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アンソニー編
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王宮騎士団長ユースティオに案内されたのは、謁見室ではなく賓客用の応接室だった。
扉の前を護る騎士が中へ伝えて二人の入室が許可された。
陛下の対面のソファには既に二人の人物が座っていた。
「お連れしました」
ユースティオの言葉に陛下がアンソニーに顔を向けた。その表情は無表情でアンソニーには陛下の心持ちは分からず、直ぐに跪き頭を垂れて挨拶をすると直るように促された。
薦められたのは陛下の右隣の一人がけ用のソファだった、ユースティオは陛下の後ろへと回る。
ソファに腰掛け先に座っていた二人をアンソニーは見た、壮年の男性と妻と同じ位の女性だった。だが男性の方は顔見知りだった為、アンソニーは驚愕する。
(ナーチェが捕まったというのに公爵はここで何をしているんだ)
そう怒鳴りたいのを我慢するあまり公爵を睨む様に見ていたアンソニーに陛下が声をかけた。
「ルーディスト侯爵、其方の二人はおそらく君とは初対面だ」
「えっ?いえ、あの⋯」
そんなはずは無いとアンソニーは憤る、女性の方は兎も角、男性の方はアンソニーの義父のカールトン公爵だ、初対面のはずがないしそれにアンソニーが義父を見間違えるはずも無い。
そんなアンソニーを女性の方がジッと見つめた。
「初めまして⋯ではないよアンソニー・ルーディスト侯爵、君とは一度会ってはいる。私はセルディスト・カールトン、此方が娘のナーチェ・カールトンだ」
ソファに座ったまま、男性はアンソニーに自己紹介を始めた。
そのカールトン公爵の声はアンソニーの知るいつもの公爵よりも少し高く聞こえた。
それとは別にアンソニーは妻と同じ名の女性を見た、彼女はアンソニーの知るナーチェとは似ても似つかない容姿だった。
「うっ嘘です!私は、私の妻は彼女とは違う!」
「⋯説明していないのか?」
陛下はソファに凭れながら後ろに控えるユースティオを見上げて訊ねた。
「偽物の本名は告げております、詳細は陛下からあるかと⋯」
ユースティオの答えに陛下はアンソニーを見つめて話し始めた。
「今から45年前、カールトン公爵家に双子が産まれていたそうだ。私も今回初めて知ったがな。まぁカールトン家の事を知りたければ、彼から聞いてくれ。私が君を呼んだのは事情が特殊だからな、アンソニー・ルーディスト」
「はい」
呼ばれたアンソニーはソファに座りながらも姿勢を但し、胸に手を当てて陛下に向き合った。
「君に選択をしてもらわなければならない」
アンソニーは静かに綸言を待った。
扉の前を護る騎士が中へ伝えて二人の入室が許可された。
陛下の対面のソファには既に二人の人物が座っていた。
「お連れしました」
ユースティオの言葉に陛下がアンソニーに顔を向けた。その表情は無表情でアンソニーには陛下の心持ちは分からず、直ぐに跪き頭を垂れて挨拶をすると直るように促された。
薦められたのは陛下の右隣の一人がけ用のソファだった、ユースティオは陛下の後ろへと回る。
ソファに腰掛け先に座っていた二人をアンソニーは見た、壮年の男性と妻と同じ位の女性だった。だが男性の方は顔見知りだった為、アンソニーは驚愕する。
(ナーチェが捕まったというのに公爵はここで何をしているんだ)
そう怒鳴りたいのを我慢するあまり公爵を睨む様に見ていたアンソニーに陛下が声をかけた。
「ルーディスト侯爵、其方の二人はおそらく君とは初対面だ」
「えっ?いえ、あの⋯」
そんなはずは無いとアンソニーは憤る、女性の方は兎も角、男性の方はアンソニーの義父のカールトン公爵だ、初対面のはずがないしそれにアンソニーが義父を見間違えるはずも無い。
そんなアンソニーを女性の方がジッと見つめた。
「初めまして⋯ではないよアンソニー・ルーディスト侯爵、君とは一度会ってはいる。私はセルディスト・カールトン、此方が娘のナーチェ・カールトンだ」
ソファに座ったまま、男性はアンソニーに自己紹介を始めた。
そのカールトン公爵の声はアンソニーの知るいつもの公爵よりも少し高く聞こえた。
それとは別にアンソニーは妻と同じ名の女性を見た、彼女はアンソニーの知るナーチェとは似ても似つかない容姿だった。
「うっ嘘です!私は、私の妻は彼女とは違う!」
「⋯説明していないのか?」
陛下はソファに凭れながら後ろに控えるユースティオを見上げて訊ねた。
「偽物の本名は告げております、詳細は陛下からあるかと⋯」
ユースティオの答えに陛下はアンソニーを見つめて話し始めた。
「今から45年前、カールトン公爵家に双子が産まれていたそうだ。私も今回初めて知ったがな。まぁカールトン家の事を知りたければ、彼から聞いてくれ。私が君を呼んだのは事情が特殊だからな、アンソニー・ルーディスト」
「はい」
呼ばれたアンソニーはソファに座りながらも姿勢を但し、胸に手を当てて陛下に向き合った。
「君に選択をしてもらわなければならない」
アンソニーは静かに綸言を待った。
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