雲間の眼

中野ぼの

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6 眼下の世界で

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 僕たちにまず必要なのは答え合わせだった。
 二人の心の中身をすり合わせていかなければ、立ちはだかる『浮気』という罪の明確な輪郭を組み立てることができない。そう、罪。サイコパスじゃないんだから、指摘されるまでもなくそれが罪であり悪であるなんてことはわかっている。それでも僕らはあの日手をつなぎ、蜂蜜の垂れ込む密室に入り、お互いの「好き」を確認し合った。口の中で絡ませ合って、何度も飲み込んだ。でも全然時間が足りなかった。すずの浮気と僕の浮気、これからどうしていくかを考えるには、まずこれまでを振り返る必要があった。
 あの日昼過ぎに帰ってきてから、いろんなことをすずと話した。

『ぼーっとして電車乗り過ごしました……笑 わたし支障出まくってるなあ』
『気を付けて~。もうオール明けってレベルじゃない時間だしね。さすがに眠いね』
『はーい。なんかあっという間だったなぁ』
『ほんとに。もっと一緒にいたかったね』
『あー! 思い出すと色々恥ずかしい……』
『それにしても、昔からすずがそんなに想ってくれてたなんてな。今日一番それがうれしかったよ。うーん、バイトのときにもっと早く僕がキメてれば!』
『それはあかんですっ。でも……そうだなぁ、同じ職場じゃないからこそ、なんだろうなぁ』
『そうだね。離れているからこそ』
『ね』
『いま話題のダブル不倫がこちら!(笑)』
『うっ!』
『なんか未だに現実味がないけども。気を楽に持とう。僕もはじめての経験だから戸惑ってるけど、二人で支え合って乗り越えような。着地点すらわからないけど』
『着地点! 本当だ~ふわふわっ!』

 すずが最初から僕を想っていたこと。僕もきっと同じだったこと。二人で過ごした時間に刻まれた気持ちの答え合わせをした。髪切ってきた時すごい可愛い可愛い言われてめっちゃ照れました、うーんやっぱり惚れてなかったらそこまで言わないしこんなにもずっと覚えてないよなあ、卒業の時の手紙もですよ本当びっくりした、ねっ普通手紙なんか書かないだろしかも便箋三枚に及ぶ超大作、えへ実は今でもたまに読み返したりしちゃいます、そういえば飲み屋出た後の駅ですず何か言いかけたよねきっと大事な台詞、ううっそれは……、きっと「たまにういさんに甘えそうになって困る」でしょ? ……黙秘権を行使します! ああ的中しちゃったね。
 過去のすずの仕草、僕の仕草、ひとつひとつに赤ペンでマルをつけていく。それは罪の正当化じみた行為かもしれないが、それでも浮気が濾過されていく感覚があった。二人の愛情は間違いなく劣情ではなかったということ。過ちを恐れるのではなく、実現不可能なものと無意識に決めつけて気持ちに蓋をしていたこと。僕らは同じだということが話せば話すほどわかった。赤マルがどんどん増えていく。僕たちは勢いで繋がってしまったわけじゃない、ひそかに培ってきた愛情がずっとあった、それがなにより嬉しかった。嬉しいと同時に、大変な試練であることもわかった。一度の過ちで終わるような関係にはなり得ないのならば、すずの言うように、着地点がふわふわしているのだ。

『いま無事家着きました。当たり前だけど、彼が家にいなくてすごくホッとした笑』
『おかえり。すず、今のうちに平常心、だよ! 彼氏が帰ってきてもあわあわしないように! ちゃんとカラオケオールの土産話ねつ造するんだよ』
『は、はい。平常心平常心! ういさんこそ、マヤさん大丈夫ですか?』
『うん。こっちは夜勤明けだし、帰ってきたら爆睡してた』
『マヤさん夜勤か……お疲れ様ですです。うう、やっぱり罪悪感』
『今考えるのはよそうね、それ。僕もひとまず何も考えないでとりあえず寝る。マヤと同じベッドで寝るけど、すずちゃん嫉妬してくれるのかな?』
『しっ、ません!』

