装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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本編

492 思ったよりも多かった業務

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「お久しぶりです、トウジさん」

「どうも」

 それから職員室へ向かうと、アシュレイ先生が対応してくれた。
 変わらず、なんとも小柄で可愛らしい先生だこと。

「こちらです。一先ず学校の内の案内から行いますので」

「はい」

 マップ機能に構内図をしっかり登録しておいたのだけど。
 自分の目で見て場所を覚えるのは重要なことだ。
 いちいちマップ開いて、とかすごく面倒なのである。

「……どうしたんですか? 右足引きずってますけど?」

「いえ、お気になさらず」

 ポチに蹴ったり噛まれたりしたところである。
 割と本気で噛みつきやがって。
 女子学生のパンツの色を聞いて本当にすいませんでした。

 色は分からず仕舞いだが、ギャルのパンツってツルツルテカテカしたやつだろ?
 偏見が込められた意見、異論は認めるぞ、語り明かそうじゃないか。

 さて、そんなどうでも良く、かつ一部のマニアにはどうでも良くない話は置いといて。

「俺、何するんですか? とりあえず気楽に言ってくれみたいな感じで言われたんですけど」

「え? ギルド側で説明受けてないんですか?」

「え?」

 説明ってソレイル側でやってくれるんじゃないの?
 あの受付嬢め。
 リゾート行けるからってその辺すっ飛ばしたな……。

「とりあえず、校内を案内しながらご説明しますね」

「お願いします。すいません本当」

「いえいえ、結構やること多いですからこの場で説明しますね」

 そんな訳で、ソレイル王立総合学院で俺が何をすれば良いのかを聞いた。
 まず今日のお昼前にちょうど学院集会が行われる。
 その時、新任として冒険者の先生が来てくれましたと挨拶。

「挨拶……なんか緊張するなあ……」

「大丈夫ですよ。生徒総数1000人超えますけど、大丈夫です」

 全然大丈夫じゃなかった。
 とんだマンモス校だな!

 さすがはギリス首都随一の学校。
 通っている生徒は、平民や貴族の子供から大人まで十人十色。
 はたして俺みたいな一介の冒険者が前に立って挨拶して良いものか……。

「その後は、基本的には補講や自主参加での講義を行っていただきます」

「冒険者の講義……うーん、ピンとこない……」

 ガチ物の講義とかやらされたらたまったもんじゃない。
 うら若き乙女と絡めるが、その分ストレスも多そうだ。
 安請け合いしなきゃよかった、と少しだけ後悔する。
 なんでこう、お金になびいてしまうのやら……。

「ォン」

「ん?」

 ポチに腰をチョンチョンと突かれて視線を向けると。
 俗物変態野郎と書かれた板を持っていた。
 クソが!
 よくわからんタイミングで心を見透かすようにボケやがって!

「ほっぺグニグニの刑だ、このこのこのこの!」

「アォンアォンアォンアォン!?」

「ちょ、ちょっとトウジさん! ポチちゃん可哀想ですよ!」

「あ、言えこれはコミュニケーション的なものっていうか、その……」

「くぅん」

 ひしっ。

「生徒が真似したら困りますので、そういうことはお控えくださいね!」

「は、はい……」

 ぐぬぬぬぬぬぬぬ!
 ぐぬぬ、むきぃー!

 まあ良い、今日は許してやる。
 次やったら、枕にするぞ。
 抱き枕じゃなくて、普通の枕だ。

「後はそうですね……基本的に課外授業以外は、指定時間における校内の見回り、校外校内の清掃、破損箇所の保全、各部活動の監督、そして宿直などを行ってもらいます」

「えっ!? そ、そんなに!?」

 矢継ぎ早に出てくる言葉は、俺の想像していたよりもめちゃくちゃ多かった。
 ほとんど用務員さんがやる仕事だけど、それを俺がやるの!?

「ええ、新学期になって実際にスタートした際、担当していただく冒険者の皆さんにはその他雑務も含めた依頼という形式にてお願いいたしますから、学校の警備やら手が回っていない保全活動を主だって行っていただくんですよ?」

「聞いてないです」

「えっと、一応上に確認しておきますけど……私はそう聞きましたね?」

「そ、そうなんですか……」

 契約書類を見ておくんだった、こういうことなら。
 いつもは詳しく話を聞かせてくださいっていうけども、まさかこんなに業務が多いとは……。
 外での依頼とかじゃない、街中依頼なだけに油断していた。
 失態である。

「りょ、了解です……上の人には特に確認とか、大丈夫です……」

「良いんですか? 私も結構やること多いとは思ってるんですけど。ギルド側はトウジさんなら一人でできるって言ってまして、学院側もオーガから一度救ってくれたトウジさんなら、と信頼を寄せているのですよ」

「なるほど……」

 おそらく、俺がずっとずーっと複数依頼を失敗することなくこなしているからだ。
 ギルド側は俺の力量を評価し、これくらいならば余裕だと判断したのだろう。
 複数とかパーティー単位で話を持ってこなかったのも、依頼報酬高かったらやるのをわかってるからだ。
 してやられた気分だぜ。

 せこい手を使って評価を得まくった代償が、ここに来てドッと押し寄せている形である。
 巡り巡って、しっぺ返しが。

「大丈夫ですよ、トウジさん! 私もサポートしますから、一緒に頑張っていきましょう!」

「は、はい……」

 先が思いやられるな。
 しかし、馬鹿高い報酬はもらえる。
 ギリスから出ることはないので他の作業も捗るだろう。
 今はあちこち飛び回るよりも、俺の基盤を作り込む時だ。

「アッちゃんせんせ~! 誰それ隣の人? ついに彼氏できた?」

 業務について話しながら歩いていると、鐘がなって生徒が廊下に出て来た。
 そしてアシュレイを見るや否やニヤニヤしながらそう茶化す。

「アッちゃん先生、もう29歳だからそろそろ婚期だもんな?」

「がんば~!」

「ちっ、ちちち、違いますよ! この人は新しい先生です!」

「顔真っ赤だよー!」

「も、もう! 行きましょうトウジさん! 昼食の場所を教えますから!」

「あっはい」

 顔を真っ赤にしたアシュレイに手を引かれるようにして、廊下を歩いていく。
 ちなみにアシュレイの歳は29歳、俺の一つ下なんだそうだ。
 この世界の寿命は俺のいた世界と変わらず、一般的な婚期は20~30の間。
 なるほど、イグニールもそろそろ考え始める頃だったりするのかな?
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