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ヘリから降りて目的の人に会うために向かう。
その人物は怯むことなく、両足をしっかり地面に付けていた。
そして、白い髪をなびかせている。私の願い通りに髪を元の白い色に戻しているのは大変嬉しい。
服装もドレスを願っていたが、本人が拒否したのか軍服を着て二本の剣を腰に下げている。
そこは変わらない所に笑みが溢れる。広角が上がっているかもしれない。けど、それを見せないようにしなくては。
あぁ、早くその体を抱きしめたい。首筋に顔を埋めて、牙が白い肌を突き破り、花のような蜜の血を啜り、甘い疼きを体に巡らせて、よがらせ喘がせ、うち震える体に手を這わせたい。
きっと、白い小鳥は可愛い声を出し、愛らしく鳴くだろう。
早く、その声を聞きたい。
ルードヴィッヒは焦燥感でいっぱいだった感情が、一人の人物を見ることで、満たさせていくことを感じた。
ずっと探し求めていたものが、やっと手に入る。
早く手中に収めたいと、はやる気持ちを落ち着かせるために、軽く目を瞑り心を落ち着かせた。
夜神はヘリから降りてくる人物達を、その白い目でじっと見つめた。
一人は黒いマントを頭からすっぽり被り、どんな人物かは分からない。分かるのは男性だと分かるぐらいだ。
そして、もう一人は知っている。帝國の宰相で「ローレンツ」と呼ばれていたのを覚えている。
その二人の先頭に立って、真っ直ぐ歩いてくる人物が帝國の皇帝、ルードヴィッヒだ。
アイスシルバーの髪に、金色の瞳。詰め襟の軍服の裾をなびかせている。
軽薄な笑みを浮かべている顔には、一筋の傷が右目に縦に走っている。けど、その傷さえもその美貌に華を添えているように見える。
だが、その姿を見ているだけで吐き気が出てくる。
自然と震えはなくなっていった。それまでは説明の出来ない感情に支配され震えていた。
人間、覚悟を決めると逞しくなるものだな・・・・・
夜神は軽く笑ってしまった。それを、隣で見ていた本條局長は訝しんだ顔で見ていたが気にしなかった。
「一年ぶりかな?私の「白い小鳥」は元気にしていたかい?」
よく通るバリトンの声が、皮肉を込めて夜神に投げかけられる。
ヘリのプロペラはいつの間にか停止していて、風は止んでいた。
「私は夜神 凪だ。その不快な呼び方をするな!」
気持ち悪い。何が小鳥だ。
けど、ルードヴィッヒは愉悦に満ちた顔を変えることなく言葉を紡ぐ。
「小鳥は小鳥だよ?小さく、愛らしく鳴き、楽しませてくれる。それにしても凪ちゃん・・・・・私は服装にドレスを所望していたのだが・・・・」
はぁーと、ため息をしながら話していく。まるで聞き分けのない子供に諭すように話す。
「私は軍人だ。軍人が軍服を着ないで何を着る。貴様の戯言に付き合う気は毛頭ない」
「凪ちゃん。淑女は「貴様」なんて言葉は使わないよ?駄目じゃないか。これはちゃんと淑女教育をしないとね?」
くっくく、と笑いながら自分の顎に手をかける。
「一年前は二週間しかなかったからね。教育なんて出来なかったけど、今度はたっぷりと時間があるから、一から教育してあげないとね?私に相応しい淑女になってもらわないとね」
微笑んで夜神達を見る。その微笑みは、夜神が帝國に行きルードヴィッヒの元にいるのが当たり前の前提で話しているのに、夜神は気持ち悪くなった。
吐き気がする。皇帝に相応しい人間になどこちらから願い下げだ。
「ふざけるなっ!誰が貴様のために勉強などするものか。それこそこちらから願い下げだっ!!」
「あ~ぁ、また言った・・・・・これはお仕置きが必要だね?いいよ。それがご所望なら沢山しなくちゃね?」
微笑みが歪んだ笑みに変わる。心の底から楽しんでいる様子に吐き気がする。もう、話すのも限界に近いかもしれない。
「・・・・・本條局長離れて下さい」
「夜神大佐。いい加減にして下さい!・・・・・吸血鬼の皇帝。貴方のご所望通り夜神大佐は帝國に行きます。なのでどうか、これ以上の進軍はやめて頂きたい」
本條局長の演技が始まる。大事な軍人を手放すのは心苦しい。けど、これで全てが治まるなら心を鬼にして私は捧げます・・・・・
そんな演技をしているのだろう。夜神はその安い芝居に反吐が出そうになったが、グッと堪えた。
「そうだね・・・・・・進軍を止めてほしいのなら、少しは凪ちゃんを従順になるように躾けとかないと?今のままなら逆らってついてこなさそうだけど?」
「そんな事はありません!!夜神大佐は皇帝の元に必ず行きます!そうですよね夜神大佐?」
冷めた目で睨む本條局長に逆らいたかった。私は最後まで「行きます」とは一言も言っていない。そっちが勝手に話を勧めているのだろうっ!!
