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遠慮なければ近憂あり
人の頭上で『最初はぐー』から始めてんじゃねぇよ!
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膝から崩れ落ちるが、両手はトランクスのゴム部分を持ってて、全く反応できなかった。んで、今度は、そのまま、毛足の長い絨毯にダイブ。
変な悲鳴。それを聞きつけて、双子が隣の部屋からやってきた。うわやべぇ 早くトランクス上げないと。
「これはまた。朝から扇情的な構図ですねぇ」
「ほんっと、尻だけ白いな。別に重ね履きしなくていいだろ、それ」
「見るなバカぁ!! つーか、まだ十分経ってねぇだろ。出てけ」
何とかトランクスを引っ張り上げて、芋虫みたいに転がったまま、これしきの作業に息が上がっている俺を、藤也はなんと言うか、ヤンキー座り? 品のないしゃがみ方で、対する柊也は絨毯に片膝をついて、あくまで優雅に身をかがめて、覗き込む。
「立てない時点で姫抱っこ決定だろ」
「ですね。どっちが抱くか決めましょうか」
「短めのインターバルで分けねぇ?」
「ああ、それがいいですね。では、負けたほうがまず最初と言うことで」
人の頭上で『最初はぐー』から始めてんじゃねぇよ! ってか、アンタらのじゃんけん一発で決まることほぼないんだから、一撃目からじゃんけんでいいだろ。今も十六連続アイコの末に、藤也が勝利。ってことは、柊也の勝ちなのか?
「さて、お姫様。お洋服を羽織りましょうか?」
短いインターバルで入れ替えるってことが決まってたせいか、別段悔しくもなさ気に、いや、むしろ楽しそうにニヤーっと笑いながら、藤也がシャツの入った袋を破る。続いて、柊也がズボンや靴下の入った袋を。
「どこでしましょうか」
「リビングの椅子は? 肘掛がちょうどいい感じの」
「あれですか」
なんですか!? 一度は通った場所だけど、椅子の形まで俺は覚えてない。
絨毯に片膝ついて、柊也が俺の首の後ろ、膝の内側に手を添えて、ものすごーく、軽々と、持ち上げやがった。
藤也が恭しいしぐさで、片手に服をかけて、もう片方でドアを開ける。
確かに、ふわふわのドレスでも着たお姫様のエスコートならサマになるかもしれないけど、俺は今、三枚千円のトランクス一枚だ。
「やーめーろー! おーろーせぇえええ」
じたばたしようと試みて、体が痛いことを思い出す。そしてどうにも思うように動けない。仕方ないから叫んで抗議しても、がっしり俺を抱え上げた柊也は、そんなもん涼しい風で無視。
「暴れると隙間から中身見えるぞ?」
身をかがめた藤也にからかわれて、儚い抵抗とばかりによじったりしていた体が止まる。
止めてから気づく。
下から覗かれたくらいじゃ絶対見えないことに!
「こんなスカスカしたの履いてて落ち着くか? どっちか偏ったりしねぇ? お揃いの買ってやろうか?」
「い、や、だ! お前らが履いてるようなエロパンツ、高校生が履くかバカ! 着替えとかどうすんだよ!?」
そんな下着、同級生誰も履いてねぇ 部活の先輩だって履いてねぇよ!!
変な悲鳴。それを聞きつけて、双子が隣の部屋からやってきた。うわやべぇ 早くトランクス上げないと。
「これはまた。朝から扇情的な構図ですねぇ」
「ほんっと、尻だけ白いな。別に重ね履きしなくていいだろ、それ」
「見るなバカぁ!! つーか、まだ十分経ってねぇだろ。出てけ」
何とかトランクスを引っ張り上げて、芋虫みたいに転がったまま、これしきの作業に息が上がっている俺を、藤也はなんと言うか、ヤンキー座り? 品のないしゃがみ方で、対する柊也は絨毯に片膝をついて、あくまで優雅に身をかがめて、覗き込む。
「立てない時点で姫抱っこ決定だろ」
「ですね。どっちが抱くか決めましょうか」
「短めのインターバルで分けねぇ?」
「ああ、それがいいですね。では、負けたほうがまず最初と言うことで」
人の頭上で『最初はぐー』から始めてんじゃねぇよ! ってか、アンタらのじゃんけん一発で決まることほぼないんだから、一撃目からじゃんけんでいいだろ。今も十六連続アイコの末に、藤也が勝利。ってことは、柊也の勝ちなのか?
「さて、お姫様。お洋服を羽織りましょうか?」
短いインターバルで入れ替えるってことが決まってたせいか、別段悔しくもなさ気に、いや、むしろ楽しそうにニヤーっと笑いながら、藤也がシャツの入った袋を破る。続いて、柊也がズボンや靴下の入った袋を。
「どこでしましょうか」
「リビングの椅子は? 肘掛がちょうどいい感じの」
「あれですか」
なんですか!? 一度は通った場所だけど、椅子の形まで俺は覚えてない。
絨毯に片膝ついて、柊也が俺の首の後ろ、膝の内側に手を添えて、ものすごーく、軽々と、持ち上げやがった。
藤也が恭しいしぐさで、片手に服をかけて、もう片方でドアを開ける。
確かに、ふわふわのドレスでも着たお姫様のエスコートならサマになるかもしれないけど、俺は今、三枚千円のトランクス一枚だ。
「やーめーろー! おーろーせぇえええ」
じたばたしようと試みて、体が痛いことを思い出す。そしてどうにも思うように動けない。仕方ないから叫んで抗議しても、がっしり俺を抱え上げた柊也は、そんなもん涼しい風で無視。
「暴れると隙間から中身見えるぞ?」
身をかがめた藤也にからかわれて、儚い抵抗とばかりによじったりしていた体が止まる。
止めてから気づく。
下から覗かれたくらいじゃ絶対見えないことに!
「こんなスカスカしたの履いてて落ち着くか? どっちか偏ったりしねぇ? お揃いの買ってやろうか?」
「い、や、だ! お前らが履いてるようなエロパンツ、高校生が履くかバカ! 着替えとかどうすんだよ!?」
そんな下着、同級生誰も履いてねぇ 部活の先輩だって履いてねぇよ!!
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