 やり取りの最後はなるべく笑いでピリオドを打つよう努めた。すずの罪悪感なんて、伝え合わなくても浮き出るくらい明らかだけれど、文字にされると僕までその言葉の迫力に息が詰まった。着地点がふわふわしている一番の元凶。二人とも長年付き合っている彼氏彼女がいて、同じ屋根の下で寝食を共にしているまぎれもないこのリアル。どっちか片方だけならまだ良かったのか、そうでないのか、今はそんなこと考えられないが、僕とすずの『これから』を思い描く時に何よりも重たくグロテスクな色彩で絵の具をぶちまけてくるのがこの現実だ。
 それでも少し安心したのは、すずが彼氏の棚田に対して深刻な罪悪感を抱いていない点だった。彼との関係が冷え切っているというわけではなさそうなので、単純に小さな不満が積み重なっているがゆえなのだろう。突然彼が同僚の女の子を家に連れてきた時もそうだったが、すずは時折彼氏への愚痴を漏らしていた。なにしろ六年間も一緒にいるのだ。互いに聖人君子ならばともかく、好きな部分以上に嫌いな部分が見えてくるのが必然だ。彼氏という、明確な比較対象があったからこそ、すずは少しずつ僕に惹かれていってくれたのだろう。その部分も僕は彼女と同じだと思うのだ。
 ただ彼女はマヤに対して強い罪悪感を覚えているようだった。彼女がそんな態度をにおわせる度、「マヤのことは気にしないで」「マヤはたぶん僕のこともうあんま好きじゃないと思うし、よくケンカもするし」「マヤだって他の男とよく連絡取ってるっぽいし」そんな言葉で宥めたが、彼女にとってマヤの眼は空の眼でもあるようだった。すずはマヤの視線におびえていた。あの結婚式の時もそうだった。すずと朝まで過ごした日の週末、元バイト先の後輩の結婚式があり、僕とすずもマヤも披露宴から出席した。結婚とは、純愛の終点、そして純愛のスタート地点。そうだろう。この結婚式の華やかな空気に浸されること自体、浮気を犯したばかりの僕とすずにはきっとそれぞれ思うところがあるに違いない上、席の関係上僕とマヤはずっと一緒にいた。僕は普段のキャラクターを存分に活かしていつもどおりすずに絡み、後輩たちからもいつもどおりからかわれ、すずもその時は楽しそうに笑っていた。けれど二次会が終わり、パーティがお開きになった際、一人そそくさと帰っていくすずがいた。僕の腕はほろ酔いのマヤにがっちり掴まれており、その小さな背中を追いかけることはできなかった。電車に乗り、はしゃぎ疲れたマヤが隣で完全に眠ったところで、すずにメッセージを送った。

『すず、どうかした? すぐ帰っちゃったよね』
『いえ、どうもしてませんよ。あのままあそこにいたら、三次会誘われそうだったので』
『そう。いや、ごめん。もうちょっと気遣うべきだった』
『いやいや、ういさん謝ることないです。ただ、なんか寂しくなっちゃって。これからういさんはマヤさんと一緒に帰るんだろうなって思って、邪魔しちゃいけないから。マヤさんと眼が合う前に帰りたかったんです。今は元気だよ。だいじょうぶ』

 すずは滅多に感情的にならないし僕のように露骨な愛情表現をすることも少ないから、こうして稀に彼女の想いが直に伝わると胸がえぐれた。空の眼の視線におびえるすずの小さな姿がいつも瞼の裏にあった。
 こんなふうにすずの心配ばかりする僕は、つまり当然マヤにおびえるということはなかった。すずと違って相手の伴侶におびえるということもなかった。こういう僕を、僕はよく知っていた。かつて修学旅行をサボった僕と同じだ。目の前に見えるスムーズな未来だけが僕にとって大切で、そこに繋がらない、面倒な現在や遠い未来はただひたすらに面倒な障害でしかなかった。
 空の眼に見られていたあの日、確かに僕はなにか巨大な不安を背負った。罪とか、悪とか、たぶんそういう類のものだったろう。ただしあくまでそれらは僕にとって空の眼同様抽象的な概念でしかなかった。見ているから、なんだ。視線を感じるからって、どうした。そんなことよりもすずと一つになれてこれから愛し合える毎日が嬉しくて幸せでたまらない。だから家に帰って、昨晩の口喧嘩をマヤに適当に謝って無難に仲直りを済ませた僕は、適当で無難なマヤとの現実を好んだ。すずが好きだからといって別にマヤを嫌いになるわけではないしいきなり別れるなんてこともない。簡単に仲を引き裂けるほど拙い関係でもない。僕にとってそれは面倒な未来だった。マヤと別れ話して、家を引き払って、親にも事情話して、引っ越し先を決めて、ああ面倒だ面倒だ。そんなことよりもすずとの毎日を今は楽しもう。そんな僕のことを空の眼は毎日見下ろしていた。視線を、僕は免罪符に利用した。かみさまに背いてることくらいわかってるよ、なにも感じないほど脳みそ狂っちゃいないよ、だからまだまともな方だろう僕なんて。空の眼は頭おかしい猟奇殺人者候補でも見張っておいてくれよ。
 同じようで違う僕とすずの立場も、僕をそんなふうにさせる一因であったと思う。確かに二人とも別の人と同棲しているが、僕は棚田の顔も知らないのにすずはマヤのことをよく知っているというのは大きな違いだった。すずにとってマヤはバイト先の元先輩でお世話になった人だ。分け隔てない性格のマヤは当然すずとの絡みも少なくなかったと思う。そんな彼女を自分は最悪の手段で裏切っているという事実は重くのしかかるものであるに違いない。僕も、もしすずの彼氏と深い知り合いだったのなら、彼に申し訳ないなどと思ったりしたのだろうか。せめてそう信じたい。が、浮気を先に進めることしか考えられない今の僕には、想像もできないことだ。

