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玩具 前編
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再び、ご主人様の私室に呼ばれたのは、あの日から三日目のことだった。
もう、私は命令を恐れてはいなかった。
むしろ……どこかで、待ち望んでいた。
羞恥も、羞恥のままではない。
恥ずかしさに染まるたび、あの方の瞳に見つめられるたび――私の身体は、熱を帯びてしまう。
それが、ご主人様の前で濡れた理由だとわかっていても。
……いいえ、だからこそ、私は従いたいと思ってしまった。
けれど。
その夜、私が目にしたのは、それまでとはまったく違う何かだった。
「そこにある箱を開けろ」
指示された先には、重厚な木箱が置かれていた。
黒い金具で縁取られたその蓋をそっと開くと、中にはいくつかの……見慣れない物が並べられていた。
形も色も、大きさもさまざまだった。
艶めく黒、柔らかい白、真珠色の丸いもの、棒状のもの、小さな器具のようなもの……。
私は思わず息を呑んだ。
「それらは、女を快楽に堕とすための道具だ。……お前に、ひとつ選ばせる」
言葉の意味が、すぐには理解できなかった。
けれど、ご主人様の目が逸らさずに私を見ていたことで、次第に脳が現実を認識し始める。
私が、自ら選ぶ。
自分の身体を慰めるための道具を――ご主人様の命令のもとに。
「……どれを……」
声が震えた。
こんなこと、夢にも思わなかった。
けれど、箱の中にひとつだけ、妙に目を惹く器具があった。
白く、小ぶりで、丸みを帯びたフォルム。
先端に細い吸入口のような穴があり、他の道具と比べても異質で、そして、なぜか美しいと思ってしまった。
私は、その道具をそっと持ち上げた。
重くはない。手に馴染む形状。だが、その中にはきっと――
「吸引型の玩具だ。……お前の蕾に当てれば、どれほど感じるか……楽しみにしている」
ご主人様の声に、背筋が震えた。
蕾――そう、つまり……クリトリス。
そこを、吸う?
当てるだけで……感じる……?
「今夜はそれを使って、自分を慰めろ。もちろん、私の目の前で」
機械の震える音と、ご主人様の視線。
それだけで、私はもう、身体の奥がきゅうっと疼き始めていた。
恐ろしい。
でも、やめたいとは思わなかった。
「……かしこまりました、ご主人様」
頷いた瞬間、心のどこかが甘くしびれた。
ご主人様のために、私の身体を――
いえ、私の快楽を、すべて晒して差し上げる準備は、もうできていた。
* * *
ご主人様の命令に従い、私は椅子に腰を下ろした。
脚を開き、スカートを捲り上げると、蒸れた甘い熱が下半身にこもっていたのが自分でもわかった。
下着は脱ぐな――その命令どおり、私は布地の端を指でつまみ、ゆっくりと横にずらす。
露わになったそこは、すでに湿り気を帯びていた。
涼しい空気が触れただけで、びくりと背筋が跳ねる。
「よく濡れているな。道具を使う前から、その様だ」
低く、静かな声が落ちる。
それだけで、奥からとろりと蜜が零れた。
私は手の中の器具――白く丸みを帯びたウーマナイザーを見つめた。
未知の形。見た目は可憐なのに、その内側に隠された「快楽」の深さを、身体がもう直感で察していた。
「電源を入れろ。……そして、蕾に当てろ。吸わせろ」
ゆっくりとスイッチを入れると、低く甘い振動音が空気を揺らした。
ブゥゥゥゥ……
小さく唇が震える。
器具が手の中で柔らかく振動し、指先がじんじんと熱を帯びていく。
それを、慎重に、自分のクリトリスに――そっと、当てた。
「――っ、ひ、ぁあ……ッ!」
触れた瞬間、世界が裏返った。
なにも挿れていないのに、奥から一気に快感が突き上げた。
