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78.再会と真相②
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私がいた部屋を出ると、長い通路が続いていた。
ここがどこなのかは未だに分からないが、屋敷のような場所であることは間違いなさそうだ。
床には赤色の絨毯が引かれ、掃除も行き届いているように感じる。
私がきょろきょろと周囲を見渡していると、アレクシスに声を掛けられた。
「随分と落ち着きがなさそうだね。何か面白いものでもあった?」
「あの、ここってどこなんですか?」
私は聞くのにちょうど良いチャンスだと思い、この場所について尋ねてみることにした。
「ここはね、私達の新居になる場所だよ。リリアには、これからずっとここで暮らして貰うことになるかな」
「それって、離宮ってことですか?」
意外な返事が戻ってきて、私は少し驚いた様子で聞き返した。
「ううん、離宮ではないな。あそこはもう無くなってしまったからね」
「無くなった……?」
彼の発言を聞いてますます分からなくなり、私は怪訝そうな顔を浮かべ首を僅かに傾けた。
「ここは王宮内の離宮でもなければ、王都にあったあの屋敷でも無いよ。そもそも私達がいた国ではないからね」
「……は?」
アレクシスはペラペラと話していくが、私の頭はそれに追いつかず、戸惑った顔を向けることしか出来ない。
(私達がいた国ではないって……、それならここは一体どこなの!?)
突っ込みたいことは他にも沢山ある。
離宮がなくなったとはどういう意味なんだろう。
それに王宮を離れて、違う国で暮らすとは一体……。
あんなことがあったから、一時的に違う場所で過ごすという意味なのだろうか。
(だけど、アレクシス様はずっとここで暮らすって言っていたわ)
頭が混乱して、私は何から聞いて良いのかすら分からなくなっていた。
「リリア、窓の奥を見て」
「え?」
彼に促されるように、私は窓の方へと視線を向けた。
するとそこには大きな庭園が広がっている。
(見たことのない庭園ね……。やっぱり王宮ではないのかも)
「大きな庭園ですね」
「そうだね。ここから街までは少し離れているから、出来る限り自給自足という形を取ろうと思っているんだ。魔法を使って天候や植物の育成速度をある程度操作出来るから、食べるものに困ることはないはずだよ。だから安心してね」
(天候まで操ることが出来るの……?)
私の想像以上に、アレクシスはすごい人物なのではないかと考えてしまう。
しかし、自給自足をするということは、場所を変えてまた軟禁されると考えるべきなのだろうか。
私が戸惑った顔を浮かべたままでいると、アレクシスは窓の奥に視線を向けて「リリア、庭の奥を見てみて」と続けて言った。
私は困惑した表情のまま、言われるが儘に庭の更に奥へと視線を向けた。
(木が沢山あるように見えるけど……、近接した森があるのかな)
「見えた?」
「見えました。あれは森ですか?」
「そうだよ。だけど安心して。屋敷の周囲には結界を張ってあるから、魔物が入って来るようなことはないと思う。もし仮に来たとしても、私が直ぐに対処するから問題ないよ」
アレクシスはにっこりと清々しい程の笑みを浮かべて言った。
彼が言うのなら大丈夫だと思うが、何となく複雑な気持ちを持ってしまう。
(どうして、そんな危険なところにわざわざ住もうとするんだろう。王都の方が何かと便利なのに……)
「それから、こちらからだと見えないけど、逆側には海があるんだよ。今度行ってみようか」
「……あの」
今の話を聞いて、ここが自然に囲まれた場所だということは十分わかった。
しかし、今私が知りたいのは、そんな話ではない。
「どうして離宮は無くなったんですか? 私達はあそこで暮らすはずだったんですよね?」
「ああ……。それはね、その必要がなくなったからだよ」
私の問いかけにアレクシスは、僅かに目を細めた。
そして先程の明るかった声質とは変わり、低めの冷たいトーンが響き、私は何か嫌な気配を感じ取った。
「必要がなくなったって、どういう意味ですか?」
私の声は戸惑いから僅かに揺れていた。
「リリア、到着したよ。その話は中でゆっくりしようか。その方が落ち着いて聞いていられると思うし」
「はい……」
時折見せる彼の冷たい瞳が、私の知らない別人に見えて少し怖いと感じてしまう。
だけど、私は一生この人から逃げられない。
かといって、それが不幸だとも思っていない。
勝手に体を変えられてしまったことは、やっぱり許せない。
だけど、アレクシスはあの苦痛しか感じなかった伯爵家から、私のことを救い出してくれた。
私を人形では無く、人間に戻してくれた。
そんなアレクシスにはやっぱり感謝している。
幸か不幸かと聞かれたら、間違いなく私は前者だと答えるだろう。
(一度はアレクシス様と共に生きていこうって覚悟を決めたのだから、私なりにそれを貫いていくしかないよね……)
幸いなことに彼は私のことを多分愛してくれている。
マリーも言っていたように、その形は少し歪んでいるが彼からの愛情は痛いほどに感じることが出来る。
それに私だってアレクシスのことを愛している。
私がそんなことを考えていると、アレクシスは扉を開いた。
***
室内が開くと、私は部屋の内部に視線を巡らせた。
私がいた真っ白な部屋とは異なり、落ち着いた茶系統の色で統一され、シンプルではあるが上品さを感じさせるような家具が並んでいた。
この部屋ならば落ち着いて話が出来そうだ。
「ここは私とリリアの寝室になる」
「え? 同じ部屋なんですか!?」
私は彼の言葉に驚いて、慌てるように答えた。
「私と同室では不満か?」
「……それはっ」
はっきり言って不満だ。
同室になれば、四六時中アレクシスの傍にいなければならなくなる。
そんなことになったら私の落ち着ける時間が完全に無くなってしまうわけで。
(困るわ。そんなの絶対に無理……!)
