15 / 66
第一章:私の婚約者を奪おうとしないでくださいっ!
15.話合い当日
しおりを挟む
あれから数日が過ぎ、私は王宮へと出向いていた
今は待機室に一人で待っている状態なのだが、いつもに増して私の表情は緊張で強ばっている。
私にとってミレーユは憎い存在でも怖い人間でもあり、それはあの日から変わっていない。
そんな王女を相手にするのだから、緊張してしまうのも仕方のないことだ。
そしてロジェに復讐をするという目的も加わった。
おかげで昨日の夜は一睡も出来なかった。
「ふわぁっ……、眠い」
私の気の抜けた声が室内に響き渡る。
「緊張しているのではないかと思っていたが、その様子なら心配はなさそうだな」
突然扉の方から聞き慣れた声が響いてきたので、そちらに視線を向けた。
するとエルネストの姿が視界に入ってきて、私は驚いて席から立ち上がった。
「……っ!?お見苦しいものをお見せてしまい申し訳ありません。今日はどうぞ、よろしくおねがいします」
私は恥ずかしくなり、顔を真っ赤に染めながら慌てて頭を下げた。
「見苦しくなんてないよ。可愛らしい君の欠伸をしている姿を見れて私も満足している。少し早めに来て正解だったようだな」
「……もうっ、からかわないでくださいっ!」
エルネストは楽しそうに笑っていた。
私は恥ずかしそうに、むっとした顔で返した。
「昨日は眠れなかったのか?」
「はい、一睡も」
「それなら眠くて当然か。また欠伸をしたくなったら、その時は遠慮せずしてくれて構わないよ。君の欠伸を見ていると和むからな」
「……エルネスト様っ!」
エルネストは冗談交じりにまだそんなことを言って来る。
私はその態度に完全に振り回されていた。
(もうやだ。なんでよりにもよってエルネスト様に欠伸してる所、見せちゃったんだろう……)
「悪い、これ以上言うのはやめておこう。君に嫌われたくはないからな」
その言葉を聞いて私はひとまず安心した。
「今日のことだが。今分かっていることを先に伝えておく」
「はい……」
先程の和やかな空気は、エルネストの真剣な顔を見た瞬間張り詰めたものに変わっていく。
「話し合いは姉上の部屋で行う」
「え?」
「これは姉上本人が望んだことだ。それから、君を同席させることを事前に伝えていた所為か、姉上は君の婚約者を呼んだようだ。これについては想定済みだし、君の計画を始めるのには絶好の機会だと思ってる」
「今日はよろしくお願いします」
「ああ。きっと上手く行くはずだ」
不安が無いと言えば嘘になる。
だけど私にはエルネストという最強の協力者が付いている。
エルネストのいつもと変わりない態度を見ていたら、安心して余計な力が解けていくような気がした。
「君の計画を始めるために、いくつかお願いしたことがある」
「は、はいっ。私は何をしたらいいんでしょうか?」
「私は君に好意を向けているような仕草を取るから、それに合わせて欲しい。それと私の言うことには従うこと、かな」
「……なんか、申し訳ありません」
エルネストの言葉を聞いて、私はとんでもないお願いをしてしまったことに気付いた。
いくら計画だからといっても、エルネストは好きでも無い私にそういった態度を取ることに抵抗はないのだろうか。
私は自分の気持ちだけで決断してしまった。
あの時ちゃんとエルネストの意思も聞くべきだったと、今更ながら後悔した。
「どうして謝るんだ?」
「だって……、設定とはいえエルネスト様が私に好意を向けているなんて。私とんでもないお願いをしていたんですね」
「そんなことはないよ。元々君には興味を抱いていたし、この場合好意を持っていたと言ってもいいかもしれないな。だから大した問題にはならないよ」
「そ、そうですよね。私達は友人ですし」
「ああ、その通りだ。君と友人になってからは、毎日楽しくなったと感じているくらいだからな。これから一ヶ月間、君のことを独占出来ると思うと、こちらとしても嬉しい限りだよ」
