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本物 前編
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「次の夜、お前に本物を与える」
その言葉を、ご主人様から告げられたとき。
私は、思考が一瞬止まってしまうのを感じた。
本物――それが意味することは、わかっていた。
これまで、視線で。命令で。道具で。手で。
何度も快楽に沈められ、躾けられた私が、まだ触れられたことのないご主人様そのもの――。
ようやく、触れられる。
ようやく、貫かれる。
私の中に、あの方が入ってくるのだ。
その事実に、鼓動が激しく高鳴った。
身体が熱を帯び、膣の奥がじわりと疼く。
まだ何もされていないのに、欲しくてたまらない。
ご主人様を、私の一番奥で、受け入れたい。
「……ありがとうございます、ご主人様」
かすれる声でそう答えると、ご主人様は何も言わずに頷き、私を一瞥してから静かに背を向けた。
それだけなのに、脚のあいだから蜜が零れていた。
* * *
その夜、私は何も手につかなかった。
下着は何度も取り替えた。身体を清めたあとも、心が落ち着かず、何度も鏡を見ては整える髪に指を震わせていた。
――もう、躾けられるだけの牝ではいられない。
ご主人様のそれを受け入れるということは、ただ身体を捧げるのではない。
快楽の先にある、存在そのものの所有を意味する。
わたしの奥を貫いてほしい。
肉の奥に、ご主人様の熱と形を刻みつけてほしい。
二度と離れられないように。
私という器の底に、ご主人様を流し込んでほしい。
その願いが、頭を離れない。
夜が近づくにつれ、息をするのも苦しいほどだった。
心臓はひとりでに跳ね、下腹部はずっとじんじんと疼き続けている。
脚を閉じていても、蜜が伝っていく。
もう、自分がどうなってしまうのかすらわからない。
けれど――怖くはなかった。
あの方のものになるのなら、私はすべてを喜んで差し出せる。
* * *
時刻は、夜半近く。
私は、ご主人様の私室の扉の前に立っていた。
いつもと変わらない静かな木の扉。
けれど、その向こうで、私は完成を迎えるのだ。
手を伸ばすと、指先が小さく震えていた。
緊張と、歓喜と、淫らな期待。
それでも、私は躊躇わなかった。
軽く、コン、コンとノックを叩く。
「――入れ」
ご主人様の声。
それだけで、膣の奥がきゅうっと収縮する。
扉を開ける。
香が薫る室内に一歩足を踏み入れた瞬間、私は悟った。
今夜、私は抱かれる。
ご主人様の腕の中で、躾けられるのではなく――繋がるのだ。
* * *
ご主人様の私室の扉を閉めたとき、背後でカチリと鍵の音が鳴った。
わずかな音――けれど、それが逃れられない夜の始まりであることを、私の全身が理解していた。
ご主人様は、椅子に腰をかけていた。
いつも通りの白手袋、漆黒の軍服、まっすぐな眼差し。
なのに、今夜のその目は、どこか、熱を孕んでいるように見えた。
「こちらへ来い。膝をついて」
命令に従い、私はゆっくりと歩み寄り、ご主人様の足元に膝をつく。
身体の奥が、期待に震えていた。
まだ何もされていないのに、蜜が止まらない。
「顔を上げろ。……そう。よく従ってきたな、リリア」
その言葉だけで、涙が滲む。
「今夜は……褒美を与える。――その前に、まずは、これを」
ご主人様の顔が近づいてくる。
息が触れる距離。
瞼を閉じる前に、ほんの一瞬、その瞳が揺らいだ気がした。
そして――唇が、重なる。
「……っ……」
それは、初めての口づけだった。
ずっと躾けられてきたのに、一度も交わされなかった行為。
甘く、優しく、それでいて、熱く。
唇をなぞるように舌が触れ、そっと吸われる。
私は、抗うことなど考えもしないまま、唇を開き、ご主人様の舌を招き入れた。
ぬちゅ、くちゅ……と、卑猥な音が口の中で響く。
キスだけで、脚が震えた。
腰が疼き、膣が勝手に収縮する。
唇が離れたときには、もう、私の身体は全身が熱く、汗ばんでいた。
「立て。脱げ」
命令されるまま、私はゆっくりと服を脱いでいく。
一枚ずつ――シャツのボタンを外し、スカートのホックを外し、下着を床に落とす。
裸になることは、もう何度も経験してきた。
けれど今夜は、違う。
この身体が、いまから受け入れるために脱がされている。
その意識だけで、肌の上を空気が撫でるたびに震えてしまう。
ご主人様は立ち上がり、私の顎を取り、唇にもう一度だけ短いキスを落とした。
そのまま、ベッドへと導かれる。
ふわりと沈むシーツ。
仰向けに寝かされ、膝を曲げて開かされる。
「お前のすべてを、この目で確かめさせろ」
視線が、まっすぐに私の中心へ注がれる。
そこはすでに、濡れて、熱くて、花びらを開いて蜜を滲ませていた。
「……綺麗だ。よく躾けられた牝の証だな」
褒め言葉が、誇らしくて、嬉しくて、でも恥ずかしくて。
私は手で顔を覆いたくなる衝動を抑え、ただ、喘ぎのような息を吐いた。
ご主人様の指が、そこに触れる。
「あぁっ……っ、ご主人様……っ、そ、こ……」
蕾の周りを円を描くようになぞり、溢れる蜜をかき集めるように撫でられる。
すでに敏感になった粒がきゅうっと反応し、全身に電流が走った。
「もっと溢れさせろ。これから私のものを迎え入れるために、奥まで開いておけ」
指が、一指、ふた指と差し入れられていく。
ゆっくりと、膣壁をなぞりながら、奥へ奥へと進んでくる。
「んんっ、く、うぅっ、あぁっ……っ!」
前とは違う。
ご主人様のものが入ることを前提にして、私の中が広げられている。
その意識だけで、快感が倍増する。
「……入り口は柔らかくなっているが、奥がまだ甘い。……ほら、もっと開け」
指がかき混ぜられるたび、奥の方がきゅうっと締まり、また開く。
そこに向けて、舌が這い寄り、クリトリスを同時に吸い上げられる。
「んひゃっ、あっ、あああっ……っ、だめっ、だめっ、ご主人様っ、それは、そんなに……!」
乳首も舌で舐められ、指と舌、視線と声ですべてを嬲られ続けた。
何度か小さな絶頂を迎えながら、私は、ご主人様を迎えるために、奥をひらいていった。
その言葉を、ご主人様から告げられたとき。
私は、思考が一瞬止まってしまうのを感じた。
本物――それが意味することは、わかっていた。
これまで、視線で。命令で。道具で。手で。
何度も快楽に沈められ、躾けられた私が、まだ触れられたことのないご主人様そのもの――。
ようやく、触れられる。
ようやく、貫かれる。
私の中に、あの方が入ってくるのだ。
その事実に、鼓動が激しく高鳴った。
身体が熱を帯び、膣の奥がじわりと疼く。
まだ何もされていないのに、欲しくてたまらない。
ご主人様を、私の一番奥で、受け入れたい。
「……ありがとうございます、ご主人様」
かすれる声でそう答えると、ご主人様は何も言わずに頷き、私を一瞥してから静かに背を向けた。
それだけなのに、脚のあいだから蜜が零れていた。
* * *
その夜、私は何も手につかなかった。
下着は何度も取り替えた。身体を清めたあとも、心が落ち着かず、何度も鏡を見ては整える髪に指を震わせていた。
――もう、躾けられるだけの牝ではいられない。
ご主人様のそれを受け入れるということは、ただ身体を捧げるのではない。
快楽の先にある、存在そのものの所有を意味する。
わたしの奥を貫いてほしい。
肉の奥に、ご主人様の熱と形を刻みつけてほしい。
二度と離れられないように。
私という器の底に、ご主人様を流し込んでほしい。
その願いが、頭を離れない。
夜が近づくにつれ、息をするのも苦しいほどだった。
心臓はひとりでに跳ね、下腹部はずっとじんじんと疼き続けている。
脚を閉じていても、蜜が伝っていく。
もう、自分がどうなってしまうのかすらわからない。
けれど――怖くはなかった。
あの方のものになるのなら、私はすべてを喜んで差し出せる。
* * *
時刻は、夜半近く。
私は、ご主人様の私室の扉の前に立っていた。
いつもと変わらない静かな木の扉。
けれど、その向こうで、私は完成を迎えるのだ。
