装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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本編

507 仲良し諸君

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「“集え、──王室諸君”」

 ボボボボボボボボボボボボボッ!!
 ロイ様の呼びかけに応じて、いつも通りキングスが集合する。

「ちょ!? 多い多い多い多い!!」

 飛び散った液体が体長役4~5メートルのスライムの王種になるのだけど。
 この場にいる檻から脱走した魔物たちはよりも、多い数だった故。

「馳せ参じてみれば、少しばかり狭いな」

「うむ、狭いぞ」

「だが我らの魅惑的なスライムボディならば問題ないか」

「うむ、問題ない」

 流体ボディを活かし、ギチギチギチギチと隙間に収まったキングスの声。
 硬そうなメタル、ブロンズ、シルバー、ゴールドは、硬貨の様に薄くなって天井に追いやられていた。
 格好ついてるのかついてないのか、わからんなもう。

「ロイ様、部屋の広さよ」

「しかし、数でも格の違いを見せつけた方が良いだろう?」

「……そっすね」

 何かおかしいことはあるか、と言わんばかりのドヤ顔。
 ちょび髭抜いてやろうかと思った。
 しかし、数の暴力はかなり有効である。

「グルルルル……」

「ガル……」

「ゴォァ……」

「シャー……」

 獅子、虎、熊、蛇の4匹は、部屋の隙間という隙間にひしめくキングスを見て狼狽えていた。
 当然だな。
 上位種と言えども、体格でも個体の強さでもスライムキングの方が上なのである。
 それがギチギチの壁となって目の前にいて、巨大な顔面で睨みつけるこの圧力。
 俺だったらビビって漏らしてる。
 っていうかピーちゃんが圧倒されてそのまま気絶してピクピクしてる。

「さて、盟主よ」

「うん?」

「一体だけ盟主を攻撃した愚か者を追跡させることにするが、良いか?」

「おお、助かるよ」

 ロイ様と常に情報を共有できるキングスが入れば百人力。
 逃走者の捜索もあっという間だ。

「でも他にも宿直業務に当たってる人とか警備がいるから、脅かさない様にね?」

「問題ない。我らキングスの客人への対応マナーは一級品よ」

「そ、そうなの? なんだかよくわからないけど、よろしくね?」

 脅かすなっつってんだから、こっそり動けってことなんだけど。
 まあこいつらは有能中の有能なメンツだし、大丈夫か?

「よし、では各自で配役を決めて探してくるのだ、王室諸君」

「ならば王室の主よ! 私が征こう!」

「いや私が!」

「私だ! 入り口に一番近い!」

「違う私だ! ドアの隙間から体が漏れている」

「なに、私に決まっている!」

「私だ! 外とつながる排水溝に半分いるのだぞ!」

「お、おい? ちょっと?」

 ここへ来てキングスが誰が捜索に行くかで揉め始めた。
 どうやら、みんな狭いから早くこの場を出たいっぽい。

「私だ」「私だ」「私だ」「私だ」
「私だ」「私だ」「私だ」「私だ」
「私だ」「私だ」「私だ」「私だ」
「私だ」「私だ」「私だ」「私だ」
「私だ」「私だ」「私だ」「私だ」
「私だ」「私だ」「私だ」「私だ」
「私だ」「私だ」「私だ」「私だ」
「私だ」「私だ」「私だ」「私だ」

 全員揃って。

『──断固として、私だ!』

「だああああああ! うるせー!」

 いつまでたっても言い争いをやめそうにないので一喝する。
 ギリス中央山脈では大活躍だったのに、なんだこいつら!

「みんなで行ってこいもう! ここはロイ様と俺でなんとかなるから!」

「うむ、状況的に仲間割れは良くないぞ、王室諸君。みんな仲良くだ」

 いや、何が仲間割れは良くないぞ、だ。
 あんたが格の違い見せつけるために、狭い室内に出したんだろ。
 しれっと何言ってんだ……。
 ロイ様出す時は、基本的に広い場所で出すことにしよう。

「では仲良し諸君! 全員で一丸となり愚か者を探し出せ!」

『承知! 承知! 承知!』

「捉えし者には、我が妻の手料理を振る舞う!」

『なんと、夫人が!? うおおおおおおおお!』

 飼育室からダダダダーっと外に駆け抜けて行く王種たち。
 みんなロイ様の妻、フォルの手料理目当てに血眼だった。
 仲良し諸君って言ってるけど、全然仲良しそうに見えない。
 ……これは、逃走者乙。

「ま、まあいいか……捕まるならば、万事オッケーだ、ハハハ……」

 俺は乾いた笑いとともに頭の中で状況を整理し、魔物達の方を向き直す。

「よし、大人しく檻に戻れば危害は加えないから……って、マジかよ」

 これから俺とロイ様がタッグを組んで、熱い戦いが始まるのかなと思ったのだけど。

『くぅん……』

 魔物たちは、みんな大人しく檻に戻ってらっしゃった。
 各自檻に戻って、伏せたりお腹を見せたり服従のポーズ的なことをしている。

「ふむ、良い子だ。ここで半殺しの痛い目を見るくらいなら、大人しく檻の中で余生を過ごすらしい」

「そ、そっか……」

 と、とりあえずみんな戻って檻から出てこないっぽいから万事オッケー。
 万事、オッケーなんだよ。

「どうだ盟主よ、これぞ無血開城。私の手腕である」

「あっうん、そうだね、すごいね。天晴れだよロイ様」

 キングスはみんな、血眼だったけど。
 それからさっさと全ての檻に鍵をかけ、俺はピーちゃんを抱えてロイ様と部屋を後にした。



「つーかロイ様」

「なんだ?」

 キングスに発破をかける、何気ないロイ様のセリフが気になったので聞いて見る。
 ちなみに、学院の廊下のスペースに合わせるために、ロイ様は少し小さくなってくれている。

「フォルって、料理できるの?」

「うむ、さすがにポチには劣るが、私には愛情の効果も合わさって格別の味である」

 惚気か、ちくしょうめ。
 しかし、気になるな、図鑑の中。
 中にいる連中は、みんなキングさんに修行を授けられているって話だけど。
 どうなっているのやら。

「みんな図鑑の中でどんな生活してんだ?」

「……それはまだ秘密だ」

 少しだけ言葉をためたロイ様は続ける。

「だが……いずれ知る時が来るだろう」

「そっか」

 大方、サモンカードをコンプリートした時のセット効果とか。
 そっち方面で特典がつくのだろう。
 異世界の魔物はゲームの世界と違って種類が多種多様過ぎた。
 だから半ば諦めていたのだけど……これを気にコンプ目指す?

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