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15.初めて知ること④※

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 予想を上回る質量に、私は息を呑んだ。
 表情を強ばらせながらも、その凶器のような肉楔に目が釘付けになってしまう。
 彼は私の入り口にそれを押しつけると、何度も滑らせるように擦りつけてきた。
 その度に甘い痺れが中心から沸き上がり、気の抜けた声が勝手に上がってしまう。

「はぁっ、……んぅっ」
「気持ちいいか?」

「……う、ん……はぁっ、ユーリは?」
「私もすごく気持ちがいい。セラの入り口、ヒクヒクさせていて可愛らしいな。早く中に欲しいか?」

「……っ」

 私は小さく呟いた。
 怖いと思う気持ちも当然あるが、それ以上にこれから先、私はどうなってしまうんだろうという好奇心の方が勝っていた。
 これだけで溶けてしまいそうな程気持ちが良いのだから、この先はきっとそれ以上のものが待っているはずだ。

「力は出来る限り抜いておいて。その方が痛くないはずだ」
「はい……」

 私は彼に言われたとおり、出来るだけ体の力を抜くようにした。
 痛いという言葉に少し構えてしまう。

「そんなに強ばった顔をしていたら、辛いぞ」
「お、脅さないでくださいっ」

 私は不安になり、ムッとした顔を向けてしまう。
 すると彼はゆっくりと私の方に体を下ろしてきた。

「セラは初めてだから、怖いよな。なるべくゆっくりれるから安心していい。そうだな、キスをしながらにしようか」
「……はいっ、……ん」

 彼の顔が目の前にあるとなんだかほっとして、不安も少しづつ消えていく。
 そして唇を塞がれる。

 キスをしていると、入り口を滑っていた肉楔が蜜口にぐっと押し当てられる。
 そして蜜口を大きく開かせ中へと侵入してくる。
 サイズの合わないものが強引にねじ込まれようとしているので、入り口は裂けてしまいそうな程の焼け付く強い痛みに襲われる。

「……ぁっ、……っ!?」

(い、痛い……!!)

「キツいな……。セラ、大丈夫か?」
「……うっ、……っ」

「ごめん。もう少しだけ耐えてくれ」
「……んんっ!!」

 ユーリは申し訳なさそうに答えると苦しそうな顔を見せて、更に奥へと進めていく。
 少しでも私の痛みを紛らわそうとしてくれているのか、キスが激しくなる。
 腔内を貪られ、舌を深く吸われ、酸欠で頭の奥がぼーっとしてくる。
 キスに気を向けていると、少しだけ痛みが鈍くなったような気がした。 
 だけど、徐々にお腹の奥が圧迫され、苦しさを感じる。

 それから間もなくして、彼の唇がゆっくり剥がされていった。
 私は生理的な涙で目元を濡らし、焦点が合っていない瞳で彼の顔を眺めていた。

「大丈夫か?」
「……なん、とか」

「良く頑張ったな」
「うん……」

「分かるか? 今セラの中に私のが全て入って、繋がってる」
「……っ」

 彼は穏やかな声で呟くと、私のお腹を優しくさすった。
 撫でられると、更にお腹の奥が圧迫されて変な声が漏れてしまいそうになる。

(今、ユーリと繋がってるんだ……。私初体験しちゃったんだ)

 そう思うと急にほっとして、強ばっていた表情が自然と緩んでいく。

「これだけで満足なんてしていないよな?」
「え?」

「お前、今すごく無防備な顔をしてる」
「だって……、なんかちょっと感動しちゃって」

「私と繋がれて喜んでくれているのか?」
「うん……」

 そんな風に言われると少し照れくさい。
 だけど喜んでいるというのは、強ち間違いではない気がする。
 多分、これが私にとって初めてだから。

 ユーリは私にとって手の届かない存在で、もしかしたらこういうことをするのもこれが最初で最後になるのかもしれない。
 だけど、私のことを気遣ってくれる人で良かった。
 
(今だけは、恋人のような気分を味わってもいいのかな)