「独占って……。一ヶ月?」
エルネストはサラリとそんなことを言っていたが、私は一人で困惑していた。
そして一ヶ月という言葉に首を傾げた。
「君が辛い思いを強いられたのは約一ヶ月程と聞いたからな。だから同じだけの期間を取ろうと思っていたが、他に希望はあるか?」
「いえ、それで大丈夫です。だけどエルネスト様の方こそ、私のために一ヶ月も付き合わせてしまって大丈夫なんでしょうか。周りから変な目で見られてしまうかも」
「私の事なら問題ないよ。最近は君と良く一緒にいたし、周りもそこまで気にすることは無いはずだ。だからそんなことは気にしなくていい。折角だし楽しもう」
楽観的な考えのエルネストに少し救われた気がした。
今回の事は全て私のために行われることで、エルネストにとっては得になることは一つも無いはずだ。
私の復讐に無理矢理付き合わせてしまっているのではないかと心配していたので、今の話を聞けて少しだけ安心した。
(本当にエルネスト様は優しいな……)
「心の準備が出来たら行こうか。フェリシア」
今は待機室に一人で待っている状態なのだが、いつもに増して私の表情は緊張で強ばっている。
私にとってミレーユは憎い存在でも怖い人間でもあり、それはあの日から変わっていない。
そんな王女を相手にするのだから、緊張してしまうのも仕方のないことだ。
そしてロジェに復讐をするという目的も加わった。
おかげで昨日の夜は一睡も出来なかった。
「ふわぁっ……、眠い」
私の気の抜けた声が室内に響き渡る。
「緊張しているのではないかと思っていたが、その様子なら心配はなさそうだな」
突然扉の方から聞き慣れた声が響いてきたので、そちらに視線を向けた。
するとエルネストの姿が視界に入ってきて、私は驚いて席から立ち上がった。
「……っ!?お見苦しいものをお見せてしまい申し訳ありません。今日はどうぞ、よろしくおねがいします」
私は恥ずかしくなり、顔を真っ赤に染めながら慌てて頭を下げた。
「見苦しくなんてないよ。可愛らしい君の欠伸をしている姿を見れて私も満足している。少し早めに来て正解だったようだな」
「……もうっ、からかわないでくださいっ!」
エルネストは楽しそうに笑っていた。
私は恥ずかしそうに、むっとした顔で返した。
「昨日は眠れなかったのか?」
「はい、一睡も」
「それなら眠くて当然か。また欠伸をしたくなったら、その時は遠慮せずしてくれて構わないよ。君の欠伸を見ていると和むからな」
「……エルネスト様っ!」
エルネストは冗談交じりにまだそんなことを言って来る。
私はその態度に完全に振り回されていた。
(もうやだ。なんでよりにもよってエルネスト様に欠伸してる所、見せちゃったんだろう……)
「悪い、これ以上言うのはやめておこう。君に嫌われたくはないからな」
その言葉を聞いて私はひとまず安心した。
「今日のことだが。今分かっていることを先に伝えておく」
「はい……」
先程の和やかな空気は、エルネストの真剣な顔を見た瞬間張り詰めたものに変わっていく。
「話し合いは姉上の部屋で行う」
「え?」
「これは姉上本人が望んだことだ。それから、君を同席させることを事前に伝えていた所為か、姉上は君の婚約者を呼んだようだ。これについては想定済みだし、君の計画を始めるのには絶好の機会だと思ってる」
「今日はよろしくお願いします」
「ああ。きっと上手く行くはずだ」
不安が無いと言えば嘘になる。
だけど私にはエルネストという最強の協力者が付いている。
エルネストのいつもと変わりない態度を見ていたら、安心して余計な力が解けていくような気がした。
「君の計画を始めるために、いくつかお願いしたことがある」
「は、はいっ。私は何をしたらいいんでしょうか?」
「私は君に好意を向けているような仕草を取るから、それに合わせて欲しい。それと私の言うことには従うこと、かな」
