装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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本編

566 セクハラ三十路

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「えっと……つまり、エルカリノに奇襲作戦を継続していたら、シーモンクがポセイドンを呼び寄せて、そのポセイドンがエルカリノ海賊団を壊滅させて、そのままポセイドンと交戦してなんやかんやあって、その大きさに至っている、ということで間違いはないのー……?」

「はい、そうです」

 俺の諸説明をまとめてくれるカリプソ。
 このなんやかんや、という部分は邪竜顕現の部分を適当にぼかした所。
 さすがに露見するのは不味いので、隠すことにした。

「危ないところでした。勝てて良かったです」

 ポセイドンは俺とキングさんでボコボコにしたって事実を曲げておく。
 邪竜の力は俺の力ということで、ボコボコにした事実は本当なのだ。

「にわかには信じがたいことだけど……」

 呆れた表情をしながら、カリプソは沖合に浮かぶ巨体を見ながら言葉を続ける。

「本当にポセイドンが浮かんでるみたいだから、信じざるを得ないわねー……」

「嘘ついても仕方ないですけど」

「そうよねー……トウジ・アキノはなに? 巨人族の末裔か何かなわけー?」

「いや、そうでもないです。ただの中年ですよ」

「ただの中年は身長17メートルも無いけどー」

「ハハハ」

 適当に笑って誤魔化しておいた。
 仕方ないだろうに……。
 こうしなきゃ津波に飲み込まれちゃうところだったんだ。

 少しは褒めてくれてもいいと思う。
 エルカリノを倒し、ポセイドンを倒し、津波の危機を未然に防いだのだ。

 それにしても、こうして並べると思ったよりもやったことが多いな……。
 毎回そうだ、話の起点はクソどうても良いことだけど。
 途中から、とか、後から絡んでくるやつに厄介なのが多すぎるんだ。

 前の怨嗟の鎖の時も、そうだったしな!
 ごちゃごちゃし過ぎて、上手くまとまった試しがない。
 結局、他のやつに協力を仰いだり助けてもらっている。

 最近良いところないな、俺。
 でもまあ、仕方ないよ。
 再三言ってきたが、俺は勇者でもなんでもない。
 ただの巻き込まれた異世界人のおっさんなのだ。

「ギルマス、エルカリノはポセイドンが倒しましたけど、依頼報酬って発生するんですか?」

 なんとなく、気になったことを聞く。
 正直に話してしまって、倒してないから無しになるのは嫌だった。

「そのポセイドンを貴方が倒したんでしょー? それに、津波も未然にここで止めてくれた」

「ええ、そうですね」

「だったら普通に払われるわよー。あと一人でやりきった分の追加報酬も乗せておくからー」

「おお!」

 それは、ここまで頑張った甲斐があったってもんだ。

「追加報酬ってどのくらいですか?」

「それはまだ秘密ということにしておこうかしら」

「……秘密?」

 なんだろう、なんだか気になるな!
 秘密と言われると、途端に気になってくるアレだ。

「とりあえず、その姿が元に戻るのは明日の朝なのよねー?」

「はいそうです」

「なら明日、約束していた話と報酬を渡すから、ギルドまで」

「了解です」

 約束していた話、とはダンジョンコアとの繋がりの部分だな。
 八大迷宮の一つ、極彩諸島の主人、怠惰のスローフに関して。
 ダンジョンコア連中を仲良くしておいた方が良いから、繋げてもらえたら一番だ。

「そういえば、ギルマス」

「なにかしらー?」

「この時間って、本来の集合時間よりも結構遅れた到着ですけど、何やってたんですか?」

「──!」

 そう尋ねると、カリプソの態度が露骨に変わった。
 ふはは、俺は実は知っている。
 こいつもグループの中に入れてたからな、ナニしてたんだろ!
 まあ、それは知らないという体裁で、純粋に尋ねるのだ。

 半ばセクハラのような質問かもしれないが、それをセクハラと思うのは事実を知る者のみ。
 本音を言えば、遅れてくれたおかげで巻き込まずに済んだってのもある。
 しかし、ここはこいつの困る顔が見たいので、関係なく質問責めにしてやるぞ。

「戦いの前で夜更かしでもして、寝坊したんですか?」

 ふははは、さあ言え。
 昨日の夜、っていうか深夜帯、何をしていた。

「……そ、そうね。寝坊しちゃったのよー、私としたことがー」

「大変スね。ギルマスともあろう方が眠れなかったんですか?」

「う、うん。そういう時もあるのよ」

「俺も、次の日イベントがある時は、体が熱くなって眠れなくなります。そんな感じですか?」

「ま、まあー、体がもう滾っちゃって滾っちゃって、仕方がない時もあるわよねー? ハハハ」

 少し顔を赤くしながら、俺の言葉に合わせるカリプソ。
 まったく決戦前に何を滾らせてたんだか!
 ちゃんとやれよギルマス、なにやってんだギルマス。

 と、俺は心の中でカリプソを罵倒し意趣返しをした。
 口に出して言わないとか、クソ野郎だって?
 なんとでも言え、一応目上の人だから俺にはこれで精一杯。

「とりあえず私は先に帰ってるわよー! ちゃんと明日ギルドに顔を出しなさいねー!」

 それだけ言ってカリプソはすたこらさっさと戻っていった。
 昨日身につけていた服と若干変わっているってことは、そういうことかもな。
 この世界の人って、毎日服を着替えるわけではない。
 街に住んでるならそうかもしれないが、決戦中ともなれば風呂にも入らんのだ。

 うん、つまりはそういうことだ。
 ざまーカリプソー。
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