29 / 87
29.変化①
しおりを挟む
私がアレクシスの屋敷に来てから半年の月日が流れていた。
ここに連れて来られてから、私は屋敷の外には一度も出ていない。
必要はものがあればすぐにアレクシスが用意してくれるし、そろそろ職を探したいと話せば、屋敷の中で出来る仕事を用意された。
庭園の中に錬金術の工房があって、私は毎日そこで学びながら薬を作っている。
私が作った薬はそのまま騎士団の方に流れ、納品した分のお金が手元に入ってくる。
材料については全て王宮の方で用意してくれているようなので、素材を取りに行く手間もないし、費用もかからない。
私は宮廷薬師に憧れていたので、願ってもない有り難い話だった。
こんな素敵な仕事を用意しれくれたのだから、感謝の意を込めて私なりに頑張っている。
そして今の私とアレクシスの関係は、恋人のようと表現するのが一番しっくりくる。
キスやハグなどのスキンシップは日常的に行っているし、屋敷にいる時はいつも傍にいてくれて、『愛してる』と何度も囁いてくれる。
お互いの気持ちが通じ合っていると私は信じている。
だけど、公に私達の関係がどうなっているのかは正直分からない。
私はここに来てから一度もこの屋敷を出ていないし、外の情勢も殆ど知らされていない。
しかし、以前と比べたら考えられないくらい幸せで、自由にのびのびとした生活を送っている。
だからこの暮らしに不満を持ってはいない。
元々人付き合いはあまり得意な方では無かったので、一日中部屋に閉じ篭もっていても苦痛を感じることは無かった。
アレクシスは現在屋敷を不在にしている。
騎士として2週間程遠征に出ていて、今週末には戻ってくる予定だ。
これが騎士としての最後の仕事になるとか、ならないとか……、そんな話をしていた。
現在はまだ王太子ではあるが、騎士団を退くのと同時に王位継承権を破棄するそうだ。
廃太子にはなるが、国のために多くの功績を上げたことで、新たに公爵位を賜ることになっているらしい。
強大な魔力を持つ、言わば国の宝と言うべくアレクシスを手放したくはない、というのが王家の本意なのかもしれない。
その後は表舞台から去り、裏からこの国を見守っていくつもりだと言っていた。
始めてこの話を聞かされた時は本当に驚いた。
だけどアレクシスはずっと前から、そうすることを望んでいたようだ。
彼も私と同じで、自由になりたかったのかもしれない。
***
「リリア様、そろそろ休憩にしましょう」
「そうね」
中央のテーブルには焼きたてのお菓子と、お茶が並べられていた。
甘い香りを深く吸い込むと、それだけでほっとした気分になれる。
「今日こそは、サリーも一緒にどう?」
「いえ、こちらは全てリリア様の為に用意したものです」
半年もの間、常に傍にいてくれるサリーとはそれなりに仲良くやっていた。
いつ誘っても、こんな風にさらりと断られてしまう。
「今日は頑張っているリリア様の為に、ベリーパイを焼きました」
「サリーが作ったパイは絶品なのに。こんなに美味しいもの、本当に食べないの?」
私は『勿体ない』と言わんばかりに残念そうな顔を浮かべ、じっとサリーのことを見つめていた。
だけど彼女は迷うこと無く、当然の様に頷いた。
「はいっ」
「…………」
「もしかして、サリーは果物は苦手だったりする?」
「そんなことはありません。どちらかと言えば好きな方です」
いつも私の部屋には果物が用意されていて、いくら私が勧めても拒まれるし、食べている所を見たことがない。
だけど、食事は別の所でちゃんと取っているようだ。
彼女は本当に何でもやってくれる傍付きだ。
そして、ここに来てから出合う人物は限られている。
サリーとマリー、そしてアレクシスの三人だけ。
初日に入り口で執事と会ったが、あれっきり姿を見ていない。
アレクシスと屋敷の方で食事をした時も、傍には見慣れた二人の姿しか無かった。
(私が人付き合いが苦手だと思って、アレクシス様が極力会わせないないようにしてくれているのかな)
そうなればサリーの負担はかなり大きくなっているはずだ。
無理をしていないのか、少し心配になってしまう。
「サリー、私はもう貴族ではないのだしそこまで気を遣ってくれなくても大丈夫よ。出来ることは極力自分でやるし。これからのことを考えても、それがいいと思うの」
「え……? そんなの絶対にだめです! そんなことをしたら、アレクシス殿下に怒られてしまう……」
サリーは焦ったように顔を横にぶんぶんと振って否定した。
私は思わず困った顔を見せてしまう。