 そんな風に考えると、嬉しく思えて顔が緩んできてしまう。

「随分嬉しそうな顔だな。喜んでくれているのは嬉しいが、気持ち良くなるのはこれからだぞ。我慢した分、トロトロになるまで愛してやる。セラは快楽に従順だから、きっと気に入るはずだ」
「……うん」

 話しているうちに、入り口の傷みも大分引いてきたような気がする。
 まだ少し痛むが、先程よりは大分ましになった。
 
「そろそろ動いてもいいか?」
「大丈夫……」

 私が答えると、埋まっているものがゆっくりと引き抜かれていく。
 内壁を擦られて抉られる感覚にゾクゾクして、腰が震えてしまう。

(な、なに、これ……)

「……ぁっ……」
「セラが慣れるまではゆっくり動くな」

 私の口元からは甘ったるい声が勝手に漏れてしまう。
 今まで感じたことのない、甘い痺れるような感覚に戸惑っていた。

 再び奥に押し込められると、圧迫感に思わず顔を顰めてしまう。
 引き抜かれる時は中をぎゅっと締め付けて、切なそうな表情になってしまうようだ。
 何度も繰り返されていると、体の奥に溜まっていた熱が全身を巡り、体中が火照ったように肌が薄いピンク色に染まっていく。

「ぁあっ、はぁっ……きもち、いいっ……。なんか、溶けちゃい、そうっ……」
「本当に溶けてしまいそうだな。セラの中、キツいけどすごく気持ちいい。さっきから私のをぎゅうぎゅう締め付けてきて、本当に可愛いな、お前」

「ぁあっ、ユーリも、きもち、いいのなら、良かった……」
「ああ、最高に気持ちがいいよ。この感覚に慣れてきたようだし、セラのいいところでも探してみようか」

「え……?」

 ユーリは口角を上げて愉しそうに呟くと、角度を変えるように突いてくる。
 私は不思議に思いながらも、この快楽に溺れていった。
 しかし、ある特定の場所を突かれると今まで感じたことの無い感覚に襲われ、腰を高く跳ね上げてしまう。

「ひ、ぁああっ!」
「……ここか。見つけた、セラの弱い場所……」

「な、なに!?」
「これからここを重点的に突いてやるから、セラは好きなだけ気持ち良くなって。勿論、好きなだけ果てていいぞ」

 彼は私の腰を押さえると、弱いところを狙うようにして一定のリズムで抽挿を繰り返していく。

「……っぁあ、ま、って、ひぁあ……これ、だめ、かもっ」
「だめじゃない。嬉しそうに中が締め付けてきているぞ」

「ちがっ、……何か、きちゃうっ……っ、ぁあっ!!」
「もう果てたのか? そんなに良いのか」

 腰を掴まれてしまっているので、私に逃げる術は無い。
 私は首を何度も横に振って、涙目で訴えてみても彼の動きは止まらなかった。

「ぁっ、……っ、ひぅっ!! ぁあっ、体が、へんなのっ……」
「別に変では無いと思うぞ。中、ずっと痙攣しっぱなしだな」

「ぁああっ、……んぅっ、はぁっ……やぁっ……」

 最初は混乱していたが、この快楽慣れてくると気持ちいいと感じるようになり、私の声も甘ったるいものへと変わっていく。
 体から余計な力がスッと抜けていき、その脱力感が堪らないほど気持ちいい。
 溶けてしまうという表現は合っている気がする。

(これ、すごくいい……、もっとして欲しい……)

 私の表情は蕩け切ったものに変わり、完全に快楽に落とされてしまったようだ。
 何度も軽くイかされて、体も頭もとろとろに溶かされる。

「今のセラの顔、すごく可愛いな。この姿は独り占めにしたいものだな」
「……はぁっ、はぁ……」

 腰の動きが緩やかになっていくと、ゆっくりと彼の体が下りてきて、ぴったりと合わさる。
 お互い火照った体なのに、くっついていると温かくてとても心地良く感じてしまう。
 私は離れたくなくて、彼の背中に手を回しぎゅっと抱きしめた。

