異世界召喚されたユウキのスキルを知った女性達は今日も彼を愛する

昆布海胆

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第86話 死闘デヌピサロ! 人類の勝利は目前?

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ダーマン跡地で行われている戦闘はまさに一方的な展開となっていた。

「あはははは・・・あはははははは!!!」

相変わらず鋼鉄姫のスキル『がんせきおとし』により投擲した岩が敵を襲い、他の者のスキルや魔法攻撃が遠距離から敵を粉砕していく・・・
これが塔卒の取れた人間とハルヌゲドンのせいで暴走している魔物との違いであった・・・
そもそもこの世界の魔物の殆どは、ほぼ絶滅していると言っても過言ではない程数を減らしていた。
そんな状況下でデヌピサロの肉体を媒介として生み出されたばかりの魔物達。
生まれてから時間もたっておらず、知能が未だ宿った状態でもないのにも関わらず、ハルヌゲドンのせいで戦いに駆り立たされているのだ。
魔物の成体として産み落とされた事で、闘争本能のみで戦っているのである!

「ん”ぐっんッ♡」
「ふぁぁああ♡」

後方では兵士達の青姦乱交が続く・・・
3Pも4Pも自由に各々が好き勝手に交わり、誰もが快楽を貪るのに楽しそうに参加していた。
特に人類側の圧勝と言う事で気持ちが昂っている者が多いので仕方ないだろう。
誰と誰がではなく、淫らに乱れ好き勝手に交わるその姿はまるで獣そのもの・・・
だが本人達もその行為が女性兵士のスキル『浄化』を発動させる事に繋がるので良しとしていた。
肉欲に溺れ醜態を晒す事すらも人は免罪符を手に入れれば悪く思わないものなのだ。

「うっ♡ はぁあ♡♡♡」
「あ”はぁっ♡イクっ♡♡」

特に満足した者が終わりにしたいと言い出せば、それ以上犯す事が無いのがこの乱交のポイントである。
例え途中で在ろうが、もう一回したいと願おうが、相手が断ればそこまでで中断するというルールを誰もが守っていた。
それに文句言い出す者が居ないのは、最低1回は誰もが中出しをしているからだろう。
行為に参加した女兵士の半数は、確実に誰の子か分からないまま孕んでいるのは確実なのだ。
だが後にスキル鑑定で誰の子を孕んだのか調べられるというのを女達はローザから聞いて知っている。
事前に作戦に組み込まれていた為に、避妊魔法を希望者は使用しているのだ。
ユウキのレベリングにより強くなった女性達にとって一つの悩みが結婚相手であった・・・
旦那よりも強い妻、それを良しとする男性が数少ないというのは当然であろう・・・
だからこそ既成事実を国公認で認めるこの乱交を喜ぶ者が多いのだ。
例えそれが人類存続を賭けた最終決戦の場であろうが・・・

「次私~♡」
「私も~♡」

中に満足するだけ射精され、前線に出てきた女兵士達と入れ替わりで別の女兵士が鎧を脱ぎ捨て乱交に参加していく・・・
元々乱交に参加するつもりだった女兵士が膣内に精液を保持したまま戦っているなんて魔物側も思いもしない事だろう。
今この瞬間にも前線に出てきた目の前の雌は受精している最中なのだ。

「おっ♡うきゅぅぅぅ♡」
「ゴリゴリきてうぅ♡」
「あひィん♡」
「両方なんて無理・・・ぃ♡」

呆れる程不真面目な集団、これがこの世界の人類の最強の部隊である!
だがこの無茶苦茶な部隊の戦闘・・・
その戦いは魔物と人類の戦いの歴史の中でも最高に位置する程激しく一方的な物であった・・・
肉欲に溺れるのを解放された兵士達は嬉々として戦いに挑み、自滅覚悟で体液をまき散らして死ぬ魔物の体液は誰かの『浄化』で安全に処理される。
これら全てがローザの作戦による指示なのだ!

「お”あ”あ”あ”♡♡」
「あア♡イイとこ当たってるぅ♡」
「シキューあっつぅうぅい・・・♡」

しかし、誰一人として気付かない・・・
上空からその戦いを覗き見ている存在の事に・・・









場所は変わって、ローザサイドではデヌピサロとの戦闘が始まっていた。

ブンッ!

デヌピサロの巨大な右腕の剣が横なぎに払われシズは大きく後ろに飛んだ。
逃げつつもシズは結界の様な良い目安があるので参考にしながら回避を続ける。

「あっ♡ んっ♡ ふっ♡」
「あぁ・・・暖かいよセリシア・・・」
「きもちいぃィ・・・」

シズは横目でゼロとセリシアがSEXしているのをチラリと見つつデヌピサロの攻撃を回避する。
もしもの時にそのまま逃げられるように、ローザの指示で駅弁ファックを行っているゼロとセリシア。
だがそれが予想以上に深く結合する事となっており、セリシアはもう何度も達していた。

「くっ、ローザ様まだですか?!このままじゃシズさんが・・・」
「まだよ、シズを信じなさい」

真後ろでSEXが行われているにも関わらずローザとソアラは気にせずにデヌピサロとシズの一騎打ちを見守っていた。
いや、一騎打ちとは言っても一方的にデヌピサロが攻撃を仕掛け、シズがそれを悉く回避しているだけであるが・・・
そんな二人の動きを見守りながらローザは確認を行っていた。
それは肉眼で『浄化』スキル効果が発動する範囲を確認できる事を利用して、後ろでゼロとセリシアのSEXによる浄化の発動範囲を確認しつつ、素早く動いた際に浄化の中から外に出てしまわないかを調べていたのだ。

やがてその範囲が確認できたのか、ローザは巨大な2本の剣を振り回すデヌピサロに向かって手を伸ばす。
瞬時にその手に木で出来た杖が出現する・・・アイテムボックスから取り出したのだ。
それをチラリとシズが確認し頷いた!

「いくわよ!『ベラギマ』!」

ローザの詠唱と共に多数の火の玉が一斉に杖から放出される!
巨体なのに素早く動くデヌピサロに向かって放たれた火炎弾は直撃させるのが難しいからか、弾幕をばら撒く様に放たれたのだ!
放物線を描き、飛来する火炎の弾幕は逃げ場がない程多く、デヌピサロは険しい瞳でそれを目視した。
その直後・・・

『ブルァアアアアアアアアアア!!!』

デヌピサロは巨大な剣を火炎の弾幕目掛けて振り下ろす!
それも面で振り下ろす事で突風が巻き起こり、ローザの放った火炎弾が左右に分かれる様に反れていく。
直撃コースだった物だけが剣の腹で爆発し押しつぶされた!
だが・・・

「あまいんだよぉおおおお!!!」

シズが滑り込むように反れた火炎弾の一つに向かって走り込んだ!
そして、アイテムボックスから取り出した鉄の物体を振りかぶった!
今まで素手で回避に専念していたシズが突如見せた武器にデヌピサロは驚いた。
それもその筈、それは鉄でできた・・・フライパンだからである!

「オラァ!」

ガイーン!と大きな金属音が響き、ローザの放った火炎弾の一つがデヌピサロの顔面に向かって跳ね返された!
撃ち返した事で加速した火炎弾は真っ直ぐにデヌピサロの顔面に直撃し大きな爆発を上げる!

『グォオオン!』

響く呻き声、少ないチャンスとばかりにシズがフライパンから愛用の槍に持ち替えて突撃をする!
周囲に散らばったローザのベラギマが地面に落ちて爆発し、まるで特撮ヒーローのワンシーンの様にシズはデヌピサロの胸に向かって飛んだ!
だが・・・

『甘いわ!』

そのシズ目掛けてもう片方の剣が横から迫る!
勢いよく振り下ろされた剣はそのままに、2本目の剣が襲い掛かってきたのだ!
だが、それを体を空中でクルリと回転させシズは紙一重で回避した。
そう、この戦いが始まってからシズの動きを見ている者にとっては当たり前の事なのだが・・・
デヌピサロの猛攻とも言える攻撃をシズは余裕を見せた感じで回避し続けていた。
当然であろう、時間が巻き戻る前一騎打ちで戦った時ですらシズのステータスはデヌピサロを既に凌駕していたのだ。
ここの空気中に含まれる魔物の体液の効果、更にマネマネによる弱体化、その上ローザとハナの敗北・・・
あれがあった事で不覚を取った。
だが、それでも1対1でシズが簡単に負けるというのはおかしすぎたのだ。
しかし、あれから1週間、実に5レベルもユウキのレベリングを受けたシズはレベルアップしていた。
だからこそこの程度の一撃を回避するのは非常に容易い、しかし・・・

「隙あり!」
『そう、思っただろ?』

不可解な現象が再び起こった。
片方の剣は振り下ろされ、もう片方は横に振りきられデヌピサロは無防備な筈であった・・・
だが、シズの頭上に向かって巨大な剣が振り下ろされていたのだ!?
物理的にありえない動き、真っすぐに振り下ろされた剣が迫る中・・・シズの口端が歪む・・・
まるで知っていたかのように・・・そして・・・

ガイーン!

大きな金属音と共に兵士長ソアラがそこに居た。
アイテムボックスから取り出した巨大な盾を頭上に掲げ、シズの真後ろから飛び上がりデヌピサロの一撃を防いだのだ!
勿論ソアラは両手を頭上に上げている為、ローブがめくれ裸体がデヌピサロの視界に入る。
豊満な胸がプルンッと揺れ、空中で止められた剣が押し返される。
ユウキとのレベリング回数が少なく、ローザやシズとは力の差があるとは言え、兵士長にまで登り詰めたその実力は本物である!
だが・・・

『まだだ!』

再び横薙ぎに剣が迫る、それもまたあり得ない動き・・・
4本目の剣がシズに襲い掛かったのだが・・・

「はぁあ!!」

シズはそれを槍で叩き落とした!
直ぐ真後ろにソアラが居たので回避では無く弾く選択をしたのだ。
4連撃、2本の腕では足りない・・・まさしく目を疑いたくなる光景・・・
しかしこれもまたシズとローザの計算通りであった・・・

「よくやったわ二人共!喰らえ!!『バギデイン!』」

空中でゆっくりと時が流れる様に浮遊するソアラとシズ、その間を雷の刃が通過する!
ローザの放ったオリジナルの新魔法、スキル『合成魔法』により風魔法と雷魔法が融合され杖から放たれたのだ!
真っ直ぐに縦に出来た雷の斬撃、初めてデヌピサロの顔が驚愕に歪む。









前日アリアハノ城会議室

「攻撃を回避した筈なのに攻撃を受けた・・・あれはきっとヤツの持つ『2回行動』という特性のせいだろう・・・」

最終決戦前日、決戦に向けて会議を行っている中、シズが魔王化した際に見たデヌピサロのステータスについて話していた。
そして、ローザが口を開く・・・

「今、2回行動と言うモノに付いて調べてみて驚いたわ・・・」
「どうしたのですか?」
「しっかり聞いてシズ・・・『2回行動』とは同じ瞬間に2回行動出来るという特性・・・それは多次元屈折現象と言えばいいのかしら・・・」
「「「???」」」

一同が首を傾げる、ローザの話した言葉の意味が分からないのだ。
それはそうであろう、ローザが持つ『全能の英知』と言うユウキのスキルを会得する際に必要とされたスキルにより、名称からどのような効果なのかを調べた結果出た言葉なのだから。
科学だけではなく魔法学も存在するこの世界では、馴染の無さすぎる言葉だからである。

「つまりね、今私が右拳を前に突き出すでしょ?」
「はい・・・」
「それと同時に右手でこのコップを持って水を飲むことが出来るのよ」

ローザの言葉に場がシーンと静まり返る、その言葉が本当なのだとしたら・・・

「つまり、攻撃している最中に防御や回避もする事が出来るって事なの」
「そ・・・そんな無茶苦茶な?!」

ソアラがそう叫ぶがシズは小さく笑って告げる・・・

「つまり、両腕で2回行動の攻撃を誘い・・・」
「そう、4回の攻撃全てをなんとかすれば・・・」

シズの言葉にローザが続くが、ソアラは首を横に振る・・・
あり得ない、何言ってるんだこの人達?!と言わんばかりだが・・・

「それにはソアラ、貴女の協力が必要よ」

ローザの真剣な目がソアラを見詰め、ソアラはゴクリと生唾を飲み込む・・・
全て卓上理論とも言えそうなローザの数々の作戦・・・
だが実際に人類の勝利の為に考えられたその事を考えソアラは頷いた。

「あ♡ イクぅ♡♡あああ・・・♡ はぁン♡ ぐうぅ・・・ッ♡♡ あひィイイイイイイイイイイイイイイ!!!」
「ン”ッ♡んうぅうう♡ んほぉ♡♡ッ・・・―――~~~~♡♡♡ っ・・・・・・」

隣の部屋で今まさにローザの作戦に従い、ユウキとSEXしているメイド二人の絶叫を聞きながら・・・
突如二人のメイドとユウキにローザが頼んだその行為にどういう意味があるのか・・・








「はあぁぁ♡ あァア♡ ンァああ♡♡・・・」

セリシアの喘ぐ声が割れる!
ローザの放ったバギデインが音速に到達し音を割ったのだ!
真っ直ぐにデヌピサロに向かって飛ぶ雷の斬撃はシズとソアラの耳に残響を響かせて飛んだ!

『っっ?!?!』

デヌピサロはまさしく目を疑った事だろう、開かれたその目に映る青白い斬撃は瞬時に迫ってきたのだから!
シズが単独で戦いを挑み、回避に専念し続けた事で捕らえようと躍起になった結果、全てを攻撃に回してしまうという愚策を誘導されたのだ。
2回行動を使用した事で瞬時に防御に回る事も出来ず、苦肉の策として強制的に体を横に動かして避けようとした・・・だが!

ザシューン!!!

身を捻り横に倒す事で直撃を回避したデヌピサロの右腕の根元、肩の部分から先が宙を舞う!
その腕は巨大な剣を掴んだまま弧を描き、辺りに緑の血が飛び散る!
デヌピサロの右腕が切断されたのだ!

「やった!」
「はヒィぃン♡」

それを見ていたゼロが歓喜の声と共にセリシアを突き上げる!
子宮を強くノックされた事で再び絶頂するセリシアはガクガクと震え、涎を垂らしてチラリとデヌピサロを見る・・・
自身を生み出した存在であるデヌピサロのあり得ない姿、大量の魔物を生み出した事で痩せて弱っているとは言え、本来自分達とは隔絶した実力を持つ筈の存在の状態。
本当に人類が勝利し、自分とゼロが結ばれる話が現実味を帯びてきたのを感じる・・・
人は遠足よりも遠足の前日が楽しみと言う様に、その光景を夢見る時が一番幸せとは良く言ったモノである。

「・・・幸せぇ♡」

魔物として生まれた自分を愛してくれるゼロ、夢物語とも思えた幸せがそこに来ているのを実感したのだ。
自分達を守ってくれている赤髪メイド、彼女と二人でゼロを愛する事を許可されたローザの言葉が真実味を帯びた瞬間である。
しかし、そんなセリシアの思考はローザの言葉に断たれた。

「危ない!」

右腕を切断されたデヌピサロ、だが残った左腕が大きく振り上げられ未だ空中に居るソアラに向かって振り下ろされた!
油断などは微塵も無かった、右腕を切断したとはいえデヌピサロは健在なのだ。
しかし、シズもソアラもそれに反応が遅れたのはただ単純に・・・
デヌピサロの動きが加速していたからである!

「だ・・・『だいぼうぎょ』!」

ソアラは空中で再び手にしていた盾を掲げ、防御スキルを発動させる。
先程デヌピサロの攻撃を弾き返した時に使用したただの防御ではなく、打撃に対して威力を9割削減する大防御を使用したのだ!
飛び上がる勢いが加算され、結果的に弾けた先程の攻撃であれば受けたとしても大したことは無いだろうと思ったのだろう。
だが振り下ろされたその攻撃が盾に当たった瞬間、セリシアは驚愕に顔を歪める事となる・・・

「お・・・重すぎる?!」

明らかに加速したデヌピサロの動き、振り下ろされた剣を受けた盾から出る音は金属音ではなく何かが潰れる音であった。
そのまま弾かれて吹き飛ばされればまだマシだったのかもしれない、そう思わせられるのも仕方ないだろう。
ソアラの持つ盾はデヌピサロの剣の形に変形、いや・・・めり込んで潰されそのまま離れる事無く地面に叩き付けられたのだ!

「ソアラ!」

シズの叫びが響いた直後、地面が割れ床下にまでめり込むデヌピサロの巨大な剣!
その剣の下に居る筈のソアラの事を心配するが、それよりも先に元凶をどうにかしなければ・・・
シズは着地と共に一気にデヌピサロの足元へ駈け出す!
だが・・・

「ぐふっ?!」

突如繰り出されたのは蹴り上げ!
巨体故に予想していなかった攻撃はシズの腹部を捕らえ、その体を宙に浮かされる。
その一撃でシズは理解した、片腕を失った筈なのにデヌピサロのステータスが明らかに上昇しているのだ。
そして、ソアラを押し潰した剣が持ち上げられ、剣の腹がシズに迫る。
まるであの時の再現の様にシズの目に迫る剣の腹が映る・・・
だが・・・

「ノレーラ!」

以前戦った時にシズはこの状況に対する回答を決めていた。
それは戦いに身を置く者としてではなく、メイドとしての知恵であった。
ミスをした時は次に同じミスをしないように心掛けると言う考え、対策を心掛けるメイドの心得。
移動魔法であるノレーラを天井の在る空間で使用するとどうなるか?
答えは・・・

ドゴーン!

そう、強制的に上昇し天井にぶつかるのだ!
身動きが取れない状態で上に上がるので攻撃には使えないが、空中で大きく動く必要がある際に使える裏技とも言える方法。
そして何よりこの回避方法には大きな利点と欠点があるのだ。
それは・・・

『なっ?!』

デヌピサロの驚愕の声が聞こえるのも無理はない・・・
天井に向かって移動を開始する前に、空中に浮いている筈のシズの体を剣が通過したのだ!
この移動魔法『ノレーラ』の知られていない大きな特徴、それは真上に鳥等が居たとしても当たる事は無いように自身の当たり判定が天井以外に対して無くなるのだ!
これもまたローザに相談した際に『全能の英知』により判明した事実。
緊急回避ではなく逃げる手段として使う場合は相手の魔力により阻害される事がある方法・・・
この回避方法が戦闘で用いられない一番の理由で在り欠点・・・
それは魔力を持つ敵との戦闘中は使用できないという制限なのだ。
だが、シズはデヌピサロのステータスを見て知っていたのだ!
デヌピサロは魔力が全く無く、物理攻撃しかしてこない事を・・・

『ぐぅぅ・・・一体どうなって・・・』

シズを目で追うデヌピサロ、手の届かない上空の天井にぶつかったシズがゆっくり落下を始めるのだが、手の届かない場所に居る事で見上げたまま動きが止まった、そう・・・隙が出来たのだ!
見上げたまま落下するシズに追撃を仕掛けようとしたデヌピサロは自身の体が上手く動かない事に気付いた。
その原因が左足に在るのに気付き目線だけ下へ降ろすと・・・

「乙女の顔に傷が残ったらどうするのさ!?」

そこにはソアラが居た!
額から流血をしており、盾ごと潰されたのか左腕が折れていた。
だが、そんな痛みに耐えながらもローブから出された裸体でデヌピサロの脚にくっ付いていたのだ。

『なんなんだ・・・なんなんだお前達は?!』
「あんたを・・・」

落下するシズが槍を構える!
元々予定されていた作戦ではないが、咄嗟に仕掛けられたこのコンビネーションアタック。
会得したスキルを熟知し合っているからこそ互いに互いの動きが理解され、各々が必要な動きを見せる!
そう、ソアラが使用しているスキル・・・それは『ぱふぱふ』である!