叫びたかった。そう、叫んでいたらどれ程のいいか。
けど、それはしない。出来ない。
大切な人を失う気持ちをこれ以上味わいたくない。そして、守るべき人たちがこれ以上悲しまないように。
私や庵君のように大切な人を失って、軍に入ることがなくなるように。
これ以上、吸血鬼の牙が襲わないように。
けど、黙って行きたくない
本條局長の話を無視して歩き出す。ツカツカと、軍靴を鳴らして一定の距離まで皇帝の元に来る。
皇帝は最初驚いたが、何かの意図を汲み取ったのか、貼り付けたような笑みをしたまま様子を見ている。
本條局長は「ふざけるな」とお怒りだったが、もう、関係ない。初めから夜神達を欺いていたのだ。今も演技をして騙しているが、その本心は既に理解している。
一定の距離に近づくと夜神は、恐ろしいスピードで青い柄巻きの蒼月を抜刀する。
「なっ・・・大佐っ!!」
「白目の魔女!!」
本條局長とローレンツの声が重なる。けど、刀を突きつけられたルードヴィッヒだけは、相変わらず貼り付けた笑みを崩さない。
初めから全てを理解したうえで、夜神の行動を高みの見物をしているのかもしれない。それならそれで構わない。
「皇帝・・・・・・あの時の勝負をもう一度しましょう?」
「あの時の勝負?どの勝負かな?・・・・・・あぁ、騎士団での事かな?」
「えぇ、その騎士団での勝負です。あの時の私は服装も装備も万全ではなかった。けど、今はその全てが整ってます。なので再戦を望みます」
夜神の願いを聞いて、牙を見せながら高笑いをし始めた。
「ふはっ!はっははは!!凪ちゃん・・・・・それは子供の駄々だよ・・・・・可愛いなぁ。本当に私の白い小鳥は可愛い・・・・・・いいよ。その願いを叶えてあげよう」
「陛下っ!!」
ローレンツの声を片手を上げて遮る。これ以上の追求をさせないために。
「元々、凪ちゃんは黙って大人しく来てくれるとは信じてなかったからね。だから安心してね?ちゃんと私も愛剣を持ってきてるからね・・・・・」
腰に下げている剣の柄を軽く撫で、そして、獲物を前にして舌舐めずりをする狩人の様に、ペロリと唇を軽く舐める。
「勝負をしょうじゃないか。そして絶望の闇に叩きつけてあげよう。打ちひしがれ、私に泣いて詫びればいい。慟哭の叫びを聞いてあげるよ?」
それは圧倒的強者の声だった。夜神の願いなど些細な出来事にすぎない取るに足らないものだと。
だが、負けると分かっていても、万が一に賭けたかった。
あの時は敵だらけだった。けど今は違う。私の周りには味方しかいない。そして、守りたい。
夜神は軽く後方に飛んで後退り、一度、刀を納刀すると抜刀の構えをする。
真剣な、些細なことも見逃さない目は赤くなっていた。
「いいだろう・・・・・」
ルードヴィッヒも剣を抜いて構える。後ろ腰の左側に剣を構え、切先を相手の顔に向ける。
その様子をみて、近くにいた人間は邪魔にならない範囲まで移動する。
近くにいた本條局長とローレンツ達も、邪魔にならない所まで後退する。
全ての移動を見届けた夜神達の間に、緊張が走る。
ヒュッと、風が吹いて夜神のポニーテールの白い髪がなびく。それが合図だったのか二人は一斉に動いた。
その人物は怯むことなく、両足をしっかり地面に付けていた。
そして、白い髪をなびかせている。私の願い通りに髪を元の白い色に戻しているのは大変嬉しい。
服装もドレスを願っていたが、本人が拒否したのか軍服を着て二本の剣を腰に下げている。
そこは変わらない所に笑みが溢れる。広角が上がっているかもしれない。けど、それを見せないようにしなくては。
あぁ、早くその体を抱きしめたい。首筋に顔を埋めて、牙が白い肌を突き破り、花のような蜜の血を啜り、甘い疼きを体に巡らせて、よがらせ喘がせ、うち震える体に手を這わせたい。
きっと、白い小鳥は可愛い声を出し、愛らしく鳴くだろう。
早く、その声を聞きたい。