手を伸ばすと、指先が小さく震えていた。
緊張と、歓喜と、淫らな期待。
それでも、私は躊躇わなかった。
軽く、コン、コンとノックを叩く。
「――入れ」
ご主人様の声。
それだけで、膣の奥がきゅうっと収縮する。
扉を開ける。
香が薫る室内に一歩足を踏み入れた瞬間、私は悟った。
今夜、私は抱かれる。
ご主人様の腕の中で、躾けられるのではなく――繋がるのだ。
* * *
ご主人様の私室の扉を閉めたとき、背後でカチリと鍵の音が鳴った。
わずかな音――けれど、それが逃れられない夜の始まりであることを、私の全身が理解していた。
ご主人様は、椅子に腰をかけていた。
いつも通りの白手袋、漆黒の軍服、まっすぐな眼差し。
なのに、今夜のその目は、どこか、熱を孕んでいるように見えた。
「こちらへ来い。膝をついて」
命令に従い、私はゆっくりと歩み寄り、ご主人様の足元に膝をつく。
身体の奥が、期待に震えていた。
まだ何もされていないのに、蜜が止まらない。
「顔を上げろ。……そう。よく従ってきたな、リリア」
その言葉だけで、涙が滲む。
「今夜は……褒美を与える。――その前に、まずは、これを」
ご主人様の顔が近づいてくる。
息が触れる距離。
瞼を閉じる前に、ほんの一瞬、その瞳が揺らいだ気がした。
そして――唇が、重なる。
「……っ……」
それは、初めての口づけだった。
ずっと躾けられてきたのに、一度も交わされなかった行為。
甘く、優しく、それでいて、熱く。
唇をなぞるように舌が触れ、そっと吸われる。
私は、抗うことなど考えもしないまま、唇を開き、ご主人様の舌を招き入れた。
ぬちゅ、くちゅ……と、卑猥な音が口の中で響く。
キスだけで、脚が震えた。
腰が疼き、膣が勝手に収縮する。
唇が離れたときには、もう、私の身体は全身が熱く、汗ばんでいた。
「立て。脱げ」
命令されるまま、私はゆっくりと服を脱いでいく。
一枚ずつ――シャツのボタンを外し、スカートのホックを外し、下着を床に落とす。
裸になることは、もう何度も経験してきた。
けれど今夜は、違う。
この身体が、いまから受け入れるために脱がされている。
その意識だけで、肌の上を空気が撫でるたびに震えてしまう。
ご主人様は立ち上がり、私の顎を取り、唇にもう一度だけ短いキスを落とした。
そのまま、ベッドへと導かれる。
ふわりと沈むシーツ。
仰向けに寝かされ、膝を曲げて開かされる。
「お前のすべてを、この目で確かめさせろ」
視線が、まっすぐに私の中心へ注がれる。
そこはすでに、濡れて、熱くて、花びらを開いて蜜を滲ませていた。
「……綺麗だ。よく躾けられた牝の証だな」
褒め言葉が、誇らしくて、嬉しくて、でも恥ずかしくて。
私は手で顔を覆いたくなる衝動を抑え、ただ、喘ぎのような息を吐いた。
ご主人様の指が、そこに触れる。
「あぁっ……っ、ご主人様……っ、そ、こ……」
蕾の周りを円を描くようになぞり、溢れる蜜をかき集めるように撫でられる。
すでに敏感になった粒がきゅうっと反応し、全身に電流が走った。
「もっと溢れさせろ。これから私のものを迎え入れるために、奥まで開いておけ」
指が、一指、ふた指と差し入れられていく。
ゆっくりと、膣壁をなぞりながら、奥へ奥へと進んでくる。
「んんっ、く、うぅっ、あぁっ……っ!」
前とは違う。
ご主人様のものが入ることを前提にして、私の中が広げられている。
その意識だけで、快感が倍増する。
「……入り口は柔らかくなっているが、奥がまだ甘い。……ほら、もっと開け」
指がかき混ぜられるたび、奥の方がきゅうっと締まり、また開く。
そこに向けて、舌が這い寄り、クリトリスを同時に吸い上げられる。
「んひゃっ、あっ、あああっ……っ、だめっ、だめっ、ご主人様っ、それは、そんなに……!」
乳首も舌で舐められ、指と舌、視線と声ですべてを嬲られ続けた。
何度か小さな絶頂を迎えながら、私は、ご主人様を迎えるために、奥をひらいていった。
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