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マリエンヌとステファルノは、お見合い宜しく和気藹々と話題に事欠かなかった。
マリエンヌはこんなに楽に異性と話すのが初めてで、そして新鮮だった。
お互いに笑みを浮かべながら話す様をルルと読書に一段落ついたシオンが微笑ましく眺めている。
その時ノックの音がして邸の主が顔を覗かせる。
「殿下、お見舞い頂いていると聞き及びまして、罷り越しました。娘の為にありがとうございます」
「あぁ侯爵、とても心配で来てみたのだが良くなったようで安心したよ、それにしても今日は早かったのだな」
マリエンヌはセバスチャンが慌てて王宮に早馬を走らせる様子が思い浮かんだ。
「はい、少々悪い予感がしまして」
いつも優しい父が不敬な言葉を発したのでマリエンヌは目を見開き父を見る。が、おすまし顔のサバディ侯爵は不敬を重ねて座ってるステファルノを上から覗くように細めで眺めている。
そんなサバディ侯爵のあからさまな威嚇にも平気な顔でステファルノは立ち上がりマリエンヌに声をかけた。
「マリ、その調子なら明日は学園に来れるな」
「はい」
「ではまた明日、私は侯爵と少し話して帰るからマリはもう休むように」
「お気遣いありがとう存じます。お気をつけてお帰りくださいませ、本日はありがとうございました」
ニッコリと笑うマリエンヌに美貌の微笑みを返すステファルノはサバディ侯爵を促し部屋を出ていった。
客人が出て行ったあとルルがマリエンヌに近づいて来て、湯浴みか清拭か訊ねて来たので湯浴みを所望すると、いそいそと準備に取り掛かるルル。
その様を眺めながら夕食の時は部屋着で出てもいいかしらとお行儀の悪いことを考えて悪魔のマリちゃんに「賛成!」と同意を得ているマリエンヌだった。
少し前の時間に戻りシャルロッテの部屋では無言のお見合いが暫く続いたが、沈黙に先に音を上げたのはシャルロッテだった。
「あのクラーク様、姉の所へは(行かなくて)宜しかったのですか?」
「あぁ殿下が訪っているし、人数が多くてもご迷惑かと思って⋯⋯私はシャルロッテ嬢の方に来たかったので」
真っ赤な顔のクラークにシャルロッテは目を点にする。姉と違いシャルロッテはなかなか鋭いので(ひょっとしてクラーク様は私を好ましく思ってくださってるのかしら)と心の中でふわふわした思いと共に考える。
鋭くても姉と同様異性と特別親しくはしていなかったし、学園に入ってからはラウル一筋だ。
ただシャルロッテのラウルへの気持ちは憧れでしかない、先日姉が見合いをしていたが、それを責めたのもただ単に羨ましかっただけだ。
みんなの憧れの君に近づける機会を自分も欲しかった、あわよくば握手でもしてもらえたら天にも登る心地だろうと想像して悔しかっただけで、愛だの恋だのでは違うとちゃんと自分の気持ちを分析していた。
「体は大丈夫かい?」
「はい単なる知恵熱です。昨日沢山考えたので」
明け透けな物言いのシャルロッテだがクラークはそんなシャルロッテが可愛いと思っていた。
二人の初々しい様を扉を少し開けて覗いているマナーもそっちのけの母エルシーは「こっちもうまく行くといいわね」とニヤニヤしたまま覗いていたら、後ろからツンツンとされる。
ビクッと振り返ると、そこにはいるはずのない自分の夫が物凄い顔で睨んでいた。
「何をしているんだ?」
「いえ、あの邪魔しちゃだめかなーと思いまして⋯⋯」
自分の妻の歯切れの悪さに片眉を上げて睨んでいたら、侯爵の声が聞こえたのか侍女のアニーが扉を開いて確認しに来た。
「旦那様、おかえりなさいませ」
そう言って主の来訪をシャルロッテに告げる。
中に侯爵とエルシーが入りクラークへと侯爵が声をかける。
「モンバルト伯爵子息、本日は娘のお見舞いありがとう、殿下がお話しがあるというので応接室に集まることになったので報せに来たんだよ、家令が外にいるので案内するからついて行ってくれ」
そう言ってクラークの退出を促すとクラークは軽く頷き
「留守にお伺いしました、申し訳ありません。今度は一人で来させて頂きます。シャルロッテ嬢、ではまた明日」
クラークは思わせ振りな言葉を発しセバスチャンに案内されてシャルロッテの部屋を辞した。
「シャル体はもういいのかい?」
「はいお父様大丈夫ですわ」
「うん、顔色もいいようだ、それでは私は今から殿下と一戦交えてくるとするよ」
何かに燃えてるサバディ侯爵の後ろ姿を見送るシャルロッテとエルシー。
「お母様、お姉様と殿下は何か合ったんですの?」
「そんなことはないわよ、とても和やかな雰囲気だったわ」
「ふ~ん」
シャルロッテは姉の頭にティアラを思い浮かべる。
殿下ファイト!と心の中で応援するのも忘れない。
だって殿下面白かったもの、不敬ではあるがシャルロッテの本心だった。
そんなシャルロッテの気持ちはお構い無しでエルシーが訊ねる
「ねぇねぇシャル、モンバルト伯爵子息とはどういう関係なの、お付き合いされていたりするのかしら?」
「まさか、昨日お話したのが初めてよ」
そう言って、アレ?昨日ってお話ししたかしら?今日が初めてだったかも。
キラキラした顔を自分に向ける母を持て余すシャルロッテは態々訂正するのも面倒だし、これ以上、母の興味本位で話しを広げたくないので「お母様、私寝ます!」そう言ってベットに潜り込んで、エルシー光線から逃れるのであった。
