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しおりを挟むショッピングモールは、休日らしい賑わいだった。
人の流れに少し緊張しながらも、凪は隣を歩く鷹宮の袖を、ほんの指先で掴んでいる。
「……人、多いですね」
「嫌か?」
「いえ……一緒なら」
そう言ってから、凪は少し恥ずかしそうに視線を落とした。
付き合い始めて、約一ヶ月。
本格的に二人で暮らすことになり、今日はそのための買い出しだしに大型ショッピングモールへとやってきていた。
生活雑貨のフロアに入り、鷹宮は迷いなく言った。
「必要なものは、全部揃えよう」
「……全部、ですか」
凪は、値札を見て思わず声を小さくする。
「高いのは……」
「気にするな」
即答だった。
「でも……」
凪が言いかけると、鷹宮は一度立ち止まり、棚の商品に目を通す。棚に並んでいる3つの商品を指す。
「この中から、一つ選べ」
「……え」
「凪が選んだものを、買う」
凪は、少し戸惑いながらも指を差された見る。
どれも落ち着いたデザインで、主張しすぎず凪の好みのものだった。
「……これで、でも、いいんですか」
手に取ったのは、落ち着いた空色のマグカップだった。
「いい」
「……高くない、ですし……」
鷹宮は、凪の手元を見る。
「それを使う凪が、想像できる」
凪の耳が赤くなった。
「……じゃあ……これ」
そうして、一つずつ。
凪が選び、鷹宮が買う。
タオル。
シンプルな食器。
寝具。
小さな観葉植物。
どれも派手ではない。
でも、確実に「二人の生活」をつくるものだった。
買い物袋を持って歩く帰り道、凪が言う。
「……なんだか……」
「?」
「……ちゃんと、暮らすんだなって」
鷹宮は、ほんの少し微笑んだ。
「今さらか」
お昼・休憩がてらモール内のカフェに入り、席につく。
凪はキャラメルラテ。
鷹宮はホットコーヒー。
「……甘いの、好きだな」
「……はい」
凪は、少し照れた。
飲み物が届き、凪が一口飲むと、自然と頬が緩む。
「……おいしいです」
鷹宮は、その様子を見て、目を細めた。
「……こういう顔を見ると」
「?」
「何でも買ってやりたくなるな」
凪は慌てて首を振る。
「だ、だめです」
「……冗談だ」
その声は優しい。
窓の外には、夕方の光。
人混みも、もう怖くない。
凪は、カップを両手で包みながら思う。
選ぶこと。
受け取ること。
一緒に暮らすこと。
どれも、恋人になったからできることだ。
「……また、来たいです」
ぽつりと呟く。
鷹宮は、迷わず答えた。
「ああ。何度でも」
初デートは、派手じゃない。
でも、確かに未来に繋がっていた。
二人は、もう同じ場所へ帰る。
ーーーーーーーーー
読んでくださりありがとうございます!
こんな感じで、ゆっくりまったりな2人の番外編を書いていけたらなあと思います!!
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