「出来れば別の部屋を用意して頂きたいです。さっき私のいた部屋でも構いませんっ!」
「残念だけど、その案は受け入れてあげられないよ」
「……っ!?」
「そんな困った顔をしても駄目だよ。これはずっと前から決めていたことだからね」
私が困惑した顔で訴えるも、あっさりと却下されてしまった。
「これからはリリアと常に一緒に過ごすんだ。朝はリリアの寝顔を見ながら目覚めて、日中はのんびり過ごしたり、海辺で散歩するのもいいね。そして、夜は激しく抱き潰す……」
「なっ……!」
アレクシスは口端を上げて不適な笑みを浮かべた。
「私はこの生活を手に入れるために、今までずっと努力してきたんだ。だから私の願いを叶えさせて?」
「……っ、その言い方、なんだかずるいです」
私は不満そうに、むっとした顔付きでブツブツと呟いた。
「私は狡い人間だよ。リリアだって知っているだろう。今更過ぎるよ」
アレクシスは否定するどころか開き直るように言った。
彼の態度がおかしく見えて、私は小さく笑ってしまった。
怖い顔をしたかと思えば、冗談を言って来たり。
きっとこれもアレクシスの素顔の一つなんだろう。
そんな風に思うと彼も血の通った人間なのだと当たり前ながら感じて、先程の恐怖心も薄れていった。
(私の知っているアレクシス様も、嘘偽りのない姿ってことなのかもしれないな……)
そんなことを話していると、ベッドの前まで辿り着いた。
ベッドには天蓋が付いており、それが今は完全に閉じられた状態で中を確認することが出来ない。
だけどこの中に私の体があるのだということは、直ぐに気付いた。
「リリア、ゆっくり下ろすから。足が付くまで私の首にしっかり掴まっていてね」
「はい……」
そしてアレクシスの腕の中から解放された。
「アレクシス様、この中に……」
「うん、この奥にリリアの体がある。リリアの魂を戻すためにはあることをしなければならない」
「また儀式ですか?」
私は引き攣ったような、それでいてどこか恥じらうように小さく呟いた。
(まさか、また前回と同じことをするの……?)
