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カノジョに元カレがいたってマジですか?!
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ラブホに入っても許される空気というものをカノジョと付き合い始めてから初めて感じた。だから俺はカノジョと腕を組んで渋谷のホテル街を歩いていた。結局のところエッチするしないって言葉にするもんじゃないって理解できた。隣を歩くカノジョは頬を少し赤く染めて恥ずかしそうに俯いている。だけどうっすらながら照れ笑いのような顔をしていた。俺はこれから童貞を卒業する。勿論彼女も初めてだから、頑張ってリードしなきゃいけない。そして俺たちはおしゃれな外観のホテルの入り口に吸い込まれていく…かに思えたんだ。そのはずだった。
「あれ?お前、ナギナか?」
「え?うそ?リリオ?」
ホテルの入り口の前でカップルと遭遇した。美男美女のカップルだった。その男の方が俺のカノジョのナギナの名を口にして驚いたような顔をしていた。そしてナギナは俺から手を放して両手で口元を覆っていた。ひどく驚いていた。いつも冷静でクールなナギナにしては珍しい顔だった。
「もしかしてリリオ君のお友達?」
リリオと呼ばれたイケメン君が彼女さんにそう尋ねられた。まあ二人は知り合いなのは間違いないだろう。俺が海外にいた頃に同中だったとか?あるいは塾とか。そんなことを想像していた。こんなところでそんな知り合いとばったり会ったらそりゃ驚くし気まずいだろう。だから次の瞬間に出てきた言葉に俺はとっさに反応できなかった。
「ナギナは元カノだ」
ん?元カノ…?元カノ?元カノ?…?…?
はぁ?元カノ?!いやいやいや!それはあり得ない。だってナギナは幼馴染で中学時代以外はずっと一緒に過ごしてきたんだ。小さいころに結婚の約束なんかもしちゃった俺の大切な幼馴染でありカノジョなのだ。
そんな彼女が、俺の大事な幼馴染が、俺の大好きなナギナが、
だ れ か の も と か の な わ け が な い
「おい、あんた」
「あ、はい!なんですか?!」
イケメン君に話しかけられてちょっとどもってしまった。リリオなるイケメン君は明らかに不機嫌そうな顔をしていた。
「あんたナギナの今カレだろ?見たとこ付き合いたてっぽいけど、悪いことは言わねー。そいつと付き合うのはマジでやめとけ。俺はマジで付き合ってた時散々な目にあったからな。まあ元カレから言われたってイラつくだけなのは同じ男だからわかるけど、マジでそいつやべぇよ。クッソ地雷女。爆発させて俺死ぬかと思ったかんね。マジで」
マジでこいつ何言ってんだ?俺のカノジョに元カレはいない。てかマジって何回も言いすぎじゃね?
「確かに面はいいし、スタイルもいいけど、ホントくそだった。束縛きついし、すぐに浮気疑ってくるし、そのくせ自分は男といつもラインしてるし、エッチした後でも他の男とずっとラインしてんだぞ。あー思い出したら腹立ってきたークッソマジではらつー舐められすぎだろ俺。ちっ!こんな女がはじめてのカノジョだったとかマジで黒歴史なんだけど!すこし注意するだけでぴえんぴえんしてくそうぜえし!ああ、あの頃の俺はなんでこんなバカ女のわがままに振り回されてたんだろう。ちっ!」
エッチした?いやこいつやべぇよ。俺のカノジョとエッチしたとか言ってんだけど?幼いころに結婚の約束したナギナがそんなことするはずないし。意味わかんない。
「ちょっと黙ってよリリオ!!」
ナギナが大声で叫んだ。カノジョの顔色は真っ青だった。そりゃよくわからない男にいきなり元カノ扱いされたらキレても無理はない。
「今のは全部嘘なのよ!こいつ私に好かれてるって思ってたちょっと可哀そうな勘違い野郎なの!こいつとは同じ中学に通ってただけだわ!信じて!」
だよね!って口にしたかったけど、作り話とはいえどもちょっとショックを受けたので、返事ができなかった。
「あっ?!お前何しらばっくれてんの?つーか何?俺のこと黒歴史扱い?ウケる!清楚系ぶりやがって!オレお前にされたひどいこと全部覚えてるからな!ツーか証拠もちゃんと残してんだよ!」
そう言ってイケメン君はラインの画面を俺に見せてきた。そこには裸のまま唇を絡めあうこの男とナギナの写真が写っていた。