マリエンヌはこんなに楽に異性と話すのが初めてで、そして新鮮だった。
お互いに笑みを浮かべながら話す様をルルと読書に一段落ついたシオンが微笑ましく眺めている。
その時ノックの音がして邸の主が顔を覗かせる。
「殿下、お見舞い頂いていると聞き及びまして、罷り越しました。娘の為にありがとうございます」
「あぁ侯爵、とても心配で来てみたのだが良くなったようで安心したよ、それにしても今日は早かったのだな」
マリエンヌはセバスチャンが慌てて王宮に早馬を走らせる様子が思い浮かんだ。
「はい、少々悪い予感がしまして」
いつも優しい父が不敬な言葉を発したのでマリエンヌは目を見開き父を見る。が、おすまし顔のサバディ侯爵は不敬を重ねて座ってるステファルノを上から覗くように細めで眺めている。
そんなサバディ侯爵のあからさまな威嚇にも平気な顔でステファルノは立ち上がりマリエンヌに声をかけた。
「マリ、その調子なら明日は学園に来れるな」
「はい」
「ではまた明日、私は侯爵と少し話して帰るからマリはもう休むように」
「お気遣いありがとう存じます。お気をつけてお帰りくださいませ、本日はありがとうございました」
ニッコリと笑うマリエンヌに美貌の微笑みを返すステファルノはサバディ侯爵を促し部屋を出ていった。
客人が出て行ったあとルルがマリエンヌに近づいて来て、湯浴みか清拭か訊ねて来たので湯浴みを所望すると、いそいそと準備に取り掛かるルル。
その様を眺めながら夕食の時は部屋着で出てもいいかしらとお行儀の悪いことを考えて悪魔のマリちゃんに「賛成!」と同意を得ているマリエンヌだった。
少し前の時間に戻りシャルロッテの部屋では無言のお見合いが暫く続いたが、沈黙に先に音を上げたのはシャルロッテだった。
「あのクラーク様、姉の所へは(行かなくて)宜しかったのですか?」
「あぁ殿下が訪っているし、人数が多くてもご迷惑かと思って⋯⋯私はシャルロッテ嬢の方に来たかったので」
真っ赤な顔のクラークにシャルロッテは目を点にする。姉と違いシャルロッテはなかなか鋭いので(ひょっとしてクラーク様は私を好ましく思ってくださってるのかしら)と心の中でふわふわした思いと共に考える。
鋭くても姉と同様異性と特別親しくはしていなかったし、学園に入ってからはラウル一筋だ。
ただシャルロッテのラウルへの気持ちは憧れでしかない、先日姉が見合いをしていたが、それを責めたのもただ単に羨ましかっただけだ。
みんなの憧れの君に近づける機会を自分も欲しかった、あわよくば握手でもしてもらえたら天にも登る心地だろうと想像して悔しかっただけで、愛だの恋だのでは違うとちゃんと自分の気持ちを分析していた。
「体は大丈夫かい?」
「はい単なる知恵熱です。昨日沢山考えたので」
明け透けな物言いのシャルロッテだがクラークはそんなシャルロッテが可愛いと思っていた。
二人の初々しい様を扉を少し開けて覗いているマナーもそっちのけの母エルシーは「こっちもうまく行くといいわね」とニヤニヤしたまま覗いていたら、後ろからツンツンとされる。
ビクッと振り返ると、そこにはいるはずのない自分の夫が物凄い顔で睨んでいた。
「何をしているんだ?」
「いえ、あの邪魔しちゃだめかなーと思いまして⋯⋯」
自分の妻の歯切れの悪さに片眉を上げて睨んでいたら、侯爵の声が聞こえたのか侍女のアニーが扉を開いて確認しに来た。
「旦那様、おかえりなさいませ」
そう言って主の来訪をシャルロッテに告げる。
中に侯爵とエルシーが入りクラークへと侯爵が声をかける。
「モンバルト伯爵子息、本日は娘のお見舞いありがとう、殿下がお話しがあるというので応接室に集まることになったので報せに来たんだよ、家令が外にいるので案内するからついて行ってくれ」
そう言ってクラークの退出を促すとクラークは軽く頷き
「留守にお伺いしました、申し訳ありません。今度は一人で来させて頂きます。シャルロッテ嬢、ではまた明日」
クラークは思わせ振りな言葉を発しセバスチャンに案内されてシャルロッテの部屋を辞した。
「シャル体はもういいのかい?」
「はいお父様大丈夫ですわ」
「うん、顔色もいいようだ、それでは私は今から殿下と一戦交えてくるとするよ」
何かに燃えてるサバディ侯爵の後ろ姿を見送るシャルロッテとエルシー。
「お母様、お姉様と殿下は何か合ったんですの?」
「そんなことはないわよ、とても和やかな雰囲気だったわ」
「ふ~ん」
シャルロッテは姉の頭にティアラを思い浮かべる。
殿下ファイト!と心の中で応援するのも忘れない。
だって殿下面白かったもの、不敬ではあるがシャルロッテの本心だった。
そんなシャルロッテの気持ちはお構い無しでエルシーが訊ねる
「ねぇねぇシャル、モンバルト伯爵子息とはどういう関係なの、お付き合いされていたりするのかしら?」
「まさか、昨日お話したのが初めてよ」
そう言って、アレ?昨日ってお話ししたかしら?今日が初めてだったかも。
キラキラした顔を自分に向ける母を持て余すシャルロッテは態々訂正するのも面倒だし、これ以上、母の興味本位で話しを広げたくないので「お母様、私寝ます!」そう言ってベットに潜り込んで、エルシー光線から逃れるのであった。
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