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1 恋の始まりなど、いつだって気づかぬもので。
さらに畳みかけるのが基本。
しおりを挟む「あ、笑ったな」
「ごめんなさい」
咄嗟に謝ったけれど、前を見たままの佐藤君も笑っているので、気分を害したわけじゃないらしい。
「それに比べたら佐藤君くらい軽い軽い。でも俺ってそんなに若く見える? って言うか、いくつに見える?」
うわぁ ありがちのパターンで返されてしまった。私、イケメン指数が分からないのと同時に、人の年齢当てるのも苦手なんだけどな。
「えーっと。二十五くらい、ですか?」
妥当かなってラインで。本当はもっと若いのかなと思いながら。でも五歳の甥姪がいるってことは……お姉さんと年が離れてるのかな。
「残念。実は三十三才です」
「えええええっ!? ウソッ!?」
見えない、それこそ見えない。どう見ても、佐藤君はいつも年上にみられる私より若そうなのにッ! って言うか、私一回り以上違う人を今日まで心の中だけとはいえ君付けで呼んでたのかッ!
「さらに残念なお知らせだけど本当。免許証見る?」
いえ、別にそこまでは。
「そうそう、さっき出てきた大峰さん。彼、いくつに見える? きっとみんな四十代だと思ってるだろうけど、あの人実は俺より二つ年上なだけ」
「……」
もう当分、自分の感覚が信じられないかもしれない。ガックリうなだれていると、佐藤君が宥めるような口調で続ける。
「そうだねぇ 若く見られるって、男だと貫禄がないとか、そういう方にも取る人もいるし。俺は努力して若作りしてるタイプだから、驚いてもらえて本望だけどね。俺も一月生まれの早生まれ。しかし、そうするともしかしなくても俺と街宮さんは同じ干支か」
そういうことになりますね。
「なんか、すみません」
「何が?」
「大げさに驚いて」
「いやいや。その辺りはお互い様ってことで。でもどうしても街宮さんが申し訳ないからお詫びがしたいって言うんなら、一つお願いがあるんだけど」
目の前の交差点の信号が赤色で、車が右折レーンに入って緩やかに減速する。車が止まって、佐藤君が何か企んでるような顔をして、ハンドルに腕をかけて体を預け、こっちを見ている。
「な、なんでしょうか」
申し訳ないとは思ったけど、別にお詫びまでは考えてもいなかったんだけど。っていうか、佐藤君さっきお互い様って言わなかった?
「街宮さん今週金曜の夜とか、暇?」
は?
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