「きゃ?!なんで?!消しなさい!!」
「あ?てめーがラインで送ってきた写真だろうが。彼氏さんこいつまじで変態だから!エッチの時には写真撮りたがるし、エロ自撮りも送ってくるし。つーかそれでオナれとか言ってくるくそ変態だから。最初は嬉しいかも知んねーけど、だんだん怖くなってくんだよまじで。はぁ…」
イケメン君は心底疲れたような顔でそう言った。そして俺に向かって優し気に労わる様に。
「まあこいつとは絶対にやめた方がいい。マジで立ち直れなくなるくらい傷つくから。そうだ!今度合コンとかどう?そんなマジくそゲロカスクズ地雷女なんかすぐに忘れられるような素敵な子を紹介するからさ!」
「リリオ!!あなたいい加減にしなさい!!私は!私は!ちゃんとあなたのカノジョをやってたわ!!!なんでそんな地雷とか変態とか!酷いこと言うのよ!?」
ナギナの言葉で頭が真っ白になった。カノジョをやってた。誰でもない。俺の知らない男ではなく、俺のよく知るカノジョがそう言ったのだ。
「あっ?!ち、違う!今のは違うの!!」
俺のカノジョがひどく狼狽していた。おろおろと瞳を泳がせて。
「違うの!全部誤解だから!これはあれなの!そう!悪ふざけ!リリオはそういうやつなの!」
「オレは下らねー嘘はつかねーよ。くそ地雷ビッチ」
「ビッチじゃない!!私はあなたとしかしたことない!!」
「え?意外…でもねーか。お前って別れても半年は俺のことストーカーしてたもんな。マジで一途だわ。ほんとくそ」
「ストーカーなんてしてない!!別れ話がこじれただけでしょ!!」
「その認識がびっちそのものだわ。ありえねー」
さっきからいろんな情報が俺の脳みそをぶん殴っていた。そしてたぶん俺はその時はっきりと壊れていたような気がする。だって俺は彼女が一番好きであり続けたけど、カノジョは俺をずっと一番に思っていたわけじゃないって知ってしまったから。目の前の男がカノジョが人生で一番好きになった男なんだ。だから俺はきっとバグっていたと思う。
「やめて!謝りなさい!私はビッチじゃない!!地雷でもない!ちゃんと優しくしてた!」
「お前がやってたのはエゴの押し付けだろうが!!」
ナギナがリリオを猫のように殴りだした。初めて見たいつもクールで冷静でかっこいいカノジョがこんなに感情をむき出しにするのを。だからわかってしまった。二人はちゃんと恋愛していたんだって。
「ちょっと!二人ともやめてよ!!喧嘩はダメだって!!もう別れたんだからそれでいいじゃん!ねぇってば!!」
リリオの今カノさんは二人を必死になだめようとしていた。だけどリリオとナギナの怒鳴り合いはどんどんヒートアップしていく。
「いつも靴下放り出しててむかついた!」「おめぇはいつもデートに遅刻してきた!」「弁当残されて悲しかった!」「いつも上げ足ばかり取ってくんのホント無理!」「もっと前戯長くしてほしかった!」「だったらてめーはエッチの後にすぐにラインすんのやめろや!」「ずっと好きでいてくれるって嘘ついた!」「お前はちゃんとまともに愛してくれなかった!お前に誰かを好きになる資格なんかねぇよ!初めての彼氏も大事にできなかったくせに!!」「っ!!」
そして激高したナギナはリリオを思い切り突き飛ばした。その時だ。キーっというバイクのブレーキ音が響いてきた。リリオが倒れているところにバイクが迫ってきてた。だから俺はとっさに体を動かしてしまった。彼を助けなきゃいけないと思った。だって彼は俺が一番大好きな人が一番好きだった人なんだから…。そして俺はリリオの上に覆いかぶさりリリオの代わりにバイクにひかれた。めきめきと体に衝撃が響いた。その瞬間、俺もうだめだなって理解した。俺を轢いたバイクは倒れて道路を滑っていき電柱にぶつかって止まった。だけどライダーは無事なようでフラフラと立ち上がって、そのままどこかへと走っていた。
「おい!あんた!おい!おい!大丈夫か!おい!」
リリオは倒れた俺の肩を必死に揺さぶっている。ケガはあるけど大丈夫そう。
「いやぁあああああああああああああ!!イブキ!いやぁあああああああああああああああああああ!!あああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
ナギナはボロボロと泣き叫んでいる。泣いてるってことはそこそこは愛されてたかな?
