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番外編
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しおりを挟むコール音は二回。
『凪?どうした』
低く、落ち着いた声。
それを聞いた瞬間。
胸の奥に張りつめていたものが、ふっとほどけた。
「……えへへ」
凪の頬が、ゆるむ。
「鷹宮さんだ」
安心した笑み。
さっきまでなんとか立っていたのに、力が抜けてそのまま座席に座り込んでしまう。
『おい、凪?』
電話の向こうの声が、少しだけ鋭くなる。
その様子を、テーブルの四人は呆然と見ていた。
——なに、その顔。
大学ではあまり見せない、無防備でやわらかな表情。
心を許した相手にしか向けない笑み。
『……酔っているのか?』
「んー……」
凪はスマホを両手で持ったまま、首をかしげる。
「酔っ払った、のかな?でも、ふわふわする」
自分でもよく分かっていない声音。
どこか甘く、力が抜けている。
電話の向こうで、椅子が引かれる音がした。
鷹宮はすでに家を出るべく動き出す。
『まだ飲むのか?』
声は静かだが、明らかに心配が滲んでいる。
「んーん」
凪はゆるく首を振る。
「なんか、ふわふわしてるから……
今日は帰るねって伝えたところ」
素直な報告。
その無防備さに、四人のうち一人が思わず凪の肩に触れる。
「大丈夫?座ってたほうがいいよ」
背中をさすられる。
凪は気づかない。
電話の向こうでは、すでに靴音が速くなっている。
『分かった』
鷹宮の声が、はっきりと低くなる。
『店から出るな。そこで待っていろ』
「うん?」
『動くな。迎えに行く』
短く、迷いのない命令。
凪はぼんやり笑う。
「はーい」
素直な返事。
通話は切れない。
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はじめまして
毎日楽しみしています。
ゆっくりと鷹宮と凪の関係が進んでいくところが何ともな言えず好きです。
凪がもっともっと幸せになれますように。