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それは、3月が始まったばかりの頃でした。
昼下がりの交差点はまだ寒くて、ときたま吹く風にコートを羽織る人も身を震わせる、そんな季節。
春はまだ遠い──それなのに、袖がボロボロにやぶけて両腕が露出している白い道着姿の大男が1人、何食わぬ顔で信号待ちをしています。
こいつ……絶対やべぇ奴に違いない。
あたしは信号機が青になるのを待ちながら、自分の行き先だけに神経を集中させました。こういった輩は、視線を合わせたら最後です。
あっ、こっち見た。
押し寄せる人混みのなか、野郎は瞬きもせずにこちらへ向かって来やがります。
よし、逃げよう。
行き先とは真逆の方角へきびすを返した直後、ゴツい手に片腕を掴まれてしまいました。
「ひっ?! ヒィィィィィィィィッ!!」
「貴様……恋をしているな?」
それが、〝自称ロマンスの神様〟とのファースト・コンタクトでした。
昼下がりの交差点はまだ寒くて、ときたま吹く風にコートを羽織る人も身を震わせる、そんな季節。
春はまだ遠い──それなのに、袖がボロボロにやぶけて両腕が露出している白い道着姿の大男が1人、何食わぬ顔で信号待ちをしています。
こいつ……絶対やべぇ奴に違いない。
あたしは信号機が青になるのを待ちながら、自分の行き先だけに神経を集中させました。こういった輩は、視線を合わせたら最後です。
あっ、こっち見た。
押し寄せる人混みのなか、野郎は瞬きもせずにこちらへ向かって来やがります。
よし、逃げよう。
行き先とは真逆の方角へきびすを返した直後、ゴツい手に片腕を掴まれてしまいました。
「ひっ?! ヒィィィィィィィィッ!!」
「貴様……恋をしているな?」
それが、〝自称ロマンスの神様〟とのファースト・コンタクトでした。
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