 七月が過ぎて、八月になるまでの間、結婚式を抜きにすればすずとは一回しか会わなかった。僕も新しい仕事が始まり社会人として働きだしていたし、すずも週五でバイトを続けており、特に休みを合わせていない二人の時間はなかなか噛み合わなかった。それに加えてお互いの家の中にいる〝監視〟の存在もある。大学の友達と遊ぶとか実家に帰るとか、同じ言い訳を多用するのは賢いことではなく、浮気を疑われる要因になる。たとえ会う時間がたくさんあったとしても、毎週のように会うというわけにはいかないだろう。言い訳したり、嘘が増えたり、それでも会える機会は少なかったり、ありがちな浮気をしているなと思った。いや、浮気自体がどこにでもあるようなありがちなものなのか。でもまさか、自分が張本人になるなんて思ってもみなかった。
 できれば会いたいという願望に関して、僕とすずの意志は合致しているようだった。僕はすずを気遣う心が邪魔して、すずは罪悪感が邪魔して、互いに〝次に会う日〟を具体的に決めることをためらっていたが、毎日のやり取りの中で彼女は節々に「会いたいなぁ」という意志をちりばめた。僕はそれを慎重に汲み取り、じゃれあうようなメッセージの狭間で、僕から誘って僕が会う日を決めて僕がデートプランも決めた。すべて僕から発信していく必要があった。良い子は浮気なんてしないよ、と彼女は寂しそうに言ったが、僕にとって彼女は繊細で純粋な良い子のままだった。良い子だからこそ浮気という明白な背徳行為に心病む。空の眼の視線が重たいと言う。それならば空の眼なんて見て見ぬふりできる僕が率先して僕らの浮気を育てていくのが筋だ。
 浮気をやめる選択肢ははじめから無かった。簡単にやめられるくらいの薄っぺらい浮気なら、僕もすずも最初から始めてもいないしこんなに悩んだりもしていない。成るべくして成ったのだ。既に完成してる真っ白のジグソーパズルに、サインペンでハートマークを描いてからばらばらに崩す。組み立て方はもうわからないから、失くさないようにとりあえずピースを一か所に寄せ集める。それが僕たちだ。
 僕たちの初めてのデートらしいデートは、動物園だった。すずが行きたいと言ったのだ。最初に二人で行ったのが映画館で次が動物園だなんて高校生カップルかよって、二人して笑った。その間にラブホ挟んじゃってるけどね。そう皮肉を入れるとすずはやめてよーって背中を小突いた。この日、彼女は終始笑顔だった。汗ばむような暑さで雲一つない青空だったけれど、彼女が空の眼を気にする様子はなかった。正午に上野駅で待ち合わせして、手をつないで動物園を巡った。

「すず、ここで写真撮ってあげる」

 ゴリラの展示の近くにあった石造りのベンチを指差し、そこにすずを座らせた。ベンチの上にはゴリラの銅像が横向きに座っていて、彼女はそのゴリラと同じポーズを撮って僕のスマホに収まった。

「あ、めっちゃいい写真。すずのショートパンツが可愛くてエロくて可愛い」
「うるさーい。消せ消せっ。マヤさんに見られるよー」
「そんなことにならないように、秘密の写真保存アプリを導入してみた。ほらこれ、電卓アプリに偽装されてるんだけど、特定の数字入れると画像フォルダに化けるんだよ」
「うわなにこれコワイ。こんなの、浮気してる人専用アプリじゃん!」
「世の中は僕らの味方ってことだね」
「浮気なんて珍しくないのかぁ……」
「そういうことだね。みんな、一番好きな人が一番好きなだけだよ」
「もう。すぐ一番好きって言う」
「一番じゃなかったら浮気なんてしてないもの」
「そうなのかなー。ねえ、ういさんもそこ座って。撮ってあげます」
「お、偽装アプリ落とす気満々だね」

