文字の大きさ
大
中
小
297 / 650
本編
598 …………。
勇者一行(笑)と、三十路のおっさんと骨の旅が幕を開けた。
俺はもちろんダンジョンコアとの対話を義務付けられている。
つまるところ、最奥までいかなあかんのですよ……。
「トウジ様~、バッタが飛んでますぞ~!」
「はーい、どうもー」
「切り返しが謎ですぞ! しっかり突っ込んでいただかないと!」
「やだよ、面倒臭い」
「冷たいですぞ~」
適当に骨の相手をしつつ、俺はマップ機能を展開していた。
今の俺の精神状態は極めて良好。
会いたいな、会いたいな、なんてホームシックも懐かしい。
グループにぶち込んでいたイグニールとジュノーの表示。
それが、徐々にクロイツにまで接近しているのだ。
旅前にクロイツ周辺の地図を登録した時に気がついた。
そうだよ。
一人になってもなんの心配のいらないのである。
しかし……。
そこそこの勢いで接近しているのだが、どうなっているんだ?
ウィンストがチビの背中にみんなを乗せてくれているのだろうか?
まあ、なんでも良い。
みんなが来てくれるならば、俺は頑張れる。
生きる気力が、活力が湧いてくる。
──ぐぅぅ。
そう考えていると、お腹がなった。
「ぞっ?」
「おっ?」
俺の方を振り返り、骨もなにやら嬉しそうな顔をしている。
「朗報の音ですぞ~」
「そうだな、今日はご飯を食べられるかもしれない」
本当に朗報だぞ、これは。
もっとも、結局のところ根本的な解決にはなってない。
が、しかし、みんなが集まればなんとかなる気がした。
最召喚されて、みんなと離れ離れになって。
それから急に味を感じなくなり食欲がなくなった。
変な声も聞こえたし、これはひとえに魔王の力的なものが悪さをしている。
そういう風に捉えていたのだけど、単純に色々とストレスで食欲不振になっていただけだったのだろうか?
あれから声だって聞こえてこないし、多分そうなのだろう。
「断食解禁一発目は、骨を食べますか?」
「食べないです、犬じゃないんで」
いや、犬も食わん。
かじるだけだ。
「いや、飯を食うという意味ではないんですぞ~」
「はあ? 他とかもっとねーよアホか! 死ね!」
淫乱な骨とか、誰に需要あるんだよ。
見た目はどこをどう取り繕ったとしても骨。
これに欲情する奴がいるなら連れてこいよ。
本当にいるんだったら俺は頭全剃りするぞ。
「それはさておき、今まで第三骨の立場からあなた方の様子を見ていましたが」
「うん」
……第三骨って、第三者で良いのか?
わかりにくい小ネタぶっ込んで来ても対応できないぞ。
「カルマの原因は一部、勇者にあると言っても過言では無いですぞ」
「ええ……」
「敵視は業の一つにございますぞ」
なるほど、ってことは、勇者がのカルマが俺に来ている。
そう言うことか。
「もっとも金銭的要求をした後に膨大になりましたが」
「それは受け入れるよ」
自分のやっていることについては大いに受け止めよう。
だがしかし、とばっちりだけは嫌なのだ。
「教祖としてどう思う、どう回避したらいい?」
「仲良くしたらいいんじゃ無いですか?」
「──それは無理だ!」
「まーた怖い顔……それほどまでに何か確執があったんですかね?」
「……いや、明確な確執があった訳では無いけど」
ウィンストの件も結局は彼を正気に戻して終わった。
彼の同胞たちを殺した勇者とのいざこざは俺には関係ない。
──だがしかし。
──許せないものは許せないのだ。
──何が許せない?