「大丈夫。アレクシス様には私の方がから伝えておくから。サリーも色々と大変でしょ?」
「そんなことありませんっ! 私なんかのことを、気に掛けて頂きありがとうございます。ですが、殿下にとってリリア様は何よりも大切なお方です。私の為だとおっしゃるのであれば、今まで通りでお願いします」
サリーはアレクシスに仕える身なので、そう答えても何ら不思議はない。
私だって、誰かに大切に思ってもらえることは、素直に嬉しいと感じている。
だけど、これ以上甘えてばかりもいられない。
ある程度の資金が貯まったら、そろそろここを出て一人で生きていこうと考えていた。
アレクシスとの関係は、私からみたら恋人に近いものだと感じているが、彼から将来の話をされたことはない。
以前『王太子妃にする気は無い」と言われた。
その時には既に王位から降りる考えがあって、そのように言ったのかも知れない。
『好き』とか『愛してる』という言葉は沢山くれるけど、婚約や結婚についての話はされない。
それがどういうことを意味しているのか、私は気付いていた。
私はアレクシスのお気に入りで、囲われているだけの存在。
私自身もそれに満足していた。
ただ傍にいられたら、それだけで幸せだと思っていたし、それでもいいから一緒にいたかった。
今後、アレクシスに婚約話が持ち上がったとしたら。
私ではない、別の女性と結婚することになってしまったら。
その事実を受け止められる自信が私にはない。
それ程までに今の私はアレクシスに心を奪われてしまっている。
人並みに嫉妬もするだろう。
だからこそ、醜い姿を見せて嫌われることが何よりも怖いのだと思う。
彼が公爵になったとしても、王家との繋がりは今後も続いていくことだろう。
そして当然、私は彼には相応しくない人間。
それが分かっているから、こうやって私の存在を隠すように屋敷に閉じ込めているのだろう。
今はまだ幸せに思えているけど、それが長く続くとは限らない。
長い間一緒にいれば、それだけ別れも辛くなるはずだ。
だから、なるべく早くこの屋敷から出て行こうと考えている。
しかし、早速問題が生じた。
私の生活圏は、屋敷の中央に位置しているこの庭園のみだ。
この中には私の部屋や工房などがあり、屋敷の建物には殆ど近づいたことがなかった。
この前、屋敷の方へ向かおうとしたら、扉には鍵が掛けられていた。
サリーに勘付かれないように適当に理由を付けて王都に行きたいと話したら、アレクシスが戻って来るまでは危険だからと言われ止められてしまった。
ここに来る前は普通に王都に買い物にも行っていたし、危険でないことは分かっている。
アレクシスは過度の心配性であるから、そう言うのだろう。
サリーを困らせてしまうのは可哀想に思い、その計画はとりあえずやめることにした。
そして最近私の体調にも変化があった。
恐らく仕事に夢中になり過ぎたせいだとは思うが、体が少し重く感じる。
体に熱が溜まっているような感覚で、とても気怠い。
それから、たまにすごい眠気に襲われる。
そこからの記憶はぷつんと途切れ、目覚めるとベッドの上だったということが何度かあった。
それはここ最近の出来事だ。
こんな状況では外に出ることも難しいし、アレクシスが戻ってくるまでは大人しく待っていた方が良いのかも知れない。
出て行こうとは思っているが、なるべく心配はかけたくなかった。
ここに連れて来られてから、私は屋敷の外には一度も出ていない。
必要はものがあればすぐにアレクシスが用意してくれるし、そろそろ職を探したいと話せば、屋敷の中で出来る仕事を用意された。
庭園の中に錬金術の工房があって、私は毎日そこで学びながら薬を作っている。
私が作った薬はそのまま騎士団の方に流れ、納品した分のお金が手元に入ってくる。
材料については全て王宮の方で用意してくれているようなので、素材を取りに行く手間もないし、費用もかからない。
私は宮廷薬師に憧れていたので、願ってもない有り難い話だった。
こんな素敵な仕事を用意しれくれたのだから、感謝の意を込めて私なりに頑張っている。
そして今の私とアレクシスの関係は、恋人のようと表現するのが一番しっくりくる。
キスやハグなどのスキンシップは日常的に行っているし、屋敷にいる時はいつも傍にいてくれて、『愛してる』と何度も囁いてくれる。
お互いの気持ちが通じ合っていると私は信じている。
だけど、公に私達の関係がどうなっているのかは正直分からない。
私はここに来てから一度もこの屋敷を出ていないし、外の情勢も殆ど知らされていない。
