1 / 2
† ①なんとなく戦う乙女たち†
しおりを挟む「眠れる美しい花たちよ、我に力をーー」
高く力強い少女の声と共に、
大地から長いツルがにょろにょろと生えだす。少女がツルの先端の蕾に触れると、青い光が手の中に宿った。
「ブルーエルフィン!」
少女の両手から放たれた大きな水の渦が、赤いドラゴンを飲み込む。
「グアアッ」
ドラゴンが、どすん!と大きな音を立てて地面に倒れ込んだ。
「やったわ!やるじゃないリナ。」
「えへへ、みんなのおかげだよ~」
を、倒した少女の名はリナリア。
高く結ばれたツインテールを揺らしながら、「ふぅ」と息をついた。
「そうですよね。私、何回リナさんを蘇生したと思ってるんですか?滝のように魔力使ったんですけど。」
冷たい笑顔で淡々と攻撃してくるのは亜実果(アミカ)。きれいな黒髪を持ち、桜色の着物をきている。
「ねーリナちゃん、これ部位破壊できてないよ…」
小さい声でぼやくのはハルシオンという白髪の美しい少女。
「できてないのぉ?!どういうことよリナぁ」
きれいに巻かれた栗色の髪、淡い水色のチュールドレスを纏った華やかな容姿…に反してものすごく眉間に皺を寄せているシエリ。
パーティメンバーの3人が口々に文句を言い放つ。
「なっ…なんなのみんなして!
ほ、ほらほら、見て、朝焼けだ!
空がきれいだよ!」
焦ったリナリアが東の空を指さして話をすり替える。
「まったく…でも、新マップいいですよね」
亜実果(あみか)が眩しそうな目で言った。
「え、リアルも外明るくね?」
シエリが顔を青くした。
「うっそ」リナリアも青くなる。
「あたしこれから仕事なんだけど…やばい、しにたくなってきた」
「あたしも朝からバイトだ終わった…」
シエリとリナリアの言葉でパーティ内チャットは加速する。
「わたしは休みです^^ 」
と亜実果。
「わたしもー」
とハルシオン。
「ハルちゃんはニートでしょ」「おめーはニートだろ」
ハリナリアとシエリがすかさずツッコむ。
「あー!もうあたし肩痛いからおちる!」
シエリがそう叫ぶと
「おつーノシ」
「おつです」
みんなが別れの挨拶を告げる。
シエリのアバターが消えたタイミングで、
「ババアおつ」
見計らっていたかのようにハルシオンがひゅっとパーティチャットを寄越した。
するとシエリが再び、ぬっと現れた。
「家でアイテム整理してました~♡まだいるわよ💢」
これは4人の少女たちが繰り広げる、
遠い遠いインターネットのお話ーー
0
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
聖女追放 ~私が去ったあとは病で国は大変なことになっているでしょう~
白横町ねる
ファンタジー
聖女エリスは民の幸福を日々祈っていたが、ある日突然、王子から解任を告げられる。
王子の説得もままならないまま、国を追い出されてしまうエリス。
彼女は亡命のため、鞄一つで遠い隣国へ向かうのだった……。
#表紙絵は、もふ様に描いていただきました。
#エブリスタにて連載しました。
繰り返しのその先は
みなせ
ファンタジー
婚約者がある女性をそばに置くようになってから、
私は悪女と呼ばれるようになった。
私が声を上げると、彼女は涙を流す。
そのたびに私の居場所はなくなっていく。
そして、とうとう命を落とした。
そう、死んでしまったはずだった。
なのに死んだと思ったのに、目を覚ます。
婚約が決まったあの日の朝に。
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
婚約者の幼馴染?それが何か?
仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた
「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」
目の前にいる私の事はガン無視である
「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」
リカルドにそう言われたマリサは
「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」
ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・
「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」
「そんな!リカルド酷い!」
マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している
この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ
タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」
「まってくれタバサ!誤解なんだ」
リカルドを置いて、タバサは席を立った
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
てめぇの所為だよ
章槻雅希
ファンタジー
王太子ウルリコは政略によって結ばれた婚約が気に食わなかった。それを隠そうともせずに臨んだ婚約者エウフェミアとの茶会で彼は自分ばかりが貧乏くじを引いたと彼女を責める。しかし、見事に返り討ちに遭うのだった。
『小説家になろう』様・『アルファポリス』様の重複投稿、自サイトにも掲載。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる