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本編
544 ダンジョンリゾート・8 カジノ
ポチを抱きかかえてルーレットのテーブルに座る。
一度やって見たかったんだよね、これ。
スロットマシンはさすがにないが、それでも十分面白そうだった。
「これ、どうするの?」
「どうするし?」
孤軍奮闘して来ると酒を片手にポーカーに行ったマイヤーを尻目に。
俺の隣にはイグニールとジュノーがいた。
ともにカジノというか賭け事が初めてのようである。
「うーん、これは赤と黒どっちかにかければいいよ」
他にも1~18のローナンバーとか。
19~36のハイナンバーとか。
偶数、奇数といった掛け方もあるが、赤と黒が一番わかりやすい。
勝ち幅が広い分、2倍だが、下手に当たり続けるのも面白くない。
それに幸運の秘薬は確かに効果を持つが、外れることのあるのだ。
「ふーん、だったら私は被らない様に偶数かしら」
「好きに賭けて楽しんでくれ」
他にも並ぶ数字を三つに分けた列での賭けも可能だ。
ダズンとコラムって言うんだっけな? こちらは3倍。
賭け事初めて向けにも、賭け方マニュアルが台に供えてある。
これのことを、アウトサイドベットと言うのだそうだ。
「ならあたしたちはインサイドベットするし! 大穴だー!」
「クエーッ!」
ジュノーはコレクトと一緒に参加する。
妖精と鳥が賭け事してると色々人目を惹くのだけど。
コレクションピークが賭け事に参加するのが珍しく。
そして縁起が良く。
テーブルにはたくさんの人が見に来ていた。
「ジュノー、使えるお金は限ってるから大事に使えよ?」
「はーい! コレクト何に賭けたい?」
「クエッ!」
「最初は小手調べにサード・コラム? おっけー!」
イグニール偶数、俺とポチは赤、ジュノーコレクトはサード・コラム。
最初はみんなアウトサイドベットだった。
ちなみに、数字を指定してかけるインサイドベットっつーのもある。
1数字賭けのストレートアップ(36倍)。
2数字賭けのスプリット(18倍)。
3数字賭けのストリート(12倍)。
4数字賭けのコーナー(9倍)。
5数字賭けのファーストファイブ(7倍)。
6数字賭けのライン(6倍)。
36倍って、とんでもない倍率だ。
大穴狙いといえば、やはりそこなんだが、幸運の秘薬を過信しちゃいかんね。
さて、ルーレットが回されて、そこにボールが投入される。
俺たちは、その様子を固唾を飲んで見守っていた。
はたから見たら、カジノ慣れしていないカッペの様にも思える。
入った、赤の36。
みんな初手は勝ちである。
「おおおおお~! コレクトやったし! やったし!」
「クエーッ!」
勝って喜び、俺とイグニールの肩の上でハイタッチするジュノーとコレクト。
楽しそうで何より。
二人が話し合ってベットする関係上。
俺とイグニールは肩が触れ合うほど近くに身を寄せて座っていた。
「よし、幸先いいな」
俺は10万ケテル分のベットを突っ込んでいた。
ってことで、20万ケテルゲッツ。
「トウジ、次はどっちにかけるの?」
「一旦ここで最低ベットを1数字掛けする」
イグニールに答えておく。
ここで一度小さい額を外して、禊を行い次の物にかけるぞ。
「なんで?」
「いや自分の運調整? まあ連続して当たることは少ないからね」
「なるほど」
勝つ上で、負けると言うことも重要なのである。
装備の強化だってそうだ。
今は数にものを言わせているから気にしてないが、ネトゲ廃人時代は成功率の低いいらないスクロールをいらない装備に貼ってわざと失敗させていたことがある。
そうやって、自分の中でなんとなく乱数調整というか失敗を重ねて成功への姿勢を正すのだ。
験担ぎだから、確率的な問題では意味がない。
しかし、姿勢を正すのは大事なのである。
「じゃ、私はトウジと一緒のところにかけよっかな」
「別に一緒にしなくてもいいよ?」
「“好き”でやってんの」
「そう? だったらどこにする? 一緒に決めようか」
外しにかかるんだから、俺はどこでもいい。
イグニールに合わせようか。
「へーん! 逃げ腰は敗者の証だしー!」
「クエーッ!」
「あたしたちは常に勝負、勝負の時なんだし!」
「クエーッ!」
「ってことでコレクトどうする?」
「クエッ」
「え? 次はあたしが選んでいいって? いやなんか……負けるの怖いし……」
コレクトから選べと言われたジュノーは急にどもり出した。
勝ちでテンションを上げていたが、それ故に負けが恐ろしくなったらしい。
「イグニール、勝ち続けて負けたら心にくるから、負けは少ない額でも重ねた方がいいぞ」
「そうね、ジュノーの様子を見てたらトウジの意見が正しいかも」
「むー! そういうこと言わないで!」
俺たちの言葉に反応したジュノーが言う。
「よーし! だったらあたしたちは勝ちに行くストレートアップ!」
「クエッ」
「多分当たらないから、おとなしくイーブンにしとけって? ダメダメ! 勝ちにいかなきゃ!」
「クエッ」
「だったらベットは最少額で、25、28の左のラインに置けって? わかったし!」
コレクトの指示を受けて、ジュノーはストレートアップではなくライン掛けにしていた。
上手くコントロールされている。
つーか、コレクト。
賭け事慣れ過ぎじゃないこれ、どうしたっていうの?
「トウジ私たちは赤の23にしましょう」
「オッケー」
なぜ、赤の23なのかはわからないが、とりあえず良しってことにしよう。
うーん、赤と黒。
これってなんかイグニールと俺を連想させるね?
冗談だ。
「うおおおおお! あたりだしー!」
「クエーッ!」
ルーレットが回り、球が落ちた。
26の黒。
コレクトは見事6倍の当たりとなった。
俺とイグニールは当然負け。
コレクションピーク、さすがである。
コレクトがここで稼ぎをあげたら、家にルーレット台を導入していいかも知れん。
適当な装備にここにあるルーレット台をカナトコで見た目を写して即インベントリに入れるのだ。
こっそりね!
そしたら装備扱いにして図鑑の中に持って行ったっていい。
図鑑のみんなで楽しんでくれ。
感想 9,840
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