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第二章
67.放っておけない-sideロラン-
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最近ルチアの事があり、シャルとの時間があまり作れていない気がする。
シャルは何も文句は言ってこないが、不満に思っていることは間違いないはずだ。
俺がルチアに会いに行こうとすると、すごく寂しそうな顔を見せる。
そんな顔をさせてしまっている俺自身に腹が立つ。
だけどルチアのことを放っておけないのも事実だ。
それに時間がないのも大きな問題だった。
ルチアの両親は卒業後、直ぐにでも嫁がせようとしているようだ。
それまでに何とかしなければならない。
「ロラン、どうだった?」
「悪い……。だめだった」
昼休み、少し遅れてカフェテラスにやってきた。
端の目立たない席にルチアと向かい合うように座り、昼食を取りながら話をしている。
今話しているのは援助の話だ。
昨日父上にグレイン男爵家への援助を頼めるか聞いてみた。
結果から言えば、だめだった。
援助となれば大きなお金が動くことになる。
そしてグレイン家とも繋がりを持つことにもなる。
俺は余りルチアの家の事を知らなかった。
父上の話では、グレイン家は余り評判のいい家では無いようだ。
男爵は短気でカッとしたらすぐに手を上げるような人間だと聞いた。
その話を聞いて、ルチアのことがすごく心配になった。
そして夫人は浪費家らしい。
援助が無ければやっていくことが出来ない程家は傾いているというのに、一体どこからそんな資金が出ているのだろう。
そんな悪い噂の立つグレイン家に、進んで援助を申し出る者なんていない。
ルチアの婚約は、援助が目的で決められた政略結婚。
両親は欲に眩んで、ルチアの意思など無視して勝手に縁談を決めた。
そんな身売りまがいの事を平気させる、ろくでもない親だ。
俺でもこんな家には援助なんてしたいとは思わないし、何よりこんな家とは関りすら持ちたくない。
ルチアには悪いが、この話を聞いてそう思ってしまった。
「そっか、ダメだったか」
「ごめんな。ぬか喜びさせたよな」
「ううん。そんなことないよ。私の為に動いてくれただけで十分嬉しいから」
ルチアはへらっと表情を緩めて笑っていた。
きっと強がっているのだろう。
(何か、もっといい方法は無いのか……)
「やっぱり、婚約するしか道はないのかも。政略結婚なんて良くある話だし、仕方が無いって諦めちゃった方が楽なのかも」
「そんなに弱気になるなよ。まだ決まった訳はないだろ?俺も一緒に他の解決策を探すからさ」
ルチアは半ば投げやりになっていたが、この男と結婚すれば間違いなく不幸になる。
友人が不幸になる姿なんて誰だって見たくはない。
それに乗り掛かった舟なのだから、最後まで付き合いたいと思ってる。
援助のことはシャルには嘘を付いた。
変に気を遣われても困るし、シャルを巻き込むわけには行かない。
とりあえず落ち込んでいるルチアを励ましながら、なんとか良い方法を探しているというわけだ。
「ロラン、今日の放課後って予定ある?」
「どうしたんだ?」
「あのね、カールが店に来いって連絡してきたの。一人で行くのも少し怖いし、もし良かったら一緒に付いて来てくれないかな?」
「悪い。今日の放課後は予定が……」
今朝、シャルと王都に行く約束をしたことを思い出した。
シャルはすごく嬉しそうな顔をしていたし、今更断るなんて出来ない。
「そっか……」
「悪いな」
俺の言葉を聞いてルチアの表情が一瞬曇った。
その姿を見ていると、放っておけない気持ちになってしまう。
しかもカールも直ぐに手を上げる人間だと聞く。
(シャルには悪いけど、別の日にしてもらうか……)
「やっぱり行く。ルチア一人で行かせるのは心配だ」
「いいの……?でも予定があるんでしょ?無理しなくていいよ」
「いや、大丈夫だ。それは別の日に変更すればいいことだから」
「本当に!?良かった……。本当は一人で行くのすごく怖かったの。だけど他に頼める人なんていないし。ロラン、本当にありがとうっ!」
