【本編完結】 婚約破棄された令嬢は自由に生きたい!(R18)

Rila

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6.伯爵令嬢の決意②

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 私は扉の前で大きく深呼吸をして、昂ぶる感情を抑えようとした。
 だけど当然収まる気配がない。
 
(まずは落ち着かないと……)

 心の中で念を唱えるように繰り返した。
 こんなに緊張した状態で、私ははっきりと父に意見を言うことが出来るのだろうか。
 よくよく考えてみたら、父に意見したことは片手で数える程度しか思い浮かばない。
 怒鳴られるのが怖くて、いつも言われたことに従っていた。
 先程まではこれを乗り切れば全てが終わるのだと張り切っていたが、現実に引き戻されると心の中にある恐怖心が蘇り躊躇ってしまう。

「リリア、大丈夫か?」
「……っ」

 隣から心配そうな顔が聞こえてきて、私は縋るように泣きそうな顔を向けてしまう。
 
 本当に自分が情けない。
 きっとアレクシスも呆れているに違いない。
 本当の私は弱くて、いつも逃げ道ばかり探していた。
 だけどアレクシスの前では弱い姿を見せたくなくて、強がった態度をとっていた。

 アレクシスは強い人間だ。
 私が弱い部分ばかり見せていたら、いつか呆れられて離れていってしまうのではないだろうか。
 そう考えると怖くて、強い自分を演じていた。
 本当に強ければ父に屈することも無かっただろうし、ラルスにだって反論出来たはずだ。

「大丈夫ではなさそうだね」
「だ、大丈夫」

 私は必死に笑顔を作ってみせたが、それは痛々しいくらい引き攣った顔になっていた。
 そんな私の様子を見て、アレクシスは困ったように笑った。

「ここは私に任せて。リリアはただ隣にいてくれるだけでいいから。全て私から説明するよ」
「で、でもっ、これは私が決めたことだし」

「そんなにガチガチに固まっていたら、上手く話すことも出来ないんじゃない?」
「……っ」

 図星を付かれて私は言葉を詰まらせてしまう。
 アレクシスは扉にかけている私の手に視線を向けると、上から被せるように掌を重ねた。

「安心して。リリアの望む結末まで必ず導いてあげる。だから、今は私に任せて。辛いことを言われても、少しだけ我慢していてね。あとでその借りはしっかりと返させて貰うつもりだから」

 最後に言っていたことは私には良く分からなかったが、アレクシスの言うとおりだ。
 上手くいかないことは容易に想像が出来たので、大人しくアレクシスに託すことにした。
 それに王太子という地位があるので、父は従うしか無いはずだ。
 
 少しほっとした顔を浮かべていると、アレクシスは「行こうか」と言った。
 私は小さく頷き、扉の持ち手を握った。
 その間もアレクシスの手は重なったままで、まるで私の弱い心を後押ししてくれているようで、すごく心強く感じた。
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