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会議後2

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資料は関心するほどよく出来ていた。私と出掛けたのが4日前。つまりそこから色々調べ作ったのだ。

それと、反省点と改善点、というページもかなり詳細に書かれどれだけこの物資事業に必死なのか伝わってくる。

物資支援はこの数年で、40回にものぼる。規模は大小様々で、季節にもよるが、恐らく私達が知っているのは大規模の春から秋にかけての行列しか覚えがないが、こうやって見るとかなり切迫した状況なのだろう。

それに、やはりその春から秋にかけての時期が支援が多い。

物資は日持ちのする芋類が多く、あとは乾燥野菜や果物、小麦。

まあ、普通だな。

捲りながら、私と話をした以上に野菜の扱い方が書かれているという事は、自分なりに調べてのか。

あれ、物資の中に水がない。水は手に入るの?

大地が1度枯れてしまえば、すぐには元に戻らない。特に毎年のように干ばつが続けば、より不毛な地となる。

でも、水があればどうにかなる。つまり、水はあるのかな?

日照りが続くのは天候だからどうしようもないけど、やれることはある筈。

「気になった事があれば言ってくれ」

一通り読み終わり資料を膝に置くと、公爵子息が真剣な顔で聞いてきた。

「そうですね、まず北部ではあまり農作物は出来無いのですか?」

言葉を噛み締めながら、資料に対しての疑問を口にする。

「いや、そんな事はないが土が固くなかなか育ちが悪いんだ」

「土が固いのであれば柔らかくすればいい」

「どうやって?」

「その土にあった道具を使う。つまり、クワ等を変えたりしてみるんです。そこは要望はないのですか?」

「いや、ない」

無いわけがない。

公爵子息は嘘はつかないだろうから、言っても意味が無いと思っているか、嘆願書が上がってない、という事だな。

「恐らく農民達の声が届いてないのだと思います。絶対に必要な物ですからね。クワ、と一言で言っても色々な大きさ、色々な形があり用途によって細かく使い分ける農民もいます。コンテナが安くで済んだのですから、こういうのに予算を回して上げてください」

「わかった」

「あとは、腐葉土を混ぜるとか、菜の花を植えると土は柔らかくなります。勿論すぐには変わりません。最低でも2年以上はかかると思いますが、それでもやらないよりはマシでしょう。ここは気長にやって欲しいです。ですから変な期待を持たせず、研究の為に、等適当に言っておいて下さい」

「わかった。その、クワや腐葉土は分かるとして、なぜ菜の花なのか?」

「菜の花を植えて、枯れた葉が湿気となり微生物が集まってきます。それで少しは乾燥した土が戻ります」

「知らなかった」

「それは書いてなかったぞ!」

書いてなかった、か。やっぱり色々調べたんだな。

「じゃあ、そこはもっと調べてください。農民なら知ってますよ。あと、麦は植えていますか?何か特産となっている農作物はありますか?申し訳ありませんが余り北部の事に詳しくありません」

「少しは植えているが、正直北部は鉱山から出る原石で潤っている地域の為、あまり農作物を作っていない」

「成程。だからすぐに食糧難になるんですね。では、固い土地でも育ちやすい麦を育てて下さい。畑がないのであれば、貸してあげてください。出来た麦を税としてとればいいでしょう。暫く落ち着くまでは生活に困るでしょうから、これも浮いた予算を回して下さい」

「わかった。土地は余っているから、借地という形で民に貸そう」

「そうだね、借地ならばきちんと測って貸すべきだな。そこは、そうだな、うん、どうにかする」

アトラス王女がブツブツと思案するように、呟きだした。

測って貸すべきだ、と言うのがすぐに出てくるのいい事た。畑にしても家にしても境界線は大事だからね。

「それと、恐らくお父様も同じ事を考えると思いますが、肥料もかなり準備して下さい。あと、先程言った腐葉土と菜の花の種もお願いします」

「わかった」

「わかったよ」

「気になったのですが、水は何故、物資に入っていないのですか?」

「水は豊富では無いが流れている。冬になると山に雪がかなり降ってくれるから雪解け水が流れている」

ふうん、そういう事か。

「水があるのに、農作物が作れないのは根本的に水の流れ、つまり川の流れが悪いからですね。鉱山の原石に頼りすぎていて、そういう整備がおそろかになっているのではないですか?借地として貸す農地の近くになるべく川の流れを作るようにして下さい。その広さや、流れはお父様と相談して下さい。いいえ、全てにおいてお父様と、キャーデイ男爵様に聞いてください。公爵子息の考え通り、民は上級貴族よりも、平民に近い貴族の言葉に耳を傾けます」

悲しいが自分もそうだ。同じ立場、同じ気持ちに寄り添う人間に肩を寄せてしまう。

どれだけ上級貴族の方が努力しようとも、すぐに受け入れるのは難しい。

でも、何故だろう。

とても目を輝かせて私の話を真摯に耳を傾けてくれるおふたりに、私もできる事をしたい、と切に思った。

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