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晩餐会という名の無礼講3

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「ゴホン。ともかくスティールは手間暇かけたメロンを無駄なく使いたいと考えてくれたのです。勿論ほかの果物に関しても同じですが、メロンに関しては手間暇がかかる為、破棄するということは、それだけ損失を被ることとなります。たが、先程言いましたように二番煎じでは、物は売れません。今市場では酒、と言えばワインかウイスキー。そこでスティールが思いたったのですが、女性が好んで飲める甘い酒がない。それならメロンの酒なら甘くて女性でも飲めるでは無いか?とね」 

私と違い簡素ながらも、無駄のない説明ありがとうございます。

ゆっくりと噛み締めながら説明するお父様に感謝しつつ、これ以上おかしな事はいえない、という必死さもわかり、お父様の機転に感謝しつつも、目を逸らしてしまった。

「その通りだ!儂の妻もワインは渋くて飲めん、と言っている。ニルギス子爵殿、ひとつ手土産に持って帰りたい」

「勿論です。その代わり、ガルマン侯爵様のお墨付き、という文言をつけて売りに出しても宜しいですか?」

「これぐらい構わんが、儂の言葉で売れるとは思えんがな」

「そこはご自分で理解しているのですね。その顔でこのメロンの酒が美味い、と言っても全く似合わない事を」

隣に座る公爵子息が、また、余計な事を言い出しから、睨み合いが当然始まった。

ちなみ1番奥左にお父様、その隣にガルマン侯爵、その隣に公爵子息が座っている。

反対側に私とアトラス様が座っている。

公爵子息ではなくて良かったと思ったが、2人仲の悪さを見る限り、ガルマン侯爵様の横より、私の横の方が良かったのかもしれない。

「はっ。貴様に言われてもなんとも思わんわ。貴様もあやつに似て鋭い顔をしいるのだ。儂よりも似合わんわ」

「何を仰います。それならば、どちらのお墨付きの言葉が売れるのか試してみましょうか」

「ええ!?」

お父様が突拍子な案に当然驚いた。

「たまにはいい事いうな。その賭け乗った!」

「ちょっと待って下さい!」

「いいでしょう。では、私が勝てば北部の鉱山で採れた最高級のダイヤを下さい」

「よかろう。では儂が勝ったら、お前は儂の屋敷に1週間来い!」

「却下!朝から晩までおかしな格好でおかしな特訓をさせられる、あなたの家など行きたくない!」

「がっははははは!それはもう負けを認めたことになるな、この小童が!」

「そのような小賢しい事で勝ち負けを決める事自体が低レベルですよ。ああ、その歳になってもその程度の事しか考えつかないから、あのような低レベルな訓練しか思いつかないのですよ」

「馬鹿にするな!!」

「お待ちください!おふたりの勝ち負けの為の商品ではありません!!これは、一重に農民の努力を無駄にしたくない為に行った事業です!お2人はいつものそのように、物事を決めるのですか!?」

あ、スイッチ入ったな。

すっくとお父様は般若の形相で立ち上がり、私に、

場所を変われ!

と目で、心の声が響いたので急いで立ち上がり、場所を変わった。

という訳でお父様と席を変わったので、私はアトラス様の前に来た。そして、

「宜しいですか、農民は汗水垂らし休む暇なく人の命の源となる農作物を作っている。その流通となる決定権は常に上級貴族が握っているにも関わらず、何ですか、その言い草は!ガルマン侯爵様!!」

「な、何だ」

「横領をするような資質を持つものを、何故見極める事が出来なかったのすか!?怠慢でございませんか!?」

「うっ・・・いや、それは・・・返す言葉もない」

体が大きいはずなのにとても小さく見えるくらいに、申し訳なさそうに答えた。

「スティール様。ニルギス子爵様は、あのようにいつも鋭いのですか?」

ボソボソとアトラス様が質問してきた。

「ヴェルディ公爵子爵!」

「は、はい!!」

「いいえ。いつもはとても穏やかです。多分、ずっと気を張っていてとうとう切れたんだと思います」

「なぜスティールを巻き込んだのですか!?当主である私に話をするのが筋!!それとも低級貴族と、馬鹿にしているのでしょうか!?」

「滅相もありません!!スティールがとても素晴らしい女性であり、素晴らしい智識を兼ね揃えていたので、頼ってしまったのです!!」

よく言うわよ。

「そうですか。でも、なかなか楽しいですよ。2人のこんな顔見たことありませんからね」

くすくすと笑うアトラス様に、私は生きた心地がしなかったが、

「とりあえず、酒を持ってきてください!!」

と、

お父様の声に、お2人がにんまりと笑ったから、悪いようにはいかないかな、と安堵した。

そこから、本気の無礼講が始まった。

周りで控えていた、料理長、王宮の召使い、ガルマン侯爵様の召使い達が動き出し、明らかに高そうなワインを出してきた。

3人がどんどんワインをが開け飲み、笑ったり、怒ったり、真剣になったりと、と忙しい顔で話をしていた。

私と、アトラス様は横目で見ながら豪華な食事に舌づつみしながら、ゆっくり喋った。

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