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tera

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本編

547 エルカリノ討伐戦・1 大海原へ、海賊たちと

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 コレクトとジュノーがあれからいろんな台を回って荒稼ぎして俺はカリプソに呼ばれた。
 なんなのもー腹いせー? と言うカリプソに一泡吹かせてやった感はすごく楽しいものである。
 でかしたぞ、コレクトそしてジュノー。

 カジノの後は、みんなでライトアップされたプールで遊んだりと楽しい時間を過ごした。
 昼間は監督員としてずっと座っていた俺も、お酒を嗜みながら水に入る。
 その後、明日の準備を整えて就寝、そして起床し今に至るのだ。
 俺の部屋に来ていたイグニールに言う。

「今回、俺は単騎でエルカリノと戦うんだけど、その間、ライデンたちとマイヤーの警護は頼める?」

「私もトウジと行くつもりだったけど、仕方ないわね」

「すまんね」

 カリプソと会った時に聞いたのだが、何も本当に単騎で行かせるつもりはないらしい。
 コレクトが何やら船が島の裏手に集まっている情報。
 あれは、対エルカリノに合わせて集めた元オデッセイ海賊団の連中だった。
 現職はダンジョンリゾート・オデッセイの従業員。

 どうやら、カリプソは本当に海賊団からリゾート施設経営者に乗り換えたようだ。
 その縁もあって、元海賊という立場を払拭すべくために、大海賊を討つこの依頼へ参加する。
 それを加味すると、依頼料は割高である、と考えてもよかった。

 俺の「なぜダンジョンにリゾートを」という疑問については戦い後に教えてくれる。
 あなたもダンジョンコアと仲良しだけど、私もそうなのよね、って言葉をもらった。
 つまりは、そう言うことらしい。

 俺以外にもダンジョンコアとつながっている人はちらほらいるようだ。
 知る限りだと、パインのおっさんもそのうち一人なんだしね。
 敵だ敵だとしていたが、そういう繋がりならば気になることもあるし仕方がないことなのかもしれない。
 ま、全てはエルカリノを倒してからの話だな。

「じゃ、行ってくる」

「行ってらっしゃい。気をつけてね」

「うん、そっちは任せた」

「任された」

 俺はマイヤーやライデンの警護としてイグニールを残し、ホテルを出た。
 今回はまだ誰も召喚せず、単身で船に乗り、海でサモンモンスを召喚する。

 最初からクライマックスだよ。
 下手に時間を長引かせるつもりはない。
 初手、ワシタカくんにて船を崩す。
 そして海に投げ出された奴はワルプでハメる。

 人相手だと、これだけで済むのだ。
 異常状態によるスタンと暗黒。
 これが決まると、人は海の中に沈んで行く。
 救命衣をつけていなければ、溺れ死ぬ。

 海中で呼吸ができるような奴がいれば問題だが……。
 そんな人間はいないだろう。
 いてもビリーの雷撃にして広範囲で痺れで終わるだけだ。







 裏手の船着場へ向かうと、元オデッセイ海賊団が船出の準備を整えていた。

「あら、思いの外、真剣な表情ねー?」

 船に乗り込むと上から声がかかる。
 舵の前に、レースの入った豪華な黒い海賊帽を被ったカリプソがいた。
 レース付きのブラウスと赤い海賊服の上着。
 下は革製の茶色いズボンとブーツ、腰には湾刀。

「戦闘衣装ですか? そっちも真剣ですね?」

「当たり前よー、だってエルカリノって人数だけはすごいんだもーん」

 真剣だと言う割には、人をおちょくるような声はいつもと変わらなかった。

「ここのダンジョンコアに頼めば、力を貸してくれるんじゃないんですか?」

「残念だけど、海賊同士のいざこざには口は出さない約束なの」

「へえ」

「それに、海賊をやめるのだって彼らとの約束なんだから、さ?」

「なるほど。で、ギルドを作って人を集めて、ダンジョンに餌を集める手伝いですか?」

「相変わらず棘があるわねー、逆よ逆」

「逆?」

「ここの主のスローフって怠惰のダンジョンコアだから、おサボりマンなのよー」

 八大迷宮の一つ、極彩諸島のダンジョンコアは怠惰のスローフと呼ばれるらしい。
 そして、自分の半身を与えて作ったガーディアンの一人は淡白ちゃんなんだそうだ。

「管理が杜撰なのよ、彼と彼女。そのうち増えすぎてヤバそうだったから、私が一つ手を貸したって訳」

「そうなんですね」

「っていうかぜーんぶ任されかねないから、早いところ自分の立場ってものを作っておきたいのよー」

「苦労してますね。いつ頃知り合ったんですか?」

「……ま、それは終わってからゆっくり話しましょ? 貴方にも色々と話があるのだしー」

 それだけ言って、カリプソは船室内に引っ込んだ。
 話、とはいったいなんなのだろう。
 適当な世間話とか、カジノでの愚痴ではなさそうな雰囲気だった。
 恐らく、ダンジョンコアに関するものなのだろう。

「まあ、良いか」

 今はエルカリノとの戦いに集中しようか。

「トウジ様、専用の船室が準備されておりますので、こちらへ」

「あ、はい」

 燕尾服のような格好をした男装の女性に案内され、俺は船室に案内された。
 そしてしばらくして船は出港する。
 この時、オデッセイ側の船は全部で50隻。
 対して、エルカリノ側の予想戦力は、カリプソの話だと580隻。
 ウィンストが蹴散らした分を合わせても、10倍さとのことだった。

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