「まずいよこれ!救急車!救急車!早く来て!」
今カノさんはスマホで救急車を呼んでいる。そしてふっと俺の視界にキラキラと輝く光が見えた。それは何かの液体が入った瓶のようだ。そしてそれはリリオの後頭部にぶつかり割れた。そして割れた瓶から飛び散った液体の多くはリリオが被ってしまい。俺もいくらかの量を被った。
「ふぎゃ?!痛ってぇええええ!なんだ?!なんだよこれ?!ぐあああああああああああああああああああああ!!!」
変な液体を被ったリリオはのたうち回って苦しんでいる。俺もまた傷から液体が染みてすごく痛かった。だけどすぐに痛みはひいていった。そして意識も遠のいていく。そして俺の意識はそこで途切れてしまった。
目を開けたとき見えたのは、知らない女の子の顔だった。とても綺麗な顔をしている。
「起きた?!目を覚ました?!やった!!よかったぁ!よかったぁ!!本当によかったぁ!!!」
女の子は俺の首元に抱きつきわんわんと泣いている。
「知らない天井じゃなくて知らない女の子…?」
ついでによく周りを見渡すと近くにヘルメットをかぶった救急士さんがいた。なんか信じられないものを見るかのような顔をしている。それにサイレンの音が聞こえた。どうやらここは救急車の中のようだ。
「おいおいおい。オレが女の子?やっぱり頭を打ったのが響いてるのか。でも目を覚ましたんならきっと大丈夫だよな」
メッチャ大丈夫な気がした。体がちっとも痛くない。俺は寝ていた担架から上半身を起こした。女の子は長い袖で涙をぬぐって優し気に笑ってくれた。
「君…うそだろ?!内臓ははみ出てたし骨は全部砕けてたのに起き上がれるのか?!」
「ええ?別にちっとも痛くないんですけど…処置がよかったんですか?」
「処置どころの話じゃなかったよ!!そっちの女の子もケガわりとひどかったけどもう治ってる!君たちどうなってんの?!」
なんか奇跡が起きてんのか知らんけど、ケガは治ってしまったらしい。心当たりはあった。あの輝く謎の液体のせいだろうか?
「しかしお前無茶だぞ!だいたいオレはお前のカノジョの元カレだぞ!助ける義理なんてないだろう!」
「はい?お前が元カレ?何言ってんの?女の子が彼氏?それはないでしょ」
「おまえさっきからやっぱり変だぞ。オレが女に見えてんのはやばそうだな。やっぱりあの変な液体のせいかな?すぐに乾いちゃったけど、俺もさっきから胸元がやたらと重いし、声も変に高くなってるし」
胸が重い。たしかに目の前の綺麗な女の子のおっぱいはとても大きかった。というかさっきからこの子変だな。自分がまるで女の子じゃないみたいな言い方してる。ていうかだれこいつ?リリオはどうした?別の救急車か?
