装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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本編

504 宿直と学院七不思議・その7 怒涛の七不思議

「うふふふふふふふふ」

「……!」

 ローディと模型像が迫ってくる。
 見た目がえげつない、単純明快に言えば超怖い。
 やばい、怖い、やばい、怖い。
 それぞれの顔を見た感想がこれである。

 熱の篭った視線を向けながら、模型像をガッチリホールドするローディ。
 それを見ていると、どうやら模型像の方が振りほどきたくて必死っぽい。
 捕まえて踊るはずが、ガッチリ捕まえられて離れられない様だ。

「……ッ! ……ッ!」

 模型像は、今にも泣きそうな悲壮な顔をしながら首を振っている。
 模型像ォ……。

「トウジ! このままだと七不思議がバッティングしちゃうし!」

「待て、考えさせて!」

 強いて言うなら、抱き合ったままランナウェイして欲しい。
 処刑されて、鏡の世界に愛の逃避行してくれたら非常に助かる。
 万事が収まる。

 しかしだな……彼女も一応、研究所の従業員。
 イグニールとの繋がりから、みんなの職場立ち上げに関わってくれた一人なのだ。

 媚薬っつーか、惚れ薬で自爆して、模型像見てトリップしてるけど。
 そんな彼女でも、いなくなっちゃイグニールが悲しむんだよな……。

 イグニールは、ローディを面倒見てやらなきゃいけない妹分だとしている。
 トガルから急遽俺の元へと来てくれたイグニールのギリスでの友人だ。
 みすみすこんなところで死なせてしまう訳にはいかないのである。

「トウジ! もう時間がないし!」

 ジュノーが叫ぶ。

「全部悪魔とか精霊が取り憑いてるなら、霧散の秘薬を使うし!」

「いや待て! そしたらローディも正気に戻るだろ!」

 確かにジュノーの言う通り、憑き物には霧散の秘薬が一番だ。
 しかし、俺の脳内に一つの可能性がチラつく。

 今のローディは自分の作った変な薬でトリップしているが……。
 霧散の秘薬はそれすらも解除し、正気に戻す。

 そして、正気に戻ったとしても、その正気がバグっているのだ。
 イグニールへの手紙を思い返すと、今の方がマシなレベル。

「水島ァ! とりあえずヌルヌルだ! 上がらせんな!」

「キュイ!」

 そこで俺のとった選択肢は、階段を上がって来させないという方法。
 なんとも子供じみた手法だが、上への退路が開ければどうにでもなる。
 この袋小路の状況がなんとかなればいいのだ。

「斥力!」

 さらにスキルの斥力によって、無理矢理にでも遠ざける。
 階段の摩擦は、水島のヌルヌル体液でほぼ無い。
 そこに斥力の力が加われば、あとは簡単にヌルヌルヌルンと滑り落ちていく。

「ジュノー! 今のうちに霧散の秘薬を踊り場に撒いてくれ!」

「うん!」

 こういう時こそ、みんなで力を合わせて危機を脱するんだ。
 俺と水島が斥力とヌルヌルで模型像の接近を阻みつつ。
 ジュノーがギロチン階段と踊り場合わせ鏡の悪魔に秘薬を撒く。

 霧散の秘薬によって取り憑いた正体が出て来たところで、今度はそっちに引力。
 逃げられる前に右手に片手剣持って、そのまま引力によって自ら斬られに来てもらう。

 そのまま悪魔だけを引き寄せることはできないのか、って疑問もあった。
 しかしながら、それができたらやってると言うことである。

「──……ッッ!」

「ト、トウジ! 模型像が、模型像が……飛んだし!!」

「ちょ!」

 執念を感じた。
 インベントリから取り出した霧散の秘薬をジュノーに渡す前に。
 ヌルヌルまみれになった模型像が、大跳躍をかましたのだ。

 ロ、ローディは? 変態は?

 模型像だけ飛び上がったのを見て、すぐに彼女を探すと階段の下をカーリングみたいに滑っていた。
 どうやら、俺の引力は彼女に作用していたらしい。
 選択できる対象が一つだけというデメリットが、ここに来て模型像をフリーにしてしまった。

 ちゃんと模型像を押し戻せていると思ったのだけど。
 深層心理の中で、俺はローディの方を拒否していた様だ。

 ヌルヌルによってローディの腕の中からツルンと解放された模型像は、必死の形相で階段を駆け上がる。
 驚異の5段飛ばしで、約2歩。

 圧倒的早さで階段を駆け上がり……ザンッ!!
 ──処刑された。

「トウジ! 模型像の首が!」

「わかってる!」

 しかし、模型像への災難はまだ終わらない。
 処刑された後に、踊り場の合わせ鏡が控えているのだ。

「トウジ! 模型像が吸い込まれていくし!」

「だからわかってるって! つーか模型像は備品じゃん!」

 どーすんだよこれ!?
 首チョンパくらいだったら接着剤でなんとかなるけど。
 鏡に取り込まれてしまったらどうにもならんぞ!

「弁償か?! さすがにこれは言い逃れできないよな?!」

「トウジ落ち着くし! 事情を話せばなんとかなるし!」

「馬鹿言ってんじゃねーよ!」

 なんて事情を話せばいいんだ。
 七不思議にある合わせ鏡に持ってかれましたってか?
 悪魔が住み着いてて、それにやられましたってか?

 七不思議ってただの噂で、最近被害とかなかったんだから信じる訳がない。
 逆に「まだそういうの信じてるんですか……?」って職員室で浮いちゃう。

「水島ァ! そっちの変態は頼むぞ! クイック!」

「キュイ!」

 気を失って廊下を転がっていくローディは水島に任せて俺は飛んだ。

「うおおおおおおッ!! 模型像ーッ!!」

 飛びながら引力を使って、模型像を引っ張る。
 途中で首筋に鋭い痛みが走った。
 何度もなんども首筋に痛みが走るけど、気にしちゃいられない。
 今は備品が大事だ、HPの減りは1だから問題ない。

「トウジ! 霧散の秘薬使うし!」

「サンキュージュノー!!」

 後ろから、霧散の秘薬を振りまくジュノーの援護を受ける。
 飛び散った秘薬が、踊り場にいた悪魔たちを引きずり出した。

 俺をしつこく襲っていた処刑台の刃が消える。
 今にも吸い込もうとしていた合わせ鏡が消える。
 模型像も、今にも泣きそうな表情が元に戻る。

「うおおおお!」

 ギリギリのところで模型像をキャッチして、すぐインベントリに収める。
 傷は胴体と首が離れ離れになったのみで、あとは問題ない様だった。

「トウジ! ナイスキャッチだし! えらい!」

「うおっしゃあああ!」

 なんだか無駄に達成感に打ち震えてガッツポーズしてしまう。
 少し恥ずかしくなった。

「……よし、あとは悪魔どもだけだな」

 気を取り直して、ジュノーくらいの大きさの悪魔2体を見据えて立ち上がる。

「……散々悪さしてくれやがって」

 容姿は、ゴブリンの顔にさらにおぞましくしてコウモリの羽を生やした感じ。
 悪魔どもは処刑台無傷の俺に太刀打ちできないと思ったのか、すぐに逃げようとする。
 しかしクイックによって素早い俺はすぐに正面に回り込んだ。

「ギギギ!?」

「ギギッ!?」

「逃がさんぞ、絶対仕留めてやる」

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