「うん、そうだよ。だけど前回とは少し違うかな」
「……っ、何をするんですか?」
私はドキドキとうるさい鼓動を抑えながら問いかける。
すると彼の口角が小さく上がった。
「リリアにとっては簡単なことだよ。私がすることを見ていてくれたらいい」
「え? 見ているだけ、ですか?」
「基本的には見ているだけかな。だけど、本体と感覚が共有するように出来る限り意識を向けていて欲しい」
「分かりました……。それだけで良いんですか?」
私が問いかけると、アレクシスは頷いた。
「うん、それだけでいいよ。出来そう?」
「大丈夫ですっ! これが終わったら、アレクシス様に色々と聞きたいことがあります」
私が真っ直ぐに彼のことを見つめながら言うと、アレクシスは「勿論、分かってる。全て話すよ」と返してくれた。
今はその言葉を信じることにしよう。
本当は話を聞いてからの方が良かったのかもしれないが、私が元の体に早く戻りたいと言ってしまったので、こちらを優先させてくれたのだろう。
「それじゃあ、開けるよ」
「はいっ……」
(この奥に私の体がある。サリーはまだ私の体の中で眠らされているのかな……)
私は鼓動をバクバクと震わせながら、その瞬間を待っていた。
ここがどこなのかは未だに分からないが、屋敷のような場所であることは間違いなさそうだ。
床には赤色の絨毯が引かれ、掃除も行き届いているように感じる。
私がきょろきょろと周囲を見渡していると、アレクシスに声を掛けられた。
「随分と落ち着きがなさそうだね。何か面白いものでもあった?」
「あの、ここってどこなんですか?」
私は聞くのにちょうど良いチャンスだと思い、この場所について尋ねてみることにした。
「ここはね、私達の新居になる場所だよ。リリアには、これからずっとここで暮らして貰うことになるかな」
「それって、離宮ってことですか?」
意外な返事が戻ってきて、私は少し驚いた様子で聞き返した。
「ううん、離宮ではないな。あそこはもう無くなってしまったからね」
「無くなった……?」
彼の発言を聞いてますます分からなくなり、私は怪訝そうな顔を浮かべ首を僅かに傾けた。
「ここは王宮内の離宮でもなければ、王都にあったあの屋敷でも無いよ。そもそも私達がいた国ではないからね」
「……は?」
アレクシスはペラペラと話していくが、私の頭はそれに追いつかず、戸惑った顔を向けることしか出来ない。
(私達がいた国ではないって……、それならここは一体どこなの!?)
突っ込みたいことは他にも沢山ある。
離宮がなくなったとはどういう意味なんだろう。
それに王宮を離れて、違う国で暮らすとは一体……。
あんなことがあったから、一時的に違う場所で過ごすという意味なのだろうか。
(だけど、アレクシス様はずっとここで暮らすって言っていたわ)
頭が混乱して、私は何から聞いて良いのかすら分からなくなっていた。
「リリア、窓の奥を見て」
「え?」
彼に促されるように、私は窓の方へと視線を向けた。
するとそこには大きな庭園が広がっている。
(見たことのない庭園ね……。やっぱり王宮ではないのかも)
「大きな庭園ですね」
「そうだね。ここから街までは少し離れているから、出来る限り自給自足という形を取ろうと思っているんだ。魔法を使って天候や植物の育成速度をある程度操作出来るから、食べるものに困ることはないはずだよ。だから安心してね」
(天候まで操ることが出来るの……?)
私の想像以上に、アレクシスはすごい人物なのではないかと考えてしまう。
しかし、自給自足をするということは、場所を変えてまた軟禁されると考えるべきなのだろうか。
私が戸惑った顔を浮かべたままでいると、アレクシスは窓の奥に視線を向けて「リリア、庭の奥を見てみて」と続けて言った。
私は困惑した表情のまま、言われるが儘に庭の更に奥へと視線を向けた。
(木が沢山あるように見えるけど……、近接した森があるのかな)
「見えた?」
「見えました。あれは森ですか?」
「そうだよ。だけど安心して。屋敷の周囲には結界を張ってあるから、魔物が入って来るようなことはないと思う。もし仮に来たとしても、私が直ぐに対処するから問題ないよ」
アレクシスはにっこりと清々しい程の笑みを浮かべて言った。
彼が言うのなら大丈夫だと思うが、何となく複雑な気持ちを持ってしまう。
(どうして、そんな危険なところにわざわざ住もうとするんだろう。王都の方が何かと便利なのに……)
「それから、こちらからだと見えないけど、逆側には海があるんだよ。今度行ってみようか」
「……あの」
今の話を聞いて、ここが自然に囲まれた場所だということは十分わかった。
しかし、今私が知りたいのは、そんな話ではない。
「どうして離宮は無くなったんですか? 私達はあそこで暮らすはずだったんですよね?」
「ああ……。それはね、その必要がなくなったからだよ」
私の問いかけにアレクシスは、僅かに目を細めた。
そして先程の明るかった声質とは変わり、低めの冷たいトーンが響き、私は何か嫌な気配を感じ取った。
「必要がなくなったって、どういう意味ですか?」
私の声は戸惑いから僅かに揺れていた。
「リリア、到着したよ。その話は中でゆっくりしようか。その方が落ち着いて聞いていられると思うし」
「はい……」
時折見せる彼の冷たい瞳が、私の知らない別人に見えて少し怖いと感じてしまう。
だけど、私は一生この人から逃げられない。
かといって、それが不幸だとも思っていない。
勝手に体を変えられてしまったことは、やっぱり許せない。
だけど、アレクシスはあの苦痛しか感じなかった伯爵家から、私のことを救い出してくれた。
私を人形では無く、人間に戻してくれた。
そんなアレクシスにはやっぱり感謝している。
幸か不幸かと聞かれたら、間違いなく私は前者だと答えるだろう。
(一度はアレクシス様と共に生きていこうって覚悟を決めたのだから、私なりにそれを貫いていくしかないよね……)
幸いなことに彼は私のことを多分愛してくれている。
マリーも言っていたように、その形は少し歪んでいるが彼からの愛情は痛いほどに感じることが出来る。
それに私だってアレクシスのことを愛している。
私がそんなことを考えていると、アレクシスは扉を開いた。
***
室内が開くと、私は部屋の内部に視線を巡らせた。
私がいた真っ白な部屋とは異なり、落ち着いた茶系統の色で統一され、シンプルではあるが上品さを感じさせるような家具が並んでいた。
この部屋ならば落ち着いて話が出来そうだ。
「ここは私とリリアの寝室になる」
「え? 同じ部屋なんですか!?」
私は彼の言葉に驚いて、慌てるように答えた。
「私と同室では不満か?」
「……それはっ」
はっきり言って不満だ。
同室になれば、四六時中アレクシスの傍にいなければならなくなる。
そんなことになったら私の落ち着ける時間が完全に無くなってしまうわけで。
(困るわ。そんなの絶対に無理……!)