いや、そう言う次元の問題ではないと、すでに──。
「──はっ! ごめん、また話聞いてなかった!」
「……話を戻しますが、カルマに関しては一つ自らの受け入れが重要ですぞ」
「それが簡単にできるならば、こうして長きにわたり苦しんではない」
「ふーん、まあこの話はやめておきましょう。誰と話してるかもわからなくなりますし」
「……ごめん、また会話飛んだ」
どこまで話したっけな……。
カルマの原因とどうやってこれを乗り切るかだっけ。
でもまあ、解決策が一つある。
「空腹を感じたこともそうだが、朗報だぞ骨」
「ほいほいなんでしょう? なんだか希望に満ち溢れた良い顔ですね?」
「ああ、もう直ぐ、大切な仲間が来るんだ」
「お仲間さん? ああ、再召喚の折にギリスに残して来たっていう?」
「うん。最近色々とストレス溜まりっぱなしだったけど、みんなが来てくれればこの状況でも俺は頑張れる」
ポチに癒されたい、ゴレオと日向ぼっこしたい。
コレクトと宝探ししたい。
ジュノーとダンジョン作りたい、イグニールにただ会いたい。
「あまり依存するのは良くないですぞ?」
「依存、かあ……」
否定はできないな、色々と。
まあしかし、細かいことは後で考えよう。
俺一人でどうにかできる問題じゃなかったんだ、そもそも。
禊だって、ポチやゴレオたちが後押ししてくれた。
俺にはあいつらが必要だ、必要。
うん、必要。そう必要。ダメだな、弱ってるよ。実に弱い。
「そのお仲間さんが来るのは結構なことだと思いますが……」
「ん?」
「あくまでカルマを背負っているのは貴方一人だということを忘れないことです」
「物騒な言い回しだな……はっきり言えよ」
「今の貴方には、なんらかの死相が見えていますから、逆に仲間を危険に晒すのでは?」
「………………」
「あっ、そんな悲しいんだか怒ってるんだかわからない顔しないでくださいですぞ! 貴方には教祖の私がついておりますし、私はもう死んでて何があっても今後死ぬことはないですから、優良物件ですぞ?」
……そうだった。
巻き込みたくないから、俺はアクションを起こさなかった。
勇者と敵対したくないから、戦力となるあいつらを呼ばなかった。
一つの疑問が頭に生まれる。
イグニールやポチたちがここに近づいて来ている。
果たして、それはそれでいいのか……?
=====
ちゃーんとみんな揃いますよ~
俺はもちろんダンジョンコアとの対話を義務付けられている。
つまるところ、最奥までいかなあかんのですよ……。
「トウジ様~、バッタが飛んでますぞ~!」
「はーい、どうもー」
「切り返しが謎ですぞ! しっかり突っ込んでいただかないと!」
「やだよ、面倒臭い」
「冷たいですぞ~」
適当に骨の相手をしつつ、俺はマップ機能を展開していた。
今の俺の精神状態は極めて良好。
会いたいな、会いたいな、なんてホームシックも懐かしい。
グループにぶち込んでいたイグニールとジュノーの表示。
それが、徐々にクロイツにまで接近しているのだ。
旅前にクロイツ周辺の地図を登録した時に気がついた。
そうだよ。
一人になってもなんの心配のいらないのである。
しかし……。
そこそこの勢いで接近しているのだが、どうなっているんだ?
ウィンストがチビの背中にみんなを乗せてくれているのだろうか?
まあ、なんでも良い。
みんなが来てくれるならば、俺は頑張れる。
生きる気力が、活力が湧いてくる。
──ぐぅぅ。
そう考えていると、お腹がなった。
「ぞっ?」
「おっ?」
俺の方を振り返り、骨もなにやら嬉しそうな顔をしている。
「朗報の音ですぞ~」
「そうだな、今日はご飯を食べられるかもしれない」
本当に朗報だぞ、これは。
もっとも、結局のところ根本的な解決にはなってない。
が、しかし、みんなが集まればなんとかなる気がした。
最召喚されて、みんなと離れ離れになって。
それから急に味を感じなくなり食欲がなくなった。
変な声も聞こえたし、これはひとえに魔王の力的なものが悪さをしている。
そういう風に捉えていたのだけど、単純に色々とストレスで食欲不振になっていただけだったのだろうか?