 撮った写真をそれぞれ送り合い、僕はすずを撮った写真をスマホの壁紙にした。すずと一緒にいる時だけはこの壁紙にしよう。スマホそのままの状態でお家帰らないようにしてくださいねっ、と言いながら彼女も嬉しそうにしていた。
 その日の夜は、予約しておいた居酒屋で食事をした。動物園から歩いて数分ほどの場所で、これまで僕がすずのために用意してきた大衆居酒屋とは違い、プラネタリウムを個室に拵えたカップルシートを惜しげもなく予約した。座敷タイプで、部屋一面の大きな窓からは不忍池が黒く静かに広がっているのが見えた。すずは天井の星の粒を見上げて「わー」と言い、窓からの眺めを見てまた「わー」と言い、僕が向かい側じゃなくて隣に座ったらやっぱり「わー」と言った。
 不忍池に空の眼が反射して、僕たちの部屋をゆらゆら見ている。僕はあえてそれをすずに伝えた。僕は、もしかしたらすずも、この瞬間をただのデートだと思い込みたくなかった。浮気なんてことは忘れてふつうのカップルみたいに、などとは思わず、むしろこの秘密だらけのスキャンダルに浸りたいとすら思っていた。トンボを英語にするとドラゴンフライと訳すように、僕たちのこの時間も辞書に載ってそうな言葉で、でも大げさに訳してほしかった。

「ういさん、新しいお仕事はどうですか?」
「ん、まだまだこれからだね。一ヶ月はみっちり座学だから。Linuxっていう、基礎中の基礎のプログラムから学んでるんだけど。やっぱり文系には馴染み薄い」
「わたしも大学で情報の授業は取ってなかったからなぁ。すごいすごい。頑張ってるんですね」
「すずの方も、夏休みシーズンだから仕事忙しいんじゃない? 新人もたくさん入ってきたって言ってたよね。すずが研修してんでしょ? いやーすずも立派になった。すっかりお店の中心人物だね」
「全然だよー。もう大変。マニュアル色々変わっちゃって、研修資料も作り変えなきゃで」
「相変わらず社員がやるべきことをバイトにやらせんだなあ」
「ほんとです。でも来週有給使って五連休だから別にいいんだー。えへ、連休が控えてるってだけで今たいへんでも頑張れる単純人間!」
「ああ……言ってたね。彼氏と沖縄旅行だよね」
「う。まあ。うん。そうです」

 すずは目を泳がせた。うそっぽく不機嫌な声を出したつもりだったが、もしかしたら思った以上に本音の音色だったかもしれない。

「いつから?」
「来週……。八月四日から」
「何泊?」
「二泊三日……ねえういさん、それ全部前も話したよ!」

 すずは隣に座る僕の肩を、困ったようにぺちぺち叩いて苦笑した。僕はその手を捕まえて焼酎を一気飲みする。

「旅行、楽しみ?」
「た……のしみです。ふんだっ、わるい?」

 手を握り返し、すずは指を一本一本絡めてきた。僕のご機嫌を取ろうとしてくれてるな。

「まあ、彼氏との時間も大事だからね。いいんじゃない?」
「あ、棒読み」
「そんなことないよ。前も言ったけど、その三日間は一切連絡取らないようにするからね。すずの旅行の邪魔をしたくはないから」
「うーん、別に邪魔じゃないのに。でももし連絡しなかったら、六月から毎日ずっと続いてたのが途絶えるね」
「仕方ないよ。彼氏との大切な時間に、僕がメッセ送ったりしてそれ見たら、すずのことだから彼に罪悪感覚えちゃって折角の旅行台無しになっちゃうでしょ。旅行中は浮気は忘れること。嫉妬はもちろんするよ? でもそれ以上にすずが楽しめないのは嫌」
「ありがとです。ういさんやっぱり優しい」
「でしょ? 一番好きだよね?」

 けたけた言いながら、不意打ちで唇を奪う。すずは呻き、一瞬だけ両手で抵抗しかけるが、焼酎くさい舌を差し込むとすぐにされるがままになった。酔うようにすずも激しく舌を絡めてきた。
 ざまあみろ、棚田。お前との旅行の話してる最中に、見知らぬ男がお前の彼女の唇奪ってるぞ。来週からの三日間、すずはお前だけのものだけど、今は完全に僕だけのものだから。
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