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本編
542 ダンジョンリゾート・6
話はそのまま依頼に関してのことだけで終わってしまった。
オデッセイ島へ接近中であるエルカリノ大海賊団の討伐。
Sランクの指名依頼。
この件によって、俺はこの支部でのみランクSという形になった。
そんなことありなのか、とも思うのだけど。
支部長権限で可能なんだそうだ。
今はギルドが開いたばかりで、横槍を入れる本部の人間もいない。
だからこそ、こうした無茶な事をAランクに依頼できる。
と、彼女は豪語していた。
“もっとも、Aランクという線引きに貴方が居て良いものか悩みどころだけどー?”
これは帰りがけにもらった言葉である。
いったいどこまで情報を得ているのか、悩みどころだ。
でもまあ、大方公式に残っている分なのではないかと思う。
俺の行動速度は、公式のもの以外は全てワシタカくんペース。
とてもじゃないがこの世界の情報スピードでは追いつけない。
手紙だって、海を越えて送るのにはかなりの時間がかかるのだから。
それともう一つ気がかりなことがあった。
彼女がダンジョンと繋がりがあるのではないかということである。
ダンジョンリゾート。
ダンジョンの一つの島にこんなもんを作っておいて、管理者はどう思うのだろうか?
なにかしら、繋がりがないとできないと思うのだけど。
残念ながらそこを聞く前に話を切り上げられてしまった。
エルカリノを倒せば、報告がてらまた話す機会はある。
その時に尋ねてみようか。
さて、肝心の依頼報酬なんだが……。
公式的なSランク昇格。
白金貨50枚と永久的なダンジョンリゾートフリーパス。
白金貨50枚は、いわゆる5000万ケテル相当。
フリーパスは、リゾート内の施設入場料無料である。
公式的なSランク昇格もそうだが、そこそこ良い報酬だと思った。
いやエルカリノ大海賊団を相手取るという形なら、安い。
5000万ケテルに命を張れるか、と言われれば否だろう。
だが戦いの場所が海ならば、俺はほぼ無敵に近い。
ビリー、ワルプ、キングさん。
海上で戦うメンツは、邪竜討伐組が揃っているのだ。
さらに安く受けておくことによって、あまり声をでかくさせない腹もあった。
依頼をこなした後、ダンジョンとの繋がりを確認するべく。
今のうちから恩を売っておく訳である。
フリーパスなんか、多分今後このリゾートには来るつもりないからな。
そんなもんなんの価値もないってことで揺さぶりをかけるのもいいだろう。
あ、そうだ。
今いる研究所の職員たち、それに準ずる商会のメンツ。
うちで雇用している全員が施設利用ただとかにするのはどうだ?
だったら悪くないぞ。
福利厚生、しっかりしています、って餌でC.Bファクトリーに差をつける。
普段の営業ごととか、そういう部分は俺には無理だけど。
こういうサービス的な分野で今まで得て来た人脈が使えるのではないだろうか?
よし、倒したら揺さぶりかけるついでにみんなのフリーパスを要求しよう。
入場にもえらい金がかかるリゾートなんだから、カリプソも表情が凍りつくだろうな!
それを想像すると、なんとも表情が緩んで来たぞ、ぐふふふふ。
「ぐふふふふふ」
「ォ、ォン……」
おっと、声に漏れていたようだ。
ポチが俺の顔を見ながら呆れたような顔をしている。
この顔はエルカリノを倒した後あたりに取っておくか。
その前に、この後も海の様子をチェックしなきゃだしね。
「よし後は海の様子でも見つつ、のんびりしようかポチ」
「アォン!」
エルカリノの件がある限り、浜辺にいるのは危ない。
しかし今日すぐに来るという訳でもない。
情報収集をしつつ今は、みんなと平和を楽しむのだ。
「クエー」
「お、おかえりコレクト」
島全体を探検しに行っていたコレクトがようやく戻って来る。
その嘴には、丸い宝石が咥えられていた。
見た目は真珠である。
「コレクト、これどうしたんだ……?」
「クエ」
ポチにメモ帳にコレクトの言葉を書き記してもらうと。
どうやら、この反対側の海岸に落ちていたらしい。
「へー、さすがはコレクションピークだな」
広いに落ちていた真珠を見つけて来るとは、なかなかやる。
だが、落とし物のようにも思えるな。
真珠って基本海岸にあるようなものだろうか?
貝の中にあるものじゃなかったっけ。
一応、真珠はアクセサリー装備を作り出したり。
今まで大活躍してきた霧散の秘薬の上位互換の素材にもなるから貰っておく。
落としものは、落とした人が悪いのだ!
まあ運良く探してる人に出会えたら返しはするけどね。
「とりあえずこれは俺が預かっておくよ」
「クエ、クエクエッ」
真珠を受け取ると、何かを伝えるようにバサバサするコレクト。
「ん? どうした? ポチ、通訳頼む」
「ォン」
探検して来たコレクトの情報によれば……。
このダンジョンリゾートは島の山を隔てて結構見栄えが変わって来るそうだ。
旅客船が並ぶ港に美しい海岸や賑やかな施設のあるこの場所が表だとする。
その裏側は打って変わって荒くれた様な雰囲気の店が立ち並んでいるらしい。
さらに港も存在し、そこに海賊の様な連中が続々と出入りをしているそうだ。
「なるほど……でかした」
「クエッ!」
恐らくそいつらは、カリプソの配下の者たちであると言える。
そうしてこのダンジョンリゾートを裏から支える人たちなのだろうか。
うーん、わからんな。
「クエクエッ!」
「ん?」
コレクトはさらに言う。
その裏っかわの方にカジノや競売場があるみたいだから、そこに行きたいのだそうだ。
ギャンブル狂いだったっけな、この鳥。
「まあ、夜行ってみようか。観察がてらね」
「クエッ!」
空からの情報は今からコレクトに聞くとして。
その後夜まで水島あたりに島の周りをグルッと泳いで確認してもらおう。
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