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続章_48
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ミズホのケガによる混乱から数日経った朝―――
学校の正門が見える所まで来たハヤテ、ヒカリ、サクラは何かを目撃し、呆然と立ち尽くした。
三人の視線の先、そこではおびただしい数のマスコミが正門を中心に集まり、登校中の生徒達を相手に、片っ端からインタビュー攻めにしていた。
校舎から血相を変えて飛び出して来た教員達は、
「生徒達に何をしているかーーーーーー!」
「止めて下さーーーーーーい!」
「止めないかぁーーーーーー!」
正門前は生徒と生徒にインタビューしようとするマスコミ、そしてインタビューを止めさせようとする教師が入り乱れる、混沌地帯と化した。
「なんだよコレ……」
ハヤテ達三人が唖然とする中、当然様にマスコミの矛先は彼等にも向けられ、数人の記者がボイスレコーダーを手に駆け付け、
「君達、君達ィ! 生徒会会長の「豊葦原ミズホ」を知っているよね!」
両目を爛々とさせる男達。
(見ず知らずの相手を呼び捨てかよ)
ハヤテは不快感を滲ませつつ、ヒカリとサクラを庇う様に背後に下げ、
「これは何の騒ぎですか?」
すると記者の一人が「そんな事も知らないのか」と言わんばかりの呆れ顔で、
「豊葦原グループの裏帳簿がリークされて、警察沙汰になったんだよ?」
「「「!」」」
「創業者一族に話を聞こうと思ったんだけど、行方をくらませて見つからないのさ!」
記者達は知らなそうなハヤテ達に見切りを付けたのか、新たに登校して来た生徒を見つけるや否や走り去っていた。
「ハーくん……」
不安気な表情で見つめるヒカリに、ハヤテは頷き、
「分かってる。嫌な気配はするけど、俺達には関係ない話だ」
「ハヤテくん、ヒカリちゃん、それってどう言う意味?」
二人は顔を見合わせ、サクラに話しても良いかお互いの認識確認し合うと、
「俺とヒカリは、今まで何度も大人の事情ってヤツに巻き込まれて来たんだ。だから分かる。これは裏帳簿だけの話しじゃない。全ては裏で繋がり、何か良くない事が起きようとしてる……」
硬い表情を見せるハヤテに思わず固唾を飲むサクラであったが、サクラの緊張に気付いたハヤテは急にパッと表情を緩め、
「大丈夫だよ、サクラ。さっきも言った通り、俺達には関係ない話だ」
ハヤテの言葉の色にはウソはなかった。
少し安堵したサクラはハヤテとヒカリに笑顔を返したが、目の前で繰り広げられている狂騒に、微かな不安を拭えずにいた。
この日を皮切りにテレビ、新聞、週刊誌にと、ミズホの実家のスキャンダルは連日報道され、また芋づる式に新たなスキャンダルが発覚した事で、騒ぎは一向に収まる気配を見せず、国会ではスキャンダルに関わったとされる国会議員達の証人喚問が行われる事態にまで発展して行った。
そして事件以来、ミズホとハヤトの姉弟が登校する事はなかった。
学校の正門が見える所まで来たハヤテ、ヒカリ、サクラは何かを目撃し、呆然と立ち尽くした。
三人の視線の先、そこではおびただしい数のマスコミが正門を中心に集まり、登校中の生徒達を相手に、片っ端からインタビュー攻めにしていた。
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「止めて下さーーーーーーい!」
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両目を爛々とさせる男達。
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ハヤテは不快感を滲ませつつ、ヒカリとサクラを庇う様に背後に下げ、
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「「「!」」」
「創業者一族に話を聞こうと思ったんだけど、行方をくらませて見つからないのさ!」
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「ハーくん……」
不安気な表情で見つめるヒカリに、ハヤテは頷き、
「分かってる。嫌な気配はするけど、俺達には関係ない話だ」
「ハヤテくん、ヒカリちゃん、それってどう言う意味?」
二人は顔を見合わせ、サクラに話しても良いかお互いの認識確認し合うと、
「俺とヒカリは、今まで何度も大人の事情ってヤツに巻き込まれて来たんだ。だから分かる。これは裏帳簿だけの話しじゃない。全ては裏で繋がり、何か良くない事が起きようとしてる……」
硬い表情を見せるハヤテに思わず固唾を飲むサクラであったが、サクラの緊張に気付いたハヤテは急にパッと表情を緩め、
「大丈夫だよ、サクラ。さっきも言った通り、俺達には関係ない話だ」
ハヤテの言葉の色にはウソはなかった。
少し安堵したサクラはハヤテとヒカリに笑顔を返したが、目の前で繰り広げられている狂騒に、微かな不安を拭えずにいた。
この日を皮切りにテレビ、新聞、週刊誌にと、ミズホの実家のスキャンダルは連日報道され、また芋づる式に新たなスキャンダルが発覚した事で、騒ぎは一向に収まる気配を見せず、国会ではスキャンダルに関わったとされる国会議員達の証人喚問が行われる事態にまで発展して行った。
そして事件以来、ミズホとハヤトの姉弟が登校する事はなかった。
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