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トランタ目線

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こんなもので、本当にミニトマトが出来るのか?

足元に置かれた小さなプランターを見つめながら、疑問しか無かった。

食事の後キルギス子爵家へ戻り、スティールと共に作ったが、驚く程簡単だった。

本当に小さなプランターにこれまた、風で飛びそうな程の小さな種を植えた。

それも、ミニトマトの育て方、と書いてある冊子を貰い読んだが、これまた驚く程簡単だった。

スティールを疑う訳ではないが、この冊子に書かれている内容が確かなら、誰にでも出来る内容だ。

無意識に口元が歪んでくる。

もし、これが本当なら画期的だ。

嬉しさと緊張が身体中を走り巡り、動悸が速くなり、色々な事が浮かんでくるが、落ち着くんだ。

と言い聞かせる。

思うのは簡単だが、現実に叶うかどうかも実験すべきだ。

ガタガタと揺れる馬車の中、窓の外を見ながら何度も深呼吸した。

スティールと出かけたこの数時間で、アトラスとあれだけ解けなかった疑問が全て解けた。スティールにとっては他愛のない視察の出来事だったのだろうが、俺にとってはまさに棚からぼたもち状態だ。

さて、ここからは俺の仕事だ。

冷静に馬車の中で、思考に集中する。

どうすれば、問題なく事を進めれるか。

どうすれば、あのクソ侯爵を納得させ黙らせ、北部の民を助けれるのか。

よく、考えるんだ。

物資置き場が窓の外から見えてきた。

1つ紐解かれると、全てが疑いに変わる。

紐が固く結ばれ解くことが出来ないのは、誰かの言葉に振り回されているからだ。

己の知識のなさが、本当の答えではなく、誰かが作った答えと導びかれる。

解かれた紐を、あるべき答えと導く為には、全てを疑うべきだ。

やはり、スティールとは出会うべきして出会ったんだ。絶対に離すものか。

 

ぞっ、と寒気がした。

「ねえ、もう秋?」

「何をおかしな事を仰ってるのですか?悪いものでも食べてきましたか?それとも公爵子息に余計な事をまたしてきたのですか?」

カッフィーが睨みながらおかわりのお茶を入れてくれた。

いつもながら酷い言われようだ。

「元々何もしてないわよ。私の方が巻き込まれている気分だもの」

部屋で優雅に暖かいお茶を飲んでいるにもか変わらず、なにか妙な気分になった。

 

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