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第十一話 聖女が、頭ではじいてる算盤。
しおりを挟む「すまないが、今日はもう下がれ。一人にさせてくれ」
サヤを追い払うと、俺は、これまでの自分の考えや行動の方針を確かめた。
初日と言えば、まず自分の身がひとまず保証されたことにほっとし、権威があると知り黒い笑みを内心浮かべ、だが教会という不安もあり、あまりにも美味しい話があるのではないかと疑った。
翌日からは、右も左もわからないかろこそ、とにかく情報が欲しく、授業形式で国の成り立ちや制度など、いわゆるここでの常識を身に着けようとした。途中で魔法があると知り、それも学び始め、一体自分がどこにいるのか疑問だった。また、新聞があると知れば、読み漁ろうと試みたし、読めないとわかれば騙されないためにも語学を学び始めた。
一週間知って、とりあえず、教会の外の世界も知りたくなった。この狭い範囲だけでも、自分がいた現代日本では考えられないことばかりで驚きの連続だった。これまでお世話になってきたが、教会を信じ切る気持ちにもならず、ひとまず、庶民の暮らしを見ようとした。
そして、怒涛の日々が過ぎ、今3週間目に入ろうとしていた。
これまで生き残るのに必死だった。それっぽい理由をつけて、できるだけ他人への依存度を下げたかった。何か起きても、一人で生きていけるようにするための努力をしていた。
薄々とこの世界には、もうあの日本という世界はなく、ファンタジーという魔法は広がり、その中で懸命に生きている人々が見えた。そして、宗教不信の強い俺でも、ある程度の信用と感謝を、世話をしてくれる者たちにしていた。
そうやって、過去の世界との違いに驚く中で、過去を思い出し、なぜ今のここにいるのか不思議にも思っていたのだ。もはや、ゲームや夢の世界に迷い込んだわけではないことも悟っていた。
だから、と俺自身の大きな方針としては『聖女のふりをして、生き残る術を身に着け、生存率をあげること』『せっかくの立場だし、どうせならムカつくやつにはガツンっと一発すること』と決めている。まぁ、殴るのがとてつもなく絶望的なことを最近レインとやりあって身に染みたが。ダメだ、この身体は魅了の術は使えても、殴るとか向いてない。
グーで行かなくても、気持ちで一発ガツンっといけばいい。とにかくだ。今日の話で確信したことは、聖女ってとりあえず俺じゃねぇけど。間違いなく、できそこないの召喚方法で、うっかりこの至高の魅惑ボディに、変なオッサンの魂を入れるという客観的には残念でしかないイベントが発生してしまったわけだ。俺には、ボインボインが触れて「ぬふふふ」だが。
でも、とんでもない間違いで俺がいるわけだが、そのお告げとやらを考えると、神様がもしかしたら聖女という存在に脅しをかけて、働かせようとしているしか思えない。つまり、聖女ボディに入った俺は、脅されちまってるわけだ。でもなぁ。反逆できるとも思えないし。そのうち、お告げを聴いた巫女とやらに会いにいったほうが良いだろうか。もし確認できるのなら、そのお告げがどんなものだったか直接確かめたいものだ。
「まっ。とにかくも、貧しい国にしちまった責任はガツンっと一発いれてやんねーとな」
今回こそは豊かにバカンスをしたかった俺の恨みは、この新しい世界の腐った連中に向いている。
「あと。やっぱり神様に見捨てられても生き残れるくらい自立しねーと」
とにかく小心者として、これからも努力するしかなさそうだ。
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