「リリオくんはぶじなんでしょうか?」
俺は救急士にそう尋ねる。
「おう!オレに大きなけがはないぞ!お前が庇ってくれたからな!わはは!」
救急士じゃなくて女の子が返事をした。
「リリオくん」
「なんだ?!」
「…………おいおいおいまさかまさかまさかぁあ?!」
女の子は可愛らしく首を傾げている。それで察した。こいつ自分のことに気がついてない。俺はポケットからコンパクトミラーを取り出して女の子の顔の前に翳した。
「うお?!やべぇ!誰この子?すげぇかわいいな!…あれ…これって…スマホの写真じゃなくて鏡?…写ってるの…オレぇえええええ?!!ふぁああああああああああああああああああああああああああ!!」
鏡を見ながら女の子は顔を撫で、さらには自分の胸を揉み、ズボン越しに股間に触れて。
「おっぱいがあって、あれがない、その上すごくかわいい…。なのにオレ?」
「嘘だろ…意味わかんねぇ…」
目の前の女の子はなんとリリオらしい。カノジョの元カレが美少女になっちゃいました!
続く!!
次回予告!
カノジョの元カレがTS美少女になってしまった!それよりも元カレのことを隠していたカノジョをしばき倒したい俺だったが、突然俺の家にカノジョの元カレ(とてもかわいい)が引っ越してきた!
可愛くなってしまったカノジョの元カレは女の子になって居辛くなった実家を飛び出して家出してきたのだ!
当然かくまう義理などないが、理解のある彼くんパワァに溢れたの誠実系童貞男子の俺はかわいい女の子を放っておくことはできず家に迎え入れてしまうのだった。
次回!「カノジョの元カレとドキドキ同棲!?」
カノジョの元カレはウザ可愛いさに刮目せよ!!
「あれ?お前、ナギナか?」
「え?うそ?リリオ?」
ホテルの入り口の前でカップルと遭遇した。美男美女のカップルだった。その男の方が俺のカノジョのナギナの名を口にして驚いたような顔をしていた。そしてナギナは俺から手を放して両手で口元を覆っていた。ひどく驚いていた。いつも冷静でクールなナギナにしては珍しい顔だった。
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ん?元カノ…?元カノ?元カノ?…?…?
はぁ?元カノ?!いやいやいや!それはあり得ない。だってナギナは幼馴染で中学時代以外はずっと一緒に過ごしてきたんだ。小さいころに結婚の約束なんかもしちゃった俺の大切な幼馴染でありカノジョなのだ。
そんな彼女が、俺の大事な幼馴染が、俺の大好きなナギナが、
だ れ か の も と か の な わ け が な い
「おい、あんた」
「あ、はい!なんですか?!」
イケメン君に話しかけられてちょっとどもってしまった。リリオなるイケメン君は明らかに不機嫌そうな顔をしていた。
「あんたナギナの今カレだろ?見たとこ付き合いたてっぽいけど、悪いことは言わねー。そいつと付き合うのはマジでやめとけ。俺はマジで付き合ってた時散々な目にあったからな。まあ元カレから言われたってイラつくだけなのは同じ男だからわかるけど、マジでそいつやべぇよ。クッソ地雷女。爆発させて俺死ぬかと思ったかんね。マジで」
マジでこいつ何言ってんだ?俺のカノジョに元カレはいない。てかマジって何回も言いすぎじゃね?