あれから声だって聞こえてこないし、多分そうなのだろう。
「断食解禁一発目は、骨を食べますか?」
「食べないです、犬じゃないんで」
いや、犬も食わん。
かじるだけだ。
「いや、飯を食うという意味ではないんですぞ~」
「はあ? 他とかもっとねーよアホか! 死ね!」
淫乱な骨とか、誰に需要あるんだよ。
見た目はどこをどう取り繕ったとしても骨。
これに欲情する奴がいるなら連れてこいよ。
本当にいるんだったら俺は頭全剃りするぞ。
「それはさておき、今まで第三骨の立場からあなた方の様子を見ていましたが」
「うん」
……第三骨って、第三者で良いのか?
わかりにくい小ネタぶっ込んで来ても対応できないぞ。
「カルマの原因は一部、勇者にあると言っても過言では無いですぞ」
「ええ……」
「敵視は業の一つにございますぞ」
なるほど、ってことは、勇者がのカルマが俺に来ている。
そう言うことか。
「もっとも金銭的要求をした後に膨大になりましたが」
「それは受け入れるよ」
自分のやっていることについては大いに受け止めよう。
だがしかし、とばっちりだけは嫌なのだ。
「教祖としてどう思う、どう回避したらいい?」
「仲良くしたらいいんじゃ無いですか?」
「──それは無理だ!」
「まーた怖い顔……それほどまでに何か確執があったんですかね?」
「……いや、明確な確執があった訳では無いけど」
ウィンストの件も結局は彼を正気に戻して終わった。
彼の同胞たちを殺した勇者とのいざこざは俺には関係ない。
──だがしかし。
──許せないものは許せないのだ。
──何が許せない?
いや、そう言う次元の問題ではないと、すでに──。
「──はっ! ごめん、また話聞いてなかった!」
「……話を戻しますが、カルマに関しては一つ自らの受け入れが重要ですぞ」
「それが簡単にできるならば、こうして長きにわたり苦しんではない」
「ふーん、まあこの話はやめておきましょう。誰と話してるかもわからなくなりますし」
「……ごめん、また会話飛んだ」
どこまで話したっけな……。
カルマの原因とどうやってこれを乗り切るかだっけ。
でもまあ、解決策が一つある。
「空腹を感じたこともそうだが、朗報だぞ骨」
「ほいほいなんでしょう? なんだか希望に満ち溢れた良い顔ですね?」
「ああ、もう直ぐ、大切な仲間が来るんだ」
「お仲間さん? ああ、再召喚の折にギリスに残して来たっていう?」
「うん。最近色々とストレス溜まりっぱなしだったけど、みんなが来てくれればこの状況でも俺は頑張れる」
ポチに癒されたい、ゴレオと日向ぼっこしたい。
コレクトと宝探ししたい。
ジュノーとダンジョン作りたい、イグニールにただ会いたい。
「あまり依存するのは良くないですぞ?」
「依存、かあ……」
否定はできないな、色々と。
まあしかし、細かいことは後で考えよう。
俺一人でどうにかできる問題じゃなかったんだ、そもそも。
禊だって、ポチやゴレオたちが後押ししてくれた。
俺にはあいつらが必要だ、必要。
うん、必要。そう必要。ダメだな、弱ってるよ。実に弱い。
「そのお仲間さんが来るのは結構なことだと思いますが……」
「ん?」
「あくまでカルマを背負っているのは貴方一人だということを忘れないことです」
「物騒な言い回しだな……はっきり言えよ」
「今の貴方には、なんらかの死相が見えていますから、逆に仲間を危険に晒すのでは?」
「………………」
「あっ、そんな悲しいんだか怒ってるんだかわからない顔しないでくださいですぞ! 貴方には教祖の私がついておりますし、私はもう死んでて何があっても今後死ぬことはないですから、優良物件ですぞ?」
……そうだった。
巻き込みたくないから、俺はアクションを起こさなかった。
勇者と敵対したくないから、戦力となるあいつらを呼ばなかった。
一つの疑問が頭に生まれる。
イグニールやポチたちがここに近づいて来ている。
果たして、それはそれでいいのか……?
=====
ちゃーんとみんな揃いますよ~
感想 9,840
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
「お前さえいなければ」と言われたので死んだことにしてみたら、なぜか必死で捜索されています(旧:いらないと言ったのはあなたの方なのに)
水谷繭※7/30書籍発売予定です!6/29まで公開します。
完結まで一括投稿済。
なろうの方では削除する予定はありませんので、読み途中たけれど読みきれないという場合はそちらでお願いします☺️
精霊師の名門に生まれたにも関わらず、精霊を操ることが出来ずに冷遇されていたセラフィーナ。
セラフィーナは、生家から救い出して王宮に連れてきてくれた婚約者のエリオット王子に深く感謝していた。
エリオットに尽くすセラフィーナだが、関係は歪つなままで、セラよりも能力の高いアメリアが現れると完全に捨て置かれるようになる。
ある日、エリオットにお前がいるせいでアメリアと婚約できないと言われたセラは、二人のために自分は死んだことにして隣国へ逃げようと思いつく。
しかし、セラがいなくなればいいと言っていたはずのエリオットは、実際にセラが消えると血相を変えて探しに来て……。
◆表紙画像はGirly drop様からお借りしました
◆小説家になろうにも投稿しています
凱旋した英雄は聖女を選びました。~冬の補給路を守っていた私は静かに軍を去ります~
握夢(グーム)「君は後方にいただけだ」――
凱旋した英雄の婚約者からそう切り捨てられた私は、
静かに軍を辞職しました。
――冬の補給路管理。
――兵糧配分。
――医薬品輸送。
――損耗率管理。
全部、私の仕事だったのですが。
三週間後、
王国軍は補給崩壊。
「なぜ食糧が届かない!」
「なぜ兵が飢える!」
……逆にお聞きしますが、
今まで“なぜか全部上手く回っていた”理由を、
一度でも考えたことはありましたか?
これは、
誰にも評価されなかった兵站官(へいたんかん)が、
隣国の辺境伯にだけ価値を見抜かれ、
人生を取り戻す物語。
今更「戻ってきてくれ」と泣きつかれても、
私は隣国の最高機密ですので――!
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~
由香皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。
だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。
しかし彼女は知らなかった。
帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。
これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。
悪役令嬢ですが、兄たちが過保護すぎて恋ができません
由香乙女ゲームの悪役令嬢・セレフィーナに転生した私。
破滅回避のため、目立たず静かに生きる――はずだった。
しかし現実は、三人の兄による全力溺愛&完全監視生活。
外出には護衛、交友関係は管理制、笑顔すら規制対象!?
さらに兄の親友である最強騎士・カインが護衛として加わり、
静かで誠実な優しさに、次第に心が揺れていく。
「恋をすると破滅する」
そう信じて避けてきた想いの先で待っていたのは、
断罪も修羅場もない、安心で騒がしい未来だった――。
処刑されるはずだった没落令嬢ですが、姫様の初夜を身代わりしたら子を授かりました
新 星緒没落伯爵令嬢のエルゼは大恩がある姫様を救うために、初夜の身代わりを引き受ける。
そして姫様や国を守るために誰にも行く先を告げずに国を去った。
三年後。初夜の晩に息子ヴァルターを授かっていたエルゼは、ひっそりと暮らしていた。ところが元婚約者に拉致られて、あわやというところに初夜の相手であるハインツ王子が現れる。
「ようやく見つけた。エルゼ、愛している」
「初夜の相手が君だと最初からわかっていたが?」
――身代わり初夜から始まる、純愛溺愛執着愛のお話!