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第一章
42.私の気持ち
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ジェラルドの話を聞いた後、私はロランの屋敷へと来ていた。
今後についての作戦を立てるために…。
馬車の中ではロランは深刻な顔をしていて、私でさえも話掛ける勇気が無かった。
こんな状況になっているのはジェラルドのあの発言の所為だが、今頃になってあんな提案を安易に受け入れてしまった自分を後悔した。
あの時の私は色々な感情が交じり、混乱状態であったのは間違いないだろう。
ジェラルドを信じなかった事、ロランに気持ちを乗り換えてしまった事への罪悪感も当然あった。
それにずるい人間だと思われるかもしれないが、ロランと仲良くしている姿を見せつければ、自分から拒絶しなくてもジェラルドが勝手に諦めてくれるのではないかと思ってしまったのだ。
私の中には、この3人の関係を崩したくない思いが、まだどこかに残っていたのかもしれない。
だから自分の手でそれを壊すことは出来なかった。
だけど考えてみれば、私は良いようにジェラルドの策に嵌まった気分だ。
きっとジェラルドの事だから、それも全て分かった上であんな提案をしてきたに違いない。
ジェラルドとはそういう人間だ…。
(ジェラルドは…何を考えているんだろう。アリエル王女との婚約がダメになったから、国王陛下に私と復縁するように迫られた…とか…?)
以前の私ならジェラルドに好きと言われたら、素直に喜んでいたに違いない。
だけど、今回の件ではジェラルドは私には一切何も言わなかった。
私がどんなに辛い思いをしているのか、きっとジェラルドには分かっていたのだろう。
例えそれが上からの命令で口止めされているとしても、私のことを本当に大事に思ってくれているのだとしたら、『信じて待っていてほしい』くらいの言葉は言ってくれても良かったと思う。
ジェラルドは私には何も告げなかった。
どんなに私が落ち込んでいても一切何もしなかった。
ずっとジェラルドのことは好きだったけど、その態度を見たら一気に気持ちも冷めてしまったようだ。
(もうジェラルドの婚約者になんて…なる気は無いわ…)
今回の件でジェラルドへの信頼は完全に無くなったと言っても過言では無い。
きっと…私はジェラルドの言葉を信じることは出来ない。
そしてロランだって酷いと思う。
私の事をあんなにも好きだと言っておきながら、どうしてあの場でははっきりとジェラルドから私を守ってくれなかったんだろう。
そして私に選択を委ねるような事をさせたのだろう。
(ロランは…私がジェラルドと仲良くしても…嫌じゃないのかな…)
そう思うと少し不満を感じてしまう。
ロランにとっての私は、そこまで大事な存在では無いってことなのかな…。
***
ロランの部屋に入ると、早速私は不満を爆発させた。
「ロラン…、どうしてさっきから何も言わないの?……っていうか、なんでジェラルドのあんなふざけた提案に乗ったの…?私は……、ロランと婚約したんだよ?ロランだって…私のことが好きだから、婚約を申し込んでくれたんじゃなかったの…?」
私はロランの手をぎゅっと掴み、責めるようにロランを問い詰めた。
するとロランは苦しそうな表情をみせた。
(そんな顔して……、私の方が困ってるのに…!)
「俺だって…そんなことはしたくなかった…。だけど、アリエル王女との事は誤解だって分かったんだ…。俺は…、半ば強引にシャルとの婚約を決めさせたから……」
「は…?なにそれ…。ロランは……バカなの…?」
今更そんな事を言い出すロランに苛々し始めてきた。
散々強引に私の気持ちを奪っていったくせに、ここに来てジェラルドや私に申し訳ないとでも言うつもりなのだろうか。
確かにロランとの婚約の話は突然で少し強引だったが、最終的にそれを決めたのは私の意思だ。
ロランが私の事をずっと前から大切に思ってくれているのが嬉しかった。
ロランがその気持ちを私に伝えてくれたから、私の心は動いたというのに…。
ここに来て、そんなことを言うなんて信じられなかった。
(それじゃ…まるで私が今でもジェラルドの事を好きだと思っているみたいじゃない…。ロランには私の気持ちは何も届いてないってことなの…?)
そう思うと無性に腹が立つし、悲しくなってくる。
自分が気持ちを声に出すのは苦手なのは分かっているが、ロランなら分かってくれていると勝手に思ってた。
(結局……また自分の所為…なのかな…)
「……シャル…?」
「ロランは私のことをなんだと思っているの?ジェラルドに好きって言われたら簡単に気持ちが戻るとでも思ってた…?……前の私だったら…、そう…だったかもしれないけど…、でもっ…そうならないのは…ロランの所為だよっ!私をこんな気持ちにさせたのはロランなんだから…最後までちゃんと責任を取ってよっ…!」
私は興奮気味に話し、熱くなった目の奥からはじんわりと涙が滲んでいた。
(こんなこと言ったら…嫌われちゃうかな……)
そんな私の態度に最初は驚いていたロランだったが、気付けばきつく抱きしめられていた。
「……ごめん。あの二人の間には、何か誤解があるのだと何となくは気付いてた…。俺にとって最後のチャンスだと思ったから…、シャルが手に入るかもしれないって思ったら…動かずにはいられなかった。そんな卑怯な手を使っても手に入れたいくらい、俺はシャルが欲しかったんだ…」
その声は僅かに掠れていて、ロランもずっと心の中で何かと葛藤していたんだと気付いた。
そしてロランの声を聞けば、私への思いは嘘では無いのだと気付き、私の心を蝕んでいた不安は払拭されていく。
「そこまで思ってくれているのなら…あの時、はっきり断って欲しかった…。流されて答えてしまった私も悪いけど、ロランだって…流されるのが分かってる私に振るなんて…酷いよ…」
「そうだな…。あれは完全にジェラルドに乗せられたよな…、俺達二人とも…」
ロランは力なく笑っていた。
「これから…どうするの?相手はあのジェラルドだよ…。ロランなら分かっているとは思うけど、簡単に引く相手じゃない…。しかも王族だし……あのバカ王子がいなくなった以上、次期国王はジェラルドで間違いないはず…。そんな人に勝てるのかな…」
私は一度は消えた不安そうな顔を再び見せることになってしまう。
「色々と手強い相手なのは間違いないな…。しかも他でもないシャルの事だから、絶対に手を抜くつもりも無いだろうな…。シャルは気付いていたのかは知らないけど、相当思われてるよ…。俺、いつもジェラルドに睨まれていたからな…」
ロランの言葉が正直信じられなかった。
「そんなことないよ、きっと。今回私との復縁だって…もう残り1年で、新たな婚約者を見つけるのが面倒とか、時間が無いとかの理由じゃないの…?」
私が不満そうに答えると、ロランは苦笑していた。
「どちらにせよ…俺はもう迷わないから。ずっとシャルの傍にいるって決めたからな……絶対に…」
「……次、私を見放そうとしたら…許さないからっ…」
今後についての作戦を立てるために…。
馬車の中ではロランは深刻な顔をしていて、私でさえも話掛ける勇気が無かった。
こんな状況になっているのはジェラルドのあの発言の所為だが、今頃になってあんな提案を安易に受け入れてしまった自分を後悔した。
あの時の私は色々な感情が交じり、混乱状態であったのは間違いないだろう。
ジェラルドを信じなかった事、ロランに気持ちを乗り換えてしまった事への罪悪感も当然あった。
それにずるい人間だと思われるかもしれないが、ロランと仲良くしている姿を見せつければ、自分から拒絶しなくてもジェラルドが勝手に諦めてくれるのではないかと思ってしまったのだ。
私の中には、この3人の関係を崩したくない思いが、まだどこかに残っていたのかもしれない。
だから自分の手でそれを壊すことは出来なかった。
だけど考えてみれば、私は良いようにジェラルドの策に嵌まった気分だ。
きっとジェラルドの事だから、それも全て分かった上であんな提案をしてきたに違いない。
ジェラルドとはそういう人間だ…。
(ジェラルドは…何を考えているんだろう。アリエル王女との婚約がダメになったから、国王陛下に私と復縁するように迫られた…とか…?)