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エッチした?いやこいつやべぇよ。俺のカノジョとエッチしたとか言ってんだけど?幼いころに結婚の約束したナギナがそんなことするはずないし。意味わかんない。
「ちょっと黙ってよリリオ!!」
ナギナが大声で叫んだ。カノジョの顔色は真っ青だった。そりゃよくわからない男にいきなり元カノ扱いされたらキレても無理はない。
「今のは全部嘘なのよ!こいつ私に好かれてるって思ってたちょっと可哀そうな勘違い野郎なの!こいつとは同じ中学に通ってただけだわ!信じて!」
だよね!って口にしたかったけど、作り話とはいえどもちょっとショックを受けたので、返事ができなかった。
「あっ?!お前何しらばっくれてんの?つーか何?俺のこと黒歴史扱い?ウケる!清楚系ぶりやがって!オレお前にされたひどいこと全部覚えてるからな!ツーか証拠もちゃんと残してんだよ!」
そう言ってイケメン君はラインの画面を俺に見せてきた。そこには裸のまま唇を絡めあうこの男とナギナの写真が写っていた。
「きゃ?!なんで?!消しなさい!!」
「あ?てめーがラインで送ってきた写真だろうが。彼氏さんこいつまじで変態だから!エッチの時には写真撮りたがるし、エロ自撮りも送ってくるし。つーかそれでオナれとか言ってくるくそ変態だから。最初は嬉しいかも知んねーけど、だんだん怖くなってくんだよまじで。はぁ…」
イケメン君は心底疲れたような顔でそう言った。そして俺に向かって優し気に労わる様に。
「まあこいつとは絶対にやめた方がいい。マジで立ち直れなくなるくらい傷つくから。そうだ!今度合コンとかどう?そんなマジくそゲロカスクズ地雷女なんかすぐに忘れられるような素敵な子を紹介するからさ!」
「リリオ!!あなたいい加減にしなさい!!私は!私は!ちゃんとあなたのカノジョをやってたわ!!!なんでそんな地雷とか変態とか!酷いこと言うのよ!?」
ナギナの言葉で頭が真っ白になった。カノジョをやってた。誰でもない。俺の知らない男ではなく、俺のよく知るカノジョがそう言ったのだ。
「あっ?!ち、違う!今のは違うの!!」
俺のカノジョがひどく狼狽していた。おろおろと瞳を泳がせて。
「違うの!全部誤解だから!これはあれなの!そう!悪ふざけ!リリオはそういうやつなの!」
「オレは下らねー嘘はつかねーよ。くそ地雷ビッチ」
「ビッチじゃない!!私はあなたとしかしたことない!!」
「え?意外…でもねーか。お前って別れても半年は俺のことストーカーしてたもんな。マジで一途だわ。ほんとくそ」
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「その認識がびっちそのものだわ。ありえねー」
さっきからいろんな情報が俺の脳みそをぶん殴っていた。そしてたぶん俺はその時はっきりと壊れていたような気がする。だって俺は彼女が一番好きであり続けたけど、カノジョは俺をずっと一番に思っていたわけじゃないって知ってしまったから。目の前の男がカノジョが人生で一番好きになった男なんだ。だから俺はきっとバグっていたと思う。
「やめて!謝りなさい!私はビッチじゃない!!地雷でもない!ちゃんと優しくしてた!」
「お前がやってたのはエゴの押し付けだろうが!!」
ナギナがリリオを猫のように殴りだした。初めて見たいつもクールで冷静でかっこいいカノジョがこんなに感情をむき出しにするのを。だからわかってしまった。二人はちゃんと恋愛していたんだって。
「ちょっと!二人ともやめてよ!!喧嘩はダメだって!!もう別れたんだからそれでいいじゃん!ねぇってば!!」
リリオの今カノさんは二人を必死になだめようとしていた。だけどリリオとナギナの怒鳴り合いはどんどんヒートアップしていく。
「いつも靴下放り出しててむかついた!」「おめぇはいつもデートに遅刻してきた!」「弁当残されて悲しかった!」「いつも上げ足ばかり取ってくんのホント無理!」「もっと前戯長くしてほしかった!」「だったらてめーはエッチの後にすぐにラインすんのやめろや!」「ずっと好きでいてくれるって嘘ついた!」「お前はちゃんとまともに愛してくれなかった!お前に誰かを好きになる資格なんかねぇよ!初めての彼氏も大事にできなかったくせに!!」「っ!!」
そして激高したナギナはリリオを思い切り突き飛ばした。その時だ。キーっというバイクのブレーキ音が響いてきた。リリオが倒れているところにバイクが迫ってきてた。だから俺はとっさに体を動かしてしまった。彼を助けなきゃいけないと思った。だって彼は俺が一番大好きな人が一番好きだった人なんだから…。そして俺はリリオの上に覆いかぶさりリリオの代わりにバイクにひかれた。めきめきと体に衝撃が響いた。その瞬間、俺もうだめだなって理解した。俺を轢いたバイクは倒れて道路を滑っていき電柱にぶつかって止まった。だけどライダーは無事なようでフラフラと立ち上がって、そのままどこかへと走っていた。
「おい!あんた!おい!おい!大丈夫か!おい!」
リリオは倒れた俺の肩を必死に揺さぶっている。ケガはあるけど大丈夫そう。
「いやぁあああああああああああああ!!イブキ!いやぁあああああああああああああああああああ!!あああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
ナギナはボロボロと泣き叫んでいる。泣いてるってことはそこそこは愛されてたかな?
