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偉いドクターとヒラ事務員の日常2
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庶務課は2階にあるから、目的地はすぐ上だ。北階段を試してみようかと思ったが、ナースステーションへは中央階段の方が圧倒的に近い。おとなしくそちらから向かう事にする。
階段出口の扉を開けてすぐ、消毒スペースがあり、そこで手を洗ったり持ち込み品を紫外線殺菌装置で殺菌したりできる。
念のため、書類とカエル、両方を殺菌してから自動ドアをくぐると、各病棟の共有面会ホールに出る。
講演会のお知らせは、このホールに設置されているお知らせ置き場に置き、受付の人に声をかけるだけだ。
絵にかいたような雑用だが、これも仕事の内。
「あら、庶務課の桐生君の通訳くんじゃないの。どうしたの、こんなところに」
桐生さんの通訳……まあ、その覚え方でも構いませんがね。と心の中で苦笑いをして声をかけてきた人を振り返る。
救命センター長、絹井沙奈枝先生だ。
今年定年を迎える予定の、穏やかで話しやすい先生で、私のような下っ端の顔もきちんと覚えていてくれる。
そういえば、この先生が下に飾ってある結城事務局長絵と――クロネコの絵を描いたんだよな。桐生さんとも結城事務局長の話をいろいろしていたらしいし。
とはいえ、幽霊の話をしたら、頭がおかしいと思われるよなあ。
脳外科の先生だけに、受診するようにとか本気で言われたら困ってしまう。
「ども、お疲れ様です。講演会の案内を置きにきたんですよー」
クロネコにしても、桐生さんが見ていると言う結城事務局長にしても。
いまのところ実害はないから問題はない。
それよりも、犬飼さんの情報をどうやって集めようかと思っていると、突然、足元がひんやりした。
クロネコだ。
長いしっぽをゆらゆら揺らしながら私の足を一回りすると、絹井先生の足に額を擦り付ける様にじゃれている。
なにやってんだ、このネコーーうん? あれ、ひょっとしたら、絹井先生に聞けばいいんじゃないか? カエルの折り紙のこと。
絹井先生は救命センターの医長なのだから、症状が重い患者が多い3階の病棟には頻繁に出入りしているはずだ。
クロネコは絹井先生の足元にまとわりつつ、私を見上げている。
何やってんだ、早く聞けよと言わんばかりだ。
しかし、下っ端の事務員にとって、救命センターの医長とのおしゃべりなど、ハードルが高いにもほどがあるぞ。
桐生さんみたいな優秀な事務員ならともかく、私は本当にただのヒラなのだ。
クロネコがさっさとしろと言わんばかりに尻尾で床を叩いている。
なんで猫に叱られなきゃならねえんだ。
このやろうっと思いながらどう話を持って行こうか考えていると、クロネコが私の手に突然飛びかかってきた。
「わっ……!」
しかしクロネコはするりと通り抜ける。
「あらやだ……なにこれ」
やっちまったああああ!
驚いた拍子に、在ろう事か救命の医長にカエルを投げつけてしまった。
やべえええ。
階段出口の扉を開けてすぐ、消毒スペースがあり、そこで手を洗ったり持ち込み品を紫外線殺菌装置で殺菌したりできる。
念のため、書類とカエル、両方を殺菌してから自動ドアをくぐると、各病棟の共有面会ホールに出る。
講演会のお知らせは、このホールに設置されているお知らせ置き場に置き、受付の人に声をかけるだけだ。
絵にかいたような雑用だが、これも仕事の内。
「あら、庶務課の桐生君の通訳くんじゃないの。どうしたの、こんなところに」
桐生さんの通訳……まあ、その覚え方でも構いませんがね。と心の中で苦笑いをして声をかけてきた人を振り返る。
救命センター長、絹井沙奈枝先生だ。
今年定年を迎える予定の、穏やかで話しやすい先生で、私のような下っ端の顔もきちんと覚えていてくれる。
そういえば、この先生が下に飾ってある結城事務局長絵と――クロネコの絵を描いたんだよな。桐生さんとも結城事務局長の話をいろいろしていたらしいし。
とはいえ、幽霊の話をしたら、頭がおかしいと思われるよなあ。
脳外科の先生だけに、受診するようにとか本気で言われたら困ってしまう。
「ども、お疲れ様です。講演会の案内を置きにきたんですよー」
クロネコにしても、桐生さんが見ていると言う結城事務局長にしても。
いまのところ実害はないから問題はない。
それよりも、犬飼さんの情報をどうやって集めようかと思っていると、突然、足元がひんやりした。
クロネコだ。
長いしっぽをゆらゆら揺らしながら私の足を一回りすると、絹井先生の足に額を擦り付ける様にじゃれている。
なにやってんだ、このネコーーうん? あれ、ひょっとしたら、絹井先生に聞けばいいんじゃないか? カエルの折り紙のこと。
絹井先生は救命センターの医長なのだから、症状が重い患者が多い3階の病棟には頻繁に出入りしているはずだ。
クロネコは絹井先生の足元にまとわりつつ、私を見上げている。
何やってんだ、早く聞けよと言わんばかりだ。
しかし、下っ端の事務員にとって、救命センターの医長とのおしゃべりなど、ハードルが高いにもほどがあるぞ。
桐生さんみたいな優秀な事務員ならともかく、私は本当にただのヒラなのだ。
クロネコがさっさとしろと言わんばかりに尻尾で床を叩いている。
なんで猫に叱られなきゃならねえんだ。
このやろうっと思いながらどう話を持って行こうか考えていると、クロネコが私の手に突然飛びかかってきた。
「わっ……!」
しかしクロネコはするりと通り抜ける。
「あらやだ……なにこれ」
やっちまったああああ!
驚いた拍子に、在ろう事か救命の医長にカエルを投げつけてしまった。
やべえええ。
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