しかし、以前と比べたら考えられないくらい幸せで、自由にのびのびとした生活を送っている。
だからこの暮らしに不満を持ってはいない。
元々人付き合いはあまり得意な方では無かったので、一日中部屋に閉じ篭もっていても苦痛を感じることは無かった。
アレクシスは現在屋敷を不在にしている。
騎士として2週間程遠征に出ていて、今週末には戻ってくる予定だ。
これが騎士としての最後の仕事になるとか、ならないとか……、そんな話をしていた。
現在はまだ王太子ではあるが、騎士団を退くのと同時に王位継承権を破棄するそうだ。
廃太子にはなるが、国のために多くの功績を上げたことで、新たに公爵位を賜ることになっているらしい。
強大な魔力を持つ、言わば国の宝と言うべくアレクシスを手放したくはない、というのが王家の本意なのかもしれない。
その後は表舞台から去り、裏からこの国を見守っていくつもりだと言っていた。
始めてこの話を聞かされた時は本当に驚いた。
だけどアレクシスはずっと前から、そうすることを望んでいたようだ。
彼も私と同じで、自由になりたかったのかもしれない。
***
「リリア様、そろそろ休憩にしましょう」
「そうね」
中央のテーブルには焼きたてのお菓子と、お茶が並べられていた。
甘い香りを深く吸い込むと、それだけでほっとした気分になれる。
「今日こそは、サリーも一緒にどう?」
「いえ、こちらは全てリリア様の為に用意したものです」
半年もの間、常に傍にいてくれるサリーとはそれなりに仲良くやっていた。
いつ誘っても、こんな風にさらりと断られてしまう。
「今日は頑張っているリリア様の為に、ベリーパイを焼きました」
「サリーが作ったパイは絶品なのに。こんなに美味しいもの、本当に食べないの?」
私は『勿体ない』と言わんばかりに残念そうな顔を浮かべ、じっとサリーのことを見つめていた。
だけど彼女は迷うこと無く、当然の様に頷いた。
「はいっ」
「…………」
「もしかして、サリーは果物は苦手だったりする?」
「そんなことはありません。どちらかと言えば好きな方です」
いつも私の部屋には果物が用意されていて、いくら私が勧めても拒まれるし、食べている所を見たことがない。
だけど、食事は別の所でちゃんと取っているようだ。
彼女は本当に何でもやってくれる傍付きだ。
そして、ここに来てから出合う人物は限られている。
サリーとマリー、そしてアレクシスの三人だけ。
初日に入り口で執事と会ったが、あれっきり姿を見ていない。
アレクシスと屋敷の方で食事をした時も、傍には見慣れた二人の姿しか無かった。
(私が人付き合いが苦手だと思って、アレクシス様が極力会わせないないようにしてくれているのかな)
そうなればサリーの負担はかなり大きくなっているはずだ。
無理をしていないのか、少し心配になってしまう。
「サリー、私はもう貴族ではないのだしそこまで気を遣ってくれなくても大丈夫よ。出来ることは極力自分でやるし。これからのことを考えても、それがいいと思うの」
「え……? そんなの絶対にだめです! そんなことをしたら、アレクシス殿下に怒られてしまう……」
サリーは焦ったように顔を横にぶんぶんと振って否定した。
私は思わず困った顔を見せてしまう。
「大丈夫。アレクシス様には私の方がから伝えておくから。サリーも色々と大変でしょ?」
「そんなことありませんっ! 私なんかのことを、気に掛けて頂きありがとうございます。ですが、殿下にとってリリア様は何よりも大切なお方です。私の為だとおっしゃるのであれば、今まで通りでお願いします」
サリーはアレクシスに仕える身なので、そう答えても何ら不思議はない。
私だって、誰かに大切に思ってもらえることは、素直に嬉しいと感じている。
だけど、これ以上甘えてばかりもいられない。
ある程度の資金が貯まったら、そろそろここを出て一人で生きていこうと考えていた。
アレクシスとの関係は、私からみたら恋人に近いものだと感じているが、彼から将来の話をされたことはない。
以前『王太子妃にする気は無い」と言われた。
その時には既に王位から降りる考えがあって、そのように言ったのかも知れない。
『好き』とか『愛してる』という言葉は沢山くれるけど、婚約や結婚についての話はされない。
それがどういうことを意味しているのか、私は気付いていた。
私はアレクシスのお気に入りで、囲われているだけの存在。
私自身もそれに満足していた。