「まずいよこれ!救急車!救急車!早く来て!」
今カノさんはスマホで救急車を呼んでいる。そしてふっと俺の視界にキラキラと輝く光が見えた。それは何かの液体が入った瓶のようだ。そしてそれはリリオの後頭部にぶつかり割れた。そして割れた瓶から飛び散った液体の多くはリリオが被ってしまい。俺もいくらかの量を被った。
「ふぎゃ?!痛ってぇええええ!なんだ?!なんだよこれ?!ぐあああああああああああああああああああああ!!!」
変な液体を被ったリリオはのたうち回って苦しんでいる。俺もまた傷から液体が染みてすごく痛かった。だけどすぐに痛みはひいていった。そして意識も遠のいていく。そして俺の意識はそこで途切れてしまった。
目を開けたとき見えたのは、知らない女の子の顔だった。とても綺麗な顔をしている。
「起きた?!目を覚ました?!やった!!よかったぁ!よかったぁ!!本当によかったぁ!!!」
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「おいおいおい。オレが女の子?やっぱり頭を打ったのが響いてるのか。でも目を覚ましたんならきっと大丈夫だよな」
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「君…うそだろ?!内臓ははみ出てたし骨は全部砕けてたのに起き上がれるのか?!」
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「処置どころの話じゃなかったよ!!そっちの女の子もケガわりとひどかったけどもう治ってる!君たちどうなってんの?!」
なんか奇跡が起きてんのか知らんけど、ケガは治ってしまったらしい。心当たりはあった。あの輝く謎の液体のせいだろうか?
「しかしお前無茶だぞ!だいたいオレはお前のカノジョの元カレだぞ!助ける義理なんてないだろう!」
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胸が重い。たしかに目の前の綺麗な女の子のおっぱいはとても大きかった。というかさっきからこの子変だな。自分がまるで女の子じゃないみたいな言い方してる。ていうかだれこいつ?リリオはどうした?別の救急車か?
「リリオくんはぶじなんでしょうか?」
俺は救急士にそう尋ねる。
「おう!オレに大きなけがはないぞ!お前が庇ってくれたからな!わはは!」
救急士じゃなくて女の子が返事をした。
「リリオくん」
「なんだ?!」
「…………おいおいおいまさかまさかまさかぁあ?!」
女の子は可愛らしく首を傾げている。それで察した。こいつ自分のことに気がついてない。俺はポケットからコンパクトミラーを取り出して女の子の顔の前に翳した。
「うお?!やべぇ!誰この子?すげぇかわいいな!…あれ…これって…スマホの写真じゃなくて鏡?…写ってるの…オレぇえええええ?!!ふぁああああああああああああああああああああああああああ!!」
鏡を見ながら女の子は顔を撫で、さらには自分の胸を揉み、ズボン越しに股間に触れて。
「おっぱいがあって、あれがない、その上すごくかわいい…。なのにオレ?」
「嘘だろ…意味わかんねぇ…」
目の前の女の子はなんとリリオらしい。カノジョの元カレが美少女になっちゃいました!
続く!!
次回予告!
カノジョの元カレがTS美少女になってしまった!それよりも元カレのことを隠していたカノジョをしばき倒したい俺だったが、突然俺の家にカノジョの元カレ(とてもかわいい)が引っ越してきた!
可愛くなってしまったカノジョの元カレは女の子になって居辛くなった実家を飛び出して家出してきたのだ!
当然かくまう義理などないが、理解のある彼くんパワァに溢れたの誠実系童貞男子の俺はかわいい女の子を放っておくことはできず家に迎え入れてしまうのだった。
次回!「カノジョの元カレとドキドキ同棲!?」
カノジョの元カレはウザ可愛いさに刮目せよ!!
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