奇跡と言う名のフォトグラファー

青木 森

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続章_22

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 ヒカリは笑い出したいのを堪えながら、ハヤテを見つめ、
「そうなんだよねぇ。カメラに限らず、道具は人次第で良くも悪くもなるから、道具のせいにしちゃ道具が可哀想だもんねぇ~、ハーくん」
(ヒカリめぇ~、絶対面白がってるだろぅ~~~)
 恨めしく思いながらも、照れて赤面した顔を見せたくないハヤテは、女子三人に背を向けたまま、
「あぁ。物達は、単に自分達の生まれた意味に「忠実」なだけだ」
 するとサクラがハッと何か思いつき、
「そうだ、ハヤテくん! 会長さん達の事を、文房具のみんなに聞いて」
 言いかけ、ツバサの視線に慌てて口をつぐんだ。
(し、しまった! ツバサちゃんが一緒だったの忘れてたぁ! どうしよう! 慌てて黙ちゃって余計に怪しまれちゃう!)
 服の下に冷たい汗をかくサクラであったが、ツバサはケロリ。
「大丈夫ですよ、サクラさん。私も、ハヤテ君の能力の事は知ってますからぁ」
 ニコリと微笑むツバサ達に、ホッと胸を撫で下ろすサクラであったが、
「……そう言えば、どうして私だけ「さん」付けなの?」
「え?」
 ツバサは意識していなかったのか、キョトンとした顔して、しばし黙考すると、
「いやぁ~何となく? サクラさんは「サクラさん」って感じなんで」
「えぇ!? どの辺が!?」
 驚いた顔をすると、ヒカリがイタズラっぽく笑いながら、
「ボクも何となく分かる気がする! ボクも今日から「サクラさん」て呼ぼうかなぁ~」
「ヒカリちゃんまでぇ!?」
「アハハハハハハ。冗談だよ、冗談」
「私はいたって本気ですよぉ。あっ! でも、サクラさんが嫌なら直しまぁす!」
「う、ううん、違うのぉ! 私、「さん」付けで呼ばれるほど、しっかりしてないから……でも……そう言うのも、何か友達同士の愛称っぽくて……」
(ともだち……?)
 自身の中で「友達」と言う言葉の意味を反芻したサクラは、一方的な決めつけである事に気付いてハッと我に返り、
「ご、ゴメンナサイ! 私ってば勝手に「友達」なんてぇ!」
(私ってば調子乗って、つい!)
 猛省し、慌てて頭を下げると、
「サクラちゃん」
「サクラさん」
「え……?」
 サクラは優しい声の色と共に、いきなり二人に抱き付かれた。
「ボクは、もうとっくに、そのつもりでいたんだけどなぁ~。サクラちゃんは違うの?」
「私もです。私は大切に想う友達意外にこんな事をする様な、尻軽女じゃないですよぉ」
 サクラは濁りのない二人の温かな声の色に包まれ、目元にうっすら涙を浮かべ、
(みんなに会えて良かった……)
「ありがとう……」
 微笑みながら、ヒカリとツバサを抱き締めた。
 固い絆で結ばれて行く三人の少女を、背を向けたまま、小さな笑みを浮かべて見守るハヤテ。

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