仮想空間ニ咲ク花

亀戸しほり

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† ①なんとなく戦う乙女たち†

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「眠れる美しい花たちよ、我に力をーー」

高く力強い少女の声と共に、
大地から長いツルがにょろにょろと生えだす。少女がツルの先端の蕾に触れると、青い光が手の中に宿った。

「ブルーエルフィン!」
少女の両手から放たれた大きな水の渦が、赤いドラゴンを飲み込む。

「グアアッ」

ドラゴンが、どすん!と大きな音を立てて地面に倒れ込んだ。

「やったわ!やるじゃないリナ。」
「えへへ、みんなのおかげだよ~」
を、倒した少女の名はリナリア。
高く結ばれたツインテールを揺らしながら、「ふぅ」と息をついた。

「そうですよね。私、何回リナさんを蘇生したと思ってるんですか?滝のように魔力使ったんですけど。」
冷たい笑顔で淡々と攻撃してくるのは亜実果(アミカ)。きれいな黒髪を持ち、桜色の着物をきている。

「ねーリナちゃん、これ部位破壊できてないよ…」
小さい声でぼやくのはハルシオンという白髪の美しい少女。

「できてないのぉ?!どういうことよリナぁ」
きれいに巻かれた栗色の髪、淡い水色のチュールドレスを纏った華やかな容姿…に反してものすごく眉間に皺を寄せているシエリ。

パーティメンバーの3人が口々に文句を言い放つ。

「なっ…なんなのみんなして!
ほ、ほらほら、見て、朝焼けだ!
空がきれいだよ!」

焦ったリナリアが東の空を指さして話をすり替える。

「まったく…でも、新マップいいですよね」
亜実果(あみか)が眩しそうな目で言った。

「え、リアルも外明るくね?」
シエリが顔を青くした。

「うっそ」リナリアも青くなる。

「あたしこれから仕事なんだけど…やばい、しにたくなってきた」
「あたしも朝からバイトだ終わった…」
シエリとリナリアの言葉でパーティ内チャットは加速する。

「わたしは休みです^^ 」
と亜実果。
「わたしもー」
とハルシオン。
「ハルちゃんはニートでしょ」「おめーはニートだろ」
ハリナリアとシエリがすかさずツッコむ。

「あー!もうあたし肩痛いからおちる!」
シエリがそう叫ぶと
「おつーノシ」
「おつです」
みんなが別れの挨拶を告げる。

シエリのアバターが消えたタイミングで、
「ババアおつ」
見計らっていたかのようにハルシオンがひゅっとパーティチャットを寄越した。

するとシエリが再び、ぬっと現れた。
「家でアイテム整理してました~♡まだいるわよ💢」

これは4人の少女たちが繰り広げる、
遠い遠いインターネットのお話ーー
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