装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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本編

552 エルカリノ討伐戦・5

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「な、なに──」

 はい引力、そして海に投げ捨てポイ。
 ワルプの特殊能力、スタンと暗黒の異常状態によって沈んでいく海賊。

 もっとも人間だから浮かぶ。
 しかし、浮かぶのは体の2%くらいらしい。
 下手な姿勢でスタンしてしまうと、口は沈む。

「ご、ごぼぼ」

 そのまま窒息死する海賊を見て、それがよくわかった。
 あんまり眺めるのもどうかと思うのでさっさと先に進める。

 運良く口だけ海面に出たとしても、気が狂うだろうな。
 だって、動けず、見えず、水の中に浮かぶのである。
 俺だったらもう、発狂してるぞ。
 結局、波が口に入ってきてもどうすることもできずに飲むか吸うか。

「ぼぼぼぼ……」

「やっぱりエゲつねぇ……」

 かれこれ5時間くらいこの作業を続けている。
 もう幽霊船化した数は覚えていない。

 このまま上手くいけばかなりの数の船を使い物にできなくすることが可能だった。
 しかし、全てが上手くいけば、の話である。

 夜間の何もない、安全な海上とは言えども、定時連絡は行うのが道理だ。
 そろそろ他の船の上で海賊たちがざわざわ騒めき出していた。

「お、おい……他の船との連絡は取れたか?」

「いや、まだだ」

「寝てんのか? まったく、決戦前だからって飲んだくれてんのかよ」

「わかんねえけど、前の方はハメ外してもバレねぇしな」

「無駄に規模がでかいから、管理できてねえってことか?」

 敵が海の上を歩いて、船にくっついてきているとは思わず。
 海賊たちは甲板に立ちそんなことを話しているようだった。

 そうだそうだ、騙されろ騙されろ。
 でも、そろそろ不審に感じた奴らが他の船へと近づき出す頃合いだ。
 俺もそれに合わせて一つ、動きを変えるべきだろう。

 よし、ブニーの出番だな。
 一度ナンシィを戻して、空いた枠でブニーを召喚した。

 凶悪な鱗粉攻撃もいいが、夜のうちに混乱を巻き起こすのも作戦のまた嫌らしい作戦。
 海賊たちは、シーモンクを拷問して海魔を呼び寄せると言っていたが……。
 その海魔役としてブニーを使うのだ。

 ──ドブァアアアア!!

「な、なんだ!? すげぇ水音がしたぞ!!」

「何かが海中から現れた! 松明を灯せ!」

「光魔法が使える奴はすぐに照らせ!」

 船の脇で召喚したブニーの巨体から発せられる水音。
 気づいた海賊たちが一気に甲板へと飛び出して来る。
 俺はその間に海賊船の物陰へと姿を眩ませた。

「ォォォォォオオオオオオ!!」

「敵襲か!? いや、魔物だ!! 魔物が出たぞー!」

「クラーケンだ! クラーケンだああああ!!」

「シーモンクの叫び声に呼ばれてきたのか!? 早すぎないか!?」

 おー、しっかり騙されてくれている。
 我ながらなかなか良い作戦と言えた。


「全員、戦闘態勢とれ!! 今すぐにだ!!」

 俺の潜む船の隣を走る船に取り付いて、甲板に集う海賊を次々に海へ落とすブニー。
 吸盤に鉤爪みたいなものがついてるってのが、また凶悪な武器となる。
 海に落ちた海賊を見ると、鉄板が仕込まれていない生半可な装備は引き裂かれていた。

「うわあああああ! た、助けてくれー!」

 ビターンビターンビターン。
 掴まれて、振り回されて、叩きつけられる。

 やはり大きさは戦いにおいて大正義だな。
 貿易船でクラーケンに襲われた時のことである。

 クラーケンより大きなワシタカくんがいとも容易く引き裂いた。
 故に、そこまでクラーケンに脅威を感じず、餌としか思わなかったのだが……。

「おわああああああああ!」

「ぎゃああああああああ!」

「い、いま助けるぞ──ぐはっ!?」

 雑魚海賊たちからすれば、たまったもんじゃないみたいだった。
 ついでに言えば、ブニーの特殊能力も実際たまったもんじゃない。

 物は試しに、と言うことで起用したのだけど。
 なんだか全身になんとも言えない快感が走っていた。

 攻撃したら相手が気持ちよくなるのではなく。
 こっちが気持ちよくなってしまうのは言葉通りだった。

「ぉぉふ……これは、ちょっと……ぅっ」

 グループに入れているイグニール、ジュノー、マイヤーは大丈夫だろうか?
 それだけが少し心配になった。







「……ハッ! ぼ、僕はなんと言う夢を見てしまったんだ……エイミィと委員長は友人なのに……オデッセイ島って、確か魔導機器の洗濯乾燥機があったはず……い、急いで洗ってこないと……」






=====
女性陣のプライバシーがあると思ったのであえて描写しませんでした。
欲しいって声があったら追加しときます。(その時は報告します)
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