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フォルク様から権限を正式に与えられた私は、それから大掃除を始めました。
それはもう徹底的に!
初夜の恨みは重いわよぉ~
覚悟なさって!
侍女は勿論のこと、料理長や庭師、門番に至るまで全ての使用人の面接を敢行致しました。
そうしたら出るわ出るわ、ミナリーの手の者がこんなにまだこの家に蔓延ってるなんて思いもしなかった。
逆にメイナの方が味方を作るのが下手だったみたい。
あの娘の味方あまりいなかったのよね。
でもその脳内花畑毎、追い出しました。
「どうして!私とフォルク様は運命なのよ!」
「あぁそうかもしれませんわね、運命とは聞こえがよろしいわ」
「どういうこと?」
「貴方に食い尽くされる運命よ」
「何ですって!そんな事あるわけ無いわ!私達は思い合ってるのよ、あの幼き頃から!」
「だってぇフォルク様覚えてないんですもの~」
私はメイナの真似をして引導を渡そうと思ったけれど、なかなかに彼女はしぶとかった。
でも。
そんなの侯爵夫人の権限で如何とでもなるのよ!ふふふ
それにしてもこんなにも簡単に出来る事が、長年この侯爵家で出来なかったのは、内情を知って始めて分かることだったと理解した。
『ミナリー』彼の人はある意味メイナの指摘通りの人物だったのかもしれないと、私とケトナー卿は調査結果で思い知りました。
元々彼女の父親は侯爵家の嫡男であったから、貴族らしい貴族であったのかもしれません。それが思いもかけず優秀な弟にその座を奪われたと思ったのでしょう。その実は彼の行いが理由ですので、奪われたという表現は違いますが、彼にとってはそうだったのだと思います。
きっとミナリーが幼い頃からその思いを、彼女は父親と母親にぶつけられていたのかもしれません。
特に母親は“侯爵夫人”になりたくてミナリーの父親を誘惑したのですから、自分の思惑を外されて怒り狂ったと聞いています。
その二人の思考に毒されたのがミナリーです。
彼女は両親が罰を受けたあと実に巧妙に立ち回っていました。
郷田花様が追い出したあとも、その蛇のように執念深い思いは、枯れることなく侯爵家に手の者を入れているのですから、あっぱれとしか言いようがありません。
ですが、私も負けませんわよ。
いつもは市井に放逐するだけでしたから、今回は罪人として裁かせて貰ったわ。
おそらく、もう復活するのは無理だと思うけれど、ミナリーの行動で私は一つ確信している事があった。ミナリーはフォルク様の不思議な体質に気づいていたんじゃないかという事。
そうでなければ幾ら従姉でも、そう何度も返り咲けると思うはずがないもの。まぁ今後は利用されることはありませんけれど。
サッセルン侯爵家の風が通ったところで、それからの私はとても忙しかった。
家政を調える事がこんなにも難しいのかと、お母様のご苦労が少しだけ分かりました。
こんなにも頑張ってサッセルン侯爵家の為に働く私。きっかけは王妃命でしたが、ちょっと自分に酔いそうです。
サッセルン侯爵家に嫁いで早半年、落ち着いた今、私は大変な悩みを抱えております。
それはフォルク様がここに来て、私に依存しているようだという事です。
何ですかねこれ、刷り込みみたいな?
雛が還って初めに会った人に懐くとかそんな感じ?
◇◇◇
「ホーリー!ただいま!今帰ったよ」
「⋯⋯おかえりなさいませ」
「今日は何をしていたのかな?」
「本日は、執事と一緒に領地の税に関する書類を纏めておりました」
「あぁ!ホーリー君には苦労をかけたくないのに、いつも家政を頑張ってくれてありがとう⋯チュッ」
フォルク様は何かと最近頬に口づけしてくるのですけど⋯皆の前で恥ずか死にそうです。
何でこんなにも急に甘々砂糖漬けにならなければならないのか、意味が全く分からないし、フォルク様貴方口下手じゃなかったの?
はっ!もしやまたもや別人格?
という事をここ最近繰り返していて、私ホリシオンは精神的に殺られておりました。
だからなのでしょうか?
不思議な夢を見るのです。
繰り返し繰り返し見るのです。
◇◇◇
「こっちだよ!ホーリー」
「おにいさままって、まってくださいませ」
幼い私がシセマイン王国の王宮の庭園を、従兄のルディックお兄様と散歩をしています。
「これだよ!なんだろうね、このもよう」
「わぁ~なぁんかすごいですわぁ」
「こういうのがいっぱいでてきたんだってさぁ」
ルディックお兄様は手を目一杯広げながらそう仰います。私も「いっ~ぱい」と真似をしているの。
庭園にあるそのクリーム色の石版には模様が描かれていて、私はそこへその日初めて連れて行かれたのです「珍しいものがあるよ」と言われて。
でも私、その石版の模様に急に懐かしさを感じました。
「きょうしゅうですわね」
「なんだい?ホーリー」
「これですわ、るでぃっくおにいさま」
「えっ?」
いつもここで目覚めます。
これが私が体験したことなのか、ただの夢なのかわかりません。
夢を見て目覚めると毎朝頭痛にも見舞われています。
それは夢のせいなのか、勝手に私のベッドに入り込んでこの隣でスヤスヤ眠ってるフォルク様のせいなのか⋯。
私達、初夜まだですわよね?
どうしてこの方、勝手にベッドに潜り込むのでしょうか?
抗議をしたいのですが、いつもガッチリとホールドされている胸の中が、頭痛で目覚めた朝に安心感が湧くものですから、痛みが緩和されるようで手放せないのです。
ちょっと悔しい今日この頃です。
それはもう徹底的に!