以前の私ならジェラルドに好きと言われたら、素直に喜んでいたに違いない。
だけど、今回の件ではジェラルドは私には一切何も言わなかった。
私がどんなに辛い思いをしているのか、きっとジェラルドには分かっていたのだろう。
例えそれが上からの命令で口止めされているとしても、私のことを本当に大事に思ってくれているのだとしたら、『信じて待っていてほしい』くらいの言葉は言ってくれても良かったと思う。
ジェラルドは私には何も告げなかった。
どんなに私が落ち込んでいても一切何もしなかった。
ずっとジェラルドのことは好きだったけど、その態度を見たら一気に気持ちも冷めてしまったようだ。
(もうジェラルドの婚約者になんて…なる気は無いわ…)
今回の件でジェラルドへの信頼は完全に無くなったと言っても過言では無い。
きっと…私はジェラルドの言葉を信じることは出来ない。
そしてロランだって酷いと思う。
私の事をあんなにも好きだと言っておきながら、どうしてあの場でははっきりとジェラルドから私を守ってくれなかったんだろう。
そして私に選択を委ねるような事をさせたのだろう。
(ロランは…私がジェラルドと仲良くしても…嫌じゃないのかな…)
そう思うと少し不満を感じてしまう。
ロランにとっての私は、そこまで大事な存在では無いってことなのかな…。
***
ロランの部屋に入ると、早速私は不満を爆発させた。
「ロラン…、どうしてさっきから何も言わないの?……っていうか、なんでジェラルドのあんなふざけた提案に乗ったの…?私は……、ロランと婚約したんだよ?ロランだって…私のことが好きだから、婚約を申し込んでくれたんじゃなかったの…?」
私はロランの手をぎゅっと掴み、責めるようにロランを問い詰めた。
するとロランは苦しそうな表情をみせた。
(そんな顔して……、私の方が困ってるのに…!)
「俺だって…そんなことはしたくなかった…。だけど、アリエル王女との事は誤解だって分かったんだ…。俺は…、半ば強引にシャルとの婚約を決めさせたから……」
「は…?なにそれ…。ロランは……バカなの…?」
今更そんな事を言い出すロランに苛々し始めてきた。
散々強引に私の気持ちを奪っていったくせに、ここに来てジェラルドや私に申し訳ないとでも言うつもりなのだろうか。
確かにロランとの婚約の話は突然で少し強引だったが、最終的にそれを決めたのは私の意思だ。
ロランが私の事をずっと前から大切に思ってくれているのが嬉しかった。
ロランがその気持ちを私に伝えてくれたから、私の心は動いたというのに…。
ここに来て、そんなことを言うなんて信じられなかった。
(それじゃ…まるで私が今でもジェラルドの事を好きだと思っているみたいじゃない…。ロランには私の気持ちは何も届いてないってことなの…?)
そう思うと無性に腹が立つし、悲しくなってくる。
自分が気持ちを声に出すのは苦手なのは分かっているが、ロランなら分かってくれていると勝手に思ってた。
(結局……また自分の所為…なのかな…)
「……シャル…?」
「ロランは私のことをなんだと思っているの?ジェラルドに好きって言われたら簡単に気持ちが戻るとでも思ってた…?……前の私だったら…、そう…だったかもしれないけど…、でもっ…そうならないのは…ロランの所為だよっ!私をこんな気持ちにさせたのはロランなんだから…最後までちゃんと責任を取ってよっ…!」
私は興奮気味に話し、熱くなった目の奥からはじんわりと涙が滲んでいた。
(こんなこと言ったら…嫌われちゃうかな……)
そんな私の態度に最初は驚いていたロランだったが、気付けばきつく抱きしめられていた。
「……ごめん。あの二人の間には、何か誤解があるのだと何となくは気付いてた…。俺にとって最後のチャンスだと思ったから…、シャルが手に入るかもしれないって思ったら…動かずにはいられなかった。そんな卑怯な手を使っても手に入れたいくらい、俺はシャルが欲しかったんだ…」
その声は僅かに掠れていて、ロランもずっと心の中で何かと葛藤していたんだと気付いた。
そしてロランの声を聞けば、私への思いは嘘では無いのだと気付き、私の心を蝕んでいた不安は払拭されていく。
「そこまで思ってくれているのなら…あの時、はっきり断って欲しかった…。流されて答えてしまった私も悪いけど、ロランだって…流されるのが分かってる私に振るなんて…酷いよ…」
「そうだな…。あれは完全にジェラルドに乗せられたよな…、俺達二人とも…」
ロランは力なく笑っていた。
「これから…どうするの?相手はあのジェラルドだよ…。ロランなら分かっているとは思うけど、簡単に引く相手じゃない…。しかも王族だし……あのバカ王子がいなくなった以上、次期国王はジェラルドで間違いないはず…。そんな人に勝てるのかな…」
私は一度は消えた不安そうな顔を再び見せることになってしまう。
「色々と手強い相手なのは間違いないな…。しかも他でもないシャルの事だから、絶対に手を抜くつもりも無いだろうな…。シャルは気付いていたのかは知らないけど、相当思われてるよ…。俺、いつもジェラルドに睨まれていたからな…」
ロランの言葉が正直信じられなかった。
「そんなことないよ、きっと。今回私との復縁だって…もう残り1年で、新たな婚約者を見つけるのが面倒とか、時間が無いとかの理由じゃないの…?」
私が不満そうに答えると、ロランは苦笑していた。
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