか。これは呪いかもしれない。

なんか嫌になってきた。おっさんにナイフで殺されそうになるわ。犬が死んじゃうわ。足が痛いをわ。てか、なんでナイフ持ってんだよ。こえーよ。

いろんな思いが溢れてきて、それが涙になって溢れた。






誰かがこちらに向かってくる足音がする。一人…二人…二人組か…ああ、良かった。

 「よかった。まだ希望は捨てたもんじゃないかも。」
警察かな。俺を探しに来てくれたのかな
眠い目をこすっていると、二人組が何かを話しているのが聞こえた。


 「多分このへんだと思うんだがなぁ…」
 「ちゃんと探してくださいよ。このあたりなんですから。」

!警察だと思っていたが、よくよく聞いてみた、どっかで聞いたことがある声だな。


 「せっかく雇ったのにもう会えないなんて嫌よ。」



木々の隙間からそちらを覗いた。なんと、そこには依頼主である奥様と中年の六助をやった男がいた。

 「あいつらグルだったのか…」

周りの空気が重く、俺の涙は怒りのような恨みのような思い気持ちが芽生えてきた。

 「そうだな、雇ったのに1日でおさらばなんて嫌だもんな」
 「そうよ。だってあの子。いい男の子だったし。」
 「お前のいい男なんて信用できねぇなぁ。俺にしとけよ。」
 「あら、あなたも私の実験体になるのかしら。六助はいい素材だったけど、少し元気すぎて正直疲れたわ。まあ、でもいい実験体にはなったし、あの元気そうな男の子の臓器が気になるわね!どんな臓器なのか!ああ、早く見つけてちょうだい!」
 「けっ、お前の趣味なんざ気色悪すぎてやばいな。あの犬もお前のおもちゃだったんだろう?」
 「そうよ。あの子は私のお気に入りなの。臓器は…そうね、いろんなものを死なない程度にいじったわね。特に致死量以上入れたときの反応が一番楽しかったわ…」



人体実験?ちょっといじくった?‥

意味がわからない。早く警察に伝えるべきだ、こんな危ない奴ら。

山道の場所もここがどこなのかもわからない。あの二人に比べれば俺は勝ち目などない。でも、ここで終わるわけには行かない。もっと遠くに逃げるんだ。



ガサッ
 「誰だ!!!」
 

 俺はすぐに方向展開して山の中の暗闇に逃げ込んだ。






六助の分まで生きるんだ。
少しの間だけそこで休んでてな。
 
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