初夜の恨みは重いわよぉ~
覚悟なさって!
侍女は勿論のこと、料理長や庭師、門番に至るまで全ての使用人の面接を敢行致しました。
そうしたら出るわ出るわ、ミナリーの手の者がこんなにまだこの家に蔓延ってるなんて思いもしなかった。
逆にメイナの方が味方を作るのが下手だったみたい。
あの娘の味方あまりいなかったのよね。
でもその脳内花畑毎、追い出しました。
「どうして!私とフォルク様は運命なのよ!」
「あぁそうかもしれませんわね、運命とは聞こえがよろしいわ」
「どういうこと?」
「貴方に食い尽くされる運命よ」
「何ですって!そんな事あるわけ無いわ!私達は思い合ってるのよ、あの幼き頃から!」
「だってぇフォルク様覚えてないんですもの~」
私はメイナの真似をして引導を渡そうと思ったけれど、なかなかに彼女はしぶとかった。
でも。
そんなの侯爵夫人の権限で如何とでもなるのよ!ふふふ
それにしてもこんなにも簡単に出来る事が、長年この侯爵家で出来なかったのは、内情を知って始めて分かることだったと理解した。
『ミナリー』彼の人はある意味メイナの指摘通りの人物だったのかもしれないと、私とケトナー卿は調査結果で思い知りました。
元々彼女の父親は侯爵家の嫡男であったから、貴族らしい貴族であったのかもしれません。それが思いもかけず優秀な弟にその座を奪われたと思ったのでしょう。その実は彼の行いが理由ですので、奪われたという表現は違いますが、彼にとってはそうだったのだと思います。
きっとミナリーが幼い頃からその思いを、彼女は父親と母親にぶつけられていたのかもしれません。
特に母親は“侯爵夫人”になりたくてミナリーの父親を誘惑したのですから、自分の思惑を外されて怒り狂ったと聞いています。
その二人の思考に毒されたのがミナリーです。
彼女は両親が罰を受けたあと実に巧妙に立ち回っていました。
郷田花様が追い出したあとも、その蛇のように執念深い思いは、枯れることなく侯爵家に手の者を入れているのですから、あっぱれとしか言いようがありません。
ですが、私も負けませんわよ。
いつもは市井に放逐するだけでしたから、今回は罪人として裁かせて貰ったわ。
おそらく、もう復活するのは無理だと思うけれど、ミナリーの行動で私は一つ確信している事があった。ミナリーはフォルク様の不思議な体質に気づいていたんじゃないかという事。
そうでなければ幾ら従姉でも、そう何度も返り咲けると思うはずがないもの。まぁ今後は利用されることはありませんけれど。
サッセルン侯爵家の風が通ったところで、それからの私はとても忙しかった。
家政を調える事がこんなにも難しいのかと、お母様のご苦労が少しだけ分かりました。
こんなにも頑張ってサッセルン侯爵家の為に働く私。きっかけは王妃命でしたが、ちょっと自分に酔いそうです。
サッセルン侯爵家に嫁いで早半年、落ち着いた今、私は大変な悩みを抱えております。
それはフォルク様がここに来て、私に依存しているようだという事です。
何ですかねこれ、刷り込みみたいな?
雛が還って初めに会った人に懐くとかそんな感じ?
◇◇◇
「ホーリー!ただいま!今帰ったよ」
「⋯⋯おかえりなさいませ」
「今日は何をしていたのかな?」
「本日は、執事と一緒に領地の税に関する書類を纏めておりました」
「あぁ!ホーリー君には苦労をかけたくないのに、いつも家政を頑張ってくれてありがとう⋯チュッ」
フォルク様は何かと最近頬に口づけしてくるのですけど⋯皆の前で恥ずか死にそうです。
何でこんなにも急に甘々砂糖漬けにならなければならないのか、意味が全く分からないし、フォルク様貴方口下手じゃなかったの?
はっ!もしやまたもや別人格?
という事をここ最近繰り返していて、私ホリシオンは精神的に殺られておりました。
だからなのでしょうか?
不思議な夢を見るのです。
繰り返し繰り返し見るのです。
◇◇◇
「こっちだよ!ホーリー」
「おにいさままって、まってくださいませ」
幼い私がシセマイン王国の王宮の庭園を、従兄のルディックお兄様と散歩をしています。
「これだよ!なんだろうね、このもよう」
「わぁ~なぁんかすごいですわぁ」
「こういうのがいっぱいでてきたんだってさぁ」
ルディックお兄様は手を目一杯広げながらそう仰います。私も「いっ~ぱい」と真似をしているの。
庭園にあるそのクリーム色の石版には模様が描かれていて、私はそこへその日初めて連れて行かれたのです「珍しいものがあるよ」と言われて。
でも私、その石版の模様に急に懐かしさを感じました。
「きょうしゅうですわね」
「なんだい?ホーリー」
「これですわ、るでぃっくおにいさま」
「えっ?」
いつもここで目覚めます。
これが私が体験したことなのか、ただの夢なのかわかりません。
夢を見て目覚めると毎朝頭痛にも見舞われています。
それは夢のせいなのか、勝手に私のベッドに入り込んでこの隣でスヤスヤ眠ってるフォルク様のせいなのか⋯。
私達、初夜まだですわよね?
どうしてこの方、勝手にベッドに潜り込むのでしょうか?
抗議をしたいのですが、いつもガッチリとホールドされている胸の中が、頭痛で目覚めた朝に安心感が湧くものですから、痛みが緩和されるようで手放せないのです。
ちょっと悔しい今日この頃です。
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