【完結】勇者の幼馴染ですがパーティーを勝手に抜けたら、ヤンデレ化してどこまでも追いかけて来た【R18】

Rila

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21.通じ合う

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 私達は吹雪の中を歩いていた。

 視界の先には一面雪に包まれた真っ白の世界が広がり、方向感覚がわからなくなる。
 まるで私達が進むのを拒むかのように、激しい吹雪が体に打ち付けてきて思うように歩けない。
 何度も雪に足を取られて躓きそうになりながらも、ゆっくりと目的地である魔王城を目指して歩いていた。

 そんな中でもルイスはずっと私の手を繋いでいてくれた。
 それが今の私にはとても安心出来て、何より心強い存在だった。


 最後に立ち寄った町からどれくらい歩いたんだろう。
 歩き始めてからずっと同じ景色ばかり続いていたせいで、どれくらい進んだのかもわからない。

「ラナ、大丈夫か?」
「……うん」
 私の手を引きながら、こうやって少し歩くとルイスは私に声を掛けてくれる。
 そんな優しさが嬉しかった。

「あそこに小屋が見える、少し休んで行こうか」
 ルイスの言葉を聞き視線を奥に向けると、小さな小屋が見えて私は小さく頷いた。

 小屋の前まで辿り着くと、私は服についた雪を手で払い中へと入った。
 ルイスは置かれていた燭を見つけて火をつけると、優しい光が部屋の中を灯した。

 外は随分と暗くなり始めていたので、真っ暗になる前に辿り着けて良かった。
 さすがに真っ暗になった吹雪の中を歩くのは危険過ぎる。
 最後に立ち寄った町で、この小屋の存在は聞いていたので今日はここを目指して進んでいた。

 ここは傭兵達が一時的に休憩する為に作られた小屋だった。
 吹雪が吹き荒れる様になってからは、こんな場所に立ち寄る者も殆どいない為、暫く使われていない感じだった。
 だけど今の私達には休める所があるだけで有難い。

 部屋の中を見渡すと、小さな木製の古びた机と椅子が置かれていて端には暖炉があった。
 その横には暖炉に使う薪木が積まれていた。

「夜は危険だし、朝になるまでここで休んで行こうか」
「そうだね」

 ルイスは暖炉に薪木を入れて火をつけてくれた。
 私達は冷え切った体を温めるために暖炉の傍に座った。
 炎が揺れるように大きくなったり小さくなったりしているのをぼーっと見ているだけで、なんだか心がほっとする。

「ラナ、寒そうだね。こっち…おいで」
 私が寒さから体を小さく震わせていると、ルイスは心配そうな顔をしながら私の前に手を差し出した。
 私は少し恥ずかしそうな顔をしながらもルイスの手を取った。

 私がルイスの前に座ると、そのまま後ろから抱きしめられた。
 さっきまで冷え切っていた体が、抱きしめられると一気に熱が上がっていく様な気がした。

「こうやって後ろから抱きしめるみたいにくっついていると、お互いの熱が伝わって温かいな」
「……うん」
 確かに温かいけど、恥ずかしくて私は耳まで赤く染めていた。

「ラナの耳赤いな、もしかしてこんな時でも意識してくれてるの?」
「違っ…」
 私は恥ずかしさからとっさに否定してしまった。
 そんな私の反応をみてルイスは小さく笑った。

「僕に背中を預けていいよ、その方が楽だろ?」
「ありがとう…」
 私は背中をルイスに預ける様に凭れ掛かると、重なった場所からルイスの体温が伝わって来て背中がじんわりと温かく心地良さを感じた。

 いつだってルイスは私に優しくしてくれる。
 不安な時はいつも傍にいてくれて、私が辛い時は抱きしめてくれる。

 幼い時から近い距離にいて、離れた事なんてほとんどなかったから、優しくされる事は当たり前の事だと思っていた。
 私はルイスの事は兄の様に慕っていたから、ルイスも私の事を妹の様に大事にしてくれているんだと思ってた。

だけど違う。

 ルイスに触れられるとドキドキする。
 優しい顔も、大きな手も、愛してると言ってくれる言葉も、全部私だけのものならいいのにって思ってしまう。
 離れる事を考えると胸が苦しくなる。
 もし本当に兄の様に思っているのだとしたらこんな風には思わない。

 私はルイスの事が好き。
 もう離れるなんて無理だし、これからもずっと傍に居たい。
 魔術師になるのは夢だったけど、今はもっと大事なものが私にはある。

 あの時はすぐには答えが出せなかったけど、今ならもう迷わない。
 だからルイスに気持ちをちゃんと伝えよう。


「ルイス……」
「どうした…?」

「私ね…っ……」

『好き』って言葉を伝えたいのに、ルイスの事を思うと涙が溢れて止まらなかった。
 ルイスは涙が止まらなくなった私の事を何も言わずに落ち着くまで抱きしめてくれた。

「私…ルイスに伝えたいことがあるの」
「…大丈夫か?無理しなくていいよ…」
 ルイスに抱きしめられ落ち着いてくると再び口を開いてみたけど、自分の気持ちをこれから伝えるんだって思うと急にドキドキして緊張してきてしまった。
 そんな私に気づいてなのかルイスは心配そうにそう言ってくれた。

「………」
 どうしよう…。
『好き』って言うだけなのに、どうしてこんなにもドキドキしてしまうんだろう。

「ラナ…?」
 私が黙ってるとルイスは心配そうに私の顔を覗き込んできた。
 視線が合うと私の顔がどんどん火照っていく。

「……もしかして…トイレ行きたい?」
「違うっ!!」
 私がもじもじしていたら変に誤解されて、私は慌てて否定した


「私…ルイスの事…好きなのっ…!」
 もうわけがわかんなくなって勢いよく叫んでしまった。


「………本当に…?」
「……っ……」
 ルイスはその言葉に驚いてる様だった。
 私は勢いで言ってしまった事にショックを受けながらも、恥ずかしくて顔が真っ赤に染まっていた。

「ラナ、もう一回言って?」
「…好き。私…ルイスの事が好き。だからルイスとずっと一緒にいたい…」
 私が真っ赤な顔で恥ずかしそうにそう言うと、ルイスは私の事をぎゅっと強く抱きしめた。

「ラナ、嬉しい。やっとラナと気持ちが通じ合ったんだね」
「うん……私も、嬉しい」

「それなら…もう永遠にラナとは離れなくていいんだね」
「私もルイスとは離れたくない…」
 ルイスは私を求める様に熱っぽい表情で見つめてきた。
 私はそんなルイスの表情にドキドキしていると、ゆっくりとルイスの顔が近づいてきて唇が重なった。

「ラナ…もう絶対に離さないから」
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