吸い上げられる――そんな感覚。
柔らかく、けれど逃げ場のない吸引が、敏感な一点をきゅうっと啜ってくる。
「や、だ……っ、ご主人様ぁ……っ、なに、これ……あぁあっ!」
膝が跳ねた。
腰が逃げようと震えた。
でも、ご主人様の前でそれを許されるわけがない。
「そのまま。動かすな。……しっかりと吸わせろ」
声が命令を下すたび、身体が言うことを聞かなくなる。
下腹の奥が、うずく。
吸われるたびに、じわじわと熱が溜まり、膣内までじっとりと濡れていくのがわかる。
「はっ、くっ……んんっ、んんぁ……! おかしくなる、感じすぎて……っ!」
音が鳴っている。
ブゥゥゥ、チュッ、チュ、シュッ――
器具が柔らかな肉を吸い、離し、また吸う。
唾液で責められるような淫らな音が、自分の身体から響いていることに、心が痺れる。
「見ろ、リリア。自分がどれだけ濡れているか。……それも、私のために」
指示に従い、私は首を傾け、視線を落とす。
蜜に濡れてぬらぬらと光る秘部。
その中心を、白い器具が密着して吸い上げている。
音、熱、恥ずかしさ、全てが混ざって、視界がぐらついた。
「……やぁっ、だめ……! ご主人様、もう、もう……っ、いっちゃいそう……!」
腰が勝手に揺れている。
吸引に合わせて、膣がきゅぅっと収縮し、なにも入っていないはずなのに、奥の奥が疼く。
「――絶頂は、まだ許していない」
その言葉に、身体がびくりと跳ねた。
ダメ。まだ、イッてはいけない。
なのに、吸引は容赦なく、私を高みへ引きずり込もうとする。
「ご主人様……っ、お願い……やだ、これ、止まらない……っ、いっちゃう、許して……っ」
涙が滲む。
快感で、羞恥で、あまりにも気持ちよくて――
でも命令を破ることだけは、どうしてもできない。
脚が震える。
息が荒い。
けれど、許されるその瞬間まで、私は自らの蕾を吸わせながら、堪え続けなければならない。
――その残酷な悦びに、私はすでに、囚われていた。
もう、私は命令を恐れてはいなかった。
むしろ……どこかで、待ち望んでいた。
羞恥も、羞恥のままではない。
恥ずかしさに染まるたび、あの方の瞳に見つめられるたび――私の身体は、熱を帯びてしまう。
それが、ご主人様の前で濡れた理由だとわかっていても。
……いいえ、だからこそ、私は従いたいと思ってしまった。
けれど。
その夜、私が目にしたのは、それまでとはまったく違う何かだった。
「そこにある箱を開けろ」
指示された先には、重厚な木箱が置かれていた。
黒い金具で縁取られたその蓋をそっと開くと、中にはいくつかの……見慣れない物が並べられていた。
形も色も、大きさもさまざまだった。
艶めく黒、柔らかい白、真珠色の丸いもの、棒状のもの、小さな器具のようなもの……。
私は思わず息を呑んだ。
「それらは、女を快楽に堕とすための道具だ。……お前に、ひとつ選ばせる」
言葉の意味が、すぐには理解できなかった。
けれど、ご主人様の目が逸らさずに私を見ていたことで、次第に脳が現実を認識し始める。
私が、自ら選ぶ。
自分の身体を慰めるための道具を――ご主人様の命令のもとに。
「……どれを……」
声が震えた。
こんなこと、夢にも思わなかった。
けれど、箱の中にひとつだけ、妙に目を惹く器具があった。
白く、小ぶりで、丸みを帯びたフォルム。
先端に細い吸入口のような穴があり、他の道具と比べても異質で、そして、なぜか美しいと思ってしまった。
私は、その道具をそっと持ち上げた。
重くはない。手に馴染む形状。だが、その中にはきっと――
「吸引型の玩具だ。……お前の蕾に当てれば、どれほど感じるか……楽しみにしている」
ご主人様の声に、背筋が震えた。
蕾――そう、つまり……クリトリス。
そこを、吸う?
当てるだけで……感じる……?
「今夜はそれを使って、自分を慰めろ。もちろん、私の目の前で」
機械の震える音と、ご主人様の視線。
それだけで、私はもう、身体の奥がきゅうっと疼き始めていた。
恐ろしい。
でも、やめたいとは思わなかった。
「……かしこまりました、ご主人様」
頷いた瞬間、心のどこかが甘くしびれた。
ご主人様のために、私の身体を――
いえ、私の快楽を、すべて晒して差し上げる準備は、もうできていた。
* * *
ご主人様の命令に従い、私は椅子に腰を下ろした。
脚を開き、スカートを捲り上げると、蒸れた甘い熱が下半身にこもっていたのが自分でもわかった。
下着は脱ぐな――その命令どおり、私は布地の端を指でつまみ、ゆっくりと横にずらす。
露わになったそこは、すでに湿り気を帯びていた。
涼しい空気が触れただけで、びくりと背筋が跳ねる。
「よく濡れているな。道具を使う前から、その様だ」
低く、静かな声が落ちる。
それだけで、奥からとろりと蜜が零れた。
私は手の中の器具――白く丸みを帯びたウーマナイザーを見つめた。
未知の形。見た目は可憐なのに、その内側に隠された「快楽」の深さを、身体がもう直感で察していた。
「電源を入れろ。……そして、蕾に当てろ。吸わせろ」
ゆっくりとスイッチを入れると、低く甘い振動音が空気を揺らした。
ブゥゥゥゥ……
小さく唇が震える。
器具が手の中で柔らかく振動し、指先がじんじんと熱を帯びていく。
それを、慎重に、自分のクリトリスに――そっと、当てた。
「――っ、ひ、ぁあ……ッ!」
触れた瞬間、世界が裏返った。
なにも挿れていないのに、奥から一気に快感が突き上げた。
吸い上げられる――そんな感覚。
柔らかく、けれど逃げ場のない吸引が、敏感な一点をきゅうっと啜ってくる。
「や、だ……っ、ご主人様ぁ……っ、なに、これ……あぁあっ!」
膝が跳ねた。
腰が逃げようと震えた。
でも、ご主人様の前でそれを許されるわけがない。
「そのまま。動かすな。……しっかりと吸わせろ」
声が命令を下すたび、身体が言うことを聞かなくなる。
下腹の奥が、うずく。
吸われるたびに、じわじわと熱が溜まり、膣内までじっとりと濡れていくのがわかる。
「はっ、くっ……んんっ、んんぁ……! おかしくなる、感じすぎて……っ!」
音が鳴っている。
ブゥゥゥ、チュッ、チュ、シュッ――
器具が柔らかな肉を吸い、離し、また吸う。
唾液で責められるような淫らな音が、自分の身体から響いていることに、心が痺れる。
「見ろ、リリア。自分がどれだけ濡れているか。……それも、私のために」
指示に従い、私は首を傾け、視線を落とす。
蜜に濡れてぬらぬらと光る秘部。
その中心を、白い器具が密着して吸い上げている。
音、熱、恥ずかしさ、全てが混ざって、視界がぐらついた。
「……やぁっ、だめ……! ご主人様、もう、もう……っ、いっちゃいそう……!」
腰が勝手に揺れている。
吸引に合わせて、膣がきゅぅっと収縮し、なにも入っていないはずなのに、奥の奥が疼く。
「――絶頂は、まだ許していない」
その言葉に、身体がびくりと跳ねた。
ダメ。まだ、イッてはいけない。
なのに、吸引は容赦なく、私を高みへ引きずり込もうとする。
「ご主人様……っ、お願い……やだ、これ、止まらない……っ、いっちゃう、許して……っ」
涙が滲む。
快感で、羞恥で、あまりにも気持ちよくて――
でも命令を破ることだけは、どうしてもできない。
脚が震える。
息が荒い。
けれど、許されるその瞬間まで、私は自らの蕾を吸わせながら、堪え続けなければならない。
――その残酷な悦びに、私はすでに、囚われていた。
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