ただ傍にいられたら、それだけで幸せだと思っていたし、それでもいいから一緒にいたかった。
今後、アレクシスに婚約話が持ち上がったとしたら。
私ではない、別の女性と結婚することになってしまったら。
その事実を受け止められる自信が私にはない。
それ程までに今の私はアレクシスに心を奪われてしまっている。
人並みに嫉妬もするだろう。
だからこそ、醜い姿を見せて嫌われることが何よりも怖いのだと思う。
彼が公爵になったとしても、王家との繋がりは今後も続いていくことだろう。
そして当然、私は彼には相応しくない人間。
それが分かっているから、こうやって私の存在を隠すように屋敷に閉じ込めているのだろう。
今はまだ幸せに思えているけど、それが長く続くとは限らない。
長い間一緒にいれば、それだけ別れも辛くなるはずだ。
だから、なるべく早くこの屋敷から出て行こうと考えている。
しかし、早速問題が生じた。
私の生活圏は、屋敷の中央に位置しているこの庭園のみだ。
この中には私の部屋や工房などがあり、屋敷の建物には殆ど近づいたことがなかった。
この前、屋敷の方へ向かおうとしたら、扉には鍵が掛けられていた。
サリーに勘付かれないように適当に理由を付けて王都に行きたいと話したら、アレクシスが戻って来るまでは危険だからと言われ止められてしまった。
ここに来る前は普通に王都に買い物にも行っていたし、危険でないことは分かっている。
アレクシスは過度の心配性であるから、そう言うのだろう。
サリーを困らせてしまうのは可哀想に思い、その計画はとりあえずやめることにした。
そして最近私の体調にも変化があった。
恐らく仕事に夢中になり過ぎたせいだとは思うが、体が少し重く感じる。
体に熱が溜まっているような感覚で、とても気怠い。
それから、たまにすごい眠気に襲われる。
そこからの記憶はぷつんと途切れ、目覚めるとベッドの上だったということが何度かあった。
それはここ最近の出来事だ。
こんな状況では外に出ることも難しいし、アレクシスが戻ってくるまでは大人しく待っていた方が良いのかも知れない。
出て行こうとは思っているが、なるべく心配はかけたくなかった。
11
あなたにおすすめの小説
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました
鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」
そう言ったのは、王太子アレス。
そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。
外交も財政も軍備も――
すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。
けれど功績はすべて王太子のもの。
感謝も敬意も、ただの一度もない。
そして迎えた舞踏会の夜。
「便利だったが、飾りには向かん」
公開婚約破棄。
それならば、とレイナは微笑む。
「では業務も終了でよろしいですね?」
王太子が望んだ通り、
彼女は“確認”をやめた。
保証を外し、責任を返し、
そして最後に――
「ご確認を」と差し出した書類に、
彼は何も読まずに署名した。
国は契約で成り立っている。
確認しない者に、王の資格はない。
働きたくない公爵令嬢と、
責任を理解しなかった王太子。
静かな契約ざまぁ劇、開幕。
---
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
腹に彼の子が宿っている? そうですか、ではお幸せに。
四季
恋愛
「わたくしの腹には彼の子が宿っていますの! 貴女はさっさと消えてくださる?」
突然やって来た金髪ロングヘアの女性は私にそんなことを告げた。
家出を決行した結果
棗
恋愛
フィービーの婚約者ミゲルには大切な幼馴染がいる。病弱な幼馴染をいつも優先するミゲルや母が亡くなって以降溝が出来てしまった父と兄との関係にフィービーは疲れていた。
デートの約束をしてもいつも直前になって幼馴染を理由にキャンセルされ、幼馴染にしか感情を見せないミゲルを、フィービーを見ようとしない父や兄を捨てる決心をしたフィービーは侍女や執事の手を借りて家出を決行した。
自分を誰も知らない遠い場所へ行ったフィービーは、新しい人生の幕開けに期待に胸を躍らせた。
※なろうさんにも公開しています。
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる