87 / 129
口は禍の元
俺の悲鳴も、伸ばした手も、届くはずもなく。
しおりを挟む「真琴?」
呼ぶ声と、額に張り付いた髪を剥がすように梳く手。
目を開けると、水の膜の向こうに柊也の顔。
あれ?
俯せてたはずの体は、クッション抱えたまま右側にコロンと転がってた。
「がんばりましたね、三十分経ちましたよ?」
へ?
なんかすごい優しい声音の柊也の言葉に、パチパチと瞬きしたら、涙がこぼれて視界がクリアになる。
終わったの?
……なんか、途中から意識なかったんだけど、まあいいか、終わったなら。
がっちり抱え込んでたクッションを、柊也が取ってくれる。
なんかもー くたくたで、自分の格好とか、あんまり考える余裕なくて、はーっとでっかい溜息ついて、終わったーって解放感で、両手広げてそのままころんって。
「くひゃぁんっ!」
尻尾、刺さってたんだった……
ヤバいヤバいヤバいヤバいッ!!
イかなかったの奇跡かもってくらい、びっくーんってなった!!
すぐさま押さえ込んで横向き。
変な声上げた俺を見て、双子が笑ってる気配。
「ほれ、抜いてやるからちょっと力抜けって」
「ひんあっ!!」
くんっと尻尾引っ張られて、また声が出た。って言うか藤也ッ! ちょっと待て、そのまま抜く気!? まだ動いてるんだけどッ!?
ずるずると、ゆっくり、動いてる部分が浅い所へ移動していく。
「やっ! とーやッ!! 止めッ!! まだ動ぃてッ やぁッ!!」
俺の悲鳴も、伸ばした手も、届くはずもなく。
お尻の縁、さほどの太さじゃなかったけど、普通きちんと閉じてるとこなのに、ずっと広げられてたところ。
縁の辺りって、中より敏感なんだ。そんなことわかりたくもないけどもう覚えてる。その場所を、更に広げるみたいに、うにうにうにって、動きながら、出てくから。
「ダメっ! そのまま抜いたらイっちゃ……やだああああぁぁッ!」
挿れられたぬるぬるしたのを、うにうにって、閉じきらない襞のところ、塗りたくるみたいにかすめられて。
直前一回押し上げられて、なだめ切れてなかったせいで、俺のは、なんつーか、気がゆるんじゃったってのもあるんだけど。
すげー簡単に、爆ぜちゃった。
うあああああああ。
手袋しててもわかる。手の中に、生温かいものが放たれたのが。それも、結構な量。
「アレ? イっちゃった?」
イっちゃった? じゃねぇよ!! 止めなかったの、絶対わざとだろッ! 挿れる時は止まってたんだからッ!!
「あー ごめんごめん。コレ、ちっちゃいボタン電池だし、もう電池切れってっかなーと」
ぜんっぜん、ごめんとか思ってない声で、藤也が謝ってる。
「涙目で睨むなよ。おにーちゃんの理性試してんの? お前」
くしゃくしゃと俺の髪をかき回して、藤也が嘯(うそぶ)く。
折角、せっかく、せっかく!! ガマンしたのにッ! イヤ途中から意識手放してたけど、それでもがんばってたのに!!!!
どうしよう、イっちゃった……
11
あなたにおすすめの小説
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる