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第十話 あれ、それって...俺なんか脅されてね?
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「レインからお話を伺いました。わたくしがした召喚の儀に対して、ご質問があるそうですね」
道中の馬車に揺られながら、ポチが切り出した。レインや侍女たちとは、徐々に距離が縮まりつつあるというか、ある意味ナメられているような、良くも悪くもお互いにフランクになりつつあったが、ポチは相変わらず、俺に対して多大なる重い崇拝をしていた。
「ホッチポッチ先輩。もしかして、そういえば、視察やら語学やらこの国の制度などを説明してきましたが、あんまり教会のことや聖女、神についてなど、説明していないような気がします」
ふと気づいたように指摘するドビュ。それにうなづき返すポチ。
「なるほど。聖女様、申し訳ございません」
そして、俺の方に目をやると深々とお辞儀をした。きちんと説明してくれるようだった。故意に隠しているのかと思ったが、どうやらそうではなかったらしい。
「聖女様、それでレインの話によれば、聖女様は神からの説明を受けずにご降臨されたということでしょうか?」
「ああ、そうだ」
「そうですか。どこから説明をした方がいいでしょう?」
「知っていることを一から詳しく教えてくれ」
「かしこまりました」
一度そこで間を取ると、驚くような話をポチは語った。
「聖女を召還する儀式は、神の預言を授かった巫女のお告げに基づき、行われる儀式です。約2000年ぶりの今回の儀式を行うことになりましたが、過去に遺った遺産を頼りに、私が組み立てた論理に基づき召喚いたしました」
「その召喚の儀とやらは、どう2000年間受け継がれてきたのだ?」
「一つは、巫女たちの口伝です。もう一つは、当時刻まれたとする石碑の文字に基づいています」
ちょっと待て。約2000年前の話というのは、俺の感覚で言えば、それはイエス・キリストの頃に行われた儀式を再現するようなものだろ? 口伝といえば仏教だが、これも正確ではない。あるいは、エジプトの文字を読めたとしても、確実に当時行われた儀式を再現できるわけではない。つまり、当時行われた100%完璧に再現なんてできるはずがない。ということは、この儀式が、まさか、不完全であり...
「巫女はたびたび神からのお告げをいただきます。今回約2000年ぶりに儀式が行われることが決まり、神のお告げによれば『青き豊かな世界に住む者が、この世界の民のために立つ。さすれば、この世界は豊かに繁栄し、聖女は本来に戻る選択肢も与えられる』」
ん? 青き豊かな世界って地球だよな? つまり、この世界の人々のために頑張れば、本来の世界に戻してやってもいいよ、と。それって言うことを聞かねば...的な?
「『しかし、聖女がもし聖務を果たすことができねば、聖女もろとも人々は飢え、苦しみ、争い、今ある文明は壊れるだろう』」
え”?? やっぱ、それは預言っていうより、脅迫なんじゃないかな? 俺の聞き違いかな?
「ちなみに、聖女は、我々の世界では、神に『変革者』として選ばれし者のこと。また、その御身には必ず使命を果たすために聖魔法を奇跡の如く使えると伝わっております」
「つーことは変革者として頑張らないと、俺も一緒に滅びんの?」
「...わたくしも、神の意図まではわかりません。ただ、今のままであれば、いずれ、この世界はおそらく大規模な人間同士の戦争に向かい、滅んでもおかしくはないと思います」
俺はあまりの内容に呆気に取られた。ドビュは、俺の呆然とした顔を、憐れむような眼差しを向ける。
「そんな切羽詰まってんの?」
「新聞を一応聞かれていますし、少しずつ諸外国についても学ばれておりますので、聖女様も多少はわかっていらっしゃるとは思うですが」
ドビュは口を挟んで前置きした後に、現状どのような国際問題が起きているの教えてくれた。
「いずれにしても、世界で経済大国である2強が冷戦と呼ばれる状況です。また、大規模な災害が世界各地に起き、大恐慌が起きて経済が混乱している現状では...戦争が起きてもおかしくはないかと思います。それこそ、この世界が壊れるような戦いになっても、おかしくはないかと」
「神は、その災害に関しては何も言っていないのか?」
「『災いを蒔いたのは他ならぬ人の心』とのみ」
人の心ってなんだよ。俺は、視察に行かずに、そのまま帰って布団に潜りたい衝動にかられた。つまり、現実逃避という行動だ。
「神ってなんなんだ?」
「...神がどんな存在かはわかりませんが、まぁ、巫女の預言に逆らって、不幸にならなかった人はいませんね」