ルチアは本気で喜んでいた。
(やっぱり怖かったんだな。当然か。シャルには謝らないといけないな……)
シャルは何も文句は言ってこないが、不満に思っていることは間違いないはずだ。
俺がルチアに会いに行こうとすると、すごく寂しそうな顔を見せる。
そんな顔をさせてしまっている俺自身に腹が立つ。
だけどルチアのことを放っておけないのも事実だ。
それに時間がないのも大きな問題だった。
ルチアの両親は卒業後、直ぐにでも嫁がせようとしているようだ。
それまでに何とかしなければならない。
「ロラン、どうだった?」
「悪い……。だめだった」
昼休み、少し遅れてカフェテラスにやってきた。
端の目立たない席にルチアと向かい合うように座り、昼食を取りながら話をしている。
今話しているのは援助の話だ。
昨日父上にグレイン男爵家への援助を頼めるか聞いてみた。
結果から言えば、だめだった。
援助となれば大きなお金が動くことになる。
そしてグレイン家とも繋がりを持つことにもなる。
俺は余りルチアの家の事を知らなかった。
父上の話では、グレイン家は余り評判のいい家では無いようだ。
男爵は短気でカッとしたらすぐに手を上げるような人間だと聞いた。
その話を聞いて、ルチアのことがすごく心配になった。
そして夫人は浪費家らしい。
援助が無ければやっていくことが出来ない程家は傾いているというのに、一体どこからそんな資金が出ているのだろう。
そんな悪い噂の立つグレイン家に、進んで援助を申し出る者なんていない。
ルチアの婚約は、援助が目的で決められた政略結婚。
両親は欲に眩んで、ルチアの意思など無視して勝手に縁談を決めた。
そんな身売りまがいの事を平気させる、ろくでもない親だ。
俺でもこんな家には援助なんてしたいとは思わないし、何よりこんな家とは関りすら持ちたくない。
ルチアには悪いが、この話を聞いてそう思ってしまった。
「そっか、ダメだったか」
「ごめんな。ぬか喜びさせたよな」
「ううん。そんなことないよ。私の為に動いてくれただけで十分嬉しいから」
ルチアはへらっと表情を緩めて笑っていた。
きっと強がっているのだろう。
(何か、もっといい方法は無いのか……)
「やっぱり、婚約するしか道はないのかも。政略結婚なんて良くある話だし、仕方が無いって諦めちゃった方が楽なのかも」
「そんなに弱気になるなよ。まだ決まった訳はないだろ?俺も一緒に他の解決策を探すからさ」
ルチアは半ば投げやりになっていたが、この男と結婚すれば間違いなく不幸になる。
友人が不幸になる姿なんて誰だって見たくはない。
それに乗り掛かった舟なのだから、最後まで付き合いたいと思ってる。
援助のことはシャルには嘘を付いた。
変に気を遣われても困るし、シャルを巻き込むわけには行かない。
とりあえず落ち込んでいるルチアを励ましながら、なんとか良い方法を探しているというわけだ。
「ロラン、今日の放課後って予定ある?」
「どうしたんだ?」
「あのね、カールが店に来いって連絡してきたの。一人で行くのも少し怖いし、もし良かったら一緒に付いて来てくれないかな?」
「悪い。今日の放課後は予定が……」
今朝、シャルと王都に行く約束をしたことを思い出した。
シャルはすごく嬉しそうな顔をしていたし、今更断るなんて出来ない。
「そっか……」
「悪いな」
俺の言葉を聞いてルチアの表情が一瞬曇った。
その姿を見ていると、放っておけない気持ちになってしまう。
しかもカールも直ぐに手を上げる人間だと聞く。
(シャルには悪いけど、別の日にしてもらうか……)
「やっぱり行く。ルチア一人で行かせるのは心配だ」
「いいの……?でも予定があるんでしょ?無理しなくていいよ」
「いや、大丈夫だ。それは別の日に変更すればいいことだから」
「本当に!?良かった……。本当は一人で行くのすごく怖かったの。だけど他に頼める人なんていないし。ロラン、本当にありがとうっ!」
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