「出来れば別の部屋を用意して頂きたいです。さっき私のいた部屋でも構いませんっ!」
「残念だけど、その案は受け入れてあげられないよ」
「……っ!?」
「そんな困った顔をしても駄目だよ。これはずっと前から決めていたことだからね」
私が困惑した顔で訴えるも、あっさりと却下されてしまった。
「これからはリリアと常に一緒に過ごすんだ。朝はリリアの寝顔を見ながら目覚めて、日中はのんびり過ごしたり、海辺で散歩するのもいいね。そして、夜は激しく抱き潰す……」
「なっ……!」
アレクシスは口端を上げて不適な笑みを浮かべた。
「私はこの生活を手に入れるために、今までずっと努力してきたんだ。だから私の願いを叶えさせて?」
「……っ、その言い方、なんだかずるいです」
私は不満そうに、むっとした顔付きでブツブツと呟いた。
「私は狡い人間だよ。リリアだって知っているだろう。今更過ぎるよ」
アレクシスは否定するどころか開き直るように言った。
彼の態度がおかしく見えて、私は小さく笑ってしまった。
怖い顔をしたかと思えば、冗談を言って来たり。
きっとこれもアレクシスの素顔の一つなんだろう。
そんな風に思うと彼も血の通った人間なのだと当たり前ながら感じて、先程の恐怖心も薄れていった。
(私の知っているアレクシス様も、嘘偽りのない姿ってことなのかもしれないな……)
そんなことを話していると、ベッドの前まで辿り着いた。
ベッドには天蓋が付いており、それが今は完全に閉じられた状態で中を確認することが出来ない。
だけどこの中に私の体があるのだということは、直ぐに気付いた。
「リリア、ゆっくり下ろすから。足が付くまで私の首にしっかり掴まっていてね」
「はい……」
そしてアレクシスの腕の中から解放された。
「アレクシス様、この中に……」
「うん、この奥にリリアの体がある。リリアの魂を戻すためにはあることをしなければならない」
「また儀式ですか?」
私は引き攣ったような、それでいてどこか恥じらうように小さく呟いた。
(まさか、また前回と同じことをするの……?)
「うん、そうだよ。だけど前回とは少し違うかな」
「……っ、何をするんですか?」
私はドキドキとうるさい鼓動を抑えながら問いかける。
すると彼の口角が小さく上がった。
「リリアにとっては簡単なことだよ。私がすることを見ていてくれたらいい」
「え? 見ているだけ、ですか?」
「基本的には見ているだけかな。だけど、本体と感覚が共有するように出来る限り意識を向けていて欲しい」
「分かりました……。それだけで良いんですか?」
私が問いかけると、アレクシスは頷いた。
「うん、それだけでいいよ。出来そう?」
「大丈夫ですっ! これが終わったら、アレクシス様に色々と聞きたいことがあります」
私が真っ直ぐに彼のことを見つめながら言うと、アレクシスは「勿論、分かってる。全て話すよ」と返してくれた。
今はその言葉を信じることにしよう。
本当は話を聞いてからの方が良かったのかもしれないが、私が元の体に早く戻りたいと言ってしまったので、こちらを優先させてくれたのだろう。
「それじゃあ、開けるよ」
「はいっ……」
(この奥に私の体がある。サリーはまだ私の体の中で眠らされているのかな……)
私は鼓動をバクバクと震わせながら、その瞬間を待っていた。
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