なんか、夏の怪談とか、平安時代の女怨霊とかよりも怖いんですけど。え、神様に俺って祟れてんのかなァ、ははっ。そんなアホな話ってバカにしたいけど、現にわけのわかんない世界に来てしまっているし...。
道中の馬車に揺られながら、ポチが切り出した。レインや侍女たちとは、徐々に距離が縮まりつつあるというか、ある意味ナメられているような、良くも悪くもお互いにフランクになりつつあったが、ポチは相変わらず、俺に対して多大なる重い崇拝をしていた。
「ホッチポッチ先輩。もしかして、そういえば、視察やら語学やらこの国の制度などを説明してきましたが、あんまり教会のことや聖女、神についてなど、説明していないような気がします」
ふと気づいたように指摘するドビュ。それにうなづき返すポチ。
「なるほど。聖女様、申し訳ございません」
そして、俺の方に目をやると深々とお辞儀をした。きちんと説明してくれるようだった。故意に隠しているのかと思ったが、どうやらそうではなかったらしい。
「聖女様、それでレインの話によれば、聖女様は神からの説明を受けずにご降臨されたということでしょうか?」
「ああ、そうだ」
「そうですか。どこから説明をした方がいいでしょう?」
「知っていることを一から詳しく教えてくれ」
「かしこまりました」
一度そこで間を取ると、驚くような話をポチは語った。
「聖女を召還する儀式は、神の預言を授かった巫女のお告げに基づき、行われる儀式です。約2000年ぶりの今回の儀式を行うことになりましたが、過去に遺った遺産を頼りに、私が組み立てた論理に基づき召喚いたしました」
「その召喚の儀とやらは、どう2000年間受け継がれてきたのだ?」
「一つは、巫女たちの口伝です。もう一つは、当時刻まれたとする石碑の文字に基づいています」
ちょっと待て。約2000年前の話というのは、俺の感覚で言えば、それはイエス・キリストの頃に行われた儀式を再現するようなものだろ? 口伝といえば仏教だが、これも正確ではない。あるいは、エジプトの文字を読めたとしても、確実に当時行われた儀式を再現できるわけではない。つまり、当時行われた100%完璧に再現なんてできるはずがない。ということは、この儀式が、まさか、不完全であり...
「巫女はたびたび神からのお告げをいただきます。今回約2000年ぶりに儀式が行われることが決まり、神のお告げによれば『青き豊かな世界に住む者が、この世界の民のために立つ。さすれば、この世界は豊かに繁栄し、聖女は本来に戻る選択肢も与えられる』」
ん? 青き豊かな世界って地球だよな? つまり、この世界の人々のために頑張れば、本来の世界に戻してやってもいいよ、と。それって言うことを聞かねば...的な?
「『しかし、聖女がもし聖務を果たすことができねば、聖女もろとも人々は飢え、苦しみ、争い、今ある文明は壊れるだろう』」
え”?? やっぱ、それは預言っていうより、脅迫なんじゃないかな? 俺の聞き違いかな?
「ちなみに、聖女は、我々の世界では、神に『変革者』として選ばれし者のこと。また、その御身には必ず使命を果たすために聖魔法を奇跡の如く使えると伝わっております」
「つーことは変革者として頑張らないと、俺も一緒に滅びんの?」
「...わたくしも、神の意図まではわかりません。ただ、今のままであれば、いずれ、この世界はおそらく大規模な人間同士の戦争に向かい、滅んでもおかしくはないと思います」
俺はあまりの内容に呆気に取られた。ドビュは、俺の呆然とした顔を、憐れむような眼差しを向ける。
「そんな切羽詰まってんの?」
「新聞を一応聞かれていますし、少しずつ諸外国についても学ばれておりますので、聖女様も多少はわかっていらっしゃるとは思うですが」
ドビュは口を挟んで前置きした後に、現状どのような国際問題が起きているの教えてくれた。
「いずれにしても、世界で経済大国である2強が冷戦と呼ばれる状況です。また、大規模な災害が世界各地に起き、大恐慌が起きて経済が混乱している現状では...戦争が起きてもおかしくはないかと思います。それこそ、この世界が壊れるような戦いになっても、おかしくはないかと」
「神は、その災害に関しては何も言っていないのか?」
「『災いを蒔いたのは他ならぬ人の心』とのみ」
人の心ってなんだよ。俺は、視察に行かずに、そのまま帰って布団に潜りたい衝動にかられた。つまり、現実逃避という行動だ。
「神ってなんなんだ?」
「...神がどんな存在かはわかりませんが、まぁ、巫女の預言に逆らって、不幸にならなかった人はいませんね」
なんか、夏の怪談とか、平安時代の女怨霊とかよりも怖いんですけど。え、神様に俺って祟れてんのかなァ、ははっ。そんなアホな話ってバカにしたいけど、現にわけのわかんない世界に来てしまっているし...。
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