【R18】その手で触れて――ご主人様に見せる淫らな一人遊びは、やがて本物で躾けられました

いろは杏⛄️

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本物 前編

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「次の夜、お前に本物を与える」

 その言葉を、ご主人様から告げられたとき。
 私は、思考が一瞬止まってしまうのを感じた。

 本物――それが意味することは、わかっていた。
 これまで、視線で。命令で。道具で。手で。
 何度も快楽に沈められ、躾けられた私が、まだ触れられたことのないご主人様そのもの――。

 ようやく、触れられる。
 ようやく、貫かれる。

 私の中に、あの方が入ってくるのだ。

 その事実に、鼓動が激しく高鳴った。
 身体が熱を帯び、膣の奥がじわりと疼く。
 まだ何もされていないのに、欲しくてたまらない。
 ご主人様を、私の一番奥で、受け入れたい。

「……ありがとうございます、ご主人様」

 かすれる声でそう答えると、ご主人様は何も言わずに頷き、私を一瞥してから静かに背を向けた。

 それだけなのに、脚のあいだから蜜が零れていた。


     * * *


 その夜、私は何も手につかなかった。
 下着は何度も取り替えた。身体を清めたあとも、心が落ち着かず、何度も鏡を見ては整える髪に指を震わせていた。

 ――もう、躾けられるだけの牝ではいられない。

 ご主人様のそれを受け入れるということは、ただ身体を捧げるのではない。
 快楽の先にある、存在そのものの所有を意味する。

 わたしの奥を貫いてほしい。
 肉の奥に、ご主人様の熱と形を刻みつけてほしい。
 二度と離れられないように。
 私という器の底に、ご主人様を流し込んでほしい。

 その願いが、頭を離れない。

 夜が近づくにつれ、息をするのも苦しいほどだった。
 心臓はひとりでに跳ね、下腹部はずっとじんじんと疼き続けている。
 脚を閉じていても、蜜が伝っていく。
 もう、自分がどうなってしまうのかすらわからない。

 けれど――怖くはなかった。
 あの方のものになるのなら、私はすべてを喜んで差し出せる。


     * * *


 時刻は、夜半近く。
 私は、ご主人様の私室の扉の前に立っていた。

 いつもと変わらない静かな木の扉。
 けれど、その向こうで、私は完成を迎えるのだ。

 手を伸ばすと、指先が小さく震えていた。
 緊張と、歓喜と、淫らな期待。

 それでも、私は躊躇わなかった。
 軽く、コン、コンとノックを叩く。

「――入れ」

 ご主人様の声。
 それだけで、膣の奥がきゅうっと収縮する。

 扉を開ける。
 香が薫る室内に一歩足を踏み入れた瞬間、私は悟った。

 今夜、私は抱かれる。
 ご主人様の腕の中で、躾けられるのではなく――繋がるのだ。


     * * *


 ご主人様の私室の扉を閉めたとき、背後でカチリと鍵の音が鳴った。
 わずかな音――けれど、それが逃れられない夜の始まりであることを、私の全身が理解していた。

 ご主人様は、椅子に腰をかけていた。
 いつも通りの白手袋、漆黒の軍服、まっすぐな眼差し。
 なのに、今夜のその目は、どこか、熱を孕んでいるように見えた。

「こちらへ来い。膝をついて」

 命令に従い、私はゆっくりと歩み寄り、ご主人様の足元に膝をつく。
 身体の奥が、期待に震えていた。
 まだ何もされていないのに、蜜が止まらない。

「顔を上げろ。……そう。よく従ってきたな、リリア」

 その言葉だけで、涙が滲む。

「今夜は……褒美を与える。――その前に、まずは、これを」

 ご主人様の顔が近づいてくる。
 息が触れる距離。
 瞼を閉じる前に、ほんの一瞬、その瞳が揺らいだ気がした。

 そして――唇が、重なる。

「……っ……」

 それは、初めての口づけだった。
 ずっと躾けられてきたのに、一度も交わされなかった行為。
 甘く、優しく、それでいて、熱く。
 唇をなぞるように舌が触れ、そっと吸われる。
 私は、抗うことなど考えもしないまま、唇を開き、ご主人様の舌を招き入れた。

 ぬちゅ、くちゅ……と、卑猥な音が口の中で響く。

 キスだけで、脚が震えた。
 腰が疼き、膣が勝手に収縮する。

 唇が離れたときには、もう、私の身体は全身が熱く、汗ばんでいた。

「立て。脱げ」

 命令されるまま、私はゆっくりと服を脱いでいく。
 一枚ずつ――シャツのボタンを外し、スカートのホックを外し、下着を床に落とす。

 裸になることは、もう何度も経験してきた。
 けれど今夜は、違う。
 この身体が、いまから受け入れるために脱がされている。
 その意識だけで、肌の上を空気が撫でるたびに震えてしまう。

 ご主人様は立ち上がり、私の顎を取り、唇にもう一度だけ短いキスを落とした。
 そのまま、ベッドへと導かれる。

 ふわりと沈むシーツ。
 仰向けに寝かされ、膝を曲げて開かされる。

「お前のすべてを、この目で確かめさせろ」

 視線が、まっすぐに私の中心へ注がれる。
 そこはすでに、濡れて、熱くて、花びらを開いて蜜を滲ませていた。

「……綺麗だ。よく躾けられた牝の証だな」

 褒め言葉が、誇らしくて、嬉しくて、でも恥ずかしくて。
 私は手で顔を覆いたくなる衝動を抑え、ただ、喘ぎのような息を吐いた。

 ご主人様の指が、そこに触れる。

「あぁっ……っ、ご主人様……っ、そ、こ……」

 蕾の周りを円を描くようになぞり、溢れる蜜をかき集めるように撫でられる。
 すでに敏感になった粒がきゅうっと反応し、全身に電流が走った。

「もっと溢れさせろ。これから私のものを迎え入れるために、奥まで開いておけ」

 指が、一指、ふた指と差し入れられていく。
 ゆっくりと、膣壁をなぞりながら、奥へ奥へと進んでくる。

「んんっ、く、うぅっ、あぁっ……っ!」

 前とは違う。
 ご主人様のものが入ることを前提にして、私の中が広げられている。
 その意識だけで、快感が倍増する。

「……入り口は柔らかくなっているが、奥がまだ甘い。……ほら、もっと開け」

 指がかき混ぜられるたび、奥の方がきゅうっと締まり、また開く。
 そこに向けて、舌が這い寄り、クリトリスを同時に吸い上げられる。

「んひゃっ、あっ、あああっ……っ、だめっ、だめっ、ご主人様っ、それは、そんなに……!」

 乳首も舌で舐められ、指と舌、視線と声ですべてを嬲られ続けた。

 何度か小さな絶頂を迎えながら、私は、ご主人様を迎えるために、奥をひらいていった。
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