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本編
666 炎上の後はすっきり爽快なんだ
しおりを挟むイグニールが「火柱」と呟いた瞬間、手元に巨大な火柱が巻き起こった。
『ふぁ?』
「全身タイツをバカにするなら、あなたは全身火だるまにしてあげる」
鋭い視線を向けながら巨大な火柱をぶつける。
『ちょ──』
罰の大王は、どうすることもできずにいた。
ただ、火柱を呆然と見つめながら、まともに受ける。
知らなかったんだろうな。
俺の作った装備を身につけたイグニールの強さってもんを。
「あちゃー、もったいなぁー」
消し炭になった罰の大王の焼け跡を見ながら顔を手で覆うジュニア。
例え自身のコアを用いて作っていたとしても、1日経てば元どおり。
図鑑のメンツは基本的に1日戻っていれば完全回復するのである。
そう考えると、ジュニアの存在ってかなりコスパ良いな。
「ふー、スッキリした」
特大の火柱をぶつけて一息つくイグニール。
顔つきを見ると、ストレスがだいぶ溜まっていたようだ。
そう言えば、もともとヒステリーなタイプである。
一緒になって喚き散らすことがなかったと思い返すと……。
色々と抑え込んでいたんだな、としみじみ感じる。
「おつかれイグニール。あとで肩揉んであげよっか?」
「どう言う風の吹き回しよ」
「いや、イライラ溜まってるのかなって……」
「ああ、それならたった今解消したから大丈夫よ」
……いや、その解消方法が問題なのだが?
ストレスのはけ口が炎上爆破とか、やばいって。
いつか誰かが巻き込まれる。
そして可能性的には、俺が一番高いのだ。
「さっ、すごろくの続き続き。あのうざいのもしばらく出てこないでしょ?」
「しばらくって言うか、あいつ一体しか用意してないから、もういないぞ」
「そ? だったら尚更良いわね」
さらっと言い返したイグニールに、ジュニアが言いづらそうにしながら返す。
「あー……ダンジョンすごろくの続きをしたいのも山々なんだけど、上を見ろ」
「上?」
ジュニアの指差す頭上をみんなで見上げる。
すると。
「げえ、空が見えてるぞ……」
思わず口に出してしまう。
イグニールの火柱は、ダンジョンの天井を穿ち、空を露出させていたのだ。
炎上、からの爆発の方がやばすぎて、今の今まで気づかなかった。
「あら、思ったよりこのダンジョン地下深くないのね」
「いや、割と深めに作ってあるはずなんだけど……?」
口元をひくつかせながら呆れるジュニア。
イグニールの火力を今一度再認識した形である。
「すごろくの下にコロシアム作ってたから、お釈迦になっちまった」
「ってことは、もう終わりなの? やったし!」
飽きてきたんだよね、と飛び上がりながら喜ぶジュノー。
まあ、時間も時間だし、これで終わりってことで良いか。
「なあ、罰ゲームとご褒美はどないするん?」
「そうですね。すごろくが終了となりましたら、それはどうなるのでしょう?」
ご褒美の行方について問うマイヤーとリクール。
結局ご褒美自体は今だにマイヤーの罰ゲームみたいなのしか出てないんだよな。
とことん俺らに罰を与えるすごろくだったと振り返る。
「だったら景品交換とかで良いのではないですかぞ~?」
いや、すごろくの発案者がそれで良いのか?
本人が良いなら俺もそれで良いのだけど。
「とりま、そんな感じなら俺も図鑑に戻って引きこもりたいからお前ら戻った戻った」
すごろくをもうしないと言う案でまとまってくると、ジュニアもそう告げる。
この引きこもりめ。
「つーか、結局勝敗はどうするんだ? パーティーネーム決まらんぞ」
「じゃんけんで良いわよ、もう」
「あっはい」
と、言う訳でじゃんけんで決めることになった。
激しく時間の無駄だったかに思えるが、幾分楽しめたから良いだろう。
「ほな、帰って飯食って酒飲みながらみんなでじゃんけん大会や!」
「あとプレゼント交換もするし!」
「ォン!」
「ぷぴ!」
それから、俺たちはダンジョンすごろく会場を後にした。
とりあえず今日1日はこの格好で、みたいなノリで。
コスプレ宴会へと突入するのである。
あ、地盤を貫通した大穴は、ジュニアが責任持って埋めてくれました。
上に人がいたらやばかったのだが、幸運なことに一人もいなかった。
これから高火力問題とか、結構付きまといそうな予感がする。
新装備を作っても、現段階の装備をつけたまま、切り替える方向性か。
要検討である。
=====
長くてすいませんでした。土下座します。
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