幽霊事務局長の穏やかな日常=大病院の平和は下っぱ事務員と霊が守ります=

藤島紫

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病院職員たちの昼時の日常6

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 お世辞にもうまいとは言えない子供の絵から特徴を拾い集め、正解につなげるには創造力が必要だ。例えば、この年頃の子供が好むものは何か、とか。知らなければ全く思いつきもしないだろう。

「そう言ってやるなって。子供も頑張って書いてるんだからさ。ふうん。三枚ともわんわんヒーローだな」
「本日分も同じですね」
「ああああああ、開くなよ。たためないじゃねえか」
「確認するためにも必要かと」
「……わかったよ。おりかた、ネットで調べておくわ」

 犬飼さんに渡す前に、カエルの格好に戻しておく必要がある。
 やれやれとため息をついていると――

「わあああ、桐生さん、唯一残ってた無事なやつまで!!」

 私が受け取ったカエルまでもが被害にあってしまった。

「こちらは感謝の文が書かれているようですね。プライバシーの侵害に当たるので、詳しく読むことは控えます」
「だから! そう思うなら開くなって」
「折り方を思い出すためです」
「あー……もう、いいって。ほら、よこしな」

 今しがた、桐生さんが開いているのを見て、大体の折り方が分かった。
 折り目もはっきりついているから、直しやすい。
 お……? これは思ったよりも簡単だった。
 ついでとばかりに、桐生さんが開いてしまっていたものを受け取って、折っていく。

「……知りませんでした。友利さん、器用ですね」
「俺の下には妹が3人いるからな。こういうのは得意なんだよ」
「意外です」
「言うなよ。俺が折り紙とか、ドン引きされるから」
「誰に言わないようにすればいいのでしょうか」
「おう、誰に対してもだぞ。わかったな」
「努力します」
「口が軽くないの、知らなかったらその返しは不審がられるからな。約束しますっていうんだぞ、そういう時は」
「しかし、友利さんが何らかの事情で警察にご縁ができた時、尋ねられれば黙っていることは難しいので」
「うん、あのさ。その前提やめてくれるかな。そういうのに縁のない人生送りたいよ、俺は」

 桐生さんは何度か瞬きをすると神妙に頷いた。
 可能性はゼロではないとか、そういうことを言いたかったのだろうが、言わせねえよ。
 私はこういうところでは縁起を担ぐ男だ。

「よし、できたっと。カエル4匹」
「正確には折り紙ですから4つ、かと」
「はいはい」

 4つのカエルと並べてみると、桐生さんが持ってきたものはどれもいびつだった。
 とはいえ、私のせいではないし、開いてしまった桐生さんのせいでもない。
 もともとの折り目通りに追っているのだから、最初の制作者の責任だ。

「ふうん。絵の感じといい……これを作ったのは子供だな。ちょうど、わんわんヒーローを見てる4~5歳くらいかも」

 カエルのすみを押すと、ぴょんと前に進む。

「お。ちゃんと跳ねる。子供が作ったにしちゃ、上出来じゃね?」

 小さな子供には難しい工程数かもしれないが、厳密に折らないとできない形でもない。
 鶴のくちばしよりは難易度が低いだろう。

「跳ねませんが」

 桐生さんは思いっきりカエルをつぶすように押していた。
 意外と不器用らしい。
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