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本編
580 調理を待つ間にダンジョン作業
さて、厨房でポチとパインのおっさんが極彩マンボウの解体にかかりっきりになっている間。
俺はピーちゃんを連れてダンジョン地下2階の浄水の池へとやってきていた。
「ぷぴ!」
ピーちゃんはここが好き、というジェスチャーをしながら草っ原の上に俺を案内する。
太陽の樹の根元、という特等席だった。
ダンジョンに光は届かなくても、太陽の樹が備わっていればいつでもポカポカ陽気。
「ぷー!」
「……!」
ここの管理を任されるゴレオとともに、俺は特等席に座ってピーちゃんを足に乗せた。
「やっぱり良いな、この場所は」
スローフが一つの島として自分により良い環境を作って寝っ転がる気持ちがわかる。
島型とは違い、階層型なので空はない。
ゴツゴツの岩肌が太陽の樹の光によって照らされている訳だが、致し方ないだろう。
「さて、やるか」
あぐらの上からピーちゃんを下ろしてゴレオに預けると、俺は立ち上がった。
「なにするし?」
俺について来ていたジュノーの問いかけに答える。
「そろそろこのダンジョンも拡大しようかなと思ってね」
「おお! ついにトウジがダンジョンを拡大する気になった!」
意外だったのか、驚くジュノー。
このダンジョンのリソースは基本的に全て潜在装備に使っていたからなあ……。
ややレベルの上がりも鈍化して来たから、装備熟成も長期を考えるべきだ。
ともすれば、今の内にダンジョン内のリソースを少しづつ増やしておく。
これに限ると思ったのだ。
そろそろ【巨匠】が次の段階へ移る。
おそらくデプリに行って、帰って来て、そこから数日だ。
長かった。
実に長かった。
そして【神匠】になったら作れるものがもっと増えるぞ。
自分の中で一番強い装備も可能だし。
実はこれがスペリオル装備製作の第一歩にもなるのだ。
ライデンの形見の刀って【神匠】じゃないと作れない。
そこから考えると、やはり超強い装備はそこからなのだ。
金策も、研究所が滞りなく運営できれば申し分ない。
なんだか色々と周りの規模が大きくなりすぎて管理できていないが、大丈夫だ。
周りにみんながいてサポートしてくれるっていうか、自発的に動いてるからな……。
俺は因果を断つために、それをひたすら目的としよう。
「……トウジ?」
「ん? ああ、すまん。考えごとしてた」
「もう! たまにボケーっとしてて、みんな心配してるし!」
「ごめんごめん」
よし気を引き締めて、ことにあたろうか!
「実は極彩諸島のダンジョンコアと会って来て、その時面白いものをもらって来たんだ」
「えっ! それ聞いてないし! なんであたしも連れてかないし!」
「いや、来るかと思って声かけたけど、みんなで海に行ったじゃん……」
だからあの場にジュノーがいなかったのである。
一応ジュノーと声をかけたが、遊びに夢中で無視された。
少し傷ついた。
「ちゃんと呼ぶしー! もー!」
「こっちがもーだよ」
憤慨してハエみたいに飛び回るジュノーにため息が出る。
こいつが何かのキーマンを担うと言われたが、本当だろうか。
大切にしろと言われたので大切にするけどさ。
もっとも、本人には言わない。
勘違いされそうだし、なんだか小っ恥ずかしいからね。
「まあ話を戻すけど、これをもらって来た」
「なんだし、それ?」
右手に取り出したのは、スローフのいた泉の周りに生えていた苗木。
この苗木はスピリットベリーと言うそうです。
端的に言えば、フェアリーベリーの上位版。
実単体で、MP3000くらい回復する。
強い。
ちなみに錬金術師【巨匠】でも取り扱うことができる。
これを使ったMP回復薬、精霊の秘薬。
MP即時回復100%で、使用後300秒間INT+10%、秒間1%MP回復。
強い。
「浄水の池の周りにフェアリーベリーと一緒にこれを植えると良いんだって」
「へー! 何が良いし?」
「なんか精霊が寄って来て中の魔力が濃くなるってさ」
「へー! どうしてそうなるし?」
「それは俺も知らん」
「知らないの?」
「うん」
面倒臭がって詳しく教えてくれなかったからな……。
俺は澄水が関係しているのかと思ったのだけど、どうやら違うそうだ。
澄水は、また別の役割を担っていて、それは企業秘密とのこと。
「とにかく、このスピリットベリーで魔力リソースを増やすぞ」
「うん!」
「それから地道に少しずつダンジョンを拡大していこうと思う」
「おおおー! トウジがついにやる気になったし! わーい!」
「俺もやる時はやる男なんだ」
「やらない時はやらないし?」
「……」
そうだよ、なんか文句あるのか。
俺にできることなんてたかが知れてるから仕方ないだろ。
「ぷーぴっ」
「お手伝いしたいって!」
「そうかそうか」
よし、ではゴレオとピーちゃんも混ぜてさっさと作業を終えようか。
良い感じに汗を流したら、夜は極彩マンボウのフルコースが待っている。
なんだか肉より魚だよな、と思う三十路の今日この頃だった。
「──お前らー、ご飯できたぞー!」
『はーい!』
=====
話には上がってませんでしたが、竜の実はもっと強い、そしてまだトウジ扱えません。
材料も何もかも足りない状態だからです。
でもそれでできる秘薬はとんでもないものとなります。
HP回復100%。
300秒、HP上限100%、補正値VIT+30%、秒間10%HP回復。
実を食うだけで疲れ知らずになるとはよく言ったものです。
感想 9,840
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