「……なんか、申し訳ありません」
エルネストの言葉を聞いて、私はとんでもないお願いをしてしまったことに気付いた。
いくら計画だからといっても、エルネストは好きでも無い私にそういった態度を取ることに抵抗はないのだろうか。
私は自分の気持ちだけで決断してしまった。
あの時ちゃんとエルネストの意思も聞くべきだったと、今更ながら後悔した。
「どうして謝るんだ?」
「だって……、設定とはいえエルネスト様が私に好意を向けているなんて。私とんでもないお願いをしていたんですね」
「そんなことはないよ。元々君には興味を抱いていたし、この場合好意を持っていたと言ってもいいかもしれないな。だから大した問題にはならないよ」
「そ、そうですよね。私達は友人ですし」
「ああ、その通りだ。君と友人になってからは、毎日楽しくなったと感じているくらいだからな。これから一ヶ月間、君のことを独占出来ると思うと、こちらとしても嬉しい限りだよ」
「独占って……。一ヶ月?」
エルネストはサラリとそんなことを言っていたが、私は一人で困惑していた。
そして一ヶ月という言葉に首を傾げた。
「君が辛い思いを強いられたのは約一ヶ月程と聞いたからな。だから同じだけの期間を取ろうと思っていたが、他に希望はあるか?」
「いえ、それで大丈夫です。だけどエルネスト様の方こそ、私のために一ヶ月も付き合わせてしまって大丈夫なんでしょうか。周りから変な目で見られてしまうかも」
「私の事なら問題ないよ。最近は君と良く一緒にいたし、周りもそこまで気にすることは無いはずだ。だからそんなことは気にしなくていい。折角だし楽しもう」
楽観的な考えのエルネストに少し救われた気がした。
今回の事は全て私のために行われることで、エルネストにとっては得になることは一つも無いはずだ。
私の復讐に無理矢理付き合わせてしまっているのではないかと心配していたので、今の話を聞けて少しだけ安心した。
(本当にエルネスト様は優しいな……)
「心の準備が出来たら行こうか。フェリシア」
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
逃した番は他国に嫁ぐ
基本二度寝
恋愛
「番が現れたら、婚約を解消してほしい」
婚約者との茶会。
和やかな会話が落ち着いた所で、改まって座を正した王太子ヴェロージオは婚約者の公爵令嬢グリシアにそう願った。
獣人の血が交じるこの国で、番というものの存在の大きさは誰しも理解している。
だから、グリシアも頷いた。
「はい。わかりました。お互いどちらかが番と出会えたら円満に婚約解消をしましょう!」
グリシアに答えに満足したはずなのだが、ヴェロージオの心に沸き上がる感情。
こちらの希望を受け入れられたはずのに…、何故か、もやっとした気持ちになった。
結婚して5年、冷たい夫に離縁を申し立てたらみんなに止められています。
真田どんぐり
恋愛
ー5年前、ストレイ伯爵家の美しい令嬢、アルヴィラ・ストレイはアレンベル侯爵家の侯爵、ダリウス・アレンベルと結婚してアルヴィラ・アレンベルへとなった。
親同士に決められた政略結婚だったが、アルヴィラは旦那様とちゃんと愛し合ってやっていこうと決意していたのに……。
そんな決意を打ち砕くかのように旦那様の態度はずっと冷たかった。
(しかも私にだけ!!)
社交界に行っても、使用人の前でもどんな時でも冷たい態度を取られた私は周りの噂の恰好の的。
最初こそ我慢していたが、ある日、偶然旦那様とその幼馴染の不倫疑惑を耳にする。
(((こんな仕打ち、あんまりよーー!!)))
旦那様の態度にとうとう耐えられなくなった私は、ついに離縁を決意したーーーー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる