装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

文字の大きさ
206 / 650
本編

507 仲良し諸君


「“集え、──王室諸君”」

 ボボボボボボボボボボボボボッ!!
 ロイ様の呼びかけに応じて、いつも通りキングスが集合する。

「ちょ!? 多い多い多い多い!!」

 飛び散った液体が体長役4~5メートルのスライムの王種になるのだけど。
 この場にいる檻から脱走した魔物たちはよりも、多い数だった故。

「馳せ参じてみれば、少しばかり狭いな」

「うむ、狭いぞ」

「だが我らの魅惑的なスライムボディならば問題ないか」

「うむ、問題ない」

 流体ボディを活かし、ギチギチギチギチと隙間に収まったキングスの声。
 硬そうなメタル、ブロンズ、シルバー、ゴールドは、硬貨の様に薄くなって天井に追いやられていた。
 格好ついてるのかついてないのか、わからんなもう。

「ロイ様、部屋の広さよ」

「しかし、数でも格の違いを見せつけた方が良いだろう?」

「……そっすね」

 何かおかしいことはあるか、と言わんばかりのドヤ顔。
 ちょび髭抜いてやろうかと思った。
 しかし、数の暴力はかなり有効である。

「グルルルル……」

「ガル……」

「ゴォァ……」

「シャー……」

 獅子、虎、熊、蛇の4匹は、部屋の隙間という隙間にひしめくキングスを見て狼狽えていた。
 当然だな。
 上位種と言えども、体格でも個体の強さでもスライムキングの方が上なのである。
 それがギチギチの壁となって目の前にいて、巨大な顔面で睨みつけるこの圧力。
 俺だったらビビって漏らしてる。
 っていうかピーちゃんが圧倒されてそのまま気絶してピクピクしてる。

「さて、盟主よ」

「うん?」

「一体だけ盟主を攻撃した愚か者を追跡させることにするが、良いか?」

「おお、助かるよ」

 ロイ様と常に情報を共有できるキングスが入れば百人力。
 逃走者の捜索もあっという間だ。

「でも他にも宿直業務に当たってる人とか警備がいるから、脅かさない様にね?」

「問題ない。我らキングスの客人への対応マナーは一級品よ」

「そ、そうなの? なんだかよくわからないけど、よろしくね?」

 脅かすなっつってんだから、こっそり動けってことなんだけど。
 まあこいつらは有能中の有能なメンツだし、大丈夫か?

「よし、では各自で配役を決めて探してくるのだ、王室諸君」

「ならば王室の主よ! 私が征こう!」

「いや私が!」

「私だ! 入り口に一番近い!」

「違う私だ! ドアの隙間から体が漏れている」

「なに、私に決まっている!」

「私だ! 外とつながる排水溝に半分いるのだぞ!」

「お、おい? ちょっと?」

 ここへ来てキングスが誰が捜索に行くかで揉め始めた。
 どうやら、みんな狭いから早くこの場を出たいっぽい。

「私だ」「私だ」「私だ」「私だ」
「私だ」「私だ」「私だ」「私だ」
「私だ」「私だ」「私だ」「私だ」
「私だ」「私だ」「私だ」「私だ」
「私だ」「私だ」「私だ」「私だ」
「私だ」「私だ」「私だ」「私だ」
「私だ」「私だ」「私だ」「私だ」
「私だ」「私だ」「私だ」「私だ」

 全員揃って。

『──断固として、私だ!』

「だああああああ! うるせー!」

 いつまでたっても言い争いをやめそうにないので一喝する。
 ギリス中央山脈では大活躍だったのに、なんだこいつら!

「みんなで行ってこいもう! ここはロイ様と俺でなんとかなるから!」

「うむ、状況的に仲間割れは良くないぞ、王室諸君。みんな仲良くだ」

 いや、何が仲間割れは良くないぞ、だ。
 あんたが格の違い見せつけるために、狭い室内に出したんだろ。
 しれっと何言ってんだ……。
 ロイ様出す時は、基本的に広い場所で出すことにしよう。

「では仲良し諸君! 全員で一丸となり愚か者を探し出せ!」

『承知! 承知! 承知!』

「捉えし者には、我が妻の手料理を振る舞う!」

『なんと、夫人が!? うおおおおおおおお!』

 飼育室からダダダダーっと外に駆け抜けて行く王種たち。
 みんなロイ様の妻、フォルの手料理目当てに血眼だった。
 仲良し諸君って言ってるけど、全然仲良しそうに見えない。
 ……これは、逃走者乙。

「ま、まあいいか……捕まるならば、万事オッケーだ、ハハハ……」

 俺は乾いた笑いとともに頭の中で状況を整理し、魔物達の方を向き直す。

「よし、大人しく檻に戻れば危害は加えないから……って、マジかよ」

 これから俺とロイ様がタッグを組んで、熱い戦いが始まるのかなと思ったのだけど。

『くぅん……』

 魔物たちは、みんな大人しく檻に戻ってらっしゃった。
 各自檻に戻って、伏せたりお腹を見せたり服従のポーズ的なことをしている。

「ふむ、良い子だ。ここで半殺しの痛い目を見るくらいなら、大人しく檻の中で余生を過ごすらしい」

「そ、そっか……」

 と、とりあえずみんな戻って檻から出てこないっぽいから万事オッケー。
 万事、オッケーなんだよ。

「どうだ盟主よ、これぞ無血開城。私の手腕である」

「あっうん、そうだね、すごいね。天晴れだよロイ様」

 キングスはみんな、血眼だったけど。
 それからさっさと全ての檻に鍵をかけ、俺はピーちゃんを抱えてロイ様と部屋を後にした。



「つーかロイ様」

「なんだ?」

 キングスに発破をかける、何気ないロイ様のセリフが気になったので聞いて見る。
 ちなみに、学院の廊下のスペースに合わせるために、ロイ様は少し小さくなってくれている。

「フォルって、料理できるの?」

「うむ、さすがにポチには劣るが、私には愛情の効果も合わさって格別の味である」

 惚気か、ちくしょうめ。
 しかし、気になるな、図鑑の中。
 中にいる連中は、みんなキングさんに修行を授けられているって話だけど。
 どうなっているのやら。

「みんな図鑑の中でどんな生活してんだ?」

「……それはまだ秘密だ」

 少しだけ言葉をためたロイ様は続ける。

「だが……いずれ知る時が来るだろう」

「そっか」

 大方、サモンカードをコンプリートした時のセット効果とか。
 そっち方面で特典がつくのだろう。
 異世界の魔物はゲームの世界と違って種類が多種多様過ぎた。
 だから半ば諦めていたのだけど……これを気にコンプ目指す?

感想 9,840

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました