転生聖女は、お金がお好き。

引きこもり令嬢

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第二話 ちょっと王様にケンカを売ってやろうと決めた日

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「なるほどなぁ、この国の情勢はそういうもんなのか」

召喚されてから一週間。とりあえず、この世界の情勢について、この教会のやつらから教えてもらっている。まぁ、正直、教会というか宗教は怖かったからさ。俺、ビビッてたんだけど。まぁ、今んところ、悪いことはされてない。

「はい。この国は、ですので、世界で3番目の経済大国です。ですが、30年ほど、経済成長はしておりません」

「まぁ、でも、魔法工業国として栄えてて。人口も一億と。王様が治めてる」

まぁ、日本と近い国だなぁとかとか思いつつ、授業をしてくれている男をじっと見た。ちなみに、こいつは例のローブを差し出してくれた男だったりする。名前は、レインという。雨男だな、名前的に。

「ふーん。でも、王様以外にも、華族っつぅ貴族がいるんだな。こいつらは、どんな奴らだ?」

「彼らは、ミストタウンと呼ばれる政治関係の施設が集中する街に住んでいる貴族です。王様とは、彼らを最も上手くまとめられた王族の人物になります」

「王族? そんなにいるのか?」

「ええ、そうですね。以前あった戦争で負けた後、いくつかの家柄が『王族』として占領国から認められました。そのため『王族』というのは、誤解されやすいですが、この国『オコメランド国』では、いくつかの家柄が含まれています。また、彼らと結婚した家柄も『王族』として名乗ることが許されます」

つまり、『王族』って言いながら、別に血筋を大事にしてるわけでもないし、なんか、尊敬されるだけの意義がないっつーか。ハッキリ言って、それ、占領国の傀儡政治、操り人形っていうんじゃね?

「はーん、なぁ、おまえら国民って『王族』を尊敬してる?」

「これは、私の個人的な意見ですが・・尊敬してるとは言えません。尊敬する理由がありません。彼らこそが、国の腐敗だと思います」

「じゃぁ、華族は?」

「これも、私の個人的な意見ですが、華族とは、『王族』以上に頭に何も詰まっていない奴らです。まだ『王族』は一応国の運営に関わっていますので、能力が全くないわけではないと思います。華族も一枚岩ではありませんが。華族というのは『王族』になびくものもいますし。ただ、基本的には王族の恩恵に預かれない不満を持つ不穏分子とくっつく派閥と、まぁ、その他もろもろと分かれています。基本的に『王族』が失脚して自分たちが『王族』になれたらないいな、と思っている人たちが『華族』です」

難しいこと言ってるが、要は、『王族』にしても、『華族』にしても、国の政治にかかわっている奴に碌な奴がいねーと。どこでも、政治って腐ってるもんだなぁ。

「んじゃよ、教会はどうなんだ?」

「宗教は色々この国内でもありますが、つまり、この教会ですか?」

嬉しそうに眼を男が輝かせた。心の内で三歩後ずさりしながら、引き気味に男を見る。

「あのよ、俺は改宗しないからな。で、教会も腐ってたりしないのか?」

「少なくとも、術師としてトップにいる私は実力ですよ。それに、上に行けば行くほど、金も時間も吸い取られるものですから。多少、名誉はありますが、物質的には損の方が多いです。でも、宗教心を持ってれば、奉仕できてるのでこれ以上とない喜びですが」

かなり引き気味に、ウットリした眼をさせた男をみる。可哀想に。そういう洗脳なのか。

「なるほど。社畜を良しとする洗脳が見事に施されているな」

「聖女様だから、そう言われるのは困ります。単純に、勤勉に神に尽くしているだけですよ」

男は眉毛を八の字に寄せた。なんか、昔飼っていた犬とどことなく似てる気がする、コイツ。妙に、忠誠心が高くって頑張り屋なところとか。

「とにかく、俺を洗脳するな。で、教会は世間的にはどんな評価を受けてるんだ?」

「んー、一定の影響力は持っていますが。私たちは、この国の革命を狙っています。とはいっても、武力行使は考えてません。飽くまで民衆から支持されたいのですが。民衆も、神や聖女に信仰心は持っていても、教会に対して信仰をしてるわけではないので、なかなか我々教会には協力してくれるとも限らないんです」

ってことは、決して世間が味方に付いてるわけじゃなあそうだな。

「聖女も教会と似たり寄ったりの評価か?」

「聖女は、この国の伝説的な存在ですから。恐らく、教会を支持しない国民でも、聖女は支持すると思います」

そりゃ、有難い話だな。どんな伝説だか知らないが。ま、組織って怖ぇーよな。中がどうなってるかだなんて、よくわかんねぇし。俺も、今もこの教会に警戒してるし。

「でもよ、俺みたいな欲深いアホを奉っても、どうにもならねぇと思うぞ」

俺の卑屈染みた言葉に、男は意も介さずニコッと笑みを返した。

「そんなことはないですよ。話をしていて大変面白いです。賢明であられることもわかりましたから。期待しております」

ちょうどタイミングよく鐘の音が遠くから聞こえた。一旦、俺のこの世界の学習会は中断。さぁ、昼飯でも食いに行くか。

何人かの侍女服を着たシスターが掃除をしに入ってきた。そのうちの一人が、男に耳打ちをする。男は嬉しい知らせだったのか、顔をほころばせた。

「ああ、ところで聖女様」

「あん?」

「一月後に、議事堂で挨拶されることが決まりました。お昼の時にでも、ご説明いたしますね」

議事堂で挨拶? つまり、聖女披露宴みたいなものが行われるというのか? 俺、見ての通り口悪ぃし、挨拶なんてさせない方がいいと思うぞ。

「まぁ、説明は聞くけどな。思う通りに、俺が動くとは限らねぇぞ」

「そんなに緊張しないでくださいよ。教会側は聖女にお願いはされても、お願いはできませんから」

そんなに奉られる所以がわからねぇからこそ、俺は緊張しているんだが。
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