ルードヴィッヒは焦燥感でいっぱいだった感情が、一人の人物を見ることで、満たさせていくことを感じた。
ずっと探し求めていたものが、やっと手に入る。
早く手中に収めたいと、はやる気持ちを落ち着かせるために、軽く目を瞑り心を落ち着かせた。
夜神はヘリから降りてくる人物達を、その白い目でじっと見つめた。
一人は黒いマントを頭からすっぽり被り、どんな人物かは分からない。分かるのは男性だと分かるぐらいだ。
そして、もう一人は知っている。帝國の宰相で「ローレンツ」と呼ばれていたのを覚えている。
その二人の先頭に立って、真っ直ぐ歩いてくる人物が帝國の皇帝、ルードヴィッヒだ。
アイスシルバーの髪に、金色の瞳。詰め襟の軍服の裾をなびかせている。
軽薄な笑みを浮かべている顔には、一筋の傷が右目に縦に走っている。けど、その傷さえもその美貌に華を添えているように見える。
だが、その姿を見ているだけで吐き気が出てくる。
自然と震えはなくなっていった。それまでは説明の出来ない感情に支配され震えていた。
人間、覚悟を決めると逞しくなるものだな・・・・・
夜神は軽く笑ってしまった。それを、隣で見ていた本條局長は訝しんだ顔で見ていたが気にしなかった。
「一年ぶりかな?私の「白い小鳥」は元気にしていたかい?」
よく通るバリトンの声が、皮肉を込めて夜神に投げかけられる。
ヘリのプロペラはいつの間にか停止していて、風は止んでいた。
「私は夜神 凪だ。その不快な呼び方をするな!」
気持ち悪い。何が小鳥だ。
けど、ルードヴィッヒは愉悦に満ちた顔を変えることなく言葉を紡ぐ。
「小鳥は小鳥だよ?小さく、愛らしく鳴き、楽しませてくれる。それにしても凪ちゃん・・・・・私は服装にドレスを所望していたのだが・・・・」
はぁーと、ため息をしながら話していく。まるで聞き分けのない子供に諭すように話す。
「私は軍人だ。軍人が軍服を着ないで何を着る。貴様の戯言に付き合う気は毛頭ない」
「凪ちゃん。淑女は「貴様」なんて言葉は使わないよ?駄目じゃないか。これはちゃんと淑女教育をしないとね?」
くっくく、と笑いながら自分の顎に手をかける。
「一年前は二週間しかなかったからね。教育なんて出来なかったけど、今度はたっぷりと時間があるから、一から教育してあげないとね?私に相応しい淑女になってもらわないとね」
微笑んで夜神達を見る。その微笑みは、夜神が帝國に行きルードヴィッヒの元にいるのが当たり前の前提で話しているのに、夜神は気持ち悪くなった。
吐き気がする。皇帝に相応しい人間になどこちらから願い下げだ。
「ふざけるなっ!誰が貴様のために勉強などするものか。それこそこちらから願い下げだっ!!」
「あ~ぁ、また言った・・・・・これはお仕置きが必要だね?いいよ。それがご所望なら沢山しなくちゃね?」
微笑みが歪んだ笑みに変わる。心の底から楽しんでいる様子に吐き気がする。もう、話すのも限界に近いかもしれない。
「・・・・・本條局長離れて下さい」
「夜神大佐。いい加減にして下さい!・・・・・吸血鬼の皇帝。貴方のご所望通り夜神大佐は帝國に行きます。なのでどうか、これ以上の進軍はやめて頂きたい」
本條局長の演技が始まる。大事な軍人を手放すのは心苦しい。けど、これで全てが治まるなら心を鬼にして私は捧げます・・・・・
そんな演技をしているのだろう。夜神はその安い芝居に反吐が出そうになったが、グッと堪えた。
「そうだね・・・・・・進軍を止めてほしいのなら、少しは凪ちゃんを従順になるように躾けとかないと?今のままなら逆らってついてこなさそうだけど?」
「そんな事はありません!!夜神大佐は皇帝の元に必ず行きます!そうですよね夜神大佐?」
冷めた目で睨む本條局長に逆らいたかった。私は最後まで「行きます」とは一言も言っていない。そっちが勝手に話を勧めているのだろうっ!!
叫びたかった。そう、叫んでいたらどれ程のいいか。
けど、それはしない。出来ない。
大切な人を失う気持ちをこれ以上味わいたくない。そして、守るべき人たちがこれ以上悲しまないように。
私や庵君のように大切な人を失って、軍に入ることがなくなるように。
これ以上、吸血鬼の牙が襲わないように。
けど、黙って行きたくない
本條局長の話を無視して歩き出す。ツカツカと、軍靴を鳴らして一定の距離まで皇帝の元に来る。
皇帝は最初驚いたが、何かの意図を汲み取ったのか、貼り付けたような笑みをしたまま様子を見ている。
本條局長は「ふざけるな」とお怒りだったが、もう、関係ない。初めから夜神達を欺いていたのだ。今も演技をして騙しているが、その本心は既に理解している。
一定の距離に近づくと夜神は、恐ろしいスピードで青い柄巻きの蒼月を抜刀する。
「なっ・・・大佐っ!!」
「白目の魔女!!」
本條局長とローレンツの声が重なる。けど、刀を突きつけられたルードヴィッヒだけは、相変わらず貼り付けた笑みを崩さない。
初めから全てを理解したうえで、夜神の行動を高みの見物をしているのかもしれない。それならそれで構わない。
「皇帝・・・・・・あの時の勝負をもう一度しましょう?」
「あの時の勝負?どの勝負かな?・・・・・・あぁ、騎士団での事かな?」
「えぇ、その騎士団での勝負です。あの時の私は服装も装備も万全ではなかった。けど、今はその全てが整ってます。なので再戦を望みます」
夜神の願いを聞いて、牙を見せながら高笑いをし始めた。
「ふはっ!はっははは!!凪ちゃん・・・・・それは子供の駄々だよ・・・・・可愛いなぁ。本当に私の白い小鳥は可愛い・・・・・・いいよ。その願いを叶えてあげよう」
「陛下っ!!」
ローレンツの声を片手を上げて遮る。これ以上の追求をさせないために。
「元々、凪ちゃんは黙って大人しく来てくれるとは信じてなかったからね。だから安心してね?ちゃんと私も愛剣を持ってきてるからね・・・・・」
腰に下げている剣の柄を軽く撫で、そして、獲物を前にして舌舐めずりをする狩人の様に、ペロリと唇を軽く舐める。
「勝負をしょうじゃないか。そして絶望の闇に叩きつけてあげよう。打ちひしがれ、私に泣いて詫びればいい。慟哭の叫びを聞いてあげるよ?」
それは圧倒的強者の声だった。夜神の願いなど些細な出来事にすぎない取るに足らないものだと。
だが、負けると分かっていても、万が一に賭けたかった。
あの時は敵だらけだった。けど今は違う。私の周りには味方しかいない。そして、守りたい。
夜神は軽く後方に飛んで後退り、一度、刀を納刀すると抜刀の構えをする。
真剣な、些細なことも見逃さない目は赤くなっていた。
「いいだろう・・・・・」
ルードヴィッヒも剣を抜いて構える。後ろ腰の左側に剣を構え、切先を相手の顔に向ける。
その様子をみて、近くにいた人間は邪魔にならない範囲まで移動する。
近くにいた本條局長とローレンツ達も、邪魔にならない所まで後退する。
全ての移動を見届けた夜神達の間に、緊張が走る。
ヒュッと、風が吹いて夜神のポニーテールの白い髪がなびく。それが合図だったのか二人は一斉に動いた。
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