装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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本編

604 あたまわるわるではない

 さて、どういう訳か俺の目の前にはなんとも全幅の信頼を寄せた瞳を持つ勇者一行がいる。
 記憶がなくなった振りをして色々探って見ると、俺はどうやらデプリ王城にいる様だった。

「本当に大丈夫ですか? 王様も、姫様も心配してましたからね!」

「あーはいはい、大丈夫大丈夫」

「まったく、心配かけさせないでよね。これから魔王に挑むんでしょ?」

「ういー」

 勇者と賢者の言葉を受け流して部屋から追い出し、一人にしてもらった。
 この様に、デプリにもし放逐されていなかったら俺はどうなっていたか。
 ……の、世界線である。

 スキルはゲームシステムの他に、俺にも英雄とかよくわからないのが備わっていた。
 ステータスは今までの10倍、勇者と同じ水準。
 装備も効果もあって、全ステータス10万越えになっているレベルだった。

「うーん、魔王討伐ねえ……」

「アォン?」

「ああ、こっちの話」

 この世界では、魔王が復活してそれを討伐するために俺たちは立ち上がっている。
 そして魔族相手に大きな争いが勃発し、その最中俺が急に倒れて戻って来たそうだ。

 あれ、だったらトガルにいる日々の話とかどうなるの?
 ねえ、マイヤーとパインのおっさんにもあってないはずだけど。

「はい、ここで話が食い違って来ます……と」

「……?」

 首を傾げるゴレオになんでもないと言いつつ、さらに思考を重ねる。
 全ステータス10万単位だったら、基本誰に対しても無双しているはずだ。
 だが、魔王軍との戦いも中々接戦とのことで、そこにも矛盾が発生している。

 まったく、ちゃんとディテールに拘って欲しいところだ。
 大方、ポチたちは切っても切れない流れが存在する。
 だから残しておいたのだろうが、イグニールとジュノーはずっと一緒だった。
 そこを大きく断ち切っているのだろう。

 いや、それでも矛盾だ、矛盾。
 どうして彼女たちの存在が消えているのか、なんとも言えないよな。
 関係性のある人物を全て消しておけば良いものの、どういうことだ。

 あれか、こうなる前に、俺が強くあの二人のことを思っていたから。
 ……だからだろうか?

「まあ、なんだって良い、この世界にいる価値はない」

 なら、今すぐここから出して欲しいのだけど。
 いったいどうやって脱出すれば良いのやら……。

「霧散の秘薬をぶちまけたらなんとかなったりするかな?」

 怨嗟の鎖の世界に連れて行かれた時は、相手が勝手に俺を追い出した。
 それと同じような状況に持って行く必要がある。

 ──フハハハ、どうだ、お前の今いる世界は。

「ん?」

 声が聞こえた。
 再召喚されてからすぐに聞こえて来たアホの声である。
 そう言えば、バインドされる前も聞こえてたな……。

「えっ、この世界って何? アホの世界なの?」

 ──アホではない。

「だったらあたまわるわるで」

 細かいところに矛盾が生じまくってるところとか、アホだろ。
 大方、霧散の秘薬でそう言う洗脳的な物が効かないと知らなかったんだな。

 ──あたまわるわるではない。

「もー、オウムかよ」

 ──黙れ。

「で、なんでこんなところに呼び出した訳?」

 ──黙この世界は貴様の大切な存在もいなければ、嫌いな勇者たちが付き纏う世界だ。

「うん」

 ──我の精神汚染を食い止めていた骨もいない。

「えっ」

 あいつ、実は俺を守ってくれていたのか。
 マジか……。

「知らなかった……」

 ──何? そんなことも知らなかったのか?
 ──どこまでも呑気なやつだ。

「うっさいなー、で、何? この世界に閉じ込めてどうするの?」

 ──貴様の精神がすり減って行くまで、ずっといてもらう。
 ──そして貴様を新たな魔王の器として、我がいただくとしよう。

「……勇者の方が強いと思うけど……」

 ──加護があって無理だ。
 ──その点、貴様は平和ボケしているから、取り込みやすい。
 ──よくわからない力も備えているから、我がもらう。

「なるほど、嫌だと言ったら?」

 ──ずっと、ずっとずっとこの世界にいてもらう。
 ──その周りの小動物や石像どももまやかしだ、お前の味方はいない。
 ──いたとしても、憎き勇者たちくらいだけどな! フハハハ!

「趣味悪っ……あ、つーことは、飯が食べれなかったのもお前のせいか!」

 ──それはただのストレスだ。

「あっはい」

 ──むしろ、胃に穴が空いていたのを我の力で留めていた。
 ──今は弱いが勇者にも匹敵しうる、せっかくの寄り代。
 ──我は無用に傷つけたりはせん。

「そっすか……」

 良い奴なのか悪い奴なのか、よくわからない奴だな。
 いや、魔王の力の源だから、悪い奴なのだろうか?
 どっちにしろ、ここは現実世界ではないことがわかった。
 つまるところ、こいつとの根比べがスタートしたってことである。

「ちなみに外との時間軸ってどうなってんの?」

 ──この世界は、ほとんど止まった世界である。
 ──故に、何十年も、何百年も、貴様を閉じ込める。

「ふーん……」

 ポチ、ゴレオ、コレクトがまやかしなのがよくわからん。
 召喚したら2体になるのかな?
 まあ、切っても切れない関係性だから、同じようなものを作っただけだろう。
 一応、前に怨嗟の鎖を相手した時は、こっちの世界に呼べた。
 そしたら、多分イグニールやジュノーたちの元にいるポチたちは消える。
 危険だから、今はこのまやかしのポチでぽっかり空いた心を埋めようか。
 なんとなく物足りない気持ちはあるが、現実に戻ったらまたモフれば良い。

「ポチおいで~」

「アォン?」

 もふもふもふ。
 あぁ~、いいっすね~。

 ──おい、癒されるな。我の話を聞け。

「断る」

 ──なに? 聞くしか方法はないぞ? 我、永遠に語りかけちゃうぞ?
 ──寝る間もないぞ? ずっと起こし続けるぞ?

「そ、それはうぜぇ……が、しかし、現実とは異なる世界ならなんでもありなんでしょ?」

 ──む?

「俺はこのまま頭に怪我を受けた振りして、お前にずっと付き合うぞ?」

 ──……。

「お前が勇者や王国を俺の味方みたいにしてくれたからな? 飯も出るし、待遇もいいし、ニートするぞ? インベントリに素材はいっぱいあるから、この止まった世界で永遠に装備とポーション作り続けるんだ」

 ──ふ、ふん、いつまでそれが持つかな?

「ダンジョン相手に耐久戦で勝つ俺をあんまり舐めるなよ」

 俺のゲームシステムみたいな能力は、こういう精神世界とか関係ない。
 ここでの俺の正解ルートは、勇者に装備を作って、国に素材を持って来させる。
 それだけだ!
 現実世界と違うのならば、いくら勇者に良き装備を与えても良いんだよなあ。

 そして俺は膨大な装備製作の中で、より良きものを厳選する。
 ドロップアイテムなど、インベントリに入れたアイテムは実態化する仕組みもある。
 考えてみろ、インベントリに入れとけば、ワンちゃん持って帰れるぞ、これ。

 おいおい、ボーナスステージじゃん!








=====
引きこもりに好き放題できる部屋を与えてはいけません。
出て来なくなります。

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