「随分、可愛いことをしてくれるんだな」
「……っ」

 自分の大胆な行動に驚いてしまうが、今はそれよりもユーリから離れたくなかった。
 この余韻をもう少し味わっていたい。

「セラ、こっちを向いて」

 その声に、抱きしめる力を緩めると彼と視線が絡む。
 優しい表情なのに、瞳の奥は欲望が孕んでいるように見えて、私の鼓動は速くなる。
 そして瞳が交わると、そのまま唇を奪われた。

「……んっ」

 いつもの啄むようなキスだ。
 嬉しくて顔が勝手ににやけてしまいそうになる。
 私は背中に回していた手を首の方へと移動し、何度もキスを繰り返す。

 ユーリが私の恋人だったらいいのに……、なんてつい考えてしまう。
 それは叶わないことだと分かっている。
 だけど、彼を求めてしまいたくなる。

 彼は一目惚れだと言っていたけど、私も同じ気持ちなのかもしれない。
 出会った時からドキドキしていたし、キスも嫌ではなかった。
 それに今、私は彼を受け入れて抱かれている。
 だからこそ嬉しくもあり、苦しくもある。

(こんな気持ちを持つのは初めてだから、勘違いしてるのかな……)
 
 そう自分に問い返してみる。
 だけど、答えは分からない。

 そんなことを考えていると、ゆっくりと唇が剥がされる。

「何を考えているんだ?」
「え……?」

 彼は不満そうな声で呟いた。
 私は理由が分からず、きょとんとした顔をしてしまう。

「こんな時に、私以外のことを考えているのだとしたら妬けるな」
「ち、違うよっ! 私は別に考え事なんて……」

「してない?」
「……う、うん」

(まさか、ユーリって心が読めるの!?)

 私は慌てて誤魔化してみたが、内心はかなりヒヤヒヤしていた。
 彼はまだ不満そうな顔で私のことを見つめている。
 私は困ったように笑って誤魔化した。

「……怪しいな」
「そんなこと、ないよ?」

「…………」
「あ、はは……」

「まあ、いいか。これから、私以外のことは考えられなくすればいいだけの話だからな」
「え……?」

 彼は意地悪そうに口端を上げて笑った。
 何かとてつもなく嫌な予感がする。

 すると次の瞬間、ぎりぎりまで引き抜かれ、一気に最奥まで貫かれた。

「……ぁああっ!!」
「ああ、すごい声。お前、奥突かれただけで果てたな」

「ひ、ぁああっ!! やっ、まって……」
「待たない」

 先程のゆるゆると動いていたものとは明らかに違う。
 腰を押しつけられる度に、パンパンと激しく肌がぶつかり合う音が響く。
 それにぐちゅぐちゅと厭らしい水音も混じっている。

 突然の激しい抽挿に、私は悲鳴のような嬌声を響かせていた。
 息をするのも忘れてしまいそうになる。
 顔の奥は一気に温度が上がり、何度も絶頂を迎える体には力が入らず抵抗することすら出来ない。

「……ユーリ、おねがっ……はぁっ、っっ!!」
「すごいな。私のを搾り取るかのように締め付けてくる……、っく……」

 私は涙が滲んだ瞳で彼の方に視線を向けると、ユーリはとても苦しそうな表情で荒い息を漏らしていた。
 額に汗が滲み、悩ましげに眉を寄せている表情はとても艶やかに見えてドキドキしてしまう。

「どうした? 奥に注いで欲しいのか?」
「……はぁっ、ぁあっ、……キス、して、ほし、いっ……」

 私はくぐもった声を漏らしながら、必死に言葉を紡いだ。
 その言葉を聞いて彼は驚いた顔を見せた。
 そして小さく笑う。

「構わない。最後はキスをしながら一緒に果てようか」
「……はい」

 奥を激しく貫かれながら、キスを交わす。
 意識は何だか薄れそうになっているけど、彼の温もりに包まれているのがとても幸せに感じた。
 そしてその心地良さに呑み込まれるように、私の意識は溶けるように消えていった。
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