装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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本編

540 ダンジョンリゾート・4 かりぷそ

「トウジさん! 遅いですよ!」

 オデッセイにある冒険者ギルドへ赴くと、少し怒ったエリナがいた。
 遅れてしまったので、素直に謝っておく。

「すいません」

「私だってこの日のために水着を用意して来てるんですからね!」

 どうやら、それで怒っているようだった。
 用事を早く済ませ、彼女もビーチに行きたかったらしい。

「浮き輪だってこの日のために準備してるんですからね!」

「そ、そっすか」

 一応、俺のサポートという形で派遣されているはずでは?
 まあいいや。
 まっさらな砂浜に打ち寄せる波を見たら誰だって遊びたくなるもんだ。

「よし! では後はギルドマスターが直接お会いになるそうなので!」

「え?」

「では、私は海にいってきまーす!」

「あちょっと!」

 もう職務放棄だろ、これ。
 遊びたくなるのは構わないが、それはさすがにどうなのかと思った。

「ポチ、クレームつけるか?」

「アォン……」

 それも吝かではない、と頷くポチ。
 ギルドの入り口を呆然と見ていると、後ろから声がかかる。

「あなたがトウジ・アキノさん? ようこそオデッセイ支部へ」

 振り返ると、ボンキュッボンなべっぴんさんが目の前にいらっしゃった。

「私はギルドマスターのカリプソと申します」

「あっ、どうも」

 ギルドマスターか……。
 しかし、ギルドマスターにしては、やけに若い見た目だ。
 確実に俺より年下で、イグニールと同じくらいの年齢に思える。

「とりあえず立ち話もなんですし、こちらへどうぞ」

「はい」

 案内されるがままに、奥の応接室へと足を運んだ。
 中へと入って、黒い革のソファーに腰掛ける。
 対面に座るギルドマスターのおみ足もすごく良さげだ。
 こういう時にサングラスって重要だと思う。

 さて、そんな話は置いといて、だ。

「えーと、学院での依頼に関しての報告などをすれば良い感じですかね?」

 書面に起こせと言われれば、少し時間がかかるが今日中には終わらせるつもりである。
 2000万もらってるんだから、なんでもやるってことだな。

「いえ、そのご報告はひとまず大丈夫です」

「そうですか?」

「私から一つ、お聞きしたいことがあるのですが、良いですか?」

「どうぞ?」

 聞かれることと言っても何かあったかな?
 その言葉に少し疑問を感じていると、ギルドマスターは言う。

「──アイシャ、という名前に心当たりはあるでしょうか?」

 いきなり出てきた聞き覚えのある名前。
 一瞬息を詰まらせてしまいかけるが、すぐにぐっと飲み込んだ。

「アイシャ? 誰ですか?」

 こういう時、下手に「知らない」とか「さあ」とかすっとぼけると嘘がバレると聞く。
 だから、基本的には「誰ですか?」と興味を持った風を装うのが一番らしいな。
 それに準えて答えると、ギルドマスターの目つきが変わるのがわかった。

「もうすっとぼけなくてもいいのよ、彼女を送ったのは私なんだから」

「……カリプソ、やっぱりお前が女の大海賊か」

 実は自己紹介を受けた時から少し気になってはいた。
 アイシャから得た女の大海賊という情報。
 それを元に他の賊達を尋問して聞き出した名前が、女帝カリプソと呼ばれる大海賊のことである。
 海賊がギルドマスターをしてるとも思わなかったから、さらりと流していたんだけど……。

 そのまさかだったようだ。
 相変わらずくじ運が悪いのかな、俺って。

「まあ、そんなに構えなくても良いのよー?」

 じっと鋭い視線を送っていると、急に口調を豹変させたカリプソが言う。

「今はギルドマスター、つまりあなたの取引相手なんだからさー?」

「……何が目的ですか?」

 俺も一応この支部のトップということで、敬語を用いることにした。
 しかし、面倒な状況になった。
 俺の元へと密偵を送り込んでいたボスがギルドの支部長とは……。
 これは冒険者ギルドやめるフラグ来たか?

「何が目的? 別に、興味が湧いたからよー?」

「興味……?」

「ほら、グレイトなんちゃら倒しちゃった人でしょ?」

「それだけで密偵を送り込まれてたら困るんですけどね」

「ふふん、他にも色々と理由はあるのよ。まあ秘密だけど」

「はあ……そっすか」

「それにしてもギリス首都一帯の密偵をスライムの従魔を使って洗い出すなんて、もっと興味が湧いちゃったー」

「湧かなくても良いっす……」

 なんだかこの気だるそうな話し方にはなれない。
 終始ペースをそっちに持っていかれそうな気がして。

 ちなみに、アイシャの他にもアイシャを監視する密偵を送り首都に忍ばせているそうだ。
 他の組織とは違って、密偵の密偵というダブル戦術を駆使するのは私だけと豪語していた。

 費用が2重にもかかりそうなもんなのだが、王室諸君が探っていたのは俺を嗅ぎ回る存在。
 その線引きに引っかからないうまい手段だと思えた、俺も真似しよう。

 そうなればさらに上を行く、密偵の密偵の密偵を送り込むぞ?
 泳がせ密偵(雑魚)。
 泳がせ密偵の密偵(中堅)。
 泳がせ密偵の密偵の密偵(プロ)。
 やばい、密偵がゲシュタルト崩壊してきそうだ。

「で、アイシャを返せば良いんですか?」

 そんなクソどうでも良いことはさておいて、話を戻す。

「そうね、一応私の部下だから返してもらおうかしら」

「なら、全ての密偵を引き上げさせてくれるなら考えます」

「あら、交渉なのー?」

「当然です」

 返せと言われて素直に返すのが嫌だからな。
 熨斗つけて返すぞ、倍返しが基本なんだ。

「敵に捕縛される、そんな使えない密偵はもう用済みでしょう?」

「そうねー、貴方の意見も一理あるからあげるわよー」

「あ、ならありがたくもらっておきますね?」

 ニヤニヤと笑顔を崩さないカリプソに、俺もニコニコ笑顔で返答だ。
 腹黒さでは、負けない自信がある。
 そう、俺は本音と建前を今まで使いこなして来た根暗なのだから。







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すいませんでした。
(でも2回更新はずっと続きます、皆さんの感想のおかげです。元気がでます)
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