ぱふぱふ:相手を自身の胸で挟んで『ぱふぱふ』するスキル、対象が女性の場合は僅かな時間行動不能にさせ、男性の場合はダメージを与える。

体液が人間の男性にも女性にも媚薬効果を齎すデヌピサロ、それはつまり両属性であるという事・・・
ソアラのぱふぱふはデヌピサロの動きを封じ、少量のダメージを与えていた。
片腕で激しい動きを必要とせず、なにより殺意等を一切感じさせずにただ近付いて使用するには最適なスキルであったのは間違いない。
そして、動きの止まった相手に対してシズが選んだ攻撃・・・それは!

「倒す者達だ!」

ノレーラで天井にぶつかった際は地面に着地するまで移動する事が出来ない。
だが丁度デヌピサロの目の前で上昇したシズにとって今いる位置こそが最適な場所!
槍を振り上げ真っすぐに落下しながらデヌピサロの頭部目掛けて振り下ろした!

「これで終わりだ!『まじんぎり』!」

まじんぎり:敵1体に当たれば会心の一撃を放つ攻撃スキル

その攻撃を理解したのかデヌピサロは剣で受け止めようと腕を上げた!
巨大な剣の腹にシズの槍が振り下ろされる!
当たれば良しと思っていた攻撃は見事に防がれる・・・が

「今度こそ貰ったわ!」

再びローザの杖が振られ魔法が放たれる!
足をソアラのぱふぱふで攻撃され身動きが取れない、シズの攻撃を防ぐ為に腕が上げられ視線も上に向いている。
まさに好機!同じ男を愛する女達の息の合ったコンビネーションプレイは何度も4Pを楽しんだ結果なのか・・・
デヌピサロの正中線を目掛けて再び放たれた『バギデイン』が真っすぐにデヌピサロを捕らえた!
だが・・・

『ヒャダノレコ!』

あり得ない光景を3人は目にした。
当然であろう、デヌピサロは魔力を持たない筈・・・
それは先程シズがノレーラ回避を成功させた事実から間違いはない筈。
まるで少年漫画の様に、危機的状況で新たなる力に目覚めたとしか思えないデヌピサロの魔法が発動したのだ!
真っ直ぐにデヌピサロの正中線を目指したバギデインが、デヌピサロの顔面から発生した吹雪にぶつかり反れる。
予期せぬ出来事、ローザがこの合成魔法を使用した一番の理由はデヌピサロが魔力を持たないという事である。
雷と風の混合魔法であるこの魔法は他の魔法との相性が凄く悪い、気温の変化や湿度により雷は飛散するし、風もまた然り・・・
だがしかし、ここで幸いしたのはローザのステータスの高さである!
並みの魔力で放たれた魔法で有れば見当違いの方向に反らされていたであろうが、この世界最強の一人であるローザの放った魔法である。
当然魔法に込められた魔力は普通の魔法使いの何倍もの量があった!

『そんな・・・馬鹿な?!』

一度その身に受けた事でデヌピサロはバギデインを理解していたのだろう。
どうやったのか、魔法を使用し防ごうと行動した筈が予想外にローザの攻撃が反れなかったのだ。
正中線を狙った『バギデイン』は僅かにだけ反れ、デヌピサロの左腕付け根に直撃した!
ビャダノレコで相殺した事で威力が弱まっており、大きな傷を残す事となったのだが・・・十分であった!

「はぁあああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

そう、今まさにシズが『まじんぎり』で切りかかっているのを受け止めている左腕の根元にぶつかったのだ!
大きな傷は上から掛かる物凄い圧力に一瞬持ちこたえはしたが、シズのステータスもまた人外レベルである!
結果・・・

『うぐぉおおおおおおお?!?!?!?!!!』

切断では無く、物理的に千切れる形でデヌピサロの左腕がシズによって破壊されたのだ!
真下に落ちる形で落下するデヌピサロの左腕を避ける為、ソアラは後ろに飛び、シズもまた着地と共に距離を取った。
本来であれば魔力を持たない物理攻撃しか出来ないデヌピサロ、両腕を失った今勝利は目前の筈・・・
だが今さっき使用された魔法の謎が3人に警戒心を植え付けたのだ。
そして、これが3人の失敗であった・・・
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最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

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