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本編
673 課題
「まずはこれです。浮遊結晶を用いた飛行魔導機器です」
「むむ」
見せてもらったものは、ドローンの様な魔導機器だった。
ドローン特有の四隅のプロペラ。
それが浮遊結晶を取り付けたものに置き換えられている。
「重たい荷物を運ぶ際に役に立つのでは、という所から発想を得ました!」
「すごいな」
正直、思ったよりもずっとしっかりした作りであった。
「方向転換とかはどうするの?」
「スラスターを遠隔操作できないので、基本的に紐で引く形です」
「なるほどね」
縦の移動は、荷物をどの高さまで持ち上げるか設定することが可能。
横の移動は、人の手を使って押したり引いたりする形だそうだ。
浮かせているのであれば、摩擦もないから簡単に動く。
でかい魔物とかを仕留めた際、冒険者にとってもかなり良いものとなる。
アイテムボックスのスキルを持つ人は希少。
故に、売れる部位だけを厳選して持ち帰る、なんてこともザラなのである。
基本、持てない部位は捨てて帰るのだ。
欲張って持ったとして、それを狙う魔物に襲われかねない。
だったら最初から置いていくのが得策なのである。
「武装は?」
「ええと、構造自体を盾を用いてる感じです。攻撃機能はついてないです」
「なるほど」
そうか、武器じゃなくても防具でも俺の作れる範囲に収まるのか。
これは盾ですよ、なんて体裁を取るだけで装備判定。
職人技能の装備製作にも問題なくレシピを登録することができた。
名前は、超小型浮遊船というもの。
面倒だから、レシピのタイトルをドローンに変えて置いてもらおう。
再度レシピを登録することによって、小型運搬ドローンとなった。
「早速試作品を作ってみるか」
材料は揃っている。
「即できるんですか? 刀の時みたいに?」
「まあね。俺くらいの腕になるとスキルで一瞬」
どうやって作っているかの説明はしていない。
面倒だからすることもない。
故に、スキルで1発簡単楽々ってことにしておいた。
「おお~」
「ァォ~」
出来上がった小型運搬ドローンを見て、そんな声を上げる俺とポチ。
さて、作ったのはいいけど、どうやって動かせば良いのやら。
「……これって、どうやって動かすの?」
「魔力を込めれば、浮遊結晶が反応して浮かび上がります。ですが……」
と、ライデンは言葉を続ける。
「積載量との兼ね合いもあって、結構シビアな調節な必要なんですよ」
「なるほどな」
積載量と必要な魔力の数値は、これからこの試作機を用いて測るつもりとのこと。
で、最終的にはバッテリーを調節して一定の高さで上げ下げできる様にするのだそうだ。
中々に面倒な仕様であるが、コンピューターも何もないこの世界では仕方がない。
「しかし、まだまだ色々と考える必要もありまして」
「うん?」
「四つの浮遊結晶を用いてる理由が、微弱な魔力じゃないと浮遊結晶がもたないんです」
ヒヒイロカネを用いていない浮遊結晶は、強い魔力だとすぐに崩壊してしまう。
故に、四つに分散させているのだが……。
それでもまだ怪しいものだとライデンは言っていた。
「一番弱いバッテリーから試してるんですけど、現状10キロも無理ですね」
「なるほど、思ったよりも少ないな」
10キロ程度なら、STRとかVITが高い人だと余裕だ。
もっとでかくて重いものをいけないと、有用ではない。
「他にも手はないことも無いんですが……まだオスロー先輩が研究中です」
「どんな?」
「常に一定の魔力だと、それなりに保つことがわかりまして」
「ほうほう」
「一定の魔力を出力できる様なバッテリーを作れれば、と言ってました」
常に一定ともなれば、かなりの腕前を持つ魔法使いくらいしか運用できない。
しかし、それを魔導機器で実現するのが研究者である。
オスローは、ライデンとともに頑張っている最中だそうだ。
「話を聞いてる感じだと、今のバッテリーってさ、一定じゃ無いの?」
「一応ある程度は揃えてあるみたいなんですけど、どうしてもばらつきがあるみたいです」
「なるほどね」
ただの浮遊結晶は、その細微なばらつきにも反応してしまう。
っていうか、根本的に魔石とかバッテリー類とは相性が悪い。
「ってことはヒヒイロガネがたくさんあれば良いってことだよね?」
「……そうですけど、それじゃダメっていうか、なんていうか」
ライデンは言う。
「ヒヒイロカネなんて超希少なものを使わなくてもできる様にしたいんです。僕もオスロー先輩も」
「そっか、わかった」
俺が全部に手を貸すってのも、一つライデンの成長にならない。
夢実現のために欲しい素材があるならば、俺が取りに行こう。
常に一定の、という言葉を聞いて何か引っかかるものがあるのだが……。
なんだっけなあ。
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