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82.再会と真相⑥
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「アレクシス様は、いつも私の気持ちを無視するんですね!」
彼の自分勝手な言い分を聞いていると、次第に腹が立ってくる。
私の事を心底大切に思ってくれていることは嬉しいけど、実行する前に一言話してくれてもいいだろうに。
しかもこれが初めてでは無い。
(このまま何も言わなかったら、また次も同じようなことが絶対に起こる気がする……。少し怖いけど、ここは引いたら駄目よね)
私はムスッとした顔を浮かべ、少し強めの口調で言った。
するとアレクシスは一瞬驚いた顔を浮かべるも、直ぐに表情を戻すと言い返してきた。
「そうだな。リリアの気持ちを聞かずに勝手に行動してしまったことは良くないことだと分かってるよ。ごめん」
「……っ」
あっさりと謝られたことに、私は戸惑ってしまう。
「私はリリアのことになると、どうも過剰に心配してしまうようで、感情が抑えられなくなる時が良くあるんだ。私の婚約者になったことが原因で、これ以上リリアをもめ事に巻き込みたく無かった。このまま死んだことにさせてしまえば、全ての問題が解決出来ると思ったんだ」
「…………」
正直、なんて返して良いの全く分からない。
アレクシスに大切に思って貰えることは嬉しいけど、私の存在自体を消されてしまったのだから素直に喜ぶことも出来ない。
「ちなみに私も死んだことにした」
「は……?」
続けて発せられた突拍子の無い言葉に、私の口からは気の抜けた声が漏れた。
(何を言っているの……? 私はともかく、アレクシス様が死ぬなんて、どう考えても無理がある気がするんだけど……)
「リリアの亡骸を抱きかかえたまま、離宮でこの身を焼き尽くした……という設定だ。愛する人を失って、生きる意味をなくしたと周りは思っているんじゃないか?」
「あの、こんな時に変な冗談はやめてくださいっ!」
「冗談など言っていないよ。リリアとの新しい生活を始めるのには一番手っ取り早い方法だったからね。私は王太子という立場に未練はないし、この国に対しての愛国心も然程持っていない」
「なっ、そんなにはっきりと……」
私が戸惑ったように答えると、アレクシスはにっこりと微笑み「本当のことだよ」と続けた。
「今まで騎士として戦っていたのも、国の為にしていたことではないよ。リリアを手に入れるために、必要な段階の一つとして行っていただけ。何もしなければ、私とリリアが結ばれることは絶対にないと分かっていたからね」
「……っ」
アレクシスが言っていることは何となく分かる。
シュトール伯爵家は高位貴族ではなかった。
この国がどのようにして、王族の血を繋いでいるのかは幼い頃から知っていた。
ラルスの婚約者に決まってしまったのは、不幸な偶然だ。
あの時はアレクシスがこの国の王位を継ぐと誰もが思っていたから、ラルスの婚約者になりたがる令嬢がいなかった。
「一体、いつからそんな無謀な計画を立てていたんですか?」
「無謀ではなく緻密と言って欲しいな。ちなみにリリアと出会った時だよ」
「嘘はやめてください。あの時はまだお互い子供でしたよね」
「嘘じゃないよ。始めてリリアを見かけた時から、君のことが気になっていた。それは事実だよ。それにあの時言ったはずだよ。私はリリアのことを選ぶって……、ね。覚えてない?」
そういえば、そんなことを言われた記憶はある。
だけどあれは、私をからかうために言ったものではなかったのだろうか。
あの時の私はアレクシスをラルスだと勘違いしていたから。
(あれこそ冗談で言ったんじゃなかったの……?)
「その顔だと、思い出してくれたみたいだね。あの時から、ずっと私はリリアのことを手に入れようと計画を立てていたんだよ。私の思いを見くびらないでね。まだ分からないのであれば、これから時間をかけてゆっくりと思い知らせていくつもりだけど」
「……っ」
まさかあんな子供の時から、アレクシスに狙われていたなんて思ってもいなかった。
その事に戸惑い、それでいてどこか気恥ずかしくて、私はまたなんて答えたら良いのか分からなくなっていた。
「ふふっ、照れてるの? 顔が少し赤いように見えるけど」
「ち、違いますっ!」
アレクシスがからかうようなことを言ってきたので、私は咄嗟に顔を火照らしたまま言い返した。
「この件については、大体分かって貰えたかな?」
「はい……」
「となると、次は私が行った儀式についての話になるけど、ある程度はマリーから聞かされているかな?」
「はい。なんとなくは……」
アレクシスは続けてその話を詳細にしてくれた。
概ねマリーが説明してくれた内容であったが、足りない部分を補足説明する形で続けていった。
アレクシスの力が大きすぎて、今の私では受け止められなかったこと。
入りきらなかった魔力をうさぎのぬいぐるみに込めたこと。
その魔力は、いずれ生まれてくる私達の子供に受け継がせることなどを話してくれた。
情報量が多すぎて、私の頭はパンク状態に近い。
だけど、一つだけはっきりと分かったことがある。
幼い頃からこれほどまでに周到な計画を立ててきたのだから、私は絶対にこの人から逃げることは不可能だ。
それから、人が寄り付かない危険な場所に連れて来られてしまったのだから、逃げることは諦めて、素直にこの運命を受け入れた方がきっと楽になれる。
こんなにも重すぎる思いを向けられていたなんて、私は夢にも思わなかった。
気付いた時には、もう全てが手遅れだった。
いや、出会った瞬間から、こうなることは既に決まっていたのかもしれない。
彼が張り巡らせた包囲網に雁字搦めにされて、私のなにもかも囚われてしまったのだから。
心も、体も、そして魂さえも……。
彼の自分勝手な言い分を聞いていると、次第に腹が立ってくる。
私の事を心底大切に思ってくれていることは嬉しいけど、実行する前に一言話してくれてもいいだろうに。
しかもこれが初めてでは無い。
(このまま何も言わなかったら、また次も同じようなことが絶対に起こる気がする……。少し怖いけど、ここは引いたら駄目よね)
私はムスッとした顔を浮かべ、少し強めの口調で言った。
するとアレクシスは一瞬驚いた顔を浮かべるも、直ぐに表情を戻すと言い返してきた。
「そうだな。リリアの気持ちを聞かずに勝手に行動してしまったことは良くないことだと分かってるよ。ごめん」
「……っ」
あっさりと謝られたことに、私は戸惑ってしまう。
「私はリリアのことになると、どうも過剰に心配してしまうようで、感情が抑えられなくなる時が良くあるんだ。私の婚約者になったことが原因で、これ以上リリアをもめ事に巻き込みたく無かった。このまま死んだことにさせてしまえば、全ての問題が解決出来ると思ったんだ」
「…………」
正直、なんて返して良いの全く分からない。
アレクシスに大切に思って貰えることは嬉しいけど、私の存在自体を消されてしまったのだから素直に喜ぶことも出来ない。
「ちなみに私も死んだことにした」
「は……?」
続けて発せられた突拍子の無い言葉に、私の口からは気の抜けた声が漏れた。
(何を言っているの……? 私はともかく、アレクシス様が死ぬなんて、どう考えても無理がある気がするんだけど……)
「リリアの亡骸を抱きかかえたまま、離宮でこの身を焼き尽くした……という設定だ。愛する人を失って、生きる意味をなくしたと周りは思っているんじゃないか?」
「あの、こんな時に変な冗談はやめてくださいっ!」
「冗談など言っていないよ。リリアとの新しい生活を始めるのには一番手っ取り早い方法だったからね。私は王太子という立場に未練はないし、この国に対しての愛国心も然程持っていない」
「なっ、そんなにはっきりと……」
私が戸惑ったように答えると、アレクシスはにっこりと微笑み「本当のことだよ」と続けた。
「今まで騎士として戦っていたのも、国の為にしていたことではないよ。リリアを手に入れるために、必要な段階の一つとして行っていただけ。何もしなければ、私とリリアが結ばれることは絶対にないと分かっていたからね」
「……っ」
アレクシスが言っていることは何となく分かる。
シュトール伯爵家は高位貴族ではなかった。
この国がどのようにして、王族の血を繋いでいるのかは幼い頃から知っていた。
ラルスの婚約者に決まってしまったのは、不幸な偶然だ。
あの時はアレクシスがこの国の王位を継ぐと誰もが思っていたから、ラルスの婚約者になりたがる令嬢がいなかった。
「一体、いつからそんな無謀な計画を立てていたんですか?」
「無謀ではなく緻密と言って欲しいな。ちなみにリリアと出会った時だよ」
「嘘はやめてください。あの時はまだお互い子供でしたよね」
「嘘じゃないよ。始めてリリアを見かけた時から、君のことが気になっていた。それは事実だよ。それにあの時言ったはずだよ。私はリリアのことを選ぶって……、ね。覚えてない?」
そういえば、そんなことを言われた記憶はある。
だけどあれは、私をからかうために言ったものではなかったのだろうか。
あの時の私はアレクシスをラルスだと勘違いしていたから。
(あれこそ冗談で言ったんじゃなかったの……?)
「その顔だと、思い出してくれたみたいだね。あの時から、ずっと私はリリアのことを手に入れようと計画を立てていたんだよ。私の思いを見くびらないでね。まだ分からないのであれば、これから時間をかけてゆっくりと思い知らせていくつもりだけど」
「……っ」
まさかあんな子供の時から、アレクシスに狙われていたなんて思ってもいなかった。
その事に戸惑い、それでいてどこか気恥ずかしくて、私はまたなんて答えたら良いのか分からなくなっていた。
「ふふっ、照れてるの? 顔が少し赤いように見えるけど」
「ち、違いますっ!」
アレクシスがからかうようなことを言ってきたので、私は咄嗟に顔を火照らしたまま言い返した。
「この件については、大体分かって貰えたかな?」
「はい……」
「となると、次は私が行った儀式についての話になるけど、ある程度はマリーから聞かされているかな?」
「はい。なんとなくは……」
アレクシスは続けてその話を詳細にしてくれた。
概ねマリーが説明してくれた内容であったが、足りない部分を補足説明する形で続けていった。
アレクシスの力が大きすぎて、今の私では受け止められなかったこと。
入りきらなかった魔力をうさぎのぬいぐるみに込めたこと。
その魔力は、いずれ生まれてくる私達の子供に受け継がせることなどを話してくれた。
情報量が多すぎて、私の頭はパンク状態に近い。
だけど、一つだけはっきりと分かったことがある。
幼い頃からこれほどまでに周到な計画を立ててきたのだから、私は絶対にこの人から逃げることは不可能だ。
それから、人が寄り付かない危険な場所に連れて来られてしまったのだから、逃げることは諦めて、素直にこの運命を受け入れた方がきっと楽になれる。
こんなにも重すぎる思いを向けられていたなんて、私は夢にも思わなかった。
気付いた時には、もう全てが手遅れだった。
いや、出会った瞬間から、こうなることは既に決まっていたのかもしれない。
彼が張り巡らせた包囲網に雁字搦めにされて、私のなにもかも囚われてしまったのだから。
